縦割り行政

面白い話を聞いた。
お隣り伊那市で「成人歯科健診」というのがあるそうだ。
(まあ調べたら駒ヶ根にも、いや全国的に同様の制度があるのだが、それはともかく)
行政が歯科医院での健診費用をあらかた負担してくれて、本人負担はたった500円で歯のチェックからレントゲン撮影、指導までしてくれる。

なるほど、いい制度じゃないか!
ところが、歯科衛生士の嫁さんが言うに、ちょっと違うらしい。

例えば、行政から歯科健診の受診券が送られてくるそうな。
(伊那市では41歳、51歳、61歳、71歳。駒ヶ根では40歳、50歳、60歳、70歳)
で、その券を持って、自身で予約した歯科医院に行くと、本来自費健診なら数千円する歯科健診がたった500円で受けられる・・・それに間違いはないのです。

ただ、まあ今のご時世、歯に問題を抱えていない成人は相当少なく(皆無に等しく)、皆何かしらの治療に入らないといけない結果になるそうです。
そりゃそうだ。成人の8割くらいが歯周病なんて言われている。
しかも券が40歳以上に配られるなら、まだ幼少期から歯の大切さを教え込まれてきていない世代だ。
(今の若い人は、生まれた時に既にお母さんに対する母親教育がよくできていて、20歳でも虫歯皆無!とか歯肉バッチリ!とかいるそうです)

で、健診の結果、「ここが虫歯ですね」「ここの歯肉が腫れています」等説明すると、ほとんどの人が「じゃ、治療でお願いします」となるわけです。
当たりまえですね。悪いと言われたら直したくなります。

ところが。ここからが「ところが」です。

じゃ、治療に入ります、となると、もう1度、診査とレントゲンを撮り直さないとイケナイのだとか。
もちろん、同日にできないので、改めて来てもらう事に。

保険制度上、別の目的で撮ったレントゲンをして、その治療開始時のレントゲンとしてはいけないそうで、
レセプトが通らない事になるのだとか。
(嫁さんも保険請求のほうは門外漢だけど、そういうシステムらしい)

すると患者さんは「改めて別の日を予約しもう1度来ないといけない」「再度レントゲンを撮らないといけないので被爆が増える」「じゃ、最初の市の健診の自己負担500円は捨て金だったのか?」
という不利益を被るんだとか。
たしかにたしかに、そうなるよね。
そしてほとんどの人が何かしらの問題を抱えて、治療に突入するとなれば、最初の健診はなんだったんでしょう?と。
歯や歯肉に全く問題がない人だけが、その確認のためだけに行くのであれば、500円で済むので格安ですが、まあまず無いお話だそうで。

そんなだから、患者からしたら「市と歯科医院は結託してるんじゃないか?」と思うかもしれませんね(笑)
でも被爆が2回連続となるのは良くないですし・・・

というわけで、市の健診チケットを持ってきた人に対し、そんな説明をするとほぼ100%の人が、「じゃいいです」って言って市の健診チケットは使わないようになるんだとか。

でも、全国的に同じようなシステムがあるのに、どうしてこの問題はおおっぴらにならないんだろう?
とりあえず、健診をきっかけに治療が進むのはいいことで、歯や歯肉が健康であれば、健康寿命は長くなるのは本当らしいので、チケットどうこう関係なく、歯科医院には定期的に通うべきなのですが、せっかく行政がその補助をするのであれば、保険制度との整合を取ってもらって、市の健診で撮ったレントゲンをその後の治療に使えるようにしてもらえればいいのですが…
誰か動く人はいないものですかね?

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