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川崎汽船(9107) 投資判断

川崎汽船(9107) 投資判断

川崎汽船は総合海運大手で、特にコンテナ船事業に強みを持っています。

現地企業への投資や提携を通じて、新興国市場での事業拡大に積極的です。

2023年3月期末時点での船隊構成は、総計393隻(自社所有138隻、チャーター255隻)です。

川崎汽船は、大手海運会社3社の一角で、電力用石炭船や自動車運搬船に強みがあります。

また、同社はフランス企業から引き継いだ巨大凧を使った風力推進プロジェクトを進めています。

2024年度には大型自動車運搬船が5隻、2025年度には6隻竣工し、輸送能力を増加させる予定です。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

ネットキャッシュ比率とは

ネットキャッシュ比率とは、資産総額に対する資金の豊富さを計る尺度です。

ネットキャッシュとネットキャッシュ比率の定義については、長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家、清原達郎氏のネットキャッシュ比率の定義を採用しています。

ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債

ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額

ネットキャッシュ比率=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

ネットキャッシュ比率が1の企業については、「会社がただで買えるほど割安」であり、数字が大きいほど割安と判断できます。

また、清原氏曰く、ネットキャッシュ比率が1を超えている企業については、「ただで会社をもらった上で現金まで貰える」ほど割安だとされています。

より詳しい内容については、清原達郎氏の「わが投資術 市場は誰に微笑むか」をご覧ください。

ネットキャッシュ比率

ネットキャッシュ比率は企業の資金豊富さを測る尺度で、比率が1以上なら割安とされます。川崎汽船のネットキャッシュ比率は0.49で、割安の基準には達していません。

株価のチャート

株価のチャートは、こちらのとおりです。

過去1年間のパフォーマンスは112.48%となっています。

最新の決算

川崎汽船は5月7日に決算を発表しています。

24年3月期の連結経常利益は前期比80.3%減の1357億円に落ち込み、25年3月期は前期比0.6%減の1350億円とほぼ横ばい見通しとなりました。

同時に、今期の年間配当は85円とし、3月31日の株式分割を考慮した実質配当は2.0%増配とする方針としました。

 直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比23.9%減の372億円に減少しましたが、売上営業損益率は前年同期の-0.8%から5.9%に急改善しました。

2024年3月期の事業動向

ドライバルクセグメントでは、中国向け輸送需要の増加により下半期に市況が改善しましたが、遅効的影響や一過性要因により前期比で減収減益となりました。

エネルギー資源セグメントでは、LNG船や大型原油船などが中長期契約で安定収益を確保したものの、前年度の運航船舶見直し等により減益となりました。

製品物流セグメントでは、自動車船事業が回復基調を維持し、物流事業では一部需要の増加が見られましたが、コンテナ船事業の市況低迷により全体で減益となりました。

その他の事業は減収も増益を達成しました。

これらの結果、川崎汽船全体としては増収も減益となり、セグメントごとに異なる成果が反映された年度となりました。

2025年3月期の見通し

ドライバルクセグメント

中国経済の不透明感や地政学リスクの懸念はありますが、新造船発注量が少ないため、中期的に船腹需給は引き締まる見込みです。

運航効率の改善とコスト削減を推進し、環境対応ニーズに応じた営業活動を展開する方針です。

また、中長期契約を増やし、安定収益の拡充とリスクコントロールを図ることとしています。

エネルギー資源セグメント

LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ、FPSOは中長期契約により順調に推移しており、25年3月期も安定した収益を確保できる見通しです。

製品物流セグメント

自動車船事業はリセッションリスクがあるものの、生産・出荷は堅調に推移すると予測しています。

船隊適正化と運航効率の向上を図るとともに、物流事業は国内・国際ともに前年並みの収益を見込んでいます。

なお、完成車物流事業も堅調に推移すると見込まれています。

近海・内航事業

近海事業はバイオマス燃料輸送の増加を見込んでいます。

内航事業では旅客・乗用車輸送が前年を下回りますが、不定期船輸送は順調に稼働し、一般貨物船も前年並みの輸送量を確保できる見通しです。

コンテナ船事業

荷動き需要は米国を中心に回復を見込んでいますが、地政学的不安定さとインフレにより本格回復は難しいと同社は説明しています。

新造船竣工で供給が需要を上回る見込みですが、そうした状況中でもONE社は機動的な配船と効率的なオペレーションを維持するとされています。

なお、ONE社とは川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が共同出資して設立したコンテナ船事業会社です。

川崎汽船の事業リスク

同社のパフォーマンスは、コンテナ船、バルクキャリア、タンカー、カーキャリアなど各種船舶の運賃の市場動向の影響を受けます。

世界経済の減速によって貨物の動きが鈍ると、需要と供給のバランスが崩れ、運賃が低下しやすくなります。

また、新船の導入増加も供給の過剰を引き起こし、運賃の低迷を招くことがあります。

EPS

EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たり純利益ともいわれます。

EPSからわかることは、企業の「収益力」と「成長性」の2つです。

数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。

また、同じ企業の当期EPSと前期以前のEPSを比較することで、企業が順調に成長しているか判断することもできます。

2023年にはEPSが大幅に増加し、高い成長率を記録しています。

しかし、2024年に入るとEPSは急激に減少し、成長率も大幅なマイナスとなっています。これにより、川崎汽船の収益性が2024年に大きく低下していることがわかります。

売上高の推移

川崎汽船の売上高は2023年に大幅に増加し、特に2023年第2四半期には39.2%の成長率を記録しています。

しかし、2024年に入ると一時的に減少し、第1四半期と第2四半期は前年同期比でマイナス成長を示しています。

2024年第3四半期と第4四半期には再び成長に転じ、特に第4四半期には15.5%の成長率を記録しています。

より詳細な財務データはこちら

https://kiraku.blog/kawasaki20240519

投資判断

それでは、川崎汽船の投資判断を行いたいと思いますが、続きの内容については、有料記事となります。

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