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エンターテインメント時代劇! グレショー「幕末」感想

グレショーこと「THE GREATEST SHOW-NEN」(朝日放送テレビ、毎週土曜日放送)の第13回公演「幕末」が終わった。時代劇らしく衣装も凝っていて、コラボ先の劇団そとばこまちの役者さんも多く出演されていて、とにかく華やかな舞台だった。以下、大いにネタバレを含む感想…というか、とにかく土方が良かったという話です。

1. 7/23分の感想

「幕末」が始まってすぐの頃だと思うけど、Aぇ! groupのメンバーがそれぞれ見どころを聞かれたとき、土方歳三役の佐野さんは「100手です!」と答えていた。これは、物語のクライマックス近くで、土方と京都見廻組の佐々木只三郎が約2分にわたって刀を交える「100手殺陣」のこと。

「幕末」は主人公の沖田を中心に構成されているのに、最終盤でこれだけの尺を取って土方の見せ場があるのにはちょっと驚く。しかも、相手は龍馬や沖田と比べると知名度が少々劣りそうな佐々木。これまでにも要所要所で出てきていたとはいえ、観客にとっては「なんで急にこの2人の見せ場?」ともなりかねない場面だと思う。でも、実際始まってみると、2人の殺陣に息を詰めて見入ってしまった。

100手の前の場面は、沖田総司と坂本龍馬の一騎打ち。この2人の殺陣もすごくいい。お互いの素性を知らないまま親交を深めていた2人が、それぞれの信じるもののために対決する場面だ。無骨に、豪快に刀を振るう龍馬に向かって、沖田が思わず微笑んでしまうのが印象的。沖田は有名な三段突きも披露するが、そこに龍馬を自分の手で討ちたい佐々木が乱入してきて、さらにそれを止めようとする土方が現れる。

まず、佐々木只三郎様(様です!)が出てきたときから圧巻。もう強すぎる。武道には全然くわしくないけど、明らかに強いとわかる太刀筋だ。しかもものすごく速い。説明が難しいけれど、いかにも人を斬りそうなヤバさが伝わってくる。(佐々木を演じるのは今回の殺陣指導・構成を担当された新谷佳士さんなので、もちろん段違いに上手い。)

一方、佐々木を足止めして、沖田たちを逃がす土方も負けていない。大振り気味で、端正ではないけれど相手を斬る執念を感じる刀さばき。しかも、生きるか死ぬかの局面なのに、ときどきうっすら笑っている。新撰組の羽織と鉢巻をひるがえして闘う姿は、まさに「鬼の副長」だ。とりわけ、佐々木の応援に来た見廻組の二人に応戦するとき、深く腰を落とし、声を上げて斬りかかる姿に心を掴まれた。毎回、メンバーそれぞれの新しい顔が見られる番組だけど、特に佐野さんはこの役で新境地を開いたのではないかと感じる。

2. 「幕末」全体について

時代劇+パフォーマンスのエンターテインメント時代劇は人を選ぶジャンルかもしれないけど、わたしは好きです!史実と違うところがあっても、冒頭で”歴史書に残っていることが真実とは限らない”というニュアンスのことを言っていたのが最後に効いてきて、こういうストーリーもあり得たかもと思わされる。オープニングダンスとエンディングダンスで盛り上がり、バシッと決めるのも気持ちがいい。毎公演、最後の役者挨拶にコラボ先の個性が現れていて好きなのだけど、今回も清々しい終わり方だったと思います。また機会があれば、そとばこまちさんの舞台を観に行きたい。

グレショーは少し前からやっと有観客で収録できるようになったけれど、なかなか先が見えませんね。
読んでくださった皆さまもご自愛ください。


(「幕末」最終回配信は7/30深夜まで。)


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