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もう一度SKE48を好きになろう第5回「平野百菜が更新したものは何か?」

 「破壊的イノベーション」という言葉をご存じでしょうか?
 ビジネスの市場をガラッと変えてしまうような革命的な商品やサービスモデルのことです。たとえば、iPhoneが登場した時、携帯電話市場はガラッと変わりました。SNSならば、Facebookの登場がこれにあたると思います。
 一つの市場を一気に変えたり、市場の可能性を加速させたりする存在。そんな存在に対して、「破壊的イノベーション」という言葉を使います。


 SKE48においても、「破壊的イノベーション」を起こしたメンバーがいます。
 もし、3人挙げるとすれば、あなたは誰を挙げるでしょう?
 須田亜香里さん、小畑優奈さん、平野百菜さんの3人を僕は挙げます。( 1、2期生は既存の市場を作った存在と定義したので外します。青海ひな乃さんに関しては、これからそれを起こすと思うのでまだ保留で )。須田亜香里さんは、柏木由紀さんが作った握手会の神対応というゲームを更に加速させた上で、今も続く握手会の対応のスタンダードを人上げた人ではないかと僕は思っています。
 続く小畑優奈さんは、SKE48が持っていたイメージを更新して良い意味での軽さと明るさ、そして、神秘性を持たせてくれたのでは、と思っています( 早めに卒業したこともそれを高めている気がします )。「意外にマンゴー」、「無意識の色」という流れは、確かにSKE48の10周年でもう一度ここでナゴヤドームまで行くんだという期待を抱かせてくれました。


 そして、最後の平野百菜さん。
 彼女はSKE48の何を更新したのでしょう?
 
 一つは配信における企画力や価値付けです。
 SKE48にはもともと白井琴望という「陽の狂気」をはらんだ天才がいました。パンダのぬいぐるみを使った配信が有名ですが、根気とファンを巻き込む力は素晴らしかったです。最終的にソロ曲まで獲得していくところは、黄金世代「7Ⅾ2」に夢を見た人間の一人としては、今思い出しても様々なIFを想像してしまいます。

 話を平野百菜さんに戻しましょう。
 ももたんの配信の凄さは、頭の回転の凄さも勿論なんですが、一つ一つの投げる課金アイテムにリアクションが取れる用意、全く常人では想像できない企画力にあると思います。配信は雑談を中心に行ったり歌を中心に行ったり、ということがアイドルでは多いですが、彼女の場合、日常と非日常の間を配信で生み出すことが出来た稀有な存在だと思いました。特にコロナの影響でエンタメ関係の動きが止まった時に、面白いものは自分から作ることが出来るということを見せてくれた存在でした。
 面白いものが制限されているならば、自分で作ればいい。
 それはSNSで求められるような( しかも多くの場合、実績の無い人が誰かを貶めて得られるような )安っぽい「承認」や「評価」でもなく、自分が届けたい配信の為に「製作」に没入できることでもあります。
 「0から1を生む」という言葉がありますが、彼女の場合、「製作」を通じて行うことで、「承認」や「評価」も実現してきました。その最たる実績が選抜入りだと思います。
 この背景には、掛け算が得意な人だからだと僕は思っています。ボーリングとボクシングを合体させたのは、彼女ぐらいじゃないでしょうか? 閃くまで大変だと思いますし、それを形にしていくまでの工夫も沢山あると思います。でも、それを頭の中だけに留めずに形に出来るところが彼女の素晴らしいところだと思います。
 900日以上も配信を行った彼女のアイディアは、是非、SKE48の運営さんは、何らかの形で残しておいてほしかったな、と個人的に思っています。それは、これから配信を行う世代のヒントにもなるし、次の破壊的イノベーションを起こすトリガーになるものだと思っています。
 実は、この「製作」という部分の強さこそが、彼女がSKE48に起こした「更新」だと僕は思っています。
 
 さて、ここまで更新したものについてきましたが、最後に人間性についても少し書かせてください。
 彼女の卒業公演で手紙を書いた藤本冬香さんは、彼女との日々を「2回目の青春を過ごしているみたいで楽しかった」と語っています。
 この記事を書くために、久々に様々なももたんについての動画を観たんですが、すんごく楽しい気分になるんですね。僕は今年で40歳になるんですが、わりと人生のゴールがそろそろ見えてきた感じではあるんです。少なくとも青春時代の「何でもやれる!」みたいなアッパーな気分はありません。でも、ももたんの動画を観ていると、日々の虚しさを少しだけ無化してくれて、元気をもらえる力がありました。
 彼女が残していったものはまだまだ再評価されるべきだと僕は思っていますし、これから平野百菜フォロワーの( ここでいうフォロワーは技術の継承者という意味です )配信が強いメンバーが出てくるんじゃないか、と期待しています。
 同じく卒業公演で手紙を書いた上村亜柚香さんは、「百菜の年齢で背負わなくてもいいことも沢山あったはず」と、自身も年少メンバーとしての活動を経験しているからこその苦労に思いをはせながら、「平野百菜に出会えてよかったです。 私の人生の自慢にします」と彼女と活動した日々を書いています。
 人生の中で、出会える人の数は限られていますし、その中で「青春」を感じるような楽しさだったり、「人生の自慢」と思えるような尊敬の念だったりを抱ける人に、今日まで何人会ってきたでしょう?
 贅沢ですが、まだまだ活躍を見たかったメンバーの一人です。

 いつか、僕らの生活に破壊的イノベーションを起こすようなサービスや製品が登場した時、そこに平野百菜さんの名前があるんじゃないか、と想像しながら、この記事を終えたいと思います。
 
 
 

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