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【あの卒業生は今】 片山海人さん

【あの卒業生は今】vol.20
桜美林大学はジャングルみたいな場所だったと語る片山海人さんにインタビューをし、大学時代のアルバイトや声楽の授業、ギターを始めたきっかけについてお聞きしました。

-自己紹介をお願いします。

 2010年に桜美林大学総合文化学群音楽専修(現:芸術文化学群)を卒業しました、片山海人です。当時はギターの授業がなかったため、主に声楽やゴスペルを受け、美術の授業などもとっていました。
現在は埼玉県でギターを教えながら、演奏活動をしています。

-どんな学生時代を過ごしましたか?

 荻窪ルミネのハワイアンカフェで、アルバイトをしていました。制服はアロハシャツ、しかもこの風貌なのでよくお年寄りの方には現地の人に間違えられましたね笑
 サークルには入らず、携帯代や自動車免許の費用、ギター代を稼ぐためにアルバイトばかりしていました。音楽を聴くための音源がCDしかない時代だったので、アルバイトをしてはCDやギターを買って散財していました。バイトと授業ばかりでした。

-印象に残っている出来事はありますか?

 特に印象に残っているのは、声楽の授業です。右も左も分からない素人の自分でしたが、小林玲子先生に歌のレッスンをしていただきました。3年生のゼミの時にオペラ「フィガロの結婚」で主演を演じました。自分にとっては、授業というよりは部活やサークルのような雰囲気で、授業内や合宿、放課後に練習をしました。私はサークルに入っていなかったので、それがとても楽しかったです。
 本当はダメなことですが、別の授業中にゼミの楽譜や歌詞を覚えたりしていました(笑)
 もう一つ印象に残っているのは、ゴスペルの授業です。ゴスペルは教会音楽の一つで、映画『天使にラブソングを』に出てくる音楽といえば分かるでしょうか。肩を揺らしたり、手拍子しながら皆でソウルフルに合唱します。担当してくれたオーレン先生に教えていただきました。50~60人が教室に一堂に集まって歌っていました。当時の授業の雰囲気などは今でも鮮明に記憶に残っています。

-いつからギターを演奏されているのですか?

 中学の入学祝いで父にエレキギターを買ってもらい、中学ではロックを弾いていました。高校に入ってからは周りにエレキギターを弾く人(バンドをやる人たち)が先輩しかおらず、その先輩が卒業してからはソロで演奏する楽しさを知り、アコースティックギターに転向しました。
 大学でもギターを学びたかったのですが、当時は授業でギターを扱っている大学はほとんどありませんでした。それでも音楽は学びたいと思っていたので、桜美林大学に入りました。そのためギターは大学外で佐藤紀雄さんという先生に教えてもらいました。先生は他の大学でも教えていらっしゃったので、毎回自分でコンタクトを取ってレッスンを受けていました。遠出してレッスンに行ったりする人が多い中、僕は幸運にも家が近かったので通いやすく、それは本当に良かったです。
 大学の演奏会ではギターの授業がないのにギターを演奏していました。今考えると不思議な状況でしたね(笑)。

-大学生のうちに経験した方が良かったことはありますか?

 もっと色んな授業をとるべきだったと感じています。当時は性格的に少し尖っていて、「この授業はとらない。自分には必要ない。」みたいな考えもあって。今考えると良くなかったですね。
 少しでも興味があることはやってみるといいと思いますし、今まで無関心だったことも、やってみたら実は意外と面白かったりするんです。これは下の世代の方々に伝えたいことの1つですね。
 例えば自分は音楽の人間だったので、大学時代は美術には全く興味がありませんでした。しかし、仲間に美術専攻の人がいて、その展覧会を見に行く機会があったり、4年生では美術の授業を取ってみたりもしたんです。その時に「こういう世界もあるのか。面白いなぁ」と。最近ではまたアートにハマっていて美術館に一人で行ったりしています。以前の自分では考えられないことですよね。
 音楽と美術は密接に関わっていることもあるので、少しでも興味が湧くものがあればとりあえずやってみることも大切です。

 また、自己分析をすることも大切だと思います。20歳を超えると、自分はどういう人間なのか、何をすると心地よくて、どんなことをすると気持ちがいいのか少しずつですがわかってきます。
 進路、将来のこともその「自分は何をしている時が幸せなのか?」を深く掘り下げると良いのではないかと感じます。

 あとは、、、単純にサークルに入っておけば良かったですね。(笑)

-大学時代に心が折れた経験はありますか?

 授業を続けていけるのかなと思ったことはあります。中でもソルフェージュ(音符を見ながら歌唱する)という授業があるのですが、それにとても苦戦しました。僕はピアノも弾いたことがなく、ギターはタブ譜という特別な記譜法で書かれたもの以外は読んだことがなかったので五線譜は本当に読めませんでした。ですので少しずつ、少しずつ覚えていきました。

-卒業後の進路について教えてください。

 卒業後すぐは7年ほどアルバイトをしていました。コットンクラブという東京駅の近くのジャズライブレストランで、ホールスタッフとして勤めながら、休みの日にギターのレッスンを受けたり、アルバイト仲間と演奏をしたりもしていました。
 今は埼玉県でギターを教えています。以前は別の教室で仕事(レッスン)をしていたのですが現在は独立して、自宅の庭に小屋を建てて、そこをレッスンスペースとしています。
近くのレストランを借りて生徒さんの発表会を企画したり、その他のイベントも開催しました。

-仕事のやりがいは何ですか?

 やっぱり生徒さんの成長を見ることができるところですね。今まで音楽を経験したことが無いからと言って、演奏することに遠慮がちな生徒さんが多いんです。でもだんだんと弾けてきて、
一緒に演奏しながら楽しんでくれる姿を見るのは本当に嬉しいです。
 「教える」という行為は大変な面もあるけど、以前から自分の好きなことを誰かに教える、伝えるということ自体大好きだったので仕事していても全然疲れないんです。
楽しくて仕方ないんです(笑)

-今後の目標は何ですか?

 現在ギターとドラム、2人だけのバンドを組んでいるのですが、その活動をどんどん広げていきたいと思っています。ライブも精力的にやっていきたいです。
 実は大きな目標っていうのはあまりなくて。明日、1週間後、1ヶ月後に達成したいことをクリアしていって、いつかそれが大きなものになっていれば良いと思っています。

 あとは、もっと自分の教室で楽しいレッスンの場を作っていきたいです。

-あなたにとって桜美林大学とは?

 ジャングルみたいな場所です。音楽、ダンス、絵、演劇、映画とか、色々なものと様々な人間が混在していたので(笑)
 仲が良かった人たちを思い出すと本当に様々な芸術活動をしてきた人がいました。それはこの学部である限り当然なんですが、その何人かは今でもその活動をしている人がいるんですよね。自分もそのうちの1人です。


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