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【あの卒業生は今】 稲本 龍彦さん

【あの卒業生は今】vol.15

「とがってこじらせていた」そう大学時代を振り返りながらも卒業後は目標を達成し続け、現在はLSEGで金融型クラウドサービスのアジア・パシフィック地域のサービス管理責任者を務める稲本龍彦さん。そんな稲本さんが考える大学生が経験すべきことや海外の方との関わり方をお話ししていただきました。



-自己紹介をお願いします。

2001年度に国際学部を卒業しました、稲本龍彦(いなもと たつひこ)です。大学卒業後は、日本でシステムエンジニアの仕事をしていました。現在勤めている会社は、LSEGです。中途採用で2004年に入社した当初はロイターという会社でしたがM&Aを繰り返した後に現在の会社に至りました。弊社が提供しているマーケット・データの金融型クラウドサービスのサービス管理のアジア・パシフィック域内の責任者をしています。


-どんな学生時代を過ごしましたか?

一番印象に残っているのはゼミの合宿です。学生時代は相当とがっていてこじらせていた学生でした(笑)しかし、所属していたゼミではしっかりと取り組めたと記憶しています。

加藤 朗教授のゼミで、「現代の紛争やその予防外交のあり方」について学んでいました。まさに今ロシア・ウクライナで起こってしまっていることを防ぐための勉強です。冷戦後の世界では紛争が国家の対立から文明や宗教等の対立にシフトしていっている中で国連の果たす役割等を研究したと記憶していますが、、そのゼミの合宿の時に、同じゼミの子が海に溺れそうになったんです。みんなでその子を助けて、怯えるその子を慰めたのは覚えてますね(笑)


-「相当とがっていてこじらせていた」とありましたが、どんな学生でしたか?

当時は何の根拠もなく、プライドだけが高かったです。そんなプライドは卒業と共に消え去りました。パートナーや学友がそんな私をが見捨てずに見守ってくれていたということが大きかったです。一緒に学生生活を送っていく過程で、プライドを壊すだけではなく、私自身のことを認めてくれたからこそ変化が​あ​ったんだと思います。また、4.5年かけて卒業した私を半年遅れで受け入れてくれた寛大な会社に入社後はITの世界の門を叩き、そこから学んだ知識と経験をベースに這い上がろうと野心を抱いて社会に飛び込んでいきました。


-大学卒業後にシステムエンジニアの仕事をされていたとのことですが、大学在学中に専門的にプログラミングを学んでいたんですか?

全くやっていませんでした。ただ、大学自体は当時からネット環境、インフラの提供は一早く提供していた大学だったので、日々そういうものに触れてはいました。日本の会社はちゃんと研修してくれますし、研修もあるので、大学時代にやっていなかったことにも挑戦して良いと思います。


-大学時代の経験で今の自分に役立っていることはありますか?

大学を卒業させてくれたことが一番大きいです。学校にいると珍しがられるような学生だったんですが、卒業しなければ社会に出ることもできなかったので感謝しています。

あと、「ゴルフ」も社会に出て直ぐではなかったものの役に立っています。私の時代は体育でゴルフの授業を履修できたんですが、社会人になって久しぶりにプレーするときに役に立っています。ゴルフにはルールやマナーがあるので自分磨きにもなるし、新しいことをする中でネットワークを広げるという作業はとても大事だと思います。ゴルフがきっかけで名前を憶えてもらうこともあると思います。ネットワークを広げる一つのツールになる要素を秘めた機会は、ここではゴルフを例えに出しましたが、大学時代にたくさんあると思います。


-大学生のうちに経験したほうが良いと思うことはありますか?

大学の海外交流に関するプログラムにどんなものがあるのか、見てほしいです。費用や自分の言語能力はいったん忘れて、どのようなオプションがあるのかを見て、もし少しでも興味があったらそこを深堀りしてみてください。海外の人と話す、勉強する、何かをするという経験は社会人になるとあまりできないことなので学生時代に経験するのがベストだと思います。

もちろんコロナなどのこともありますが、それは一旦置いておいて、パンフレットを3分読んでみる。その3分見てみて、なにか刺さることがあれば調べて、興味があるんだったらぜひ一歩踏み出してほしいと思います。

さっきのゴルフの話と同じで、今までやったことのないことにチャレンジしてみる、トライしてみるのが大切です。試してみて合わなければそれでいいんです。「やってみたんだけどあまりにも才能がなくて…」という話題になるので、経験したことがないことにチャレンジしてみてください。


-ここからはお仕事の事について聞かせて下さい。

-お仕事でのやりがいや大変なことは何ですか?

私の主な仕事は、証券会社や銀行などの金融機関や株式などのありとあらゆる金融に関するデータを、お客様である金融機関に届けることです。金融の情報は、マーケットが動いている以上止めてはいけないし、止めた瞬間にお客様にとても大きな額の損失が発生してしまいます。そして現在、世界中の金融機関のほとんどが弊社のサービスを利用しています。我々なしでは生きられないというようなサービスを提供しているところにプライドを持って仕事をしています。そういった日々やっていることがやりがいです。

大変なことは、技術やマーケットの日々の変化についていくことです。また、これは当たり前のことで苦しいことではないんですが、別のタイムゾーンにいる海外の上司や仕事の相手とやりとりをしているのでお互いのビジネスアワーや文化や宗教を意識して仕事をしています。


-海外の方と関わるなかで意識していることはありますか?

その国の背景、歴史、文化、宗教やニュース等の情報を少しでも持つことです。これは、学生時代にも学んだり実践できることだと思います。言語の授業の単位を取るだけでなく、2,3つでも単語を覚えておくことが重要です。

その国の歴史や文化を知っておくと、会話が膨らみます。例えば、インドで話されている言葉がたくさんあることや、牛は食べないことなど。そういったことは、少し歴史を学んだり、インドについての本を読んでも学べることなので、興味があるなら学んでみることも大切だと思います。


-稲本さんが思う、社会で活躍している人の共通点はなんですか?

変化への対応力や柔軟性というのは、活躍する以前に生き残っていく上で必要なのかなと思います。日々起こる変化って、誰かにとっては良いことかもしれないけど誰かにとってはそうではないということはよくあることだと思います。例えば、会社の社長から新しいことを要求されたときに、自分自身がネガティブなインパクトを受けると色々変えなくてはいけないですよね。「ああ~面倒くさい」ってね。そんな時にどれだけ柔軟に変化に対応できるかというのはとても大事だと思います。変化に対する興味をもって、柔軟に対処して、いかに変化に対する「面倒くさい」という感情を最小限にするのかが重要かなと思います。


-今後の目標を教えてください。

仕事でもプライベートでも定期的に具体的な、かつ実現可能な目標を短期から長期に渡って立てるようにしています。私の場合社会人になった当初の目標はピープルマネージャになることであったり海外赴任することであったりと、全てではありませんが達成することができました。社会人も後半戦に入り子供達も大きくなってきた昨今、今後どんな人生を送りたいか時間と体力を無駄にすることないようにしていきたいです。

-最後の質問です。

稲本さんにとって桜美林大学とはどんな場所ですか?

とがっていた私を暖かく見守ってくれた、優しさに満ち溢れた場所でした。そして、意味もなく高かったプライドと偏見の塊から解放される過程を見守ってくれた場所でもあると思います。

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