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【あの卒業生は今】 小林 可奈さん

【あの卒業生は今】 vol.17
たくさんの人に夢を与えたいと語る小林さん。在学中はゼミでのオペラ制作や音楽の教員免許の取得に励み、現在は、演奏活動や音楽教員として活動されています。今後はさらに活動の幅を広げたいと語る小林さんに今の学生へのアドバイスや、お仕事での目標や苦労していることをうかがいました。



-自己紹介をお願いします。

総合文化学群音楽専修に通っていました。今の芸術文化学群です。現在は、高校と専門学校で音楽を教えながら演奏活動(オペラやコンサートへの出演)をしています


-桜美林に入学したきっかけはなんですか?

色々あるのですが、一番は家から近かったことです(笑)。音大受験を考えてたのですが、学費の面もあり国立で音楽ができるところも受験しました。最終的に、私立だけれど音大ほど学費が高くなくて、練習や勉強に集中ができる家から近い桜美林大学とご縁がありました。
 そして、音楽の道を選んだ理由は、小学生1年生から高校3年生まで多摩市の合唱団に入っていて、まだ歌が上手くなりたい、もっと勉強したいという気持ちがあったからです。音楽が好きだったし、楽しくて。でも実は最初は音楽という選択が自分の中にはありませんでした。親や大人と話す中で「音楽というものは進学して学ぶものではない」と思っちゃってたから(笑)でも高校生になって進路を決めるにあたって、しっかり考えた時に、今やりたいのは「音楽だよなぁ」って考えて桜美林を選びました。

-どんな学生時代を過ごしましたか?

1年生のときは、環境の変化もあり、あまり勉学に集中していない、少し不真面目な学生生活でした。それでも先生方は熱心に向き合ってくださり、同級生たちの活躍もあり…歌への熱意を取り戻し、実技で負けたくないという気持ちを持って切磋琢磨したような、熱量のある学生生活を送りました。

-学生時代の印象に残っていることはありますか?

大きく分けると二つあります。
1つ目は、ゼミのオペラ制作で「フィガロの結婚」を制作したことです。小林玲子先生ご指導の下、ゼミの時間に重唱の練習をしてシーンを作り上げました。毎年恒例で、11月の後半にゼミ発表を行っているので、それに向けてお芝居やアンサンブルのことなど、学生主体でオペラ制作をしたことがとても印象的でした。
2つ目は、教員免許を取ったことです。中でも、「中等音楽科教育法」という授業が印象に残っています。そこで実際に模擬レッスンをしたり、何曲もある課題曲を弾きながら歌う、弾き歌いのテストがありました。それにとても苦労した記憶がありますが、とにかく練習に励んで合格を貰えたことが印象的で、今の仕事にも活きています。


-大学生のうちに経験して良かったことはありますか?

1年生の時は、いい意味でも悪い意味でも素直で、自分が信じたことをやって、痛い目にもたくさんあいました。学生時代は無難な道を進みがちで、「結局なにをしたいか分からない」みたいなことに陥りやすいので、「こうしたい」と思ったことが結果、間違っていても、突き進んでやっていたのはよかったと思います。
また、教員免許を取ったことも今となっては良かったと心から思っています。当時は、教育に関心はあったものの、教員になりたいわけではありませんでした。親の勧めで当時は嫌々教員免許を取っていましたが(笑)、現在、実際に教職に就いたり、後進に音楽や声楽を教える立場に立っておりますので、当時の学びがとても大切なものとなっています。


-卒業後の進路を教えてください。

 新卒で、演奏活動をすることができる一般企業に入社し、2022年の3月末まで7年間正社員として働いていました。当時、新卒から音楽だけで生計を立てられる見通しがありませんでした。しかし、「新卒は一回しかないから、行く当てがないなら行ってもいいんじゃない?」というある人の言葉で、一般企業に入社しました。社会人をやりながら演奏活動をしたり、コンクールを受けてみたり、2回ほどイタリアに短期留学をしたりしました。すると、大学の先輩から音楽の非常勤のお仕事をしないかと連絡をもらいました。正社員ながら週一休みをもらって先生として高校に行き始めました。それが社会人の2、3年目くらいです。今は会社を退職してフリーランスとして県立高校2つと保育系の専門学校で音楽の先生をしながら演奏をしたり教えたりしています。


-お仕事のやりがいは何ですか?

 …ちょっと恥ずかしいですけど(笑)、人々に夢を与えることができる、ということがやりがいです。練習中はどうしても苦労することもありますが、舞台に立つとお客さんの反応が見えたり、メッセージをもらったり、お客さんに夢を与えていると実感できることもあり、「ああ、歌って良かった」と思えます。先日は、本番後に3歳の女の子とお母様にお声掛け頂き、「お姫様、とっても素敵だった!」と写真を頼まれました。役を通して、現実、お姫様でもなんでもない私が(笑)、その子の目には素敵なお姫様に映り、目をキラキラさせて楽しんでくれたことはとても嬉しかったです。


-仕事をする中で苦労していることはありますか?

 曲や役を練習やリハーサルの限られた時間の中で一定のレベルにしなければいけないプレッシャーがあります。語学や歴史、発声と幅広い勉強をしなければいけないのも大変です。それもまた好きなのですが。また、音楽を教える立場のときは、子どもたちの人生に関わる大きな責任があることも大変かもしれません。音楽がその子にとって「人生をより良くするための方法」であってほしいと考えているので、正しいことばかりを教えるだけでは楽しめないなあと思っていて。となるとエネルギーが必要になります。


-音楽をする上でのプレッシャーの克服法はありますか?

 とにかく準備をしておくというのが大きな対策だと思います。自分だけでは乗り越えられないときにはレッスンに行ったり、指揮者や演出家、共演者とコミュニケーションを取る事も大事です。それらの経験が自信になるはずです。


-学生時代の経験で今に活きているなと感じることはありますか?

 友達とのコミュニケーションですね。一つのステージを数人の同級生で作り上げるってとてもコミュニケーションが大切で、あの時に苦労したことは今、社会の中でとても役に立っています。出来ること、出来ないことは人それぞれで、お互いに認め合って目標に向かっていく、ということをその時に学びました。あとは清水安三先生の生涯を学ぶ授業です。「石ころの生涯」の本のことは今でも、ふと思い出すことがあります。会社員をやったり、歌ったり、先生をしたり、ころころ人生が転がってゆくうちに、いい意味で角が取れて丸くなっていくと信じて身を委ねてみよう!と前向きになれる自分がいます。


-今の学生へのアドバイスはありますか?


そうですね、アドバイスって一人一人違う性格、違う人生なので私が学んだことが一概に通用するわけではないので難しいのですが…(笑)大学生活を楽しく過ごしてほしいので、「先生は無駄な事は言わないんだよ!」と伝えたいです。(笑)目の前の生徒たちのことを考えて、発言したり資料を準備しているんだなと、自分も先生の立場になってみて思います。「何かが引っかかって楽しみを見つけてくれたらいいな」とか、「謎を解く手掛かりになってくれればいいな」みたいに、生徒たちが楽しく学べる取っ掛かりになりますように!みたいな気持ちで授業をしていたりします。そういう目線を持っているだけで、先生の話をよーく聞いてみようって思いません?(笑)そして、自分の興味や関心が大きく広がっていったらワクワクしません?(笑)授業が面倒に感じる人は「どうせやるなら、楽しく!」なるように少しだけ、意識してみたら本当に楽しくなるかもしれません。これは仕事でも同じだと思います。


-今後の目標を教えてください。
 
目標は2つあって、1つ目は自分の演奏活動を拡大すること、2つ目は代表を務める音楽教室を広めていくことです。演奏活動は、オペラ公演、コンサートへの出演など大小様々ありますが、一つでも多くの場所で一人でも多くの方の前で歌いたいです。その為に、常に挑戦をし続けるということも念頭に置いています。音楽教室では、音楽が好きだって人の心をまっすぐ育んでいきたいし、音楽を通して人生を豊かにしてもらいたい、そしてそんな人を増やしたいと思っています。


-あなたにとって桜美林大学とはなんですか?

 ルーツです。高校生までは自分の中で確立した目標がなくても、なんとなく生活出来ていました。大人になって自立して振り返ると、生きている根っこの部分をつくったのは大学時代だったと思っています。それは音楽家としての自分もそうだし、人間としての自分もそうだなと思います。


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