新型「しんかい」議論開始

科学者が乗り込んで海底を探査する有人潜水調査船については、現在日本には海洋機構が運用中のしんかい6500があります。

この調査船は水深6500メートルまで潜れますが、フランスやロシア、米国も同程度の性能の潜水調査船を持っていますし、2012年に中国が有人潜水調査船「蛟竜(こうりゅう)」(下写真)で水深7020メートルまで潜り、日本の優位性はありません。

また、深海6500は初潜水が1989年で老朽化が進んでおり、船の構造も直径約2メートルの耐圧部分に3人が乗り組んで身動きもとれない状態の中でモニターテレビと小さな窓か観察するしかできず旧式の潜水艇となっています。

そこで、文部科学省が海洋研究開発機構が計画する次世代の有人潜水調査船「しんかい12000」の建造について検討を開始することになりました。「しんかい12000」は世界で最も深い海底にも到達できる、12000メートルまで潜れる性能で、休憩スペースやトイレなども船内に設置し、合計6人が最長2日間潜水できるようになる計画です。開発が内定すれば、17年度予算の概算要求に盛り込まれ、完成は2020年代後半になりそうです、

有人探査では1960年に米国海軍の有人探査艇がマリアナ海溝の1万911メートルまで潜った記録があるほか、日本は1995年に無人潜水機「かいこう」で、マリアナ海溝の底まで達したことがあります。

探査装置も最新鋭の装備が搭載され、ロボットアームには圧力センサーや温度センサーを取り付け、操作する人が実際に触っているような感覚を伝えることが可能になります。費用は2014年の見積もりでしんかい12000の建造費が約300億円、母船が約200億円の予定で、トヨタ自動車の連結純利益の1週間分に相当します。

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