神経細胞1つでも記憶

ちょうど先日書き上げた新刊の内容とかぶるのですが、記憶というのは複数の神経細胞のシナプスを介したネットワークで形成されると考えられてきました。ところが、名古屋大学の研究者らは神経細胞は1つでも記憶を担うことを線虫で発見しました。

特定の温度で飼育した線虫から胚細胞を採取してバラバラにすると、温度を感じる細胞が飼育された温度で反応したのだそうです。このことは1個の細胞が温度を記憶していることを意味しています。

今回発見された単一細胞記憶は従来の定説とは異なる新たらしい記憶メカニズムです。これまで、記憶に重要なのは神経細胞同士の接合部分であるシナプスにおける神経伝達物質の活動で、これが低下することにより記憶能力が低下するなどと考えられていました。今回の発見はこれまでの知見を否定するものではありませんが、記憶の新しいメカニズムの発見であることは間違いありません。

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