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ヴォイニッチの科学書

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#最新医療

脊髄損傷を細胞移植で回復させる

脊髄を損傷すると下半身不随となり、生活の質が大きく低下します。

一度損傷した脊髄は、二度と再生しないというのが現代医療の常識です。ですが、最近の神経科学の研究によるとそうでもないらしいことがわかってきました。脊髄損傷患者の脊髄に神経幹細胞を移植すると機能が回復する場合があるのです。

iPS細胞から作った神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植したところ、移植12週間後の脊髄内ではiPS細胞由来の神経幹

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白内障点眼薬は誕生するか

白内障は眼の水晶体質が灰白色に濁り、光が目の中で散乱したり、透過光が減少したりするため、視力が低下する病気です。治療薬は見つかっていませんでしたので、現在の治療方法は外科的なものに限られていました。

ここでついにミシガン大学などの研究者が白内障点眼薬になるかもしれない分子を発見しました。水晶体の主成分はクリスタリンというタンパク質です。健康な人ではクリスタリンは規則正しく並んで光をまっすぐに通過

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赤色2号が偶然脳腫瘍に効果があった

発がん性があるのではないか、とされている赤色2号色素が脳腫瘍に効果があるかもしれないというお話。

アスビオファーマの研究者らがネズミを使った実験で、外科的治療が難しく、有効な治療方法の無い悪性脳腫瘍の治療に食用の赤色2号色素が有効かもしれないことを見いだしました。研究の発端はがんの悪性化を促進する酵素に着目し、この酵素を阻害する分子が見つかれば、その分子は脳腫瘍の治療効果を持つかもしれない、とい

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なぜメリケン粉は病気に効くのか?

薬には「プラセボ効果」というものがあります。

つまり、患者さんに「これは最新のとてもよく効く医薬品です」と言ってメリケン粉を飲んでもらうと病気の症状が軽減される・・・という現象です。「病は気から」という言葉もあるように、「あ、この薬を飲めば治るんだ」「この薬はとてもよく効くと先生が言っている」と思うことによって、症状の感じ方が軽減されるのは十分にあり得ることです。

ですが、このことについて生命

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ホウ素中性子捕捉療法

がんの新たな治療方法が実用化間近です。

ホウ素中性子捕捉療法「BNCT」と呼ばれる新しい治療方法は

・がん細胞にホウ素入り薬剤を取り込まさせる・・・トロイの木馬的な感じ
・がん細胞に中性子線を照射する・・・中性子線がホウ素に当たると放射線が発生
・薬剤を取り込んだ細胞(=がん細胞)だけが破壊される

というものです。

発生する放射線はホウ素が中性子線のエネルギーを受けてリチウムに崩壊するとき

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