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正しさよりも優しさが欲しい

ドラマ「silent」をいつも1話につき、3回〜4回繰り返し見ていたんですが、6話だけはもう一度再生ボタンを押す勇気が出なかった。

それは6話があまりにもリアルで終始グサグサと胸に刺さり古傷をえぐられるような気持ちにさせられたから。
これは決して批判ではなく、むしろドラマでここまで感情を揺さぶられたのはいつぶりだろう…というくらい非常に素晴らしい体験をしたと思っています。


頭の中の記憶を辿って文章を書いていくので放送内容と違う部分があれば許してください…!


6話の冒頭で、想くんが大学の同級生や警察官から心のない言葉を受け、何も悪くないのに「すみません」と謝っていたシーン。

めっっちゃくちゃ見ていて辛かった。
他者からの見え方が決して正しいものではなくとも、
その場をやり過ごすために「すみません」と謝るしかない状況。こういう状況もしかしたら経験した人も多いのかもしれない。

自分の話になりますが、「すみません」と謝ることが癖になっていた時期があり、それはきっと辛い場面をやり過ごすために「すみません」という言葉をお守りのように使っていたから。

でも、その言葉はお守りではなく他者と「壁」を作る言葉だったと思います。
そうやって想くんも「すみません」と口にする度に
聴者、ろう者関係なく相手と距離を取っていたと思います。

人と距離を置いてるとき、辛いことがあっても頼れない、頼ることは悪いことだという意識が働き、誰にも不安な気持ちを吐露できなかった想くんの辛さが画面から伝わってきました。

「苦しさ」を言葉にできないことが何よりつらいです。
ただ「不安だった」「悲しかった」その気持ちを聞いてほしいだけなのに誰にも頼ることができない。

そうやって人と距離を取っていた中での奈々ちゃんとの出会い。

ただただ静かに話を聞いてくれる存在。
その存在って本当に本当に特別なんです。

それがどれくらい特別な存在かって、きっと言葉にするのはとても難しいことなんだけれど、それを想くんの感情を疑似体験させる形で奈々ちゃんの存在の大きさがひしひしと伝わってきて本当に凄かった。


いやー、すごい。
ここの部分だけでもうすでにこのドラマの凄さが詰まってるんですが、6話はまだまだ感情をエグってきます。

それが想くんと奈々ちゃんのカフェのシーン。

久しぶりに想くんから誘われて、本当に嬉しそうな様子の奈々ちゃん。想くんからメッセージが届き、画面に食いつくようにメッセージを読む奈々ちゃんから、想くんへの想いが伝わってきました。泣

ワクワクして想くんと対面するも、想の雰囲気から何かを察した奈々ちゃん。

話したいことがある想くんに対し、想に話を遮り持論を述べていく奈々ちゃん。

想が次に発する言葉が、奈々ちゃんにとってとても悲しい言葉で受け入れたくない言葉。それを聞きたくないから、どうにか気が変わってほしくて、言っちゃいけない言葉までどんどん出てきます。

ああいうときって、別に相手を傷つけたくて言ってるわけではなくて、「何で分かってくれないの」というもどかしさが相手を悪者にすることで「私の考えは正しい」という思考に変換して自分を保とうとしちゃってるんですよね。

理性を失ってる状態です。共感できる人も多いような気がします、しかもこれって相手に嫌われるんですよね。
もうほんとに誰も悪くないのに。だから辛い!!!!
そういう辛い思いをしてる人をたくさん見てきました。

女性はとくに理性を失うと感情的になりやすいので、こういう時冷静な判断ができなくなります。
しかし、いざ区切りがつくと何事もなかったようにあっさりと切り替えてしまうのも女性の特徴で、それが今回紬ちゃんと想くんのお好み焼きのシーンで描かれていました。

紬ちゃんは湊斗と「本当に大好きだったよ」と電話した翌日に想くんと奈々ちゃんの関係に対して明らかに嫉妬しています。

ここで視聴者からすると「え、切り替え早すぎない?湊斗くんはもういいの?」となりそうです。私も実際そう思ってしまいました。

でも、でもよく考えるとあの紬ちゃんこそリアルです。
湊斗のことがそんなに好きじゃなかったとかでもなく、もう切り替えができてる状態です。

そもそも、もし少しでも湊斗に気持ちがあるなら、
「顔見て話したい」と言ってる想くんと二人で会おうとはしません。この選択を取ってる時点で、想くんと向き合おうという意識に切り替わってるのです。

4話、5話で完全に湊斗に感情移入しちゃった分、「早くない〜〜?湊斗は!!?」って思っちゃうけど、
これが人間だよなーって感じました。

本当にリアル。ここまでリアルさを追求するのかってくらいリアルだなーって思いました。
だから視聴者はこのドラマに没頭しちゃう。

それと、もう一つ胸をえぐられたシーンが
奈々ちゃんの夢のシーンとラストシーン。

手話をするために青いバッグや手をつなぐことなど、できないことをしたかったという重要な意味が隠されていたシーンでもありますが、私はそれよりも奈々ちゃんの「好きな人とこれがしたかった」という部分に共感して泣いちゃいました。

これは小学生でもいい大人でも恋をして好きな人ができたとき、「好きな人とこんなことしてみたい」ってぼんやりと思うことって絶対あると思ってて、それって叶ったら良いなって少しほっこりする気持ちと同時に叶わなかったときに「そんな思い抱かなければ良かった」と叶わない辛さを知るわけで、どうすることもできない、誰のせいでもないこのどうしようもない思いをどこに持ってけばいいのか。ただ苦しくて苦しくて仕方ないというのがあの夢のシーンと、ラストの想くんからの電話を耳にあてるシーンに詰まってた。もう本当につらくてボロ泣きしました。こんな気持ちまで共感させてくるのかとなり、とんでもないドラマだなと思いました。6話ほんと凄かった。

1〜5話も感情がなんども揺さぶられてて、とくに5話が個人的に好きなんですが、5話もどうしても文字に残しておきたくて、ノートを書いてみたものの、上手くまとめられずそれは没にしました。笑

6話はとくにもう一度再生ボタンを押す勇気が出ないからこそ今度こそ文字に残しておきたくて、これもまとまりはないですが、ただただドラマを見た感想をだらだらと書いてみました。


一緒にドラマを楽しめる人が増えたら嬉しいなーーと
常々思ってます!!!!!どんな感想でも良かったらtwitterなどにコメントください!!!silent最後まで楽しみましょ〜!

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