小僧に語るバイク指南
おまえはバイクについてキャスをしろと質問を重ねてきたやつだな?仕方ないから答えてやろう。
俺の場合、バイクの愉しみはむき出しの命をヒラヒラさせながら走ることに馬鹿げた快感があることなんだけど、これは要するに生前に自分好みの棺桶を選ぶ愉しみとほとんど同じだ。結局、自己満足にすぎないんだよ。250ccもあれば移動の点で不自由はないし、機能性や燃費などは差し置いて「自分にいちばん似合う棺桶」を選ぶ観点でいい。なにしろ俺のクマ鉄はすぐにエンストするうえにガソリンまで漏れたりする。けれども、その不便さえ味わいに思えるし、いい年こいて上腕を粉砕骨折してなお、バイクには他には代え難い愉しみがある。
この鬱陶しい戯事を念頭において以下を読んでくれ。さらに鬱陶しい一般論だ。
まず、できるだけ年式の新しいものを選ぶと不便が少ない。シールやゴム類の劣化は走行距離よりも経年劣化の要素が大きい。俺のクマ鉄は時代遅れのキャブレター式だけど、FI(フューエルインジェクション)式のバイクの方がエンストもガス漏れもない。次に安全性だ。おまえが初心者ならABS付きのバイクを選べ。俺が二度死にかけたのは下手クソにありがちなフロントロックが原因だった。迂闊な急ブレーキひとつで死ぬのがバイクだ。慣れるまではプロテクター入りのジャケットを着て走れ。任意保険にも必ず加入しろ。おまえだけでは責任を負いきれない事故が起こるのがバイクだと心得ろ。それから、買うときは必ず現物に試乗してエンジンの吹き上がりとポジションを確かめろ。二気筒エンジンが片肺飛行していることだってあるし、それはそれで愉しいんだけど、アホみたいに乗りにくいバイクも実際ある。あとは好きにしろ。俺は後ろに女の子を載せやすいタンデム性で選んだ。無駄に喧しくしたバイクには乗るな。
CMのあと、さらに驚愕の展開が!!