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会計初学者のためのUSCPA攻略法③ BEC攻略編

どうも、米国公認会計士のおつまみです。

前回に引き続き、会計初学者のためのUSCPA攻略法シリーズの記事です!
このシリーズでは、日商簿記検定3級すら持っていない会計初学者だった私がUSCPA(米国公認会計士)試験に全科目一発合格をした経験を基に、USCPA試験を効率よく攻略するための具体的な勉強法や注意ポイントを体系的に解説していきます。

今回は第3回、BEC攻略法です。

基本情報

BECはUSCPA試験の中でも特に攻略が難しい科目の一つとされています。その理由は、5つの異なる分野の知識を様々なアウトプット方式で解答することが求められるという形式の特殊性にあります。具体的には、管理会計、ファイナンス、経済学、IT、内部統制という5種類の別々の分野の知識をMCTBS、そしてWCという3つの方式で解答する必要があります。このトリッキーな出題形式が災いして実際にBEC沼にハマっている方は多い印象です。
FARやAUDの学習内容とのシナジー効果があることから、一般的にはFAR受験後の2科目目、またはAUD受験後の3科目目としてチャレンジされる方が多い印象です。管理会計やファイナンスは数字遊びのような感覚で、個人的には一番楽しんで勉強できた科目でもあります。

対策ポイント

①「全体像把握→個別論点の深掘り」を5つの分野ごとに分けて実施する

第一回、第二回の記事では、「まずは学習範囲の全体像を把握し、そこから個別論点の深掘りをすること」をUSCPA試験学習の重要ポイントとして強調させていただきました。しかし、とりわけBECの学習では少し工夫をする必要があります。なぜならBECにおける5分野は内容の関連性が比較的弱く、全て通して全体像をしたとしてもシナジー効果が薄いのです。例えば経済学の概要をサッと把握したからといっても、それが管理会計の理解を促進することはありません。それどころか、それぞれの論点を復習する頻度とペースが低下することにより逆に学習が非効率となってしまう可能性もあります。そのため、まず管理会計をやると決めたらそのチャプターの中で全体像把握からの個別論点の深掘りを集中して行い、その後経済学の学習に移行したらまたそのチャプターの中で全体像把握からの個別論点の深掘りを行う、という風に、5つの分野の反復サイクルを別々に実施する必要があります。この点に留意できていないと、5つの異なる分野を漠然と大きく反復しているフェーズからなかなか抜け出せない状態になりがちです。例外的に、ITと内部統制は少なからず関連性があるのでその二つはセットで反復しても問題ないかと思われます。

②理解分野は学習の前半に、暗記分野は学習の後半に

BECでは理解が重視される分野と暗記が重視される分野が明確に分かれます。そのためそれぞれの特徴とUSCPA試験の受験システムを鑑みて計画的にリソースを割くことをおすすめします。具体的には、管理会計ファイナンスといった理解が物を言う分野に関しては勉強の前半に、IT内部統制といった暗記分野は後半に学習すると良いと考えます。なぜかと申しますと、まず管理会計やファイナンスは理解重視分野のため、一度ちゃんと整理して理解することができると、なかなか忘れにくいです。一方でITや内部統制については個別の暗記項目が多いため時間を置くと忘れやすい傾向にあると思います。そのため暗記分野については後半の時期に短期間集中型の暗記学習で乗り切ってしまうのが得策だと考えています。
「短期間集中の詰め込み暗記で合格できてもすぐ忘れたら意味がないじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかと思います。確かに仰る通りです。しかし、試験学習中の時期においてプライオリティにするべきことはまず試験をパスすることです。その後のことは合格してから考えれば良いのです。まずはパスポートを手に入れないと何も始まりません。その観点では、USCPA試験の合格1科目ずつ受験できるシステムを活かしたこの戦略は合理的だと考えます。ちなみに、経済学は理解分野と暗記分野の中間のようなイメージなのでその間に挟んではどうでしょうか。

③受験の順番について(BECが先かAUDが先か?)

受験科目の順番について、一般的には以下の2パターンで受験される方が多いです。
パターン1: ①FAR、②BEC③AUD、④REG
パターン2: ①FAR、②AUD③BEC、④REG

BECを先に受験するべきか、AUDを先に受験するべきかは受験者の間で頻繁に議論されている問題かと思います。これについては完全に各人の好みのためお任せしますが、ご参考までに私の体験を共有させていただきます(試験の禁止規定により具体的な出題問題をお伝えすることはできませんので、ざっくりした傾向の話をお伝えさせていただきます)。

BECとAUDで範囲が重複している主な分野はITと内部統制の2つです。これらの範囲に関して、BECのテキスト(アビタス)では暗記項目が羅列されているのみである一方、実は実際の試験では暗記だけではなくて深い理解を試す問題が出てきます。そのためこの二つの分野に関してはBECの学習をいくらやってもなかなか点数がとれない傾向があります。実際に私もそうでした。BECテキストに載っているITと内部統制の暗記項目は暗記して臨んだのに、全くわからなくて試験中に絶望しました(なんとか合格はしていました)。
その後にAUDを学習した際に、ITと内部統制についてはBECよりもかなり深く解説されていることに気が付きました。
つまり、AUDを先に勉強すればITと内部統制の範囲に対する体系的で深い理解ができている状態BECを受験することができるため攻略しやすいのではないかと、そういう議論なのだとその時理解しました。

確かにこれは事実だとは思うのですが、ここでシリーズ第二回のFARの記事でご紹介させていただいたAICPA Blueprintを参照していただきたいです。BECのITと内部統制の問題で求められるスキルレベルは下の二つまでなのでTBSでの出題はほぼないと解釈することができます(Blueprintの詳細については以下の第二回の記事をご参照ください)。

また、逆にBECで内部統制を軽くかじっておくことでその後のAUDの勉強が楽になるという側面もあります。
最終的には各々の好みに依りますので、ご自身で考えた上で判断いただければと思います。

④WC対策に関して

(1) WC対策は学習の最後に
まず、「BECに特有のWC問題は最大の関門だから、WCの対策は初めにやってしまおう」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、WC対策は最後(少なくともBEC学習の後半)に行うことがおすすめです。なぜなら、WC対策を始める前提条件として、テキストの内容を人に説明できる程度に理解している必要があるためです。
例えば、バランススコアカードとはいったい何か?どのような構成要素があるのか?また、Absorption costingとはどのような原価計算方法なのか?他の計算方法との違い、メリットデメリットは何か?といったことを説明できる程度に、テキストを反復して重要概念を理解しておく必要があります。この前提ができていない状態で行うWC対策はかなり非効率となることになります。もちろんWCの対策を始める時点では完璧になっている必要はありません。WC対策をする中で整理できてくる部分もあるでしょう。ただやはり、テキストで知識のインプットが完了していることがWC対策の前提です。

(2) 用語の定義の丸暗記はやらない。
アビタスの合格者体験談に目を通すと「WCの教材の最後に付属の用語集を一言一句間違えずに再現できるように全部丸暗記しました。」と仰っている方がよくいらっしゃいます。もちろんこの学習スタイルが自分に合っている方もいらっしゃるかと思います。しかし、私はこの方法は絶対にやめた方が良いと考えます。理由は以下の二つです。

まずこの学習法の実践には膨大な時間がかかります。前述の用語集には111個の論点と定義と説明が載っています。例えばこれを、めちゃくちゃ頑張って1日3個暗記を進めて、3周したとしましょう。すると単純計算でそれだけで111日かかります。WCの暗記のために4カ月近くかけることになり、あまり現実的な戦略ではないことが分かります。

用語集丸暗記をやめた方が良い二つ目の理由は、丸暗記だと設問の文脈に合っていない、的外れな回答になってしまう可能性が高いことです。設問ごとに問われている内容は異なるのに、こちらは事前に一言一句丸暗記した文章をそのまま書くことになりますから、どこかで設問との乖離が起こる可能性が高いです。この丸暗記勉強法をすると、この乖離に気が付いたとしても修正することは困難です。

前述のWC対策の前提ができてれば、定義を丸暗記していなくても説明することは十分にできます。丸暗記に費やす時間とそのメリットを比較すると、コスパが悪い勉強法だと考えています。

(3) 人の解答例ベースで学ぶ。
他の記事でも記載していますが、私が考えるライティングを伸ばす一番の近道は解答例ベースで学ぶこと、すなわち「人の良い解答をマネすること」です。
ライティングの学習初期はなかなか自分のスタイルが確立できず、どうしたらいいのかわからず途方に暮れてしまうことが多いかと思います。そんな学習初期だからこそ良質な解答例をいくつか読み、そのままマネして、エッセンスを盗むことが非常に有効です。エッセンスを吸収し繰り返し練習していくうちに徐々に安定した自分のスタイルが確立されてくるのです。これが試験本番の実践に即した素早い勉強法、WC対策の一番の近道だと思います。

手前味噌ですが、私はこの点をカバーするWC教材をリリースしています。購入いただいた学習者の方々からは大変好評いただいております。ご興味のある方は以下の記事をご参照いただければ幸いです。

(4) 合格者の添削を受ける
英文ライティング試験であるWCにおいて、前述の解答ベースの学習に劣らない攻略の近道はやはり添削を受けることです。可能であれば英文ライティング上級者かつUSCPA試験上位合格者という2つの属性を同時に持つ人に自分が書いた解答を見てもらい、丁寧に添削をしてもらうことが非常に有効です。
添削を受けるメリットは数多くありますが、その一つを挙げると、「自分では気づかない致命的なミスに気付くことができること」です。
英文ライティング初心者の方が書く文章には、往々にして致命的な間違いがあることがあります。これは本人が自分で気づくことは困難ですが、見る人が見ると一目瞭然です。例えば、文章を「And, 」や「But, 」で始めていませんか?これは義務教育では習いませんが、フォーマルな英語でのライティングではタブーとされている間違いです。こういった間違いを指摘してもらい、修正した上で試験に臨むことで得点率は目に見えて変わってきます。
BECのWCは英文ライティングの試験です。英文ライティングの試験である以上、英語圏で当たり前とされている文章のルールに従うのは常識です。この前提条件すらできていないことで、得点が大きく下がる可能性は大いにあると思われます。

より具体的に知りたい方は以下の記事をご参照いただければと思います。

BECの勉強法については以上です。最後まで読んでいただきまして誠にありがとうございました。
ビジネスの幅広い分野を学ぶことができて非常に面白い科目です。BEC攻略頑張りましょう!

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おつまみ

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