今井秀真が選ぶ2022年買いたかったけど買えなかったもの10選

 さて、2022年も暮れである。今年一年はとにかくままならない仕事に明け暮れ、なんともコメントしづらい一年であった。
パッとしない羽振りであったため、今年買ってよかったものといえば1回目のもらい事故の保険金で買ったホンダGB350くらいのものである。個人としては本当にお金を使わない年であった。

 来年こそ何かが買えるように、そしてそれを良かったと言える選択にできるように、改めて今年欲しいなーと思いつつ手が届かなかった商品を10種紹介しようと思う。

1位 ホンダ スーパーカブ110プロ 346,500円

 栄えある一位はバイク車台のランクイン。スーパーカブ110プロは現行カブの配達業務仕様で、その実用性を求めてカブを検討する層からすればわずかな差額で耐用性が非常に高くなるため必須の選択となる。

 一種原付程度であれば導入自体はそう重い決断ではなく、市内での営業所回りや納品、谷北勢への趣味としてのバイクの提供という意味で中古のカブ50の導入は強く検討するところではあったものの、余りにも原付が破壊されるため見送りとした経緯がある。一種原付の導入は実用性のため常に検討したいところではあるが、あえて110cc仕様にしてツーリングや趣味走行も可能にした、我を通した選択も買ってよかったという気持ちに拍車をかける。

 まあ買ってないんですが。
いや…買えていないんですが。

2位 トヨタ マークXの中古 200,000円~

 やや当社の社内事情を知っている人間であれば、誰しも四輪車の不在が大きな問題であることを指摘するところである。当然購入の計画は立てていた。

 とにかく星の並びが悪かったとしか言えない経緯でこれも結局買えていないが、買うなら

・俺が走らせていて楽しく、妻がそつなく運転できる車格、AT
・家族構成の変化に対応する人員輸送力
・必要な時に無茶な使い方が可能な積載
・高価すぎず、買えたとしても「所詮この程度やぞ」という気持ちを失わない、背伸びのなさ(有事の際、そんなに価額がつかない)
・必要な場合、もしくは不要でもやりたくなった時のメンテナンス性、パーツ調達性

という要件から、大手メーカーの型落ちセダンという像が導き出される。来年は買えるタイミングがあることを祈ってのランクイン。

3位 ARC’TERYX α SV ジャケット 115,500円

 2022年は圧倒的に仕事に苦しむ年であったが、趣味に関しては大きな変化があった。孤独というものと長く向き合ううち、一切興味のなかった旅行、アウトドアなど、孤独を感じる趣味の魅力を感じるようになったのである。

 高品質なアウターは旅行、野外活動、ツーリングという私の志向のいずれにも関わってくるアイテムであり、各ブランドから買いもしないのに吟味を続けた結果こちらの商品がランクインした。
吟味というか、実用品を買うときの私の思考は一切値段を見ずに単純性能が最も高いものを選ぶだけである。
実生活のように予算が存在する場合、ノースフェイスのマウンテンジャケットを選択する。選択しました。保険金で買った。

 なお品質以外の点としては、アウトドアブランドを購入する層にはファッション目的、スポーツユース、ハードユースがあり互いに憎しみ合っているわけであるが、ARC’TERYXはいずれの目的にも満足のいく品質が保証されているため、買っててもブランド好きのバカ、以外の人格が透けてこないという魅力がある。

4位 STARCK EYES SH0001J 57,200円

 今更言ってもしょうがないが、日本語ドラマで一番好きな経済ドラマ『ハゲタカ』で大森南朋が着用していた眼鏡である。メーカー廃盤品の再生産在庫が2022年半ばに復活したが、ネットだともうどこも取り扱いがない。今この瞬間全国の眼鏡屋に問い合わせをしたら数本残っているかもしれないが、最後の再生産であろう今年にこの程度の金回りだったせいで、俺はこの先一生この眼鏡で鷲巣ごっこが出来なくなったのである。本当に悔しい。

5位 MAURICE LACROIX AIKON#tide 88,000円~

 ジャックロードが一瞬5万円税別で出してた。

 意味不明の文字列だが、時計ということだけ分かってくれれば問題ない。ハイブランドが定番ラインにコンセプチュアルな廉価版を出すということ自体には本来興味がないのだが、ちょっとこのラインに関してはセンスが良すぎて欲しくなってしまった。モーリスラクロアが、海洋プラスチックて。分かってて舐めてんのか舐めすぎて分かんなくなってんだか分かんないが、とにかくこれは欲しかった。今見たら新しいラインナップ出てるし、これからはこっちがエントリーモデルになったりするのだろうか。

 そもそも、時計を「欲しかったけど買えなかった」だの言うような現実から目をそらした発想は私にはない。自分が次に買う時計は二個先まで常に決まってるし、これまで常にそれを現実にしてきた、そういう人間なのである。こちらの都合も考えず絶妙に欲しくなるものを勝手に発売するのはやめていただきたい。時計なぞロングセラーラインだけ見ていればいいはずなのである。

 今年買った時計はゼロ本。直近買った時計は起業した時に買ったカシオGショック。今まで買った一番いい時計はオリエントオリエントスター。次に買う時計はタグホイヤーカレラ。よろしくお願いします。

6位 ONLY スーツ 41,800円~

 京都人なんだから、相当突き抜けた金回りになるまでは、スーツはONLYで揃えるべきである。スーツはたくさん買ってきたが、ONLY(ファミリー)が他のスーツ屋に負けている点は皆無と言っていい。

 どうせだから全般的に応用可能なスーツとの接し方を紹介するが、まずONLYに行ってドキドキしながらモデルを選び、スーツ&スーツで同じものを買えばいい。スーツ&スーツの値付けはめちゃくちゃだ、早くONLYの方でお金を落とせるようにならないと京都の背広文化が衰退してしまう!という感情になる。そうやって憧れ、緊張、感動、劣等感、奮起を全て提供してくれるのがONLYの懐の深さである。
アウトレット店に行くことに特に抵抗がないタイプの人はそんなめちゃくちゃな気持ちにはならないだろうが、そういう人はそもそもスーツなんてこだわらないので、同じくこの買い方でいい。コスパがいいから。コスパもいいから。

 今年実際に買ったスーツはゼロ着。直近買ったスーツは、ハウスオブカードにドはまりした時に買った無地のネイビー、極めてプレーンなモデルだが、これはスーツ&スーツの底値で買った。本当に、悔しい…。
カネもないのに無理しなくなったあたり、成長である。

7位 ハスクバーナ・ゼノア ガソリンチェンソー 37,434円

 一切ふざけている訳ではなく、本気で検討していた。京北の厳冬の中で楽しく野外活動をするためにはとにかく焚火の確保が最優先となるが、必要な火力からして薪の購入も落ち枝で賄うのも論外であり、谷北の広大な山から薪を自己供給できることは冬季野外活動の最低条件である。

 なになにさえあれば、みたいな意味のない仮定で無限に楽しむべき今を先送りし、いつまでも実現しない可能性の中に生きるような真似はもうやめた。これは買うべきだし、買う。しかしまあ、これを無理して買ったりしていないのが、2022年私が達成した成長である。来シーズンは絶対に購入する。

 エンジンを調整して立派な杉の木に歯をねじ込んでいき、どう見ても20m級の木を電線や本社事務所へブチ込むことなく倒す、という実際の動作に関しては事故らずにやる自信が一切ないし、本当に怖い。誰か代わりにやってほしい。

8位 モンベル ムーンライトテント1 30,580円

 モンベル好きだし、志摩リンが使ってるから。

9位 OPUS ONE WINERY オーパスワン 82,500円~

 飲んでもいないワインを聞きかじりで語るほど野暮ではないので、語るべきはオーパスワンへの眼差しであろう。『神の雫』でオーパスワンがなぜかこき下ろされた時、オーパスワンは愚かモンペラすら飲まない段階で「当て馬に使われるほどしっかり美味しい、新進気鋭のハイブランドワインと、日本で異常に有名になって酒屋とのコラボラインすら出すようなお手軽ワイン。今自分がしっかり飲んで好きなのは前者だろうな」と思ってしまう、あなたと私の話である。そういう嫌なやつはね。ちゃんと飲んでないとだめなんですよ。こういうの。
いやー、こんな感じになるからワインのこと値段気にして飲むの嫌なんだよなー。気にならなくなるくらい稼ぐしかないですね。

10位 TAC 公認会計士試験講座 80万円くらい

 はっきり言ってこれが一番欲しかったが、まあしょうがないですね。

 いや~~~~
いかがだったでしょうか。今年は大変だったが、来年はより結果を出さないといけないことがよく分かったのではないでしょうか。
ただカメラだのハンドクリームだのをつらつら書かれるより、買えなかったものの話をする方が普段何考えてて、どんな一年だったかよく分かるのではないかと思います。普通は10個も出てこないんでしょうが、それなりに高い目標を持っている人なら、時には残念ながら不完全燃焼、としか言えない一年もあるし、あるべきだと思います。一度「買いたかったけど買えなかったもの」に思いを馳せるのも年末としては乙なものではないでしょうか。

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