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クエス・パラヤとは何だったのか

その日、僕は一人病室で、持参した赤いラジカセから流れるカセットテープの曲を繰り返し聞いていた。

ちょうど小学4年に上がる春休みの頃で、あやふやだけど2週間は入院していたように思う。
3つ違いの弟が小学校に上がって、入学式終わりでジャケットを着た弟との写真が今も残っている。

クエス・パラヤである。

どんな人物なのかはまあ、興味がある人はググって頂けばいいと思うのですが、決して誰からも好かれる人物ではない。ないのだけど、僕は当時小学生だった。多感で早熟で、純粋さと客観的な打算が入り混じっていた。入院が、さらに孤独に拍車をかけていたのかも知れない。
難解な映画だった。最近になってようやく様々な関係性や経緯が理解出来たぐらいの。しかし、クエスはどうにも頭から離れない存在だった。可愛いという単純な感情だけでなく、その不器用で悲劇的過ぎる生き方が胸に残ってしまい。

そんなクエスへの感情と、その映画のエンディング曲がガッチリ結びついてしまって、赤いラジカセのカセットを巻き戻し聞きながら何故か泣いていた記憶。孤独。夜は遠く。

今、この曲を聞いても、あの時の感情はぼんやりと思い出されるのだ。そして自問自答する。
クエス・パラヤとは、お前にとって一体何だったのか?と。

https://youtu.be/UPwETetBFDs

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