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【最新作云々⑪】赤ちゃんを売るための旅路の果てに懺悔と希望に辿り着く人々... 赤ちゃんセラピーサークル映画『ベイビー・ブローカー』

 結論から言おう!!・・・・・・・こんにちは。ヽ(・∀・ヽ)
 この週末、所属しているアマ劇団の年長の仲間(51歳おじさん・妻と大学生の息子娘有りの単身赴任族)と宅飲みしてて、「たとえ愛する人が出来たとしても、その後の一生を掛けてその人のATMになっても良いとは思えない。まして『もう帰ってきたの?!』みたいに煙たがられるような毎日はとても耐えられそうもない」と持論を話したら、「解るけど、それが世の男性の普通なんだと思ってた」と返されて”時代の空気”というものに思いを馳せた、O次郎です。

そこで思い出すのが刑事ドラマ『特捜最前線』の第440話「結婚したい女・ハイミスOLの報復!」
婚期を逃した女性がふとしたことから手に入れてしまった拳銃で上司を殺す。
その原因は以前に上司が彼女に「年寄り男性の後妻のクチならあるんだが……それはさすがに嫌だよね?」と縁談を持ち掛けてプライドを傷つけたことだった。
"ハイミス"という言葉が既に死語である以上に「女性は30手前までに結婚していて当たり前」という観念が差別的で問題ながら、現代では心情として理解出来ない人もいるかも?

 そんなこんなで今回は最新公開映画『ベイビー・ブローカー』についてのお話です。
 『万引き家族』で一世を風靡した是枝裕和監督が『真実』の次に放った韓国映画。遅ればせながらこの週末に観まして、自分なりの感想を書いてみようというわけでございます。
 『万引き家族』のように人に言えない過去を持つ老若男女が奇妙に犯罪で結びついた”疑似家族”になっていくプロットは同じように見えつつも、本作では彼らを断罪する側からも理解と慈悲がもたらされ、幼子を想う気持ちを通してそれぞれの人物が真人間になっていく姿は監督自身の家族愛をよりダイレクトに反映させた作品、という風に言えるかもしれません。
 本作に関する素人評の一つとして読んでいっていただければ之幸いでございます。ネタバレを含みますので予めご了承くださいませませ。
 それでは・・・・・・・・・・・・愛と死と、憎悪が渦巻く、メカニカルタウン!!

数年前に「セレクションDVD-BOX全巻買いましたが、是非全話観たいです。
CS再放送を首を長くして待ってます」的な内容で東映チャンネル
アンケート送ったらクオカード貰えちゃった。
もし『Gメン'75』みたいにデアゴスティーニ形式だと時間もお金もめちゃくちゃ掛かるなぁ・・・。



Ⅰ. 作品概要

 とにかく、作品全体を通して、親の立場へは恥や見栄を捨てて周囲を頼ること、子どもの立場へは出自に臆することなく己の人生を肯定することを繰り返し力強く訴えかけています。
 主要登場人物それぞれがその過去からして”子ども”という存在に対して特異な思いを抱いており、それぞれの形で人間性に屈折をもたらしています。
各々子どもの未来と人生を想った考え・倫理を持っているのに、それが互いの立場を危うくしてぶつかり合ってしまい、でも最後には子どものために一つの形に収斂していく過程の描き方は、やはり流石だと思いました。
 ただ一方で、その代償として登場人物たちは逮捕や罪を犯しての逃亡など、少なからずその身を犠牲にすることになってしまいます。現実社会ではここまで苛烈な事情はそうそう無いでしょうが、それぞれのお金であったり時間であったりそして夢であったり、新しい命のために諦めるものは誰にしも有るものです。
 それでもなお新しく続いていく命は尊い、というメッセージは、儒教の精神の強い韓国という前提があるとはいえ、普遍的で力強いものには相違無い。
 彼らは社会的立場を失ったりはしましたが、幼子を想う中で自分の過去の傷に向き合い立ち直る姿には、大仰ながら人間愛を見ました。
 社会の冷酷さに打ちひしがれた過去のうえに一条の光を得た彼らは、その後どのような艱難辛苦が有ろうとブレずに生きていくものと信じます。


Ⅱ. 登場人物とキャストと

・ハ=サンヒョン役 - ソン=ガンホ

クリーニング屋ながら修繕もこなすその器用さ誠実さと、
生き方の不器用さのコントラストがなんとも哀愁を感じさせます…。

 疑似家族の父親にして一番の受難の人
 過去に大きな借金を抱えてしまったことで妻と娘と離別し、反社からの返済要求に喘ぐ中で捨て子の人身売買に手を染めることに。商売でありながら買い手が親に相応しいか真剣に見定めようとしたり、根っこでの人の良さが覗える。
 友人の子をヤクザ稼業から足洗いさせようとする中で誤殺してしまい、反社や世間の目から疑似家族や本当の家族を守るため、逃亡生活を続けながらひっそり見守る存在に…。
 結果的に二度も家族をその手から失いながらも、その余業を一身に背負って日陰に生きる姿はさながらハードボイルド作品のヒーローのようでもあります。
 演じるソン=ガンホさんは近年の『パラサイト 半地下の家族』でその名を世界的に轟かせましたが、韓国映画に通底する”怒り”の感情を抑えた本作の演技によって新境地を開いたと言えるのではないでしょうか。
 

・ユン=ドンス役 - カン=ドンウォン

捨てられて施設で育った側として、捨てた側のソヨンと主張をぶつけ合い、
互いにそれぞれの立場としての思いを少しずつ理解していく様は本作の大きな見どころ。

 サンヒョンのパートナーにして、養護施設出身の苦労人。
 ベイビーブローカーの違法性を認識しながらも、一方で養護施設出身者の自己肯定感の低さによる社会適合の難しさを問題視し、幼子の相応しい里親を探すサンヒョンに協力する。
 自身の親が自分をついぞ迎えに来なかった経験からソヨンを強く非難するものの、彼女の過去を知ることで子どもの未来を想うがゆえに迎えに行けない事情も有ることを感得し、それが自己肯定に繋がっていく過程は見事。
 その端正な顔立ちと類い稀なる運動神経でロマンスやアクション映画のイメージが強いカン=ドンウォンさんだったが、ユーモアと不器用さも見え隠れする三枚目半な本作を経たことで今後にも期待したいところ。
 定期的にアクション作品には出続けて欲しいけども・・・。(〇´ω`〇)

・ムン=ソヨン役 - イ=ジウン

「私の手は血で汚れてしまった・・・・・・。
もうあなたをこの手に抱く資格は無い。」

 若い身空で身体を打って糊口をしのぐ過酷な生活の中で暴力団幹部の子を身籠ってしまい、その処遇を巡って相手を殺してしまったというとんでもない過去を持つ。
 我が子には自分のような後ろ暗い人生は送ってほしくないと他人に託す決心をしつつも、親にはどんなことがあっても傍にいて欲しいというかつての当事者のドンスの声や、仲間を売れば我が子との未来への道を残してくれるという警察からの提案に思い悩む。
 物語当初は身勝手なシングルマザーそのものの癇癪ぶりから、後半になるにつれて芯の有る強い母親の姿を見せていく姿は作品のテーマを一身に背負っているように見える力強さ。
 終盤、観覧車の中でドンスとともに自らの罪と本音を吐露し合うシーンは何とも言えないカタルシスに満ちていた。
 本職が歌手というのがなんとも全方位性プロフェッショナルの気迫を感じさせる。

・アン=スジン役 - ぺ・ドゥナ

本作では持ち前の美貌を抑え、仕事一徹な刑事役。
やたらと食事シーンが多かったのは人間性が無機質になり過ぎないようにという
終盤展開への布石か?

 サンヒョンとドンスのブローカー二人を付け狙う中年刑事。
 優しい家庭人の夫との間に子宝に恵まれなかったためか、それを補うかのように仕事に執念を燃やし、特に幼児をビジネスにする主人公たちには憎悪にも見える姿勢を見せる。
 狂言売買の中でサンヒョンたちが見せた人情や、自身が持ちかけた司法取引に対して人間として母親として苦悩するソヨンの姿に徐々に理解を示し、最終的に特異ながらも関係者誰もが納得する形での”母親”を演じ、一人間としての誇りを取り戻す様は、出演シーンは決して多くないながらも鮮烈な印象を残し、演じるぺ=ドゥナさんの底力を見せつけているかのよう。

一歩間違えれば彼女もマダム・レッドみたいな狂気に蝕まれていたのかも・・・。


Ⅲ. おしまいに

 というわけで今回は是枝監督の最新映画『ベイビー・ブローカー』について語ってみました。
 本作を一言で表すとやはり、終盤にみんなでお互いに祝福し合った”生まれてくれてありがとう”という言葉に集約されるのでしょうか。
 渦中の幼子であるウソンの未来を守る決意の下に行動した結果、登場人物それぞれが(主人公は別として…)自身の未来をも再生させており、フィクションであるとはいえ、新しい命の力に驚かされる作品でした。

命,命って書いてて大河ドラマの『いのち』を思い出した。
大河枠なのに歴史ものじゃなく現代劇で、しかも"地方医療"という特化テーマ。
それだけに当時の橋田先生の勢いがわかろうというもの。

 他の是枝監督作品でおススメがございましたらゼヒともコメントいただければ之幸いでございます。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。




アニメシリーズ作る前に制作されてたというサターン版の最初のゲームは
たしか弐号機にシンジ君が乗ったりとかなかなかのトンデモ展開だったような・・・。
主題歌もTV版の世界観とはかけ離れてて、ズレ具合でいうと
子門真人さんのスターウォーズの歌に近いかも?





 







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