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【名作迷作ザックザク⑤】~祝!4Kリマスター放送~ 時代考証ガバガバでフランキー堺さんがガハガハな『モスラ(1961)』をキミは観たか?!

 結論から言おう・・・・・・コンニチハ。(*´罒`*)
 ”モスラ”といえば、「古畑任三郎」の1stシーズン最終話で犯人役の菅原文太さんが”モスバーガー”を”モスラバーガー”って言ってたのを思い出す、O次郎です。

当時山ほどパロディーが作られてましたネ。
私は2ndシーズン最終話、鈴木保奈美さんが犯人役で、
ニューヨークの夜行バスの中だけで安楽椅子探偵的に推理する話が一番好きです。

 先週末、『シン・ウルトラマン』の公開を記念してということで、CSの日本映画専門チャンネルで円谷特撮の『モスラ(1961)』がリマスター放送されてました。
 『ゴジラ』シリーズに関しては通ってきましたが、単体のモスラ作品でしかも昭和版は今回が初見。ということでオジさんウォッチャーの当該作のファーストインプレッションをつらつら書いてみようと思います。
 私のようにゴジラ絡みでのモスラしか知らずで単体モスラはどんな感じかな~って方、昭和特撮のゆる~い設定を眺めるのがお好きな方々、読んでいっていただければ之幸いでございます。
 それでは・・・ガ~~~~パ~~ヤッ ガ~~パ~~ッ♪


Ⅰ. 『モスラ(1961年版)』とは?

 てっきりラドンあたりの敵役怪獣も出てくるのかと思いきや、怪獣はモスラのみ。かといってそのぶんモスラが一匹で盛大に大暴れしてくれるかというとそうでもなく、幼虫時は糸吐きは極力節約しており、成虫時に至っては羽ばたきによる突風のみで本作では鱗粉攻撃は無し。メタルダーみたいに、”争いを好まぬ僕に、武器は無い”ということなのかなんなのか・・・。
 そしてそのモスラが二体、三体と登場するわけでもないので、いよいよもって予告篇にもデカデカとテロップの出る”製作費2億円”の配分に?マークが出そうになるが、どうやらミニチュアセットに最大限投入されたようなので、今の目からすると「ミニチュアセットを楽しむ映画」ということで割り切るのがよろしいかと。
 というのも、ストーリー展開としては南海の孤島の神秘で金儲けを企む銭ゲバVS日本のマスコミ・各国政府、というような時代劇の如き判り易過ぎる勧善懲悪で、核実験を起源とする怪獣という災害に対しての国家の無力と、それゆえに突出した一個人の才覚に依存しつつ下層の大衆が犠牲になるという旧態依然とした構図を風刺した『ゴジラ』一作目のような社会性とは対極に位置している様子。Wikiにも書かれているように、61年にも関わらず普通にMPが出てきたりしてるので、なんというか”日本に似たどこかの島国”のようなおとぎ話感すら有る。
 同時上映作品のカラーからしても、コミカル色を売りにしているのが一目瞭然。

個人的に、語感でジェリー藤尾さんと尾藤イサオさんが頭の中でこんがらがっちゃうのよ。



Ⅱ. キャストについて

・日東新聞記者 福田善一郎(スッポンの善): フランキー堺

ポスターからしてすっとぼけた感じというか、
彼の喜劇感が浮いてる。

 彼が主演してるだけで作品の陽性感というかコメディー感がすごいわけで。悪漢ネルソンとの小美人を巡っての丁々発止やモスラの東京侵攻を巡るやりとりについてもどこかコントめいていて、橋の上に置き去りにされた赤ん坊を命がけで救助したりするシーンなんかは『男はつらいよ』シリーズのような人情譚感が有る。だいぶ丸々としてはいるんだけれども、米国翻訳では”ブルドックの善”だそうで・・・しどい。
 彼の上司役で名優志村喬さんが出演されているが、フランキーさんとのやり取りの場面はやはりコント的なユーモアが出ているのが新鮮。黒澤組の重鎮俳優さんがこんな軽妙な雰囲気を出したりするとは。
 ただ一方でフランキーさんも本作の2年前の『私は貝になりたい』に主演されていますし、歳を取られてからはコミカルなだけでない味のある風貌で、「赤かぶ検事奮戦記」シリーズを幼少期に母が観ていたのが第一印象な自分としては、本作の突き抜けたネアカ感は意外でした。

近々ではCSの東映チャンネルでミステリーものの「異人館の遺言書」を観ました。
「赤かぶ検事奮戦記」の奥さん役の春川ますみさんの姿も。奥におわすはファンファン大佐。
ベテランの仕事出来る男感バリバリだったのに最後はしてやられる時の哀愁はさすが。

・花村ミチ: 香川京子

小泉博さんも交えたスリーショットはなんとも画的に渋い。
青春ものというより昼ドロでも始まりそう。

 特撮作品のヒロインにしてはだいぶ落ち着いて大人びた容姿だなーと思ったら当時御年30歳。男優人が既に人気のある方ばかりなのでヒロインも、ということだったのか。
 であれば若人的な色っぽい雰囲気無しのフランキーさんとの大人の会話のやり取りの演出が有ってもよかったように思うが、そのそも彼女の出番自体が多くなかったのでキャラクターとして記号的だったのが勿体なし。

つい数年前の「この世界の片隅に」のドラマ版。
上品なお婆ちゃんになられてますね。

 

Ⅲ. 渾身のミニチュア特撮をとくとご覧あれ

ガソリンスタンドを潰しながら手前に向けて前進。
ゴジラなら一瞬で踏んづけてペシャンだけど、
時間と労力を掛けてミシミシ潰す。
これが当時の青梅街道・・・かな?
実は十年ぐらい前に青梅に住んでたんですがそれでもわかりません(そりゃそうだ)
タイアップのバヤリースオレンジみーーっけ。
いなばうあー。
「俺は変身の度にパワーが遥かに増す。俺はその変身を後2回残してる。この意味がわかるな?」
各地で暴れまわった後は無敗状態のままインファント島へ帰る。
この時代にこのきちんとした遠近感特撮ゴイスー。



Ⅳ. おしまいに

 興味深いことに、本作の三年後に公開の『モスラVSゴジラ』と話が繋がっているようですが、本作では”ゴジラ”が今現在で存在したり過去存在していたりといった描写は有りません。後付けといえばそれまでですが、結果としてゴジラカラーに染まらない雰囲気になったのは確かでしょうか。
 また、「モスラの歌」は次作の『モスラVSゴジラ』のバージョンと比べるとプロトタイプのデモバージョンの感が有ってそれはそれで面白いです。

原作小説も書籍化されているようですが敢え無く絶版。
後年に刊行された『怪獣文学大全』にも収録されているようですがそちらもプレミア化。
国会図書館に行って読んでみるか…。

 また余談ながら、今回のリマスター版では冒頭1分ほどの音のみの「序曲」も放映されていましたが、キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』を思い出しました。 来月は『フランケンシュタイン対地底怪獣』のリマスター版放映とのことです。こちらも初見ですが、昭和の『ゴジラ』シリーズが作を重ねる毎にコミカルになってストーリーがう~んという感じなので、特撮描写含め骨太な展開に期待したいところ。


 本日の記事はこのへんで。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。


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