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【最新作云々57】最愛の娘を取り戻すため、涙を拭い怒りを燃やせ... 誘拐ビジネスの蔓延する社会の狂った常識に与せず娘を追い続けた母が冷厳な現実に対峙する映画『母の聖戦』
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。
昨晩、唐突に"十余年ぶりに実家に帰って、明くる日に懐かしさに惹かれて少年時代によく利用していた通学路途中の本屋に行ってみると見たこともない人だかりが出来ており、何ぞと中を覗くと閉店売り尽くしセールの最中で諸行無常に胸が締め付けられた"という夢を見た、O次郎です。
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本屋があったのですが、二店を均等に使い分けてました。
子どもながらに"万遍無く地域経済に寄与せねば"とか小賢しいことを考えてたわけで…。
今回夢に出てきた方のお店は僕の三年先輩の男性と一年後輩の男性の兄弟の家であり、
1Fが店舗で2・3Fが住居という構成。御祖父様の代から本屋で、結構裕福な家庭だったような。
たしか、その兄弟と仲の良い友人と一緒に一度だけ遊びに行ったっけ。
そういう家族構成とかがお互いに筒抜けな地方の感覚、忘れて久しいなぁ。(´・ω・`)
今回は最新の洋画『母の聖戦』です。
だらしない夫と別居中で年頃の娘と慎ましく暮らす平凡な中年女性が、人知れず娘を誘拐されたことで全てを失い娘を取り戻すべく修羅と化していくショッキングなドラマ。
誘拐がビジネスとして確立してしまって日常の延長線上に存在するメキシコ北部の狂った市民生活を淡々と白日の下に曝していく、実話ベースの物語です。
派手派手しい一大非合法カルテルや公権力の腐敗といった映画的な誇張は極力抑えられており、それだけに家族を奪われた親族の慟哭と無念、諦めに至るまでリアルな日常の一部として映し出されている有り様には純然たる恐怖を禁じ得ません。
凡百のカタルシス込みの誘拐映画に辟易し、その極北の描きように興味のある方々、読んでいっていただければ之幸いでございます。
今回も結末含めてネタバレしておりますのでその点ご容赦くださいませ。
それでは・・・・・・・・・・・・図書券!!
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それこそ少年期は結構使った覚えが有るんだけど、どんな入手経路で手にしてたのやら。
Ⅰ. 作品概要
※日本語版ページが存在しないため、翻訳等でご参照ください。
物語冒頭は彼氏とのデートを前に念入りにメイクする年頃の娘と浮かれる娘を窘める母親の何気無い日常から始まります。結果から言うと娘が画面に登場するのはこの冒頭の一幕のみなのですが、特に観客の印象に焼き付けるようなやり取りもセリフも無く、嵐の前の静けさとの感も無しに悲劇がその幕を開けます。
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同年代の日本の女性と比べても変わらないほどの屈託の無さであり、
後に映し出される誘拐が珍しくもないような地域生活からすれば
あまりにも無防備に見えますが、まさかその災禍が自分の身内に降りかかるなどとは
想像だにし得ないのが現地感覚のリアルなのかもしれません。
そして娘が帰宅せず彼氏も"彼女が約束の場所に現れなかった"と証言したことで俄かに慌てだす母親のシエロ。時を隔たずして彼女のスマホに何者かから娘を拉致した旨の電話があり、果たして指定の場所に現れた素敵な笑みを浮かべる青年グループに高額な身代金と夫の車が瞬く間に巻き上げられてしまいます。
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観ている此方側からすれば娘の姿はおろか声すらも確認せずに
みすみす相手の要求に応じてしまった経緯は軽率に映りますが、
そうした薄氷を踏むような交渉は極限のプレッシャー化に在る一市民には
あまりにも過酷かもしれません。
あとはもう考えつく限りの残された家族の悲痛な応酬がそこに・・・。
娘を無防備に出歩かせた妻や彼氏の責任にして詰って罵倒する別居中の夫に、敵と交渉出来ずにみすみす手掛かりを逃してしまった夫を責めるシエロ。愛する人がある日突然消息不明となってしまった現実にただただ呆然とする彼氏。
三者三様なのですが、「娘のことを普段から嫌っていたから誘拐に加担しているかも」と別居中の夫の傍らに居る年若い恋人女性に疑心を向けるシエロの姿がとりわけ強烈…。
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おぞましい犯罪行為への荷担が有りうべき世界ということであり、
誘拐犯罪が決して絵空事に近しいような青天の霹靂の稀事ではなく
隣人トラブルの延長線上にまで格下げされてしまっている社会なのです。
それはそのあまりの件数の多さからして真摯に総力で向き合ってくれない警察の姿からしても明らかであり、その類い稀なる惨事の相談に際して数時間も待たされるほどの事態の常態化でも明らかです。
とどのつまりそれは、家族が向き合う絶望の深さに対して世間の同情が間に合わないほどに頻発のご近所トラブルのレベルにまで日常化が進んでいる、ということであり、その情け容赦の無い隔絶ぶりに眩暈がします。
その"惨事の格下げ"とも言うべき事態の皺寄せは地場の民間業者にも及んでおり、そうした誘拐殺人の頻発による身元不明死体の保管・確認に葬儀屋が下請けを強制されている始末です。
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シエロの娘捜索の手がかりにも繋がりはするのですが、
薄ら寒いサイクルには違いありません。
日本では振り込め詐欺が組織化されてその工程が細分化され、悪事が露呈しても狡猾なトカゲのしっぽ切りが繰り返されて警察組織との終わりの無いイタチごっこが繰り返されていますが、それに近しい構図がここにも見受けられます。
結果としてこの一つの誘拐劇の顛末に於いても悪の元締めはベールに包まれたままになってはいるのですが、それと同等か味方によってはそれ以上に酷薄な現実は、誘拐ビジネスが細切れにされたことによってそれに加担している人々の罪の意識まで細切れにされてしまい、そのことが下手人一人一人のモラルまでごまかしてしまっていることでしょう。
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シエロの娘のみならず地域の過去の夥しい誘拐事件の片棒を担いでいました。
彼は彼でアメリカの不法移民として暮らしている息子への資金援助の必要が有ったとはいえ、
誘拐ビジネスの末端にしか与していないことがその罪悪感を麻痺させたことは間違い無いはずで。
娘を奪われた哀しみと怒りが自分ほどではない夫に失望したシエロは警察に見切りをつけ、死に物狂いで新任の地方軍当局の司令官にコネをつくり、誘拐ビジネスに関与している地域のチンピラたちを手当たり次第に急襲してブタ箱へとぶち込みつつ娘の手がかりを求めて昼も夜も無く街を彷徨います。
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戦闘力も資金力も無く、有るのはただ娘を奪われた母親の悲しみと憤怒のみ。
後に冒頭の実行犯のグループの青年も妻子有りの父親であったことが判るのですが、
彼の事情などは一市民として母親としてのモラルに従う彼女を思い止まらせることは出来ません。
軍当局も軍当局で容赦無く、推定無罪の概念などまるで別世界であるかのように疑わしき悪人たちに情け容赦なく銃弾と警棒を叩き込んでいきます。
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犯罪荷担のハードルがあまりにも低い社会に在っては
秩序を守る側にも容赦が見られません・・・。
シエロの執念に絆されたのが半分、若い恋人にフラれて行き場を無くした事情が半分で夫グスタボも彼女の捜索活動に協力し、商売の合間を縫って付き添いますが、、、
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どうやら誘拐した女子供の死体がその地面に埋められているようで、、、
シエロの決死の捜索活動は警察による夥しい数の遺骨回収とDNA鑑定に委ねられ、その結果は娘の肋骨のみが発見されるという、ある意味遺体との対面よりも残酷な現実を突きつけられることになりました。
一方で娘の彼氏は彼らの知らない間に警察に収監されており・・・"もしや娘の誘拐に加担したのでは?"と面会室で詰め寄るシエロに対してポツリポツリと彼が語る真実もまたある意味でそれよりも重いものでした。
曰く、「彼女の手がかりを見つけるために、彼女を誘拐した組織と対立する組織に入ってしまった」と。
悪を追い詰めるためには自身も悪に身を委ねねばならない…最後の最後まで現実的な悪夢の構図が横たわっていました。
娘の遺体と対面することも叶わず、己の怒りも悲しみもほとほと吐き出し切ってしまったかのようなシエロは二人で再出発しようと促す夫グスタボを拒絶し、独りで我が家の庭先に一人座り込みます。
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誰かが現れたのですが、それは誰だったのか、それとも彼女自身既に・・・・・・
最初から最後までただひたすらに重く張り詰めた悪夢のような現実を映し出す作品でしたが、誇張も抑制も無いがゆえに有無を言わさず此方に叩き付けるような迫力が有りました。
娘を誘拐によって奪われた過酷な現実と闘い続けた母親と、頑なに諦めない彼女をまるで聞き分けの無い幼児のように扱う周囲の人々、はたして狂っているのはどちらなのか?
Ⅱ. おしまいに
というわけで今回は最新のメキシコ映画『母の聖戦』について語りました。
メキシコの誘拐ビジネスについて描いた作品というと直近では『ランボー ラスト・ブラッド』を思い出します。生々しい暴力シーン満載の作品でしたが、主演のスタちゃんは"もし我が子を誘拐されたらその犯人をどうするか?"と友人の母親に尋ねたその答えがそのまま作品に投影されているとか。
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本作では強烈な悪役もこれみよがしなヒーローも登場しませんが、それだけにエンドレスな現実の暴力の過酷さを端的に表していたように思います。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
『12 Minutes』
旦那さんが夜半に帰って来てそれを奥さんが迎えてくれる。
会話してると俄かに警官が訪れてきて妻と自分を拘束してしまう。
曰く、妻は過去に父親を殺しているのだとか・・・。
繰り返されるその12分間を旦那さんを操作してなんとかして脱出する、というゲーム。
近頃すっかりゲームする意欲が乏しくなってきたので毎晩ちょっとずつでもプレイして熱意を取り戻そうっていう。( ・_・)
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