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【名作迷作ザックザク㉓】除け者同士の青年と少女が当て所なく探す"命の意味" "人は一人では生きていけない"を瀟洒に描く自主映画『ゴンドラ』(1987)
結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(。・д・。)
小学生の頃に観たTVアニメのドラえもんの宇宙人絡みの個人的トラウマ回がどんなエピソードだったか判明した、O次郎です。
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手紙を括り付けた風船をモニタから遠隔操作するひみつ道「具風船手紙コントローラー」
のび太はコントローラーを使って有名人に手紙を届けようとするも、
最後は手違いから円盤に乗ったグロテスクな宇宙人に手紙を拾われてしまう…。
ラストシーンは宇宙人がドアを開けて出迎えたドラちゃんのびちゃんが
驚愕の表情を浮かべたこの場面で唐突に幕切れて終了……。
おそらく自分が観たのは1994年の再放送で、その日の放送の二本立ての内の一本目でした。
家族で晩ごはん食べながら観ていましたが、直後のCM中に姉と
「なんか変な終わり方だったな…」と不気味さを噛み締めていました。
ちなみに肝心の宇宙人の造形はすっかり忘れてましたが、
調べてみると一つ目で如何にも怪物然とした見た目でそういう意味でもトラウマ級のようです。
今回は邦画の1987年公開の自主映画『ゴンドラ』です。
公開当時からその筋では有名な作品だったようですが、数年前の公開30周年でのリバイバル上映やソフト化の際には結構話題になってましたね。旧作にしても最新公開映画にしても上映に際しては著名監督、俳優さんやコメンテーターさんが絶賛コメントを寄せるのが常ですが、本作については斎藤工さんの「何百何千本観なくても この一本だけ観たい そんな作品」というコメントがなんとも印象的でした。
で、円盤買おうとした矢先にありがたいことにCS放送されたので録画し、それで満足してしまって幾星霜・・・これはイカンと鑑賞した次第です。
起承転結のしっかり付いた商業映画に慣れ切った感覚からするとやや冗長に過ぎるシーンや表現も見受けられますが、それが本作の浮世離れした幽玄な景観を醸し出しているのだと思います。
普段から、ないしたまには感性の赴くままに浸る映画を手に取りたい方々、読んでいっていただければ之幸いでございます。
それでは・・・・・・・・・・・・・・・"パンダーッ!!"
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たしかドラちゃんが野比家に掛かってきた電話に出て通話が終わった後、
「ん~」と握ってる黒電話の受話器をおもむろに頭の上に乗せて
「パンダーッ!!・・・・・・なんつって。」っていう小ボケをかます話がなんか可愛かったの。
Ⅰ. 作品概要
主人公の一方のかがりは小学五年生。他人の顔色を窺ったり空気を読んだりという人付き合いが苦手でそれを拒み、同級生たちの中でも浮いた存在で孤立しています。
両親は既に離婚しており、水商売をしている母親との二人暮らし。不器用な父と勝気な母はお互いの不満の蓄積で喧嘩がエスカレートして別れましたが、虐待やネグレクトというのも違い、母親とは親子というよりまるでルームメイトのような割り切った関係性で、かがりはより一層孤独を深めています。
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異物扱いを受けたり自分でそれを感じたりことはありません。
もう一方の主人公の良はゴンドラに乗って高層ビルの窓掃除をする清掃業の青年。青森の実家の父は漁師でしたが数年前に体調を崩し、飲んだくれた父の姿への反発から上京したのでした。清掃の仕事中に窓の中が見えますが、忙しく社員が働くオフィスはまるで自分の存在を気に留めず、レストランなどは露骨にカーテンを降ろしたりしてまるで彼の存在を見なかったこととしたいようです。仕事中に同僚や取引先とコミュニケーションを取るようなことはなく、上京してからの友だちもいないため、彼も彼で漠然と孤独を感じています。
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ゴンドラでの高所作業中の眼下に幾度となく故郷の海の流れを夢想するシーンが印象的。
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"ビルの夜間警備"という誰とも会わない仕事に日々従事し、警備日誌にひたすら「異常なし」と
記述する気が狂いそうなまでの単調な日々に、沖縄出身の前途ある青年の心が壊れていく…。
良がもしかがりに出会わなければこういったルートがあったかもしれない。
現代ではSNSで容易に他人と繋がれる一方でリアルなコミュニケーションを忌避して
自らこうしたディスコミュニケーションな職場を選ぶ例も有り、当時の時代性ゆえの脚本かも。
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この己が生に孤独と違和感を抱える二人が死生観をきっかけに交流を持ち、現実を見つめ直す物語です。
予告や解説等でも引き合いに出される作中のセリフとして、
あかり「死んじゃうと、生きてたことってどこいっちゃうのかな.....」
良「俺の田舎じゃさ・・・・・死んだ者は海に帰るって言われてんだ」
というものが有りますが、作中の総てがそこに収斂しているように思います。
亡くなってしまった文鳥をきっかけに知り合った二人は、かがりが以前住んでいた団地の近くの公園に埋葬しようとしますが、結局取りやめます。そこはまだ両親と揃って住んでいた頃の所縁の場所であり、既に終わってしまったそれと文鳥とを一緒にしたくないのです。
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死んだ文鳥をモノと割り切れる、過去を無かったものと割り切れる母に
相容れないものを感じ、家を飛び出してしまう。
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クラスメイトたちからは一足早く"大人"となってしまったことでより疎外され、
自分が自分でない不連続性に足元がおぼつかなくなる。
で、いよいよもって居場所の無いかがりの姿を見るにつけ、休暇を取って実家の青森に連れていく良ですが、下世話な言い方をしてしまえば未成年者略取誘拐のような道中ながら、電車の車窓からの風景や駅の夕景が掛け値無しに美しく、牧歌的でのどかなBGMも相俟ってこの上なく郷愁を誘われて心が洗われます。
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普通のドラマなら可愛らしく健気さが光る演出をするところですが、その生気の無い
寄る辺無さが自主映画ゆえの剥き出し感を表象しています。
田舎での日々で色を取り戻していく彼女は愛らしくも映りますが、
ぶっきらぼうなそのだみ声には慣れるのにしばらく掛かるかもしれません・・・。(゜Д゜)
電車を乗り継いで夜半に辿り着いた良の実家は普通の田舎のあばら家。気風の良い母親は昔のままでしたが、父親は身体の一部に麻痺(おそらくは深酒が祟っての脳溢血)があって難儀していました。
ともあれ、良もあかりも快く迎えてくれ、二人とも普段は囲むことのない団らんの食卓を得ます。
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翌朝、「あんな風になるぐらいだったらいっそのこと
おっ死んだほうがマシだったんじゃないか?」と呟く良に対し、
「どんなになっても父ちゃんは父ちゃんだ!!」と叱る母の姿が強く残ります。
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認知症の父を巡る妻と娘たちの「周りの人たちが忘れないでいること」という作品。
これが響いた方は『ゴンドラ』も確かに響くと思います。
毎晩食卓を囲みながら良とかがりが表情を取り戻してく姿が眩しく、みんなでの乾杯の一幕でビールをせがむ父とそれに躊躇する母に「今晩だけ」と酌をする良の姿がなんとも素敵です。
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それから数日間、二人は近くの海岸に通って廃船の木材を使ってゴンドラ(小舟)を新しくこしらえます。このシーンが商業映画からすればかなり長いうえに作劇からしても間延びしてはいるのですが、二人だけの構図は寒々としてる筈なのに暖かく、繰り返し観ていても飽きがこない原風景を切り取っています。
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しかし、良を演じる界健太さんがわりと筋肉質・・・。(⦿_⦿)
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実家での団らんもそうですが、本作では食事シーンが人の温もりを伝える
重要なキーになっているようです。
反対に序盤のあかりの家での母親と同僚女性との野菜スティックを齧るシーンや
過去の両親の食卓での言い争いのシーンの寒々しさといったら・・・。
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そのままエンディングテーマにもなっていますが、時おり思い出して
また聞きたくなるようなザ・郷愁。
小舟で海へ出た二人は、かがりが丹精込めて作った小さな棺に文鳥を収め、海に流してハーモニカを吹きながら静かに物語の幕を下ろします。
東京ではかがりの両親がかがりを探している描写もありますが、二人が東京に戻るくだりではなく、夕景の幽玄の風景の一部となった二人と頬に涙を流しながらそれを見守る良の父の姿で終わらせたことで、なんとも淡い余韻がその濃度を保ちつつ観た人の脳裏に残ったのではないでしょうか。
Ⅱ. おしまいに
監督の伊藤智生さん("いとうちしょう"と読むらしいです)は本作制作のために抱えた借金の返済目的でアダルト作品の監督をされていますが、"出演する女優たちに「ゴンドラ」で描いた世界観と同じ景色を見た"というのがなんとも言えない含みを感じるところです。
孤独を描いた作品は当然の如く画面も寒々としたものが多いかと思いますが、本作は"水"が頻出しますがそれすらもどこかしら暖かく、そのあたりの人を拒むわけではない孤高さが国内外での評価の高さに繋がっているのかもしれません。
他にじんわりと胸に来るお勧めのアート作品ご存じでしたらコメントいただければ恐悦至極にございます。
今回はこのへんにて。
それでは・・・・・・どうぞよしなに。
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一般的には金八先生のイメージでしょうが個人的にはやっぱり宇宙刑事シリーズの小次郎さん。
素晴らしいコメディリリーフぶりよね。
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