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【配信を拝診⑮】カラテはキレキレだが、人物描写の濃淡と堂々巡りの展開がそろそろ... 少年俳優もリアルじゃとっくに成人済みなNetflix独占配信作品『コブラ会 シーズン5』の牛歩戦術

 結論から言おう・・・・・・こんにちは。(・_・)
 昨夜、洗濯物を取り込んでいたらバスタオルにカメムシがくっついていてそろそろ秋めいてきたかと感じた、O次郎です。

いまでこそ共通語らしきものを意識してカメムシと呼称していますが、
幼少期は"ジョロ虫"と呼んでおり、祖母なんかはどういう由来なのか"お姫さん"と呼んでました。
普通なら忌むべき対象を敢えて綺麗な感じに呼称するっていう・・・逆張りか?(・・)

 今回は近々に配信開始となったNetflix配信ドラマ『コブラ会 シーズン5』についてです。
 80年代に一世を風靡したハリウッド映画『ベスト・キット』シリーズの正当続編であり、自分は世代的に少し後なので映画シリーズの方も名前だけしか知りませんでしたが、1stシーズン配信開始当初からラジオで伊集院光さんエレコミやついさんが称賛しており、映画で予習しつつドラマシリーズに入って最新シーズンに到るまで楽しんでいるような状況でございます。
 今シーズンもまずまず楽しく観られた反面、長期シリーズゆえの弊害も相応に感じられ、しょーがないと思いつつももうちょっと上手く物語転がせたんじゃないかなーとも思い、そのへんをつらつら書いてみようと思います。
 既に最新シーズン視聴済みの方はもとより、既に前シーズンまでで食傷気味で観ようかどうか迷っている方々の参考にもなれば之幸いでございます。ネタバレ含みますので予めご了承くださいませ。
 それでは・・・・・・・・・・・"カラテカ"!!

ファミコンソフトより。お互いの目は絶対逸らさずに礼!!
84年6月発売ということなので『ベスト・キッド』を参考にしたのかも。
今やオリジナルのゲームよりもザコシさんのモノマネの方で
知った人の方が圧倒的に多い気がしますが・・・。


Ⅰ. 作品概要と今シーズンのトピックスいろいろ

 映画シリーズの1~3で一貫して宿敵だったコブラ会を主軸に、かつての登場人物たちはカラテを通してこれまでの人生を振り返り生きる情熱を取り戻し、若者たちはカラテを通して艱難辛苦しつつ身の証を立てる、という拳で語るドラマ
 映画シリーズがティーンエイジャーのどストレートな青春物語にあちら側の解釈での"カラテ"道をミックスした今観るとこっ恥ずかしい内容なのに対し、本ドラマシリーズはあまりにステレオタイプな部分はオマージュは捧げつつもギャグとして消化しつつ、次世代の若者たちのアイデンティティーや恋に悩む姿とかつての若者たちがもう一度情熱を取り戻そうと奮闘する姿を時に熱く時にコミカルに描いており、上手く現代に最適化されていると思います。

 而して本シリーズでの同行ですが、主たるところは、

〇ミゲルがメキシコまで一人旅し、実の父親と会ってその怪しい素性を目の当たりにして母の過去の選択を納得し、帰宅して母と祖母と和解。
〇ミゲルを連れ戻しにメキシコへ出張ったジョニーとロビーの親子が和解。
〇ミゲルの母のカルメンがジョニーとの子を身籠っていることが判り、それをきっかけに将来の異母兄弟となるミゲルとロビーも和解。
〇前回の敗北でミヤギ道の看板を下ろしたダニエルは助っ人として招聘した沖縄でのかつての宿敵であるチョーゼンの手を借り、彼にダニエル・ジョニー両門下生の稽古をつけてもらう。
〇コブラ会を乗っ取ったシルバーが版図拡大の継手として空手世界大会への出場を企図し、彼の生徒とダニエル・ジョニー門下の生徒の試合が引き分けに終わり、結果として両陣営とも出場権を手にする。
〇シルバーを下す突破口を探すダニエルとジョニーはかつての彼の配下だった"カラテの反逆児"マイクを尋ねるが、それを察したシルバーの策略で彼の経営する家具店が人知れず全焼してしまう。
〇怒りに燃えるマイクとそれに同調したジョニー・チョーゼンの三人がシルバーの邸宅を襲撃し、彼と彼の部下との死闘を繰り広げる。その一方でスティングレイを説得したダニエル・ジョニー両門下生たちが深夜のコブラ会道場に潜入し、シルバーの暴行と不正の証拠映像を入手。
〇ダニエル・ジョニー両門下生の中に居たコブラ会のスパイによって潜入が露呈し、コブラ会道場に駆け付けたコブラ会門下生と衝突。
〇騒動を監視カメラで察知したシルバーが道場に急行するも、その場で再生された過去のサムVSトリー戦の不正判定の映像でシルバーへの門下生からの信用が揺らぎ、さらに駆け付けたダニエルとの一騎打ちに敗北したことでシルバーは失墜し、警察に連行されていく。それと時を同じくして冤罪で収監されていたクリースが秘かに脱獄を完遂する…。

という感じです。いろんなキャラクターの和解や復縁はありましたが、そのあたりはこれ以降の転がし方によってはいくらでも反っくり返るわけで、そうすると大勢としては、

"収監されている人物がクリースからシルバーに代わった"

という一言に尽きると思われます。そこそこのドル箱シリーズになったので続けるのが至上命題になったのは分かりますが、それであれば如何にして牛歩戦術でお茶を濁さないように物語展開をドラマティックに維持するか、ということも同時に至上命題としてほしいところです。

 ともあれ、次のシーズン6は想像するに、頭が再度クリースに入れ替わったコブラ会とダニエル・ジョニー混成軍(そういえば新名称は今シーズンでは出し惜しみだったな)との空手世界大会での闘いでしょうか。
 立て続けに対決が続くと空手描写にマンネリ感は出てしまうかもしれませんが、その反面、団体戦となればこれまでスポットの当たらなかった門下生も回想描写を挟みつつ掘り下げも出来るでしょうし、せっかくキャラクターが増えたのですから群像劇としての面白さも締めて欲しいところです。



Ⅱ. 個人的な今シーズンのヒャッハーな点

・大人サイドの荒々しい空手が充実!

再度父親になる未来が見えたことで、経済力はもとより生活態度も改めるジョニー。
自らの過去の過ちを認めつつ己の手の届く人々の生活を守るために健気に戦う姿こそカッコいい!

 今回は陰で暗躍タイプのシルバーが敵の首魁なこともあって、屈強な先生方とジョニーたちとの乱闘が全編に渡って目白押しです。
 特にクライマックスのシルバーの邸宅襲撃シークエンスではチョーゼン(十手)VSシルバー(日本刀)のチャンバラ合戦まで飛び出し、もはやカラテの域を超越してますが行きつくところまで行ったハデさなので赦せてしまう。
 人気者ゆえか出演時間は以前から短めだった唯一の大人生徒の"スティングレイ"ことポール=ウォルター=ハウザーがクールなドライビングを披露してくれたうえにきっちりカラテもクライマックスで披露してくれたのでそこもポイント高し!
 過去シーズンからして大人同士の対決は引き分けや水入りで終わることが多かったため、ラストのダニエルVSシルバーの決闘(そういえば過去の映画シリーズでは直接対決は無し)がきちんと決着を迎えたのでカタルシスの有る終幕でもありました。

・要所に溢れる『ロッキーⅣ』への愛!

世界空手選手権のオブザーバーの見学模様。シルバー陣営と比べて劣勢だったところに
最新テクノロジーで鍛えるヤツも居れば、雪山で鍛えるヤツも居る」との咄嗟のジョニーの
一言に「ドラゴーーッ!」と反応する委員。

 こないだ日本でも公開となった『ロッキーVSドラゴ:ロッキーⅣ』が脚光を浴びていたからかもしれませんが、要所にオマージュが見られます。
 ウケたことに味を占めて「俺も変われた。アンタらも変われる。」と畳みかけるジョニーは観てて楽しい限りでしたが、終盤に酒が回った状態でリムジン内ではしゃぎながらジョニー・ダニエル・チョーゼンが『アイ・オブ・ザ・タイガー』を熱唱するシーンも何とも可愛らしく・・・。
 メジャーな懐古ネタはジョニーに、マニアックなところはディミトリにという棲み分けで次シーズンでも放り込んで欲しいものです。

※このPV観てて毎回思うけど、なんでメンバー一人だけ革ジャンじゃなくカーディガンなのよ・・・。(・◇・。)


Ⅲ. 個人的な今シーズンのムムムッな点

・キャラクター毎の扱いの濃淡の差

強い奴はいつまで経ってもトップ争い、そうでない生徒はずっと端役…。
キャラごとの役割が残酷なまでにハッキリしていて『キン肉マン』のようです。

 ヒエラルキーと言ってもいいかもしれません。人気のあるキャラクターは継続的に厚遇され、そうでないキャラは相変わらずの扱い。
 あんまりこの点を言い過ぎるとポリコレ云々みたいな話にも転嫁されてしまうのでアレですが、それにしても"トップ層が怠けてる間にそうでもなかった門下生が飛躍"とか"大会で全く期待されてなかった下っ端が大金星"とかいう形での番狂わせも見せて欲しいものです。
 上にも書きましたが、それに付随する形でそのキャラクターの付随エピソードも描けるでしょうし、それでこそ長期シリーズの群像劇としての面白さが出てマンネリ回避にも資するのではないでしょうか。

・キャストの加齢とストーリーの停滞とのアンバランスさ

シリーズ開始から4,5年を経て、当初ティーンエイジャーだったキャストも20代半ばに…。
個人的に『アメイジング・スパイダーマン2』のエマ=ストーンを見て"う~ん"となったのを
思い出しちゃったりなんかしちゃったり。

 これも前シーズンぐらいから如実に感じるようになってきたのですが、作中での時間がシリーズ開始当初から数か月~一年未満しか進んでいないのに実際の経過時間は何年単位。壮年の役のキャストはさておき、ティーンエイジャーのキャストはそろそろ役との乖離が厳しいかなと思います。
 長く続けるなら続けるで作中時間も現実時間にそれなりに合わせる必要があり、完全に一致させないまでもどこかのシーズン終わりで一気に数年時間を経過させるとかすれば引きとしては有りだと思います。もちろん連発されるとよろしくないですが。

"コブラ会に敗北し国内のカラテを牛耳られて数年後、
散り散りになった昔の仲間を集めて反抗を開始する"とかね。(=‐ω‐=)



Ⅳ. おしまいに

 というわけで今回はNetflix最新配信ドラマ『コブラ会 シーズン5』について書いてみました。
 もうすでに過去エピソードの引用や旧キャスト登場は飽和状態なので、そろそろ畳みに入って欲しいところではありますね。あとは今まで陽の当たってないキャラクターにスポット当てつつ、カット割りに頼り過ぎない演者さんガチのカラテ技で魅せつけてくれれば…というところでしょうか。
 もし他に長期シーズン展開しつつもうま~くマンネリ回避してる稀有なドラマ作品ご存じでしたらコメントでご教示いただければ恐悦至極にございます。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。



 

あと旧キャストで出て欲しいとしたらやっぱりヒラリー=スワンクだけど、
やっぱり出演は難しいの?(´・ω・`)


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