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わたしの2022ってしょぼ

 2022年終了まで片手で足りるほどになった。クリスマスが終わって年越しを待つしかなくなって、いつも見てもないのに今年はガキ使がないことを思い出したりして、マフラーを巻いても寒くなって、冷たい手を繋いでくれる人がいたりいなかったりして、とりあえず、今年が終わるぞと行く場所行く場所で教えられているわたしたちは、今頃同じことを考えている、おそらく。
何もしてないねと話しながらも、やはり考えているのではないか。というか絶対考えている。 
 わたしもその現象にまんまと乗っかって、ひと足先に2022年を振り返ってみるとする。

 まず、2021年から2022年に変わってもわたしはあまり遊びに出歩けなかった。英検がすぐそこに待っていたからだ。どこからかやって来た余裕に飲まれていたら2022年になっていて、必死で勉強をした。本気で死ぬかと思った。でもちゃんと受かった。その反動でたくさん遊んで、高校1年目はすぐ終わった。

 高校2年生になって、初めて髪を染めて、初めてバイトをして、バンドのライブに行きまくった。本当に行きまくった。zepp系列と下北のライブハウスには特に行った。zeppのドリンクホルダーが机の隅にどんどん溜まっていった。初めてバンドマンが投げたピックを掴んで、初めて好きなバンドマンと話して、初めて1人でライブに行った。ライブハウスの質の悪い音と醜い振動をこよなく愛して、ドリンク代600円を高いと思わなくなった。7年間付けていた矯正器具がやっと取れた。テストで100点を取った。

 オープンキャンパスで初めて大学に行った。自分の中で女子高生ブランドが絶対的で、高校を卒業したら価値がどんどん薄れると、廃れていくと危惧していたのだが、大学に行って考えが一転した。わたしが考える世界はとてつもなく狭いのだと実感した。早く大学生になりたいと思った。初めて最前列のど真ん中でライブを見て、バンドマンとずっと目が合っていて目眩がした。成績表が返ってきて、素晴らしい成績を収め過ぎてまたもや目眩がした。たくさんのライブに行った。yeti let you notice、東京少年倶楽部、鉄風東京、くだらない1日、THE2、キタニタツヤ、TENDOJI、時速36km、mother、the dadadadays、Make The Pancake、岩崎優也、、。
 初めて大学生の彼氏ができた。「17歳の夏、大学生の彼氏」という文字面は憧れ過ぎて、以前のわたしなら想像できないほどのキラキラ具合だったけれど、思っていたより大学生はそれほど大人ではなかった。お母さんに話したら、「お母さんが高校生の時1人だけ大学生と付き合ってた友達がいたけど、みんなと1歩違って恋愛的に大人びていたよ」と言われたけれど、全然大人じゃなかった。結局キモくて2ヶ月で別れた。バイトはだるくて辞めた。

 とんでもない開放感を手にしたわたしは、やはりライブに行きまくった。赤髪にした。バイトを辞めて財源がお小遣いしかなくなったはずなのに、毎日遊んで1ヶ月に1回は必ずライブに行った。最前列のベースの前でライブを見て、赤くチカチカ点滅した照明が視界を埋め尽くす中でボーカルに微笑まれてあっかんべーされた。くらくらして、照明のせいなのかボーカルのせいなのか貧血なのか、どれかわからなかった。どこからお金が湧いていたのかわからないけど、友達といることが本当に楽しくて毎日遊んだ。元々見えなかった未来がもっと見えなくなって、眠れない夜が続いて学校をたまにサボった。歌舞伎町のライブハウス前の歩道で、好きなバンドマンが手を振ってくれた。ライブハウスで初めて友達ができた。3kg太ったけどめっちゃ可愛かった。ピアスを2個増やした。

 めげずにライブへ行った。黒髪にした。面白いくらい可愛くなった。テストで100点を取った。2回目の最前列ど真ん中でライブを見て、ずっと誰かしらと目が合っていて、でも今度は目眩はしなかった。手は震えた。好きなバンドマンから直接アルバムを買った。7000円のお釣りも渡してもらった。帰りのコンビニで、その7000円を手放すまいと110円の水を買うのに1万円札を崩した。あれから彼氏はできずにクリスマスを迎えて、バンドと大好きな友達に2日間を捧げた。元彼に彼女ができていたけど、芋臭くて嬉しかった。可愛い自撮りをSNSに載せた。去年と全く同じ日に英検のもう1つ上の級を受けることを思い出して、今現在またまた必死に勉強している。わたしの高校生活って、バンドと勉強でできているみたい。また成績表が返ってきて、また素晴らしい成績を収めた。収め過ぎた。

 こう振り返ると、初めてをたくさん経験して、割と充実した1年間を送った気がする。1年前の今日の写真を見返すと顔が歪むくらいには可愛くなったし、なんだかんだ2022年楽しかった。運勢が2023年からは大吉に入ると中華街の占い師に言われたから、それを信じて年明けを待つとする。キモくない彼氏ができますように。英検に受かりますように。受験生になってしまうから、大学に受かりますように。めちゃめちゃかわいくなれますように。


【追記 2022.12.28  2:42】 
 これを書いた翌日、TikTokを見ていたらカップル動画と2022年振り返り動画が山ほど溢れてきて、死にたくなった。これを書いたことを思い出し読み返して、さっきの動画と比較してこの記事の削除ボタンに指を重ねかけた。わたしの2022、ライブ行きまくってちょっと恋愛しただけじゃん。しょぼ!

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