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raputaちゃん(白)妄想文+怪文書

 raputaちゃんがMV(BGA)の出来事がありつつ最終的に帰還してたらどうなってたかって妄想文と怪文書。尚怪文書がraputa要素なさ過ぎてます。仕方ないね。(白)とは髪の色が白だからそうつけてるだけです。通常raputaちゃんとの区別用。
 そういえば妄想文と怪文書の違いって何なんでしょうね。私は字数多めが妄想文、少な目が怪文書として扱ってるけど。

帰還後→発狂(妄想文)

 ざらっとした感触に、少女は目を開ける。
 暗い。ただ暗くて周囲が何も見えない。しばらくしてようやく目が慣れてくると、建物の中に居るということがわかった。
 そこに人は居なかった。
 重い体を起こすと、またざらっとした感触がする。どうやら石の上に座っていたらしい。
 私は、何を。私は今まで――
「……ぁ」
 あ。
 あ、ああああ。
「ぃ、嫌アアアアァッ‼」
 途端、悲鳴で建物が音を立てて壊れていく。
 破片が少女の白い肌を掠めて少しずつ血に染め上げていくが、当の彼女は気にする様子もない。
 ――気持ち悪い? 私は嫌がっていた? あの人は嫌がっていなかったというのに? 体を何かに押さえつけられた? 絡め取られた? どこに沈んでいった? もう私じゃなかった? 私だった? 誰がそこに居た?
 天使? 悪魔? 神? 魔王? 生贄? 身代わり? それはどこの話? いつの話? なんで? どうして? わからないわからないわからない。
 ただ、わかることは。
 あれは悪夢だったということと、現実だったということだけ。
「ぃや、アァ……」
 意味もわからず発狂している。
 意味がわからないから発狂している。
 嫌だから嫌だったから狂っている。
 叫んでいる。
 考えたくもないけど、浮かぶのはそのことだけ。
 それ以外のことはもう覚えてさえいなかったから。
 私は、誰だったのだろうか。
「ア、ァ」
 悪夢だけが浮かぶ。
 悪夢以外は浮かばない。
 死んでしまいたいくらいに苦しい。
 苦しい。
 たす、けて。
 縋るものを探すように。
 破片を踏んで足を血だらけにしながら、少女は歩いていく。
 崩壊したこの建物には、もう何も残ることはない。

raputaちゃん(白)怪文書1

 夜も明けてきた頃。
 何処かで小鳥のさえずりがした。
「ひ」
 そう怯える、白い少女。
 何かされる予兆なんじゃないのか?
 またあの悪夢が訪れるんじゃないか?
 怖い怖い怖い。
 そんな筈ないのに、そんなことが思い浮かぶ。
 不安を煽るように、風が音を立てて横切っていく。
 よくあることなのに、何も起こることはないのに、そのことを彼女はよく知っている筈なのに。
 それに、少女は耐えきれなかった。

raputaちゃん(白)怪文書2

 雨。
 久しぶりに見た気がする。
 だが、少女にとってはそれどころではない。
 何か起こるんじゃないかと、恐怖が不安が頭を過ぎる。
 蹲った背中を雨粒が優しく、強く叩きつける。
 それだけの時間が過ぎていた。
「……」
 ザーザーと降り続ける雨。
 それ以外は、何も起こらない。
 何も変わらない。
 変化を雨音が紛らわしている感じがした。
 少女は静かに立ち、また歩きはじめる。
 続く雨と、ずっと響く雨音。
 少女は雨が好きになっていた。雨が変化をかき消してくれるからだ。
 少しだけ気分が晴れたまま歩いていると、雨が上がってしまう。
 それを祝福するような小鳥のさえずりに、少女はまた怯えていた。

raputaちゃん(白)怪文書3

 小さな湖を見つけた。
 目立った特徴がある訳でもない、どこにでもあるような湖。
 今まで見つけたことがない訳ではなかったが、こうしてしっかりと目線を向けるのは初めてな気がする。
 特に理由もなく、水面を覗いてみる。
 映る自分の頭。
 髪は真っ白になり以前よりずっと伸びきっていて、目の下の隈が水面からでもよく分かるくらい濃くなっていた。
 以前の自分とは、まるで別人のよう。
 それだけの感想を抱いて、また少女は歩いていく。
 目にかかる前髪を鬱陶しく思いながら。
 

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