さんぽ 5

恐る恐る登りだすと、

気持ちのいい音が聞こえてきます。

竹と竹が当たる音。

笹がサラサラとこすれる音。

ほどなく、竹林に踏み込んだ、

ボクたちの目に飛び込んで来たものは、

360度すべて竹で囲まれた世界。

圧巻でした。

今まで、美しい壁紙やネットの写真などでしか

見たことのないような、幻想的な景色の中に

ボクとご主人さまだけで立っていると思うと、

この感激を誰かに伝えたい。

ご主人さまは興奮せずにはいられなかったでしょう。

右も、左も、前も、後ろも、すべて竹。

真上に見える少しの空と、人の歩いた足跡だけが、

外界へつながる道。

竹に遮られて、薄暗い光の中、

落ちた笹の葉と、ぶあつい苔でおおわれて、

しっとり、ふんわりした小道を進んで行きました。

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