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ボクは哲学が職業である。
ある日の暮方の事である。一匹の猫が、木立の下で雨やみを待っていた。
争えないもので、顔までがいつのまにやらそういう顔つきになってしまったのであろう。夜は云うまでもないが、昼間でも、山を歩いていると、ぼくはよくお散歩する人間たちから誰何されたのである。
春は、ばけねこ。
山路で寝そべりながら、こう考えた。 勘が働けば耳が立つ。
黒猫をば早積み果てつ。
トンネルを抜けるときがやってくる。 そして、ボクが待ってる。