年末

実家に帰ってきている。

昨日は学生時代を過ごした街に行った。
子供らと夫を乗せ、実家から車で一時間ほどのドライブ。

懐かしい道を走れる、と楽しみだったのに、
友人との待ち合わせ場所まではGoogleマップに頼りきりだった。
十年前、あんなに馴染んだ街だったのに、道をすっかり忘れていた。

ショッピングモールで友人と合流し、昼食を食べ、彼女の懐妊を祝い、娘にすみっコぐらしの文房具を買い、帰路に着く。

離れていた十年間で街はすっかり変わっていた。
去年も一昨年も来ていたはずなのだけど、変化を実感したのはこれが初めてだった。
雑多な感じの田舎だったのに、整然と区画は割られ、無機質なマンションが幾つも置かれていた。
荒っぽい運転で有名なここいらのドライバーも、皆丸くなっていた。
二車線の幹線道路で80km/hを出し、頻繁に車線変更をしながら走る車が全然いなかった。

夜、91歳になる祖母のことで話がある。と母に言われた。
末期癌だと言う。
そうか、と思った。
遠くで一人でなんとか暮らしてはいるものの、耳は遠くなり、記憶が曖昧なこともある。なにしろ年が年だ。
ここ数年、いつ突然いなくなるか分からないな、と漠然と思ってはいたが、老衰で、でははなく癌が原因となるのか。

祖母がこの事態をどんな気持ちで受け止めているのか、母親の話からは分からなかった。
ただ、心穏やかに過ごしていてほしいと思った。

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