いちばん好きなもの / #文字でスケッチ
お母さんと息子くんが商業ビル1階に設けられた室内広場のテーブルに座り、ハンバーガーを食べている。
幼稚園の年長さんか小学校低学年くらいか。
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お母さんは自分が持つハンバーガー越しに、わりと冷静な目で、息子くんの口元と手元と表情を見ている。
息子よ、口にケチャップがついてるね、服にはこぼしてないな、それにしてもニコニコとそんなに美味しい?
時々思い出したように次の一口を少しかじる。
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息子くんは視覚と味覚からくる情報で体中に幸せを満たしている。むしろ溢れ出てしまっている。あまりに輝く笑顔がそれを物語っている。視線は絶えずお母さんの顔だけを追ってニコニコ。ハンバーガーはオートマチックで口に運び続けてモグモグ。
お母さん、楽しいね、美味しいね。
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お母さんが息子くんの口のケチャップを拭い、それらの紙ゴミをまとめて一人立ち上がる。伸びた背に合わせて息子くんも目線を上げる。口元はいまもモグモグ。
お母さんが息子くんの背側にあるゴミ箱に向けて一人歩き出す。息子くんは大きく体を捻って、お母さんの歩みにじっと目を凝らす。口元がピタリと止まっている。
ゴミ箱に捨て終わって踵を返すと、お母さんの顔が息子くんに向いた。
とたんに彼が笑顔を取り戻し、そのニコニコは辺りをもパッと輝かせた。
同時に口元のモグモグも再開された。
趣旨とマガジンの説明: #文字でスケッチ とは
眼前の光景に心のひだが震えた。絵に留めるかシャッターを切るか。いや僕らには文字がある。どの一瞬も文字で切り取ることができる。文字ならではの流麗さを以ってスケッチを試みる。
集めたスケッチはWeb展覧会を模してマガジンに集約していきます。
お誘い: #文字でスケッチ してみませんか?
ルールというほどのものはありません。どなたでもスケッチしてみてください。ただ1つだけ、できればおすすめしたいことがあります。
それはトップ画像にその瞬間そのものの写真や絵を載せないこと。せめて“匂わせる”くらいにとどめておくことをおすすめしたいです。
文字で顕すスケッチの前段にいきなり“答え”が出てしまっていては、せっかくの空想の楽しみも半減してしまうと思うのです。
個人的には最後まで写真や絵がなくてもいいと思っていますが、載せたい方はぜひ文章のあとに貼ってみてください。
参加方法: #文字でスケッチ をつけて投稿
#文字でスケッチ をつけて投稿してくだされば、マガジンに登録させていただきます。僕とフォロー/フォロワーの関係にない方でも、初めましての方でも全く問題ありません。
(タグがないと気付くことができませんのでご了承ください。マガジン登録には少しお時間をいただきます。)
僕以外にもこの企画を面白がってくださる方がいらっしゃる場合は、何か次の展開も考えるかもしれません。
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