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2022年5月の記事一覧

「余白の愛」小川洋子

初版 2004年6月 中公文庫 あらすじ 耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれたわたしが彼に求めたものは…。記憶の世界と現実の危ういはざまを行き来する。幻想的でロマンティックな長篇。瑞々しさと完成された美をあわせ持つ初期の傑作。(Bookデータベースより) 小川さんの本4冊目。 こうして読んできて一貫しているのは、隔たった一つことに無心に取り組む登場人物たち。その文章は穏やかで美しく、一見ささいで退屈な日常を幻想的にロマンチックに切り取る。 反