好きな回答を語る(美術館に忍び込んだ泥棒が何も盗らずに帰った理由)

ちょっと好きな回答について語ってみたいんですが、今一番この回答を意識しながら大喜利を考えているっていう、お手本にしてる回答なんですが…。

お題が「美術館に忍び込んだ泥棒が何も取らずに帰った理由」で、回答が「額縁に入った自分の指名手配書があった」です。これはどこで見たのか、誰の回答なのか、あと回答文自体がちょっと正確じゃないかもしれなくてあんまりよく覚えてないんですが、とにかくこの回答、なんか最初はあんまり気にならなかったんですけど、見れば見るほど味がある回答というか、お手本にするべき良さがある回答だなと思ったということです。

それで実際にどこが良いのかについて、それこそパッと見たらあんまり目を引かないというか、ちょっと字面が地味なんですけど、これはディスってるわけじゃないんですけど、要するに、にゃんこロボとしては、回答文の前半をフリ、後半をオチとした時に、オチを見たときにすごく「裏切り」を感じたというか、この「裏切り」、つまり回答前半を見た段階ではこのオチは全然予想がつかなかったということです。

これ、面白い回答はみんな、この予想外のオチというのを含んでると思います。逆に、「はいはい、そういうことね」っていう想定内の回答だと既視感があるということであんまりウケないんじゃないかと思うんですが…。

「額縁に入った」という回答前半から、にゃんこロボは「自分の指名手配者があった」という後半は想像つきませんでした。これはもちろん人によるし、あるいはその時のなんかパッと目に入った時の、瞬間的にどう解釈するか、その文章をどう読むかっていうことによって、それこそその日の体調とか気分とかによってまた変わってくるかもしれませんけど…。

そして、その、少なくともにゃんこロボは想像つかなかったオチだったにもかかわらず、「自分の指名手配書があった」というオチは、お題への沿い方としては単純というか、「泥棒が逃げた理由」としてすごいド真ん中というか、一番手前というか、いわゆるお題に「近い」言葉を使っているので、本来、そこで「裏切り」を作ろうと思ってもその裏切りが凄く読まれてしまいやすいはずなんですけど、にもかかわらずその時のにゃんこロボとしては、全く、「指名手配書があった」というオチにつながると思わなかったというところで、こういう、「お題から近い言葉を使っているにもかかわらず、予想外のオチである」っていうのが、この回答の、他の回答にはなかなか無い部分というか、ちょっと美しさすら感じるというか、そういう綺麗な回答なんじゃないかと思ったんです。

でもなぜ、このオチを予想できなかったのかということをちょっと考えてみたんですが、思うににゃんこロボの結論としては、「額縁に入った」という回答前半のフリが、全然オチに意味を持ってこないというか、つまり、前半の「額縁に入った」っていうフリが、フリとして全然伏線回収されないというところがすごく、この回答の斬新なところなんじゃないかと思います。

思うに、こういう「×××な●●●があった」っていう形の回答においては、「×××な」っていう修飾があるからこそというか、「それ込みでお題に沿う」っていうのが多くの回答なんじゃないかと思います。

そんな中で、今回の回答でいう「●●●があった」にあたる「自分の指名手配書があった」はそれだけでお題に沿えていて、では逆に「額縁に入った」っていう修飾はどういう意味でこの回答文の中に入ってるかというと、結局、泥棒視点で見た時の出来事を時系列で描写した結果でしかないということです。つまり、たしかにそういう、額縁の中に自分の指名手配書が入っているっていうシチュエーションのところに泥棒がやってきたら「額縁に入った自分の指名手配書があった」と思うというか、そういう感想を持つのは当たり前ですけど、これは泥棒視点の話であって、神視点で見た時、実際に泥棒を帰らせた本質的な理由はなんだったのかというと、別に額縁に入ってるか入ってないとかは関係なく、とにかく「自分の指名手配書があった」ということです。

つまり、「額縁に入った」っていう修飾語が、ただの泥棒視点からの状況の描写にすぎなくて、結局、そういう修飾がなくても「指名手配書があった」っていう後半部分だけでお題に沿えているわけです。この場合、にゃんこロボみたいに、「額縁に入った」ってところまで読んだ時に「額縁に何かが入っていて、その関係性込みで、まとめて、『泥棒が逃げた理由』になるんだろうな」と思って読み進めた人にとっては、すごい裏切りというか、予想外のオチになるということで、ちょっとこれは面白い回答だなと思ったというところで、こういう回答っての珍しいんじゃないかと思います。

そういう意味ですごい新しいというか、印象に残るというか、ちょっと真似してみたい回答でありながら、これ真似しようと思うとすごい難しいんですよね。とにかくそんな感じです。

以上!


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