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妖精の瞳と髪が語る「タタールの軛」

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アリーナ・ザギトワの瞳と髪は黒色だ。競技だと金髪に染めたりしてるが、ほんとは黒。これは歴史に由来する。

ロシア史には「タタールの軛」と呼ばれる、モンゴル帝国への従属の期間があり、概念的にこう呼ぶ。

「軛(くびき)」とは牛馬を御する時にその首に付ける道具。ロシアがモンゴルに押さえつけられていた時代、という意味で世界史の教科書でも出てくる。

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モンゴル帝国のバトゥの西方遠征によって、1240年にキエフ公国が滅ぼされてから始まり、ノヴゴロド公アレクサンドル=ネフスキーはキプチャク=ハン国にみずから進んで臣従し、1252年にはモンゴルの力でロシア正教の主教座のあるウラディミール大公となった。

その後、ロシア諸侯はキプチャク=ハン国に対して貢納するという形で服属を続けた。1480年にモスクワ大公国のイヴァン3世がキプチャク=ハン国から自立してその軍を撃退し、「タタールの軛」は終わる。

この時代に、モンゴル系との混血がすすんだ。この混血系の子孫が結構いる。この子孫がアリーナ。アリーナの故郷のウラル山脈周辺は、モンゴル系のような顔立ちも結構いるようだ。

彼女の瞳や髪の色はこの歴史に由来する。

なお、同時代に日本は文永の役・弘安の役でモンゴル軍を福岡にて撃退した。モンゴルを撃退した大陸の東西の両端は、封建制を経て近代化という類似の世界史を辿る。


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