反出生主義と反出生賛美の違い、反出生賛美の動機について

反出生主義とは、道徳論的に生殖を悪だと考え、あらゆる生殖に反対する思想です。
これに対して、反出生賛美は、出生や生殖を賛美することに反対することです。

反出生賛美には、様々な動機があります。
一方で、個人の自由を重視する立場やフェミニズム的視点などから、親になりうる(と思われている)人に対して、半ば強要じみた生殖の推奨を行うことに対して反対している人もいます。これに近い思想で、種差別に反対する立場から、ヒト以外の動物に対して生殖を強いることにも反対している人もいます。
他方で、優生思想的な立場から「劣った」(と決めつけられている)人々の生殖・出生に否定的な人も残念ながら存在します。
さらに、環境負荷軽減の観点から人類の生殖・出生に批判的で、人類の絶滅を目指す人々もいます。
もちろん反出生主義者も出生賛美に反対しています。

私は、「道徳論的に生殖を悪だと考え、生殖に反対する」反出生主義者です。私は人口に占める反出生主義者の数が増えることを歓迎しています。一方で、「道徳論的に生殖を悪だと考え、あらゆる生殖に反対する」思想を持たない人が、安易に「私は反出生主義者だ」と名乗る事例も散見されます。
「私は反出生主義者だ」と名乗る前に、まずは自身が「道徳論的に生殖を悪だと考え、あらゆる生殖に反対する」思想を持っているかどうかを考え直してはいかがでしょうか。この際に、自身の反出生賛美思想の動機についても見直してみることが、自身が反出生主義者かどうかを判断するヒントの一つになるのではないかと、私は考えます。(2024年10月3日13:55, 文章の結びを若干修正)

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