『モスティマさんといっしょ!!!』フロストリーフIFルート

注意!

これはハーメルンにて掲載中の拙作「モスティマさんといっしょ!!!」のIFルートを描いたものです! そっち読んでないと怪文書なので気を付けてください!あと15,000字くらいあります! 長いです! アテンション!

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フロストリーフIF


冬に眠る


「強襲だと?」
「そうだ。君たちの役目は、端的に言えば囮役だ。思いっきり引っ掻き回して撹乱しろ。できるな?」
「断るね。依頼っつーから来てやったがこんなもんお門違いだ。傭兵に頼みな、俺はトランスポーターさ」
「頼む、君たちの力が必要なんだ。……いい加減、この国は救われないといけない。政権を変えねば──」
「クーデターね。……知られたからには、逃さねえとか言わねえよな?」
「断ったからといって、君も無傷では済まないだろう」
「あん? どういう意味だよ?」

無骨で飾り気のない机に肘を付けて、目の前の男は重い声で脅した。

「──すでに、君は現政権にマークされている。危険人物、もしくはこちらに協力している重要人物だとな」
「……クソがッ! 図りやがったなッ!?」
「少しでも戦力が欲しい。済まないが──協力してもらう。何、この戦いに勝った暁には、軍の上級ポストでも用意しよう」
「てめえ──いますぐ殺してもいいんだぜ」

不安定な情勢への配達は、とにかく護身が欠かせない。どこから来てもいいように、誰が襲ってきてもいいように。

「これは人々を救う戦いだ。私たちには大義がある。頼む」
「俺に死ねってのか。俺は”ウォールブレイカー”の相手なんざごめん被るね。死にたくねえんでな。じゃあな──」

テントに入ってくる人影。

「いいや──。アルク、戦おう」
「フロストリーフ。お前どこほっつき歩いてた?」
「この国を見ていた。……まるでいつだかのクルビアだ。見てられない」
「お前な、死んじまったら元も子もねえだろうがよ」
「だが──苦しんでいる人々を見捨てられない」
「つってもよ……」

この国は死際にある。そのくらいは俺でも分かった。現政権は麻薬カルテルと繋がってやりたい放題で、警察なんてクソの代名詞だ。金がないから生活は貧しく、そこに麻薬やコカインが持ち込まれて──。

ひどい匂いのする場所だ。どこにいても──。

諸外国による介入は秒読みとされているが──当分どこも動くことはないだろう。

その理由は、この国の軍部にある。

この国は、非常に多数の感染者を抱えている。感染者はいずれ来る死と引き換えにして、強いアーツ適正を得る。

この国は、それらアーツ適正を持つ大人や子供を連れてきて、強力なアーツ部隊を編成したのだ。それこそ、昔いたラテラーノのアーツ部隊なんかの比じゃない。映像を見たことがあるが──あんな掃射喰らえば、蟻一匹まで残らない。巨大な爆弾でも投下されたかのような威力だ。

それ故に、恐れている。

このアーツ部隊の短所は明確で、人員の補充がままならない。なんせ鉱石病は死に至る病だ。十年も経てば部隊の人数は半分以下になり、二十年も経つ頃にはゼロになっている。無論、新しく補充しないのであれば……の話だが。

「……死んじまうぞ、連中にとっての最大の脅威は時間そのものだ。あと五年も経てば、厄介な連中は全員死んじまうだろ。それまで待ったらどうだよ」
「──私たちは、もうずっと待っていた。生まれた時からずっと待っていたのだ。だが救世主は現れることはなく、この国は年々疲弊して、いずれ食い尽くされて死ぬ。私たちがやるしかない。もう待っていられん……ッ」

レジスタンスのリーダーは冷静に言ったが、その発言の奥底には堪えきれない怒りと悲しみが渦巻いている。そのくらいは分かった。

「昨日、友人の妹が死んだ。幼いながら優しい子だった、よく一緒に食事を取ったり、遊んでやったものだ。だが強盗に遭ってな、殺されてしまった。私の父はコカイン漬けになって──ついには母を殺そうとしたから、私が殺した。この国の道を歩けば見えるだろう。こんなことは、珍しくもなんともない。ありふれた悲劇だ。だが……私たちはもう傷つき過ぎた。ようやく武器が揃った」
「誰を、どのくらい殺すつもりなんだ。あんたらは……」
「何、この国を平和にするためには……そうだな。五千人程度で済むさ。この国が殺してきた人々の数に比べれば、些細な数に過ぎんがな……」

人を救うために人を殺すのは、そう珍しい判断ではない。そういうことは確かにある。

どうにもならなければ、殺すしかないこともある。死でしか解決できないこともある。戦争とは、その終着点だ。

「やろう、アルク。見過ごせない」
「……死ぬぞ。マジで──今回ばかりは相手が悪い……。命削って戦うイカれ部隊相手に生き残れるとは思えねえ。死んじまったらおしまいなんだぞ、分かってんのかフロストリーフ」
「私たちが戦うことで生きる人々がいる。それでいいさ」
「──クソッ、お前……。いいさ、分かったよ。やる。やるよ」

フロストリーフはもう子供じゃなくなっていた。

それは──フロストリーフ自身がきちんと判断して出した答えだ。

「……いいのか?」
「こいつは一度言い出したら聞かねえ。それにちょうどいい。……いい加減死に場所を探してたところだ」

鉱石病の侵食は末期だ。それは俺も、フロストリーフも同じことだった。

「……ありがとう。感謝する……本当に、ありがとう」
「いい。別に最初から死ぬ気で行くわけでもなし。俺たちは強いし、そのまま勝っちまうかもな」
「ああ。私たちに任せておけ」

リーダーは深く帽子をかぶって軽く頭を下げた。

「……感謝する」

ラテラーノを去ってから五年が経った。

俺はあの時、すがりつくフロストリーフを振り払うことができなかった。

フロストリーフはロドスに行くべきだと思ったのは確かだ。だが──。

『置いていくなら──噛みついてでもついて行ってやるぞッ! 離さない、絶対においてなんて行かせないからッ! お前を一人にさせないからぁッ!』

俺はあの時、判断を誤った。

今でもそう、思っている。

『……すまんモスティマ。依頼は取り消す。……じゃあな』
『そっか。君は彼女を選ぶんだね。少しだけ……寂しいかな』
『……悪いな。また会おうぜ、モスティマ。……フロストリーフ。行くぞ』
『ああ』

あの冬はそうして終わりを告げた。

それから俺たちは旅をし続けていた。

俺の罪を──どこかにある、死に場所を探していた。



世界の片隅に、とある国があった。小さな国だ。

「……それにしても、確かに酷え場所だ。故郷を思い出す」
「ああ。確かに……似ているな。ウルサスのスラムは行ったことがないが……私の生まれた場所にも似ている」

砂埃が舞い散る貧困の国。

あのスラムもこんな場所だったな。懐かしい気がする。もちろん、ここに先生の墓はないし、見知った顔なんているはずもない。もっとも、スラムで暮らした時の顔馴染みなんて、今頃生きてるかどうかは怪しいが。

「ところでアルク、ウォールブレイカーとは何だ?」
「……お前、知らなかったのかよ……。この国のアーツ部隊の別称だよ。大量のアーツが街を直線状にぶち抜いて、その瓦礫の中を移動してくんだ。そんでついたあだ名がそれさ」
「街を? なんでだ?」
「本当に何も知らねえのな……。ちったあ勉強したらどうだよ」
「いい。私の役目は戦うことだ。考えることは、アルクに任せているからいいんだ」
「お前ね──まあいいけどよ。この国が実質的な独裁体制にあることは知ってるか? 政府がそうやってアーツ部隊を動かすのは、つまり武力の誇示だよ。そうやって逆らわせる意思を挫いてくのさ。さらにアーツ術師を優遇して軍に引き入れることで、民間人から優秀なアーツ術師を集められるってことだ」
「だが、なぜそんなことを……」
「隣国からの脅威から身を守るためだ。ここの隣の国がウルサスと仲がいい。つまり、協力して攻められんのが怖えんだよ。ここには天然資源も多いしな」

また、その資源系の仕事に関わる人々は裕福で、それがさらに貧富の差を増やしている。そういった人々が政府への発言権を持ち、やがて腐っていった。

この世界──テラでは、それほど一般的な国でもないがそう珍しいことでもない。個人レベルで見ればどこにだってあるような争いが、国レベルにまで拡大しただけの話。

それだけの、話。

「こんな話を知ってるか? 一年くらい前まで現政権と対立してた反政府組織があってな。その組織の反政府活動に危機を感じた政権が強硬策に出た。ウォールブレイカーを動かして、まとめて敵対組織を皆殺しにしようとしたことがあった」
「それでどうなったんだ?」
「酷えぜ? 反政府組織はここからちょっと離れた街に拠点を構えていたんだが──その街を丸ごと更地にしたんだ」
「……それは酷いな」
「ああ。その街を国家に牙を向く売国奴だって難癖つけて、一般人ごと虐殺だ。アーツ部隊の進行ルートに民家とかあったんだが、全部ぶっ壊しながら進行したんだよ。家とか建物とか全部吹き飛ばしてな──それからウォールブレイカーっつー仇名が付くようになった」
「抵抗しなかったのか、殺されようとしていたんだろう?」
「当然したみたいだぜ。だが──無意味だった。重度の感染者がより強いアーツを放てるのは分かるだろ。どんな防御も無力だったし──何より、殺されたっていくらでも代わりがいる。死をも恐れぬ軍隊さ」
「軍隊だって人のはずだ。なぜそんな命令に従う」
「うまいことやってんだ。選民思想っつーのかな……ウォールブレイカーの強力なアーツは神に選ばれた証で、それ以外はゴミっつってな。国民全体にそういう意識を植えつけんのさ。それに加え、軍人はかなり裕福な暮らしができるようにしてるのもデカい。そうすることで、国民は豊かな暮らしを求めて軍に入るようになる。で、ますます軍は強くなるって訳だ」
「……未来がない。そんなんじゃ……いずれ滅びる」

怒気のこもった呟き。

靴を買えない子供たちが俺たちに群がって、金を恵んでくれとせがんだ。フロストリーフは微笑んで、チョコレートを渡した。

「ほら、食べるといい。すまないな、このくらいしか渡せるものはないんだ」

子供たちは喜んで、裸足のまま駆けていく。貴重な甘いものだ。……誰かに奪われなければいいが。

子供たちを見送った。

「……ここまで酷え国は初めてだな」
「アルク、私たちが出来ることがあるはずだ」
「お前さ。人を救うために人を殺すってどう思う」
「……正直、分からない。だけど、私にはそれしか出来ない。アルク、お前なら──他に何か方法が思いつくんじゃないか?」
「どうにもならねえさ。難しいことだ。殺すのが一番楽で、殺さずに変えるのは難しい。マジで難しいことだ。何かを変えるのも、誰かを救うのも、全力で何年も取り組んで、一人救えるか、救えないか。俺には出来そうにねえ」
「アルクは私を救ってくれたじゃないか」
「くく……。そうかよ。だがそりゃ間違いさ」
「そんなことはない。私はずっと忘れない。……忘れないさ」


トランスポーターは手紙や情報や、物、場合によっては人を運ぶこともある。

俺はその生活の中で、ずっと何かを探していた。

何を探していたのかは分からない。

けど何かを探していた。

俺はそれを探してトランスポーターになったようにさえ思う。今となっては分からないが、確かに探していた。

『お前さ、このままでいいのかよ』
『? いきなりどうした』
『俺はな、今からでもお前をロドスに送って行ってもいいと思ってる』
『またその話か。いい加減飽きてきたな。アルク、私はお前と一緒に居たい。それは私が選んだ答えだ。……ちゃんと選んだことだ、心配しなくていい。これでいいさ』

ガキ一人連れて、ガキはいつの間にかガキじゃなくなっていて。

『それで、今度はどこに行く?』
『次か。次はな──』

長い長い旅を続けていた。

どこかに滞在して依頼をこなすこともあったし、いろいろな事件に巻き込まれたりもした。どの事件も厄介だったが、俺たちはいつも最後には生き残って笑った。乾杯っつって。

長い長い旅だった。

死にかけたことも多かった。

『起きろ、起きろフロストリーフッ! 死ぬんじゃねえ、生きろっつってんだッ、頼む……ッ!』
『──、ゲホッ、う──、……く、ここは……』
『! 起きた──、動くな、まだ傷の治療が済んでねえッ……』
『私たちは、勝ったのか……?』
『安心しろ、お前のおかげでな。……良かった、クソ。本当に……』
『なんだ、珍しいな。泣いているのか?』
『ば、バカ野郎! 俺が泣く訳ねえだろうが! クソ、お前死にかけたんだぞ!? わかってんのかよ……』
『私は死なない。アルク一人残して死ぬつもりはないさ。安心しろ』
『お前な……』
『ふふ、珍しいアルクが見れた。たまには無茶してみるものだな……』
『二度とこんな真似すんなよ、マジで……』

俺が誰かを心配するだって? 冗談キツいぜ、キャラじゃねえ。あり得ねえ。あり得ねえっつーの……。

『クソ……良かった。良かった……本当に、生きててくれて、良かった……』

探していた。

人か物か、場所か出来事か。

何かを、ずっと探していた。

ずっと、今も探している。

何かを探している。

「作戦の概要を説明しよう。まず、この作戦は今夜行う」
「おいおい……せっかちだな。今夜だと?」
「これでも十分すぎるくらい待った。うんざりするほど準備した。君がいてもいなくても、私たちはやる。だが、君たちのような戦力は喉から手が出るほど欲しかった」
「……どのくらい戦力があるんだ?」
「大した量じゃない。五千もいない。だが……みな勇敢で、この国の未来のために死ぬ覚悟がある。本当に彼らには感謝している。彼らと共に戦えることは、私にとっての誇りだ。もちろん、君たちとも」
「別におべんちゃらはいい。依頼はこなす。トランスポーターだからな」
「本当に感謝する。早速強襲作戦に関しての説明を進めよう。まず場所だが──」

本拠地の襲撃。目標は現政権の要人の暗殺。

「皆殺しにしなくていいのかよ」
「最低限、国の運用に必要な人材は残す。私たちとて、国営を知っている訳じゃない。これからを考えるなら、虐殺こそ不要だ。殺さなければならないのは政権のトップと、その取り巻きだけだ」
「……案外ちゃんとしてんだな」

時刻、夜中。

俺たちの役目は陽動。レジスタンスの部隊の、独立ユニットとして行動。アーツ部隊……ウォールブレイカーの注意を引き付けること。

別働部隊──要人の家を襲撃する部隊がウォールブレイカーに攻撃されないようにするのが、俺たちの役目。

つまり、一番危険な役目ってことだ。

「今夜、この国は変わる。……私たちが変える」
「俺たちが裏切る可能性は考えねえのか?」
「リスクを考慮しても、引き入れる価値があると判断した。それだけだ」
「くく……。良かったな、お前は賭けに勝った」
「これは個人的な質問なんだが……君は、人の死についてどう考えている?」
「……。何も。死ぬだけだ。そこに特別なんかありゃしねえ」
「案外冷たいのか?」
「死を特別視してねえだけだっつーの。……俺たちが勝手に死を特別に思うだけだ。勝手に悲しんだりするだけだよ。違うか?」
「死が冷たいことに変わりはないだろう」
「そうだな。ああ、一つ忠告だけどな。殺せば、いつか殺されるぜ」
「因果応報ということか? ままならんな、私たちは正義を為そうとしているというのに」
「ハ、まるでそんな顔には見えねえぞ」
「やはりそう見えるか? はは、自分でも白々しいと思った。……所詮復讐さ。そして、その過程で多くの人々が救えるだけの、ただの──」
「立派だな。いいことだと思うぜ。どの道、やることは変わらねえんだ」
「そうだな。ブリーフィングは以上だ。また連絡する」

テントを出た。

フロストリーフが子供達と遊んでいるのを見つけて歩いていく。マジで作戦とか俺任せにしているらしい──。

俺を見つけて立ち上がる。

「よぉ」
「ああ。そうだ──せっかくだ、アルクも混ぜよう」

子供たちは興味津々で俺を見た。ちょっと……子供は苦手なんだよな……。

いつだかのスラムを──アメリアを思い出した。……やっぱり苦手だ。苦手になった。

「何してんだ?」
「いや、勉強を教えていたんだ。みんな熱心でな、楽しんでくれている」

お兄ちゃんだれ? と小さな女の子が聞いた。

「俺か? 俺は──」

とっさに答えが出なかった。

子供たちが知りたいのはつまり、フロストリーフとの関係なのか? いや──。

俺は真実、何者なんだろうか。

「俺は──まあアレだよ。トランスポーターだ。はは、せっかくだし面白いこと教えてやる。あのな、火薬って結構身近なもんから出来て──」

適当に誤魔化す。

はしゃぐ子供たちは元気だ。痩せほそって、靴も買ってもらえないが──その元気は有り余っていた。どこでもそうだな──子供は、どこでも元気だ。

フロストリーフが俺をじっと見ていた。気づかれてたか? なんかちょっとアレだな……。居心地が悪いが、俺は子供達と遊んでごまかした。

「──トランスポーターはいろんな場所に行くんだよ。そりゃーもういろんな場所にな。だがテラ全部を回り切ることは出来ねえ。世界は広いんでな」

じゃあ、次はどこに行くのー?

子供の一人が聞いてきた。

次は──。

「次は──。そうだな。次はな」

どこまで行くのー? えー、家に帰らないのー?

「家? 家か──俺は家はねえな、そういや……。バイクが家みたいなもんだしな。もう帰る場所なんてねえ──なんつってな。はは、冗談だよ」

じゃあなんでそんなことやってるの?

「最初は世界を見て回りたかったんだが──そうだな。俺はな、探し物をしてんだよ。そいつをずっと探してる」

探し物? なんでー?

「さあ、なんでだろうな。分からねえが──知りたいことがある気がする。曖昧だが、確かなんだわ。……分かんねえか」

えー、なんで、なんでー?

フツーに暮らせばいいじゃん、なんでー?

「そうだな。なあ、普通ってどういうことだと思う?」

知らないー!

「ああ。……誰もそんなこと知らねえか。まあ頑張れよ。上手くいきゃあ、明日からこの国は変わる。今よりいい暮らしができるようになるかもな」

え、本当!?

うそだよ、そんなことできないってー。だってお父さん言ってたもん、もうこの国はどくさい者がいるからって!

「……まあな。そうだな。でもいなくなるかもしれない。そしたらどうなると思う?」

え、分かんない!

お肉が食べられるようになる! おれ食べてみたい!

「……そうか。まあ──この国じゃ食えねえよな。何食ってんだ、普段」

パンと水。でもいっつもすぐ腹減る。お金ないから、買えない。

「そうだな。……悪りぃ、俺らはそろそろ行く。暗くならねえうちに帰れよ」

じゃあねー!

「ああ、じゃあな。フロストリーフ、行くぞ」
「ああ」

少し歩いて、フロストリーフが聞いてきた。

「探しているのか?」
「……ガキに話すような話だ。真面目に聞いてくんなよ……」
「いいや、真面目だ。確かに──私たちは一体、どこまで歩いていくのか。大事な話だろう」
「死ぬまでだ。……もし鉱石病じゃなかったら、違う道もあったのかもしれねえが──俺はもうじき死ぬ。その時までな。お前はそん時どうする」
「そうだな、その時はお前の真似事でもしようかと思う。トランスポーターも悪くないしな」
「お前がか? ……まあ、もう半分トランスポーターだしな。傭兵っつーか……」
「私はアルクの相棒だからな。雇われというよりは──もう私も、トランスポーターなのかもな。ふふ……」
「やれやれ、国際資格も持ってねえ野郎が偉そうによ。はは──今更か」
「今更だ。何年一緒にいると思っているんだ」

いつだかの──。

もう、六年も経つのか?

砂利を踏み締めると、薄く高い、石が擦れる音がした。

並んで通りを歩いていく。同じ歩幅で──。

ずっと歩いてきた。これからも歩いていく。一緒に。



『あれ──アルク?』
『……モスティマ。久しぶりだな、3年振りくらいか?』
『もうそんなになるのか。早いね、時の流れって──。ところで、君の相方はどうしたんだい?』
『まだ寝てる。昨日は珍しくはしゃいでてな──』

朝日の照らすどこかの国で、モスティマに再開したことがあった。

『……にしても、お前は変わらねえな』
『あれ、そう見えるのか……。私も結構色々あったつもりだけど、……まあ、君ほどじゃないか。君はずいぶん変わったね』
『変わった? 俺が──?』
『うん。なんか、ちょっと優しく見える』
『……マジかよ。俺がか』
『顔の話じゃないよ? なんというか──雰囲気が変わったかな』

乱暴に頭を掻いた。ちょっと居心地が悪い……。

モスティマは寂しそうに微笑んだ。

『あの子のおかげかな』
『……うぇ、やめろそのニヤニヤした顔……』
『いいじゃないか、この程度は許してくれよ。私と君の仲だろう? ふふ……』
『お前な……』

朝の静寂は、どこの国でも共通している。

誰もいない石畳の中に、俺たちだけが佇んでいる。

少し会話が途切れて、ぼーっとその景色を見ていた。

『……お前さ、トランスポーターの仕事はどうなんだ?』
『うん? あー、まあね。悪くないよ。ほら、君がいつだか紹介してくれたエンペラーの所で働くことになってさ。まあ、それなりに楽しくやってるよ』
『そうか。よかったよ』
『あれ、なんか素直?』
『ま……次に会えるかも分からねえ職業だ。ちょっとはな』
『別に、連絡くらい……』
『出来ねえだろ。龍門くらいの通信技術が世界に普及してんのなら、別に出来るだろうが……、あんなもんが普及したら、俺たちは商売上がったりだぜ?』
『それもそうか。ということは、こうして会えたのはかなりのラッキーだね』
『全くだ。俺はもう会うことはねえと思ってたぜ』

太陽が眩しい。

強い光が街の影をより濃く照らし出して、朝のコントラストを描いた。

モスティマの輪っかが黒く照らされているのを見ていた。

……本当に、久しぶりだ。

『そういえば、君って家とかないんだっけ』
『ああ。どうせ帰んねえし……結構金かかるしな。金が貯まる職業でもねえだろ』
『え? 私は結構あるけど』
『……マジかよ。俺もエンペラーのとこ行っときゃよかったかな……』
『いつでも歓迎さ。今からだって来てみたらどうだい?』
『冗談だよ。金なんて要らねえ、別に無くたって生きてけるし』
『まあそうか。じゃあ、何が欲しいんだい?』
『────』

俺は何かを言おうとした。

だがとっさに言おうとした言葉は喉に突っかかって言葉に出来ないまま、俺は朝日を見上げた。

強い光が目を焼いて、それしか見えない。

──日中、星は見えない。太陽が沈んで、初めて星があると分かる。

それに似ていると思った。きっと俺が探しているものは、失って初めて気がつくものだ。太陽が登っている間は分からないものだ。

なのに、ずっと探してる。

どっかにあるはずの、昼間の星を、見えるはずのない──。

『……そっか。寂しいな。私も、君と一緒に居たかったのになあ』
『? なんの話を──』
『どこにでもある失恋の話さ。ああ、こんな──分かってたのになあ。人を羨んだのは、これが初めてだよ。あの子が羨ましい』
『モスティマ、お前……』
『君のことが好きだった。……私はもう行くよ。じゃあね』

モスティマは歩き出した。

俺はその背中に何も言えず──。

『ああそうだ。一つ言い忘れてたことがあったかな。あのねアルク』

モスティマは足を止めて振り返った。

『見えないからって、そこにないってことじゃない。……頑張って。応援してる。君の月明かりはきっと君を照らしてる』
『……! モスティマ、』

遠ざかる背中に向けて俺は叫んだ。

『俺もな! お前のことが好きだった! 俺はお前の幸せを願ってるから──ッ!』
『……今更、遅すぎるけど──ふふ。まあ、それだけで十分さ。十分……救われた。それじゃあねアルク。さよなら』
『じゃあなモスティマ……。さよなら』

歩き出す背中を見送った。

それが二年ほど前の出来事。

それから、二度とモスティマに会うことはなかった。

まだ、探していた。

月明かりを探していた。

今もまだ、探し続けている。

ずっと、どこかにあるはずの──。

探している。


「──ク、アルク。おい、聞こえているのか」
「あ? ……いや、悪い。ちょっと呆けてたみたいだ。どうした?」
「作戦十分前だ。全く、どうした?」
「悪いな、もう大丈夫だ」

静かな夜。

微かな月明かりと街に数えるほどしかない街灯がぼんやりと景色を照らす。

軍の駐屯地、そのアーツ部隊の宿舎。ウォールブレイカーは普段ここにいる。

俺たちはこれから有刺鉄線の向こう側に乗り込んで、大暴れする。それが仕事。

その間に別働部隊が政権の要人を根こそぎ暗殺する。それでこの革命は終わりを迎え、この国は救われる。

俺たち二人は先鋒部隊。俺たちが騒ぎを起こすのと同時にレジスタンスの陽動部隊500人が最も危険なアーツ部隊を相手に命を削る。

時間稼ぎが第一目標で、できればそのまま殺す。不確定要素の排除だ。

──木刀はもう捨てた。拳銃は全て実弾だ。

俺は重たい鉄剣の感触を確かめて息を吐いた。

「おーけー、生き残る覚悟は出来てるな」
「無論、最初から出来ているさ。アルクこそ、ここが俺の墓場だ──なんて考えてないだろうな」
「最初から死ぬつもりでいくバカがどこに居んだよ。あのガキ共が──この国がこれからどうなるのかにも興味がある」
「アルクはバカだからな。だが、私がいるんだ。死なせはしないさ」
「誰がバカだ。お前に守ってもらえなくとも、俺は死なねえし──俺たちは相棒だ。守るだの守られるだの……共に戦うのが相棒だ。違うか?」
「何も違わない。行こう」
「ああ」

鉄線を適当に切り裂く。

強襲作戦、状況開始。

対応が想定以上に早い。

非常警報が鳴らされるのが早すぎる。この状況を予見してたのか?

火炎のアーツを紙一重で回避し一線。首を跳ねる──次。近接術師の刀を弾き蹴り飛ばす。フロストリーフがすかさずそいつの心臓を穿つ。

血飛沫が散る。

狭い部屋から抜け出し廊下へ。だが場所が悪い──アーツ範囲内だ、もっとどこか、こちらのリーチを生かせる場所へ──なんて、温いことは言わねえ。ぶっ殺す。

鉱石病が進行するにつれて、俺のアーツも強化されていった。もともとサルカズだ、アーツ適正は高かったし、俺にはセンスもあった。

脚力強化、まあつまり力場を発生させているが、それをさらに高めてリーチを強化した。

「──居たぞッ! 生死不問だ、焼き尽くせッ!」
「遅え」

20メートル以内は、すでに俺のリーチだ。踏み込み一つで辿り着く。

血飛沫が散る。

「次だ。フロストリーフ、行けるな」
「まだまだこれからだ、アルク」

爆弾をそこら中に放り投げて建物をぶっ壊していく。

陽動なんだ、もう好きなだけ戦う。

各地で爆発音と咆哮が聞こえる。レジスタンスとウォールブレイカーの戦闘が開始されていた。

勘が警報を鳴らした。俺はフロストリーフを抱えて外へ飛び出した──集中砲火が突き刺さり、地面に隕石でも落ちたかのような穴ぼこが出来ていた。

「やべ、本隊か」
「いや、10人程度しかいない──」
「それでこの威力かよ、やべえかもな」

手榴弾、フラッシュグレネード、ついでにマシンガン。

金属で弾かれるような音。当然防御系のアーツを持つ術師も混じってるし、効果が薄い。

柱に隠れながら戦う。フロストリーフも氷結の刃を飛ばしているが、このままじゃ逃げ場を潰されて死ぬ。

「暗闇を利用する。隠密で行くか」
「了解。指示を」
「派手に暴れろ。俺が連中の背後に回って潰す」

暗闇を駆ける。戦場の音にかき消されて俺の音が誤魔化される。フロストリーフが物陰から飛び出して突撃した──無数のアーツをギリギリで耐えながら距離を詰める。無茶するぜ。

ルート確保。確殺範囲。

「な、どこから──ぐああッ」
「悪いな。死んでくれ」

首を跳ねる。近接戦闘に耐えうる防御系のアーツだろうが関係ない。装甲ごとぶち抜く。

血飛沫が散る。

「生きてるか、フロストリーフ」
「何、まだ行けるさ」

血が滲んでいたが──。

俺たちはまた走る。

「薄汚いクズ共が──ッ」

血飛沫が散る。

「死ね売国奴が、反逆者の行く末を教えてやるッ!」

血飛沫が散る。

「や、やめろ、頼む、助け──」

血飛沫が散る。

「貴様らはこの国の癌細胞だ、消え去れッ──」

血飛沫が散る。

血飛沫が散る。

血飛沫が散る。

また首を跳ねる。心臓を突き刺す。

意思を持って、必ず殺す。

しっかし、さっきから寒いな……。

視界もチカチカするし、息も苦しい。

さっきから距離感が分からない。何もないところでつまづきそうだ。

「生きてるか、フロストリーフ」
「ああ……問題、ない」

戦斧を杖にしながら血塗れでフロストリーフは凶暴に笑う。

「死にそうだが」
「それはお前もだ、アルク。右目が潰れてるの、気がついてないのか?」
「あん──? お、マジだ。寒くて気がつかなかった」

血液不足による低体温症、それとフロストリーフのアーツが気温をどんどん冷やしていく。

月明かりは雲に隠れて見えない。

戦場が少しずつ静かになって、死体が積み上がっていった。

生きてるヤツを探すのが難しい。それに視界も悪いし──だが、燃え上がった建物のお陰で動くものは見える。

フードをかぶった男が立っていた。

「お前で最後か?」
「……」

刀一本だけ。それがヤツの武装。

本能と、これまで培ってきた戦闘経験が警鐘を鳴らした。

強い。

「よくも、オレの仲間を……」
「……ああ、復讐か。なるほど、お前らみたいなのでも、仲間意識ってあったんだな」
「オレたちは……平和に暮らしたかった。軍に入れば、空腹で死ぬことはないからな……。だから、オレたちは命令に従っただけだ……」
「お前、何人殺してきた?」
「……。なぜなんだ? なぜお前は、オレの仲間を……友達を」

男の刀が燃え上がるように赤く染まる。風圧すら生み出すような威圧感。肌がビリビリと震える。

「お前が殺してきたからだよ。お前が殺した分、お前の周りの人間が死んだのさ。そしてお前も、同じ道を辿る」
「……殺すッ!」

剣戟が火花を生み出し、光が散る。

「フロストリーフッ!」

背後から氷結の刃。だが──。

「効かないッ!? アルク、こいつ硬い──!」
「オレを舐めるな──!」
「ぐッ!」

一撃を受ける。超重量のハンマーで殴られたような衝撃。……次は受けれねえ。

俺の鉄剣が曲がって砕けた。

マシンガンに切り替えるが──実弾が効かないのか!? さっぱり効果がないように見える。復讐者ってのは厄介だ。──自分の死を前提にしてるから、怖いものがねえし、強え。

近接格闘術に切り替える。脚力強化のアーツを併用した一撃で復讐者を吹き飛ばす。建物に吹っ飛んで衝撃が響く。

「やったか?」
「無理だろ、この程度じゃ死なねえ」

崩れた駐屯地のコンクリを吹き飛ばして復讐者は立ち上がった。

ゆっくりと近づいてくる。

「……全力でやるぞ。あいつ、マジでやべえ」
「了解した……。全て霜降る朧の刃──冷たく凍えて、惨めに果てろ……! 行くぞ!」

いくつもの刃が空を駆けて復讐者を切り裂く。ダメージは通っているはずだ──。

右手に力場を通す──地面を砕いて踏み込む。

土手っ腹を貫く一撃を拳に込めて、俺は振りかぶり──。

「ッ、ぐ──! なめ、るなッ!」

一撃を耐えた復讐者が刀を燃え上がらせ、振るう。

それが俺の右肩から先を斬り飛ばした。腕が宙を舞う。血飛沫が、散る。

「アルク! くそ、許さない──ッ!」
「下がれフロストリーフッ!」
「オレと、同じだけの痛みを──、死を──貴様らにもッ!」

間に合わない──いや、間に合わせる。威力が急激に上がった復讐者が危険だ。

だが──。

フロストリーフの胴体が一閃された。血飛沫が、散る。

やけにゆっくりと景色が流れた。

倒れるフロストリーフと目があって、──。

──────────。

「お、お前ぇええええええッ! ぶっ殺すッ!」

殺す、殺すッ、フロストリーフに、よくも……。

頭の熱さと引き換えに、無茶なアーツは俺に応えた。

右手を失って体のバランスが崩れていたが、そんなもの、何も関係がない。

殺す。

まだ俺は左手が残ってる、右足がある、左足もある、心臓は動いてる。

だから殺すッ。

吹き飛ばす。

フロストリーフの顔が見えて、一気に頭が冷える。

「おい、おい大丈夫か、おい!」
「……。冷たいな、アルク……」
「お前、おい、おい! クソ、クソクソクソッ! 凍らせろ、傷口を今すぐ凍らせろッ! まだ助かるはずだ!」
「……なんだろうな。さっきから寒いし、痛い……。私のことは放っておけ、まだヤツは生きてるだろう……?」

とっさに振り向いた。

まだ生きてる。しぶとい野郎だ、どこまでも……。

だが、無傷じゃない。

「すぐ終わらせてくる。いいか、諦めんじゃねえぞ、俺たちは生き残る」
「ふふ……。信頼してるさ、アルク」

左手一本で手榴弾のピンを抜く。

投げずにそのまま、最後のアーツを発動させて接近する。復讐者の抜刀。俺の体を切り裂いて、また、血が飛び散って──。

──手榴弾を放り投げ、復讐者を掴んで──。

そのまま爆発する手榴弾の盾にした。破片の衝撃が体ごしに伝わる。

そのまま投げた。復讐者の刀を掴み、心臓に突き立てて──。

それで、終わった。

振り返って、フロストリーフの方向に歩き出した。

「……。生きろ。生きろフロストリーフ。死なないでくれ……」
「……アルク。お前の方が今にも死にそうだ。ふふ……おかしい」

血溜まりに沈むフロストリーフに屈み込む。

視界がさっきから遠い。

フロストリーフが俺の手を掴んだ。

「なあ、アルク。私はな、お前と一緒にいられてよかった」
「……」

俺は力ないまま瓦礫の壁に、並んでもたれた。

疲れたな。

ぼんやりと、フロストリーフが俺の手を握った。俺は握り返した。

……月が出ていた。

そうか。

「……ずっとな、俺は、俺が生まれた理由を探していた」
「ああ」
「俺はな、考えてた……。なんで俺は、生きてんだろうってさ……」
「ああ」
「でも、やっと分かった。……そこにいたんだなあ、なあ──」

冷たい世界、だが、暖かいような。

フロストリーフの顔を見た。微笑んでいた。

「お前がいてくれて良かった。俺は、お前とここまで生きていられて、よかった。ありがとな」
「……私は、お前の役に立てたか?」
「十分さ。……俺は、ああ。なあ──」

遠く、遠く──。

「そこにいたのかよ、そりゃ見つからねえよな。ずっと隣にいたんじゃ、気がつかねえか……」
「アルク。私は、ずっとお前と一緒だから」
「ああ。……それで、いいよ。俺さ、お前に幸せになって欲しかったんだよな。ずっと、どっか遠く……俺のいない場所で暮らした方がいいって思ってた」
「本当にどうしようもないな、アルクは。私はこれでいい。これでいいんだよ」

遠く。

あのさ、フロストリーフ。

お前は俺に救われたつもりだっただろうが、そんなことはなかったんだぜ。あの時救われたのは、俺の方だったんだよ。お前は知らないだろうけどな──。

だから、ここが俺の終着点。

俺の長い長い、本当に長い旅の終わり。

笑えるよなあ、フロストリーフ。俺はずっとお前を探していた。ずっと隣にいた、お前を探していたんだ。バカだな。

「どっか……何か、別の未来もあったのかもなあ。ロドスとか行ってみてさあ、ちゃんと鉱石病を治療して──、そしたら多少は、今よりマシだったかもな」
「……そんな未来もあったのかもな。でもアルク、そうはならなかった。だからこれでいい。これがいい。私は……これでいい。いいよ」
「なら、良かった。良かったよ──」

なら、こんな終わりも悪くない。

あったかもしれない未来も、出会えたはずの誰かも、いらない。仮定に意味なんてない。この現実だけが──。

でも、冷たくなかった。案外……寒くないな。

「──そうだな、アルク。もう寒くない──……、おやすみ」
「ああ。いい夢を、フロストリーフ」

ああ、寒くねえ。

ゆっくりと目を閉じた。

やっと見つけた。やっと探し出せた。俺の月明かりを、この世界の──……。

おやすみ、フロストリーフ。



                                  フロストリーフIFルート 

                                      “冬に眠る”       了




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