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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ【イーブン・マイ・ジャンプ・リーチ・ザ・ヘブン】


◆初めに

ドーモ、nyamotomoです。息抜きにリプレイを一つ作りました。シナリオはトラッシュ=サンの【ニンジャの蟹工船】です。ルールは概ね2版に対応して行きたいと思います。

実は何度かプレイしたことはありますが、今まで一度も生還できていないシナリオです。今回こそ生き残らせたいですね!

では早速ニンジャを作っていきましょう。このシナリオは「ふわふわローン」を返せなかったニンジャが想定されているシナリオですので今回のニンジャにもサイバネを組み込んでいきたいと思います。

◆ヘブンリム (種別:ニンジャ)  DKK:0  名声:1   所属:ソウカイヤ
カラテ    4  体力   4
ニューロン  3  精神力  3
ワザマエ   5  脚力   5
ジツ     0  万札   −28
攻撃/射撃/機先/電脳  4/5/3/3
回避/精密/側転/発動  6/5/5/0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や特記事項
▶︎ヒキャクLV1、『◉常人の三倍の脚力』、『◉知識:カチグミエリア』、『◉疾駆』、○元ヒキャクパルクール

万札20の改造をしたので返済は2割増しの万札24です。中々頑張らないといけませんね。ではいよいよ本編です。


◆プロローグ

北方ドサンコの沖合。灰色の海の上を一隻の装甲船が枯葉めいて漂っていた。「ケジメを迫るヴィーナス号」。大手金融会社ネコソギ・ファンドの所有するUNIX操作方式のカニキャッチ漁船だ。

カニキャッチ。豊漁に恵まれた巨万の富を得た者があれば、魚のエサとなるものもいる、実際一種のバクチめいたハイリスクハイリターンの危険な漁である。今日も屈強な男達が生活ため栄誉のため、漁港からカニをキャッチするため出航する。

しかしこの「ヴィーナス号」の乗組員は海の男ではない。さりとて密漁者でもない。彼らは皆、大手金融企業ネコソギ・ファンド社の荷重責務者であった。返済不可能と判断された彼らはドサンコに集められ、規定額分のカニをキャッチする引き換えに借金を帳消しにすると説明されてこの「ヴィーナス号」に詰め込まれた。彼らは沈痛な面持ちながらも手を止めず真面目にカニ漁の準備をする。

だが待て?カニキャッチは先程説明した通りハイリスクな漁。漁師でもない彼らに規定額分など捕獲できるのだろうか?答えは〝ほぼ〟不可能。生還できるかすら怪しいだろう。そもそもネコソギ社には熟練漁師責務者で編成されたカニ漁師団が存在している。それと比べれば、「ヴィーナス号」の獲るカニの利益など微々たるものだ。

この船の存在意義はネコソギ社の社長ラオモト・カンのサディズムを満たすこと、唯それのみである。自身の作る地獄の中で死んでいく弱者が存在することはこの無慈悲な暴君にとって実に愉快な娯楽であった。彼らは実際ノーフューチャーな使い捨てのオモチャである。空は暗い灰色の曇り空。海はより暗い灰色の荒波。自分達の心象を表すようなドサンコ沖の光景に責務者達はため息をつく。

そんな責務者達の詰まった船内をモニター室の屋根から見下ろす灰色装束の存在あり。「もうすぐ漁場だ、非ニンジャのクズども!さっさと準備を済ませろ!!」檄を飛ばされた責務者達は屈強なヤクザやブラックメタリストすらもビクビクと作業を急いだ。まるでその灰色の存在が怪物か何かのように。

そして実際その通りであった。彼女の名はヘブンリム。ネオサイタマを影から支配する暗黒組織「ソウカイ・シンジゲート」の末端ニンジャである。ニンジャ…伝説上の半神的存在。彼女がその気になればこの船に乗る他の9人の責務者など容易く皆殺しにできるだろう。実際にヘブンリムは出航前に大柄なスモトリ責務者を見せしめに蹴り殺している。

しかし何故そんな怪物的な存在である彼女がこの装甲船に?理由は簡単。ヘブンリムもまたネコソギ社の荷重責務者であったからだ。彼女の足に光るオーダーメイドの最新式機械義足、ヒキャク。その購入に際して返済しきれぬほどのローンを抱えた彼女に対し、ネコソギ社の社長にしてソウカイ・シンジゲートの首領であるラオモト・カンはこの「ヴィーナス号」の監督をマルナゲした。死出の船旅へと送り出されたのである。

ヘブンリムは実際死んで困らぬ木端ニンジャ。モータルの前では無敵の彼女もラオモトの前では使い捨ての玩具であった。「死んでたまるか…。」ヘヴンリムは呟く。「アレ?何か言いましたか?」「ダマラッシェー!!黙って船を動かせ!」「アイエエエ…!」余計な詮索をするハッカーを黙らせヘブンリムは灰色の水平線を睨む。カニを獲り、生き残らなくてはならない。彼女の胸は不安と苛立ちで満たされていた。

・船と乗組員

装甲カ漁船「ケジメを迫るヴィーナス号」
装甲:6
LAN直結小口径砲(ダメージ1、射撃難易度HARD、ニューロン判定)装備

管理モニタルーム・クルー
・ニンジャ(つまりヘブンリムだ)
・ハッカー(漁船のUNIX管理とソナー索敵を担当)

乗組員一覧(いずれも本名不明)
・ペケロッパ風の男
・口元を麻布で覆った男
・ブラックメタリスト
・無軌道大学生
・トレンチコートにハンチングの男
・無軌道女子大生
・両小指をケジメしたヤクザ
・重サイバネの女

◆漁場到達1日目

それから数時間後。船はドサンコの海上、カニの漁業へと侵入していた。「ヘブンリム=サン。カニの群れです。レーダーに移りました。」「わかった。」UNIX制御装甲船の操縦者であるハッカーからの報告を受け彼女は屋根の上から責務者達に指示を飛ばす。「カニの真上だ貴様ら!キリキリと働け!」

作業を始めた彼らの姿を横目に見ながらヘブンリムは懐から年季の入った一枚のゲームコインを取り出した。(大変なことに巻き込まれちゃったね。)「あぁニメンタイ=サン。だが少なくとも君と一緒なのだから最悪ではないよ。」

このゲームコインはヘヴンリムが幼少期に友人から貰ったカチグミ専用遊園地のゲームコインであり、暗い幼少期にはイマジナリーフレンドとして親しんだ相手でもあった。しかしこの極限状況の不安と絶望の中で精神は限界を迎えた彼女は、再びイマジナリーフレンド・ニメンタイを潜在意識の奥底から呼び起こしたのである。平たく言えば彼女は狂っていた。

ナムサン!既にヘブンリムは発狂済みだ!精神力−1。

(あぁそうね…私も10年ぶりの再会とても嬉しいわ…寂しかったのよ?)「本当にすまない。もう二度と別れないと約束するよ。」「アッ…エット指示をお願いします。」「あ…?ああ、そうだったな。よし貴様ら!カニキャッチ開始!!」

カニキャッチ判定!乗組員からハッカーとヘブンリムを除いた数だけダイスを振り6がでればその数カニが獲れる。現在8ダイス→【43235233、0】何も取れず。

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数時間後!引き上げられたアミを見てヘブンリム含む10名は愕然とした。アミの中にはカニどころか小魚一匹なく海藻の生えた空き缶や古タイヤが転がるのみ。ハッカーがモニタールームから外に出てヘブンリムに話しかける。「ど…どうしましょう?これ以上やると確実にカロウシ・ラインですが…」ヘブンリムは応えず無言で立ち尽くしていたが、しばらくするとおもむろにコインを取り出して話しかけた。「どうすればいいと思う?」「エッ?」

奇数なら今日はここまで、偶数ならカロウシ労働!【4】今日は無し!

「へ…ヘヴンリム=サン?」しばらくブツブツと言っていたかと思うと、急に顔を上げヘヴンリムは宣言した。「よし!今日はもう休みだ。」「わ…わかりました。しかしいいんですか?この調子だと規定額を満たすまでに食料や燃料が持つやら…。」「構わない。まだ初日だ。カニの獲り方もよくわかっていない。むしろここでカロウシさせる方が長期的には損だ。そうニメンタイ=サンが言っていた。」「エッ?誰ですソレ?」「彼女だ。」ゲームコインを掲げるヘブンリム。

(ニメンタイ?)(唯のコインでは?)(何かのジョーク?)(ペケロッパ?)責務者達がざわつき、耳打ちし合う。「ニメンタイ=サンは天の国からやって来た有難いお方であり私の友人だ。彼女の慈悲深さに感謝するのだなクズ共。」(((アッ、イカレてる…。)))全ての乗組員が彼女から一歩距離をとったことを知ってから知らずかヘブンリムは再び屋根の上に登って言った。「今日はもう寝ろ、明日以降の漁に差し支える。」

◆漁場到着3日目

「ヘブンリム=サン、カニです!カニの群ですよ!」「分かった。」漁業到着3日目の朝である。先日より「ヴィーナス号」は漁獲量0の状況が続いており乗組員達は明らかに精神的に消耗していた。「今日はカニ獲れますかね…。」「獲れる。間違いなく。」

「ハァ、ニメンタイ=サンがそう仰ってるんで?(また狂ってるよこの人…)」「あぁ今朝、皆の練度が上がっているから今日は絶対に撮れると力強く宣言していた。」「ソーデスカ。」「お前は聞いていないのか?まぁ彼女が心を許しているのはニンジャであるこの私ぐらいだからなぁ、仕方ないなぁ。ハハッ。」「ソーデスカ。」

日が高くなり起きて来た乗組員達がノソノソと甲板に集まってくる。「おはよう。クズ共。先程カニの群の影をレーダーが捉えた。今日はニメンタイ=サンのお墨付きだ。絶対に獲れる!さっと準備を始めろ。」

ざわつく責務者達に対してモニタールームのハッカーが声を上げる。「どっちにしろ働かないと借金返済できないよ。大人しく準備しよう準備。」その声を聞き渋々アミを取り出し始める責務者達。

カニキャッチ判定!成功数+3のカニを手に入れる。【52231141、0】+3でカニ3ゲット!!

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数時間後!引き上げられたアミを見てヘブンリムを除く10名は愕然とした。今回もアミになんの手応えも感じずいつも通りに一匹も取れないと考えていた責務者達だったが、アミの上にはカニ!カニ!!カニ!!!決して多い数とは言えないが、それでもそれなりの数のカニがアミの上で蠢いていた。

「どうだ?ニメンタイ=サンは神の使いだ。その予言に嘘はない。」「マジかよ。」「まさか本当に?」無軌道大学生が膝から崩れ落ち、泣き出した。「ウッウッ…よかった…おれ本当に何の希望もないかと思ってた…よかった…。」「フッ、さあ皆んなでニメンタイ=サンにバンザイを捧げよう。」

「「「バンザーイ、バンザーイ、ニメンタイ=サン、バンザーイ!」」」皆で一斉にバンザイのポーズ!宗教的一体感!!「アホらし。」モニタールームでハッカーがひとりごちる。たまたま当たりの日だっただけだ。「まぁ士気が上がる分にはいいか…ん?」7時の方向に不審な船影!「なんだ?他の漁船にしては速いな?」POW!有線ミサイルが「ヴィーナス号」に向けてすっ飛んでくる!海賊船だ!!

ミサイルは「ヴィーナス号」の数メートル隣に墜落!!水柱が吹き上がる!!「アイエッ!ヘブンリム=サン!海賊船です!俺たちのカニを奪いに来ました!!」「なんだと…?私達からニメンタイ=サンのお恵みを奪う?」ヘブンリムが右手を振るう。風とカラテが渦を巻き、次の瞬間その手にはリング状のチャクラム・スリケン!!二発目の有線ミサイルを狙って投擲!!

ワザマエ判定!【45452、成功】

「イヤーッ!」Boom! 信管を撃ち抜き爆破!!『アイエエエ!!』海賊達はNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)を受け退散!!「フン!木端犯罪者共が…」ヘヴンリムは落ち着き払っているが、他の乗組員は違う。新たなる脅威に対して完全に混乱状態だ。「お疲れ様です。撃退はできましたが、皆の精神状態的にも今日はもう漁はもう無理でしょうね。」「そうだな…ニメンタイ=サンも一旦休止すべきだと言っている。」「ソーデスカ。」

ヘブンリムは混乱する責務者達に今日の作業はもう終わりだと伝え、自身は屋根の上に登り寝転んだ。「先は長そうだなニメンタイ=サン。明日からどうなることやら。」

◆漁場到着7日目

一週間が経過した。3日目ほどの豊漁は全く無く、アミにかかるのは1〜2匹の散発的なカニのみであった。まるで海の神が無能な彼らを憐れんで恵む小銭めいた僅かな成果は、むしろ責務者達に自身の惨めさを感じさせた。深夜。モニタールームの屋根。すっかり自身の特等席となったそこでヘブンリムは夢を見ていた。

惨めな小学生時代。キョートからの転校生。名前すら思い出せない女の子。新鮮な交流。ユウジョウのコイン。突然の別れ。全て過去の記憶である。ヘブンリムは夢を見ながら久方ぶりの涙を流していた。「起きて!」

しかし夢はそこで中断された。何者かがヘブンリムを揺り起したのである。「……なんだ?」目を開けると深夜の見張りを任せた重サイバネ女。「ねぇ見てちょうだい!私達帰ってきたのよ!」ヘブンリムは目を擦りながら女に引きずられ甲板に降りる。そして海上に目を遣り…絶句した。

水平線の向こうには煌びやかな町の光!!ネオサイタマの光景が浮かび上がっているではないか!!「「ヤッ…ヤッター!ヤッター!」」ヘブンリムは女と飛び上がってハイタッチし懐からコインを取り出した。「やったぞ!ニメンタイ=サン!流石にソウカイヤからヌケニンするつもりはないが…こっそり接岸して補給をすれば皆の体力や気力も…エッ?幻覚?

ニューロン判定!【155、成功】

ニメンタイに諭されたヘブンリムが顔を上げると煌びやかな光も重サイバネの女も消えていた。慌てて甲板から海面を覗けば冷たい灰色の海の一箇所に泡が生じている。女は飛び込んだのだ。今から助けにいっても重サイバネを引き上げる力はヘブンリムには無い。顔を青くしてヘブンリムは呟いた。「ナムアミダ・ニメンタイ。」

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その日の朝。「…と、いうわけだ。私はニメンタイ=サンのお陰で命拾いしたが彼女は助からなかった。」乗組員達にヘブンリムは昨夜の出来事を語った。普段のモニタールームの屋根上からの演説ではなく甲板の上での演説である。

「ニメンタイ=サンによればこの辺りには訳のわからぬジツがかかっているらしい。よって本日は私が直接監督し幻覚を見たものは取り押さえていく。ハゲミナサイヨ!」乗組員は怯えながらもアミの用意を始めた。連日の漁で彼らの技術も向上している。「ニメンタイ=サンは今日も豊漁になると言っていた。さぁカニキャッチ開始!!」

カニキャッチ判定!今回から出目5以上でカニが獲得できるように!!【6215614、3】カニ3ゲット!合計カニ数6

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数時間後!アミの上には大量のカニ!!3日目に匹敵するレベルの豊漁だった!!時折り幻覚に囚われる責務者達をその度にヘブンリムがビンタして中断する非効率な方法だったのにもかかわらず、である!責務者達の漁の腕は確実に熟練していた!!「「「バンザーイ、バンザーイ、ニメンタイ=サン、バンザーイ!」」」宗教的一体感!!

その晩は豊漁の祝いと重サイバネ女の弔いを兼ねて僅かなサケや売り物にならない規格外のカニを使ったエンカイが夜遅くまで開かれた。時折見える幻覚も今の彼らには少しマンネリ気味な海の宴会芸に過ぎない。そんな様子をモニタールームから眺めるハッカー。「バンザーイ…っと。一人減ったけどカニ獲れてよかったなぁ。」宴は続き夜は更けていく。

乗組員残り7

◆漁業到着14日目

漁が始まってニ週間が経過した。「ヴィーナス号」の乗組員達の顔は暗い。唯一人妄想に囚われるヘブンリムのみが明るく振る舞っている。「よーし!全員カニキャッチ開始!!」

カニキャッチ判定!今回は判定値−3【46555366、6−3】カニ3ゲット合計9

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数時間後!アミの上には大量のカニ。7日目に匹敵する漁獲量だ!しかし相変わらず責務者達は渋い顔を浮かべる。今回のカニキャッチは今までに無い手応えを感じていたのだが、それでもこの程度。ここ数日は不漁が続きカニの群に出会わない日すらある。このままでは規定額分には間に合わないのでは無いか?そんな絶望的な考えが責務者達を支配していた。

その日の午後。モニタールームの屋根でニメンタイと話をしていたヘブンリムの耳に二人の人間の怒鳴り声が聞こえてきた。「ザッケンナコラー!!」「グワーッ!」甲板を見るとヤクザとハッカーが取っ組み合いの喧嘩をしていた。ハッカーにもしもがあれば船の操縦者がいなくなる。今すぐ止めねばならない!!

「イヤーッ!!」屋根から二人の間に降下するヘブンリム!!「「アイエッ?」」二人は腕を振りかぶったまま静止!!「どうした?二人とも。あ何故急に喧嘩を始める?」そのまま言葉による説得を開始する。

二人の話を要約するとこうである。今日アミの片付けをしている際にヤクザが皆より長く休んでいた。それを見たハッカーがついヤクザのクランを揶揄する嫌味を口にしてしまった。クランの一員としての誇りを傷つけられたこと、ここ最近の不漁のストレスが溜まっていたことなどが原因で、ヤクザの感情が爆発し殴り合いに発展してしまった…という流れである。

「コイツは俺のソンケイに唾を吐いたのです!こんなサボリ癖のあるグレーターヤクザが居たクランなど大したことなかっただろうって…。」「私はただ単に注意しただけですよ!?確かに言い方はキツかったかもしれないが!それなのにコイツがハッカー野郎は部屋でのんびりしてればいいクセになんて言いやがった!いつも座礁を塞いだり海賊船から逃げたりするのは私の役目なんですよ?」

両者の言い分を聞いたヘブンリムは静かに頷き、語り始めた。「なるほど両者共に怒る理由はわかる。しかし、不漁が続いている今は乗組員同士で争う時ではない。皆で協力しより多くのカニをキャッチする時なのだ。」ヘブンリムはさらに続ける。「我々は目的と同じとする同志なのだ。そこには身分の差など無い。今はハッカーであろうとヤクザのオヤブンであろうと半神的存在であろうと、ここでは同じカニ漁の歯車。諍いを起こすべきでは無い。ニメンタイ=サンもお前達が傷つけあうことに心を痛めておられるぞ。」

どうやって止める?1d4 【2】今回はニューロンU-HARDだ!!ニューロン判定【146、成功】

実際それは稚拙な理論であった。しかしヘブンリムにとって幸運なことに極度の疲労、ニンジャ威圧感、そしてヤクザに芽生えつつあったニメンタイへの信仰が効果的に作用した。双方は拳を下ろした。「悪かったなオッサン。軽率だったよ。」「いや悪いのは俺だ。何てバカなことを…」二人は和解した。ヤクザはしばらく恥入り座り込んでいたが、やがて立ち上がりヘブンリムに向き直って言った。「ヘブンリム=サン、今回の件は作業の手を止めていた俺に全面的な非がある。どうかセプクさせてくれ。」

セプクは…奇数許可、偶数不許可【5】許可

「うむ。天の国へ向かう君に、ニメンタイ=サンのお導きのあらんことを。」「ありがてぇ、ありがてぇ、どうかカイシャクをお願いします!」その夜、乗組員達によって送別会が開かれ、ヤクザは手持ちのドスでセプクした。遺体は海に水葬することとなった。「「「ナムアミダ・ニメンタイ…」」」船上は厳かな宗教的な一体感に包まれる。普段は祈りに参加しないハッカーも「ナムアミダブツ。」と口にした。

乗組員残り6

◆漁場到着21日目

21日目の朝である!今日も朝早くに起きてきた責務者達は甲板に出てモニタールームの屋根を見上げた。屋根の上でヘブンリムはボロ布をマントめいて羽織り、カニの殻で作られた冠と首飾りを身につけていた。手には網にかかった鉄パイプを改造した錫杖を持ち、まるでアマゾン異教のミコーめいた出立ちである。

「四つ足の子らよ!!今日もまたニメンタイ=サンからのお告げが届いた!!」ヘブンリムが高らかに宣言する。「「「オォーッ!!」」」ヘブンリムの妄想と限界状況が責務者達の間に奇怪な宗教を生み出していたのである!「八つ足の子らを捉えよ、糧とせよ。とのことである。豊漁は約束された!ナムアミダ・ニメンタイ!ナムアミダ・ニメンタイ!」「バンザーイ!」「ペケロッパー!」「アアアダブ!」「Wasshoi!

各々思いつくチャント叫ぶ責務者達!!なんたる光景、これもまた古事記に記されしマッパーの一側面か?(とうとう皆んなして狂っちまったな。まぁ効率は上がっているからいいけどさ。)ハッカーの視線は寒々しい。「さぁカニキャッチ開始だ!子らよアミを入れよ!!」

カニキャッチ判定!今回から難易度がnormalとなりさらに出目6が出るとボーナスとして+1手に入る!!【436231、2+ボーナス1】カニ3ゲット!合計12

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「「「バンザーイ!ニメンタイ=サン、バンザーイ!!」」」堆く積まれた蠢くカニ!!今日も大漁である。踊り狂うクルーとヘブンリム!!「「「ホー、ホッホッホー!」」」宗教的一体感!だがちょうどその時、彼らの耳にやかましいメガホン音声が聞こえてきた!!「革命!」「進歩!」「闘争!」「我々は進歩的革命闘争連帯"イッキ・ウチコワシ"の洋上欺瞞資本主義漁業粉砕同胞団である!」カニめいた赤塗りのコルベット、カニめいた上下赤備えの乗組員。イッキ・ウチコワシの海上戦闘部隊である。ざわつく責務者達!

「ブルジョワ傘下漁業者諸君! 我々は諸君ら退廃的漁業船舶を徹底的に世界より撃滅総括打破するために、ここにいる!」「即刻下船し革命闘争の進歩的先鋭戦力になることを宣言せよ! 万が一でも無思考的拒否を示す場合、我々は、革命的艦砲射撃でこれらを革命的排除する姿勢である!」

ヘブンリムは何やら喚いているメガホン男を一瞥すると、手の中のコインに話しかけた。「ニメンタイ=サン如何にする?奴らに慈悲は必要か?……ふむ!なるほど!」ヘブンリムは責務者達に向き直りウチコワシの声に負けじと宣言した!「皆の衆!ニメンタイ=サンは殲滅せよ、とのお考えだ!彼らをアノヨへと送還せよ!! 」「「「ウォォォッ!!」」」

「ハッカー!私がスリケンで攻撃する。貴様も銃で援護せよ!」「了解!目にもの見せてやりましょう!」海上戦開始!!

この戦闘では相手の船から遠いため遠距離攻撃のみ有効。「ヴィーナス号」は体力6、装甲船は体力10でありターンを回すごとに互いの銃撃で1ダメージを与え合う。

・1ターン目

スリケン攻撃!【52345、成功】
敵の体力8 味方の体力5

「イヤーッ!」BLAM!「「アバーッ!」」ヘブンリムのチャクラム・スリケンと「ヴィーナス号」の銃撃が相手船の乗組員を薙ぎ倒す!!「やりましたね!ヘブンリム=サン!」しかし油断するのはまだ早い。イッキ・ウチコワシも機関銃で反撃を開始する!BRATATATA!!「アイエエエッ!」こちら側の甲板の一部も吹き飛んだ!!

・2ターン目

破壊痕を観察するに船同士の体力には明らかな差がある!!「このままではジリー・プアー(徐々に不利)だな。ハッカー!一気に奴らの船に近づけ!私が乗り込んで叩く!」「マジすか!?やっては見ますが下手こかないでくださいね!!」ヘブンリムを載せた装甲船は放たれた矢めいて急加速!!ウチコワシ船の数十メートルの距離に接近した!!

脚力判定normal【35146、成功】

そしてヘブンリムは…跳んだ!「イヤーッ!」なんたるニンジャ脚力!!数十メートルの距離をロケットめいて跳んでいく!!生来の脚力とヒキャクの力が合わさり実際シックスゲイツ級レベルに匹敵する超脚力を彼女に与えているのだ!!

幼少期、唯一の友人に褒められた足の速さ、唯それだけに縋りヘブンリムはここまで生き延びて来た。(あぁ…この脚力が有ればあの子のいる天の国に私も行けるだろうか?)超高速で過ぎ去る景色を鈍化した主観時間で眺めながらヘブンリムは考える。(カチグミの世界、貴族の世界。薄汚い罪に塗れたこの私でも…。)

主観時間は戻り、視界をウチコワシ船の甲板が覆う。ヘブンリムは郷愁めいた思考を振り払い着地準備!「イヤーッ!」煙を巻き上げて甲板に降り立つ!!それと同時に砲手革命戦士を踏み殺す!!「アバーッ!?」「ニンジャだ!!ニンジャが乗り込んできた!!革命!!」迫り来る革命戦士を次々殺すヘブンリム!やがて「ヴィーナス号」の責務者達もウチコワシ船に乗り込み始め船上はジゴクと化した!!「イヤーッ!」

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十分後、戦闘は集結していた。革命戦士は一人残らず全滅、一方責務者達の被害は0。完全なる勝利であった。宗教的一体感!既に責務者達は船に戻っており、ヘブンリムは沈みゆくウチコワシ船の貨物室で戦利品を物色していた。「色々あるなニメンタイ=サン、どれを持っていくべきだろうか?」

どの荷物を選ぶ?1d3 【2】アッシュケース

ヘブンリムは手近にあるアッシュケースを掴み、甲板から大ジャンプした。そしてそのまま「ヴィーナス号」の甲板に華麗に着地!「「「ワーッ!」」」責務者達の大歓声!!ハッカーが話しかけてくる。「お疲れ様です。手に持っているそれは一体?」「わからん。しかし、ニメンタイ=サンのお導きなのだ。何らかの啓示だろう。」「ソーデスカ。」開けてみると中身はバイオ生物の飼料として使われるバイオインゴットであった。なぜこんなものがここに?不審に思いながらもアタッシュケースは丁寧に保管されることとなった…。

◆漁業到着30日目

30日目の朝である!「子らよ!今日もカニキャッチだ!ニメンタイの加護あらんことを!」

カニキャッチ判定!【136154、3+ボーナス1】4ゲット 合計16

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数時間後!アミの上にはカニが雨霰!「ウワァーッ!!」責務者達が群がりカニをキャッチ!キャッチ!キャッチ!「「「バンザーイ!ニメンタイ=サン、バンザーイ!!」」」宗教的一体感!!

責務者達が騒いでいたその時!その声に反応してかカニの山の中が崩れさり、その中から突如として謎の生物が出現した!!鋭い歯、青い体表!!それは四肢を兼ね備えた奇怪なバイオシャーク!!「Sharrrrrrrrk……!!」「「「アイエエエー!!」」」パニックになる船内!「皆落ち着けコイツはニンジャだ!!」

「ニンジャ?コイツがですか!?」「バイオニンジャというヤツだ…私も実物は初めて見る。」ふらつくサメバイオニンジャは明らかに瀕死!「どうしますか?殺した方がいいとは思いますがね。」ハッカーが進言する。

奇数なら助ける。偶数なら殺す。【5】助ける

「助けよう。バイオインゴットなら助けられるはずだ。おそらくニメンタイ=サンの啓示はこのニンジャのことなのだ。」「ソーデスカ。」アッシュケースのバイオインゴットを与えられるとサメめいたバイオニンジャは回復していく。

「ドーモ、ヘブンリムです。」「ドーモ、ヘブンリム=サン。オーシャンテラーです。」「さて、オーシャンテラー=サン、一体何故死にかけていたのだ?」「恐ろしい…恐ろしいことが起こったのだ!!この海域はとにかくヤバい、立ち去るのだ!!ヨロシサンに帰りたい…」「要領をえんな。」「キズを見る限りニンジャが死にかけるような事態があったのは確実みたいですね…どうしますか?」

奇数なら引き返す。偶数なら引き返さない。【4】引き返さない

「ダメだな…。まだカニの量が足りない。」「シャアーッ!!ならせめて下ろしてくれ!!あの海には戻りたくない!!」オーシャンテラーが喚く。「落ち着け。この船にはニメンタイ=サンの加護がある。そう簡単に沈みはしない。お前を助けたのもニメンタイ=サンの慈悲なのだぞ?大人しく感謝としてカニを獲るのがお前のすべきことだ。」「そうだ!そうだ!」「ありがたいご慈悲に感謝しろ!」責め立てる狂信責務者達!!

「こ…こやつら狂ってる…」ハッカーは怯えるオーシャンテラーの肩に手を乗せた。「いつもこんな感じなんだ、まぁすぐ慣れるよ。」「アイエエエ…!」

オーシャンテラーが仲間になった!乗組員残り7

◆漁場到着35日目

オーシャンテラーを拾ってより数日、ヘブンリム達は明らかな天候異常を感じていた。灰色だった雲は真っ黒に染まりカニの群れもまるで見当たらない。オーシャンテラーの警告を思い出すが、今帰ってもローンで死ぬだけだ。「子らよ!嵐に警戒せよ!」責務者達は細かい補修に勤しむ。

「ヘブンリム=サン、岩があります。」「岩?こんな沖合にか?」なるほど前方に小島めいて巨大な岩塊が見える。それは不自然な唐突さで海上に鎮座していた。「進路を変更しろ。このままでは激突する。」「アイアイサー。」しかしいくら経っても岩塊は視界の中央に固定されたままであった。

「オイ!岩を避けれていないぞ!梶が壊れたのか?」「い…いえ!カーブは間違いなくしています!!それなのに…。まるで張り付いているみたいに岩が…。」「なんだと…」このままでは激突する!ハッカーとヘブンリムに緊張が走る。その時、岩に気が付いたオーシャンテラーが声を上げた!!「アイエエエッ!!あれだ!私はあれから逃げてきたんだ!!」

「……オー……」そのとき、妙な音が聞こえた。「……オー……」波?風?妙な音だった。「……オー……」岩に近づくにつれてその音は大きくハッキリ聞こえてくる。まるで生き物の声のような。その次の瞬間まるで雷に打たれたように「ヴィーナス号」に乗る全員が同じ予測を立てた。乗組員達の額に脂汗が浮かび始める。責務者達とヘブンリムはお互いの顔を見合わせて頷き、ゆっくりと岩の方を見た。

既に岩塊の正体がはっきりわかる場所まで「ヴィーナス号」は近づいてきていた。もはやそれが岩ではないことは最早明白であった。岩山めいた甲羅…老いた亀と獅子の合いの子めいた顔…柱めいた6本の足。ヘブンリムは直感した。今自分は太古のリアルニンジャの前にいるのだ。ナムアミダブツ!哀れな責務者達の遭遇したこの小山程の怪物こそ、伝説に名を残すウラシマ・ニンジャそのものであった!!

「アイエエエ」「終わりだ…」乗組員は一人として動かない。蛇に睨まれたカエルめいて、自身の生存を諦め指一本すら動かせない。ニンジャであるヘブンリムですら怪物の悲哀と敵意に満ちた目から視線を外すことが出来なかった。(アイエエエ!怖いよニメンタイ=サン!どうすればいいの!?どうすれば生き残れるの!?)

精神力判定【664、 成功】ゴウランガ!!妄想がリアルニンジャに勝つ!!

……完全にパニックとなったヘブンリムにニメンタイの落ち着き払った声が聞こえてくる。(落ち着きなさい…奴の足をよく見るのよ)「足?」見ればウラシマ・ニンジャ丸太めいた六本の足にはダニめいて纏わりつくカニの群!!「カ…カニだ!!」ヘブンリムは勇気を振り絞って立ち上がり責務者達に対して演説した!!

「聞け!子らよ!奴を見よ、六つ足だ!!」その一言で責務者達は正気づく!!彼らの価値観では足の数の多いものほど下等なのだ!!さらにヘブンリムは続ける!「さらに見よ!奴の足に集うは八つ足だ!六つ足の分際で我ら四つ足の糧、八つ足を奪う不届きものだ!奪え!やつからカニを奪い返せ!カニをキャッチせよ!!」「「「オ…オォーッ!!」」」

「ハッカー!!奴の懐に飛び込め!!カニをキャッチするぞ!!」「マジですか!?」「お導きだ!」「ソーデスカ!!わかりましたよ!!」

「ヴィーナス号」は急加速!!巨人から放たれた巨大クナイ・ダートめいた速度で神話の怪物に突進する!!「……オー……!」しかし、ウラシマ・ニンジャは装甲船に対して煩わしげに丸太めいた前足を振り下ろした!!ナムサン!このままでは木端めいて粉砕されてしまう!!

「イヤーッ!!」しかしここでヘブンリムが飛び上がった!!そして空中で逆向きになり… 振り下ろされる前足を…蹴り上げた!!

ワザマエ判定U-HARD!!【45466、成功】

「イイイイィヤーーーッ!!!!」「……オー……?」凄まじいカラテ激突!!耳をつんざく爆発音とともにウラシマ・ニンジャの前足は弾き返された!!ゴウランガ!!ヘブンリムの脚力は神にも届いたのだ!!「今だっ!!カニキャッチせよーっ!!」

カニキャッチ判定!【5246266、5+出目ボーナス3+神話級ボーナス10】合計カニ18獲得!!合計34

「ウォー!」「ニメンタイ=サン、バンザーイ!!」「イヤーッ!!」装甲船はウラシマ・ニンジャの足に接岸し、皆がウラシマ・ニンジャの表皮からカニを引き剥がす!!大漁だ!!

ヘブンリムはキックの反動を利用してモニタールームの屋根にまで回転着地した。見上げるとウラシマの顔は驚愕のまま固まっている。実際ハエを潰すような軽い攻撃だったとはいえ、矮小なニンジャに自身のカラテが防がれたという事実を未だ処理しきれていないのだ。「ヨッシ!もう十分だ!逃げるぞハッカー!!」「了解!掴まっててくださいよ!!」

再び「ヴィーナス号」はクナイ・ダートめいた速度で急発進!!我に返り悔しげな咆哮を上げる怪物を水平線に置き去りにし、「ヴィーナス号」は全速力でその場から逃げ去った。

◆エピローグ

黄昏時。全速力逃走を続け続けていた「ヴィーナス号」は遂に海上に静止した。「皆よく頑張った。今はゆっくりと休むがいい。」ヘブンリムの指示を聞き、責務者達とオーシャンテラーは床に寝転がり死んだように眠り始めた。完全に力を出し尽くしていたのだ。それを見届けるとヘブンリムもまたヘナヘナとその場に座り込む。彼女も神話級ニンジャとの戦いで精魂尽き果てており、安堵と疲労が一気に押し寄せたのである。

「……今ので燃料がほぼ無くなりました。帰港分しか残っていませんね。もう漁は続けられないでしょう。」「…そうか。」ヘブンリムはコインを手にしながら応える。沈む夕日がそのコインに反射するが、それが彼女に語りかけてくることは無かった。船旅の終わりが見えたことで狂気の魔法は既に解けていた。「…ではドサンコに戻ろう。…すまないがもうひと頑張り頼む。」

「アイアイ、ニメンタイ=サンは何と?」「……何も。彼女はもう遠くに行ってしまった。」「……ソーデスカ。まぁ港に着くまで着くまでの間、貴女も寝てて下さい。近づいたら起こしますんで。」その言葉を聞くとヘブンリムの意識も他の乗組員と同様に深い微睡みの中に落ちていった……。

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半日後!!トコロザワ・ピラー最上階ラオモトの謁見部屋にて。「ムッハッハッハ! 貴様か、カニキャッチ漁を半期も経たぬうちに切り上げて帰ってきたヤバイ級イディオットとは!規定額分は獲ってこれたのであろうな?」船旅を終えボロボロのヘブンリムの眼前に立つこの男こそラオモト・カン。2m近い長身、白い髪に黒い瞳、アルマーニのスーツに黄金メンポという派手な出で立ちのニンジャである。

今でこそ尊大にヘブンリムを見下し鷹揚に笑うラオモトだが、その威圧感は洋上で対峙したウラシマ・ニンジャ以上。気が変わればヘブンリムなど羽虫めいて叩き潰されるだろう。「実は俺もまだ結果を知らぬ!!このイディオットの成果をここへ!!」クローンヤクザ達が手に発泡スチロールのカニ箱を持って部屋に入りヘブンリムの背後に詰み始める。

小山めいて積まれていくカニの箱。しかしいくら積まれてもクローンヤクザの列は途絶えない。やがてラオモトの顔に明らかな驚愕の色が浮かび始めた。30分後、クローンヤクザの行列が終わった時には実に熟練漁師が数ヶ月かけて獲る量に匹敵するカニがそこに堆く積まれていた。

「……ム…ムッ…ムッハッハッハ!!ここまでとはな!よくぞこれほどの数のカニを獲りネオサイタマに帰還して見せた!!貴様にはこれからも俺の為に働いてもらおう!ハゲミナサイヨ!」ラオモトは懐に手を入れると万札の束を取り出し投げつけた。「それが報酬だ!ローンを返してオンセンにでも入るがいい!!」ヘブンリムは最早声を返す余裕すらなく唯平伏していた。

カニ30以上の報酬として万札30をゲット!

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その後、トコロザワ・ピラーに来ていたヨロシサン研究員にオーシャンテラーを引き渡しヘブンリムは此方でもいくつかの万札を受け取った。海の真の恐怖を見た彼はすっかり大人しくなり研究員について行き、研究員はその変化に首を傾げていた。エレベーターにのりエントランスに向かうと他の責務者達はもう既にいなくなっていた。唯一人ハッカーのみが出口付近に残っていた。

「報告お疲れ様です。借金は返済できましたか?」「あぁ、これだけ有れば十分だろう。」「それは良かった。あぁ、皆から伝言です。生還できたことを心から感謝していました。貴女と…ニメンタイ=サンに… 。」「…そうか。」「私からもありがとうございました。無事に生還できましたし、退屈はしない船旅でしたよ。ではオタッシャデー…。」ハッカーもピラーから去っていった。それを見届けたヘブンリムも色付きの風となってその場から消えた。

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ヨロシサンの研究員から万札5をGET!

その夜。ネオサイタマ上空。雲の上に孤島めいて突き出た超高層ビルの屋上にヘブンリムは座り込んでいた。ヘブンリムは普段、雲より低い高さのビル屋上に座り夜景を見て夜を過ごす。しかし今日はなんの気まぐれか、雲を突き抜ける超高層ビルへと登ってきたのである。

月明かりに照らされた見渡す限りの雲海。所々に飛び石めいて雲から突き出るビルの最上部。実際、天国めいた光景の中、ヘブンリムはゲームコインを握り締め、かつての友人のことを思い起していた。

犯罪者の子であった自分に対して唯一分け隔てなく触れてくれたキョートから来た女の子。名前も忘れた唯一の友人だった女の子。何も告げずに自分の元から去っていった女の子。今回の船旅でニメンタイとして思い出すまで、彼女は彼女の記憶を心の奥底に封印し続けてきた。

顔を上げて月を眺める。恐れていたのだ。裏切りに気づくことを恐れていた。キョート貴族とネオサイタマの下層民は相容れないのだと、所詮自分は遊ばれていたのだと。何も言わずに去っていったのは自分には言葉を残す価値すら感じていなかったのだと。記憶を掘り起こしその可能性に思い至ることをヘブンリムは恐れていた。しかし、今回の経験がその恐れに疑問を抱かせた。

ニンジャと非ニンジャという圧倒的な差があったのにもかかわらず自分と責務者達はあの船旅で奇妙な連帯感を感じていたのだ。ならばあのユウジョウが偽りではなかった可能性も十分あるのでは?何も告げずに去ったのは何か事情があったのでは?(すまない。私は思い込みでずっと君を忘れようとしていたのだ。)いつか絶対にあの子に会いに行って、あの子の口から真実を聞いて、そして今まで会えなかったことを謝って、そしてまた友達になろう。

今まで理由なく浮世を彷徨い続けてきたヘブンリムは今日この時生き続ける強い理由を見出した。彼女はそれから暫く天上に輝く月を眺め、ビルを降り街の彩光の中へと消えていった。

【イーブン・マイ・ジャンプ・リーチ・ザ・ヘブン】終わり

◆余暇

リザルト:合計万札35余暇3を手に入れた!!また、元シナリオでは名声は上がりませんがラオモト=サンを無言にするレベルで唸らせたのに上がらないのも不自然なので名声+1を追加します。

余暇で借金万札24を返済して残り万札11。余暇スロットはスキル習得、基礎トレーニング、基礎トレーニングにそれぞれ使い最終的に以下のようになりました。

◆ヘブンリム (種別:ニンジャ)  DKK:0  名声:2   所属:ソウカイヤ
カラテ    4  体力   4
ニューロン  4  精神力  4
ワザマエ   6  脚力   5
ジツ     0  万札   0
攻撃/射撃/機先/電脳  4/6/4/4
回避/精密/側転/発動  7/6/6/0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や特記事項
▶︎ヒキャクLV1、『◉常人の三倍の脚力』、『◉知識:カチグミエリア』、『◉ランスキック』、『◉疾駆』、○元ヒキャクパルクール

スキルは高い脚力を活かせるようにランスキックを習得。まずはワザマエを成長限界へ鍛えます。また、今回はニューロン関係の判定で凄い出目を多く出していたのでニューロンも強化しました。両方とも出目6が出たことにはビビりましたが…。キャラ的にはブードゥーやトライアングルリープキックなども入れたかったですが、それらは次回以降になりそうですね…。

今回のリプレイはこれで終了です。拙いプレイとテキストですが、楽しんで読んで頂ければ幸いです。ヘブンリム=サンが友人と再会できる日は来るのでしょうか?また、気が向いたら動かしてみたいですね。

ではまた次の記事でお会いしましょう!

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