友達のお母さんがやっとる美容室(短編) (22.9/25 pixiv公開版)

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※こちらの作品は22.9/25 pixivにて掲載した作品です。
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ミ〜ン、ミン、ミン、ミン

夏休みも真っ只中っていうのに、自分の成績が悪かったせいで補修に来ている。
つまらない自習。
授業がある訳でもなく、ただ課題をやらされる。

窓の外からは蝉の鳴き声があちらこちらから聞こえる。
気温は35℃を超える猛暑日。
なんてったってこんな田舎の盆地でどうして…。

こんな日は勉強にも力が入らない。
机の前にいても。

「あぁ〜〜〜」

補修中に机の上にねそべる。

今夏、何回目だろ。
今年はとにかく暑い、暑すぎる。

“あっ、、”

ちょっと長くなった髪の毛が目に触れる。
それなりに状態は良いけど、伸びて、量が多くなって、纏まらなくなるといつもこう。

な〜んかそろそろ美容院行きたいなぁ…

髪いじりをしてたら、
「こら!」

先生に怒られた。

…帰り道…

ちょっと伸びた毛先を触ってた。

(やっぱり伸びてるなぁ・・・)

な〜んかそろそろ美容院行きたいなぁ…

(切りたいなぁ・・・)

でもいつも行ってる所、友達のお母さんがやっとるで、
ちょっと恥ずかしいんよなぁ、、、

なんか行きづらいっていうか・・・・・

でも他に行くとこなんてないしなぁ

でもやっぱり恥ずかしいよなぁ……

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

母の娘センサーはすごい。

「はるか、髪、伸びたわね」

「ほら、これ」

「さっぱりしてらっしゃい」

母に軽くポンって渡された。
いつもこう。

(友達のお母さんがやっとるとこ、行くの恥ずかしいなぁ…)
って行きそびれてく矢先、
タイミングよく散髪コールがかかる。

ジャージかぁ…

なんか恥ずかしいし、
学校帰りだから制服着てこ。

セーラー服に着替えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

“ ひまわり美容室 ”

チャリン,チャリン🔔

「いらっしゃ〜・・・」
「あら、はるかちゃん、久しぶりだね〜」

(はい)

「あかね、いるよーー」
「でも今日は玄関じゃないね。こっちのドアから入ってきたから、ちょきちょきしにきた?」

(うん)

「じゃあこっちに座って〜」

3つある席の真ん中に座る。
いつもの位置。

さっとタオルをかけられながら、

「今日はどうするー?」
「整えるだけでいいのー?」

「はい」

“バサッ”

きゅっと紐で、首前でリボン結び。

「量はどうするー?」

(ううん…)

ちょっとだけ悩んでようものなら、
すぐ、

「いつもより減らした方がいいんじゃないー?」

「暑いもんね〜」
「この辺も切っちゃった方がいいんじゃないかな」

「後ろ刈り上げるついでに、ちょっと梳いてあげるから」

茜のお母さんはどんどん決めてく。

ダッカールで何回か、
髪を留められると、刈り上げしてる部分が露出する。

この地区の女の子は大体このひまわり美容室。

年中じゃないけど、
ロングはツーブロックだし、ショートの子まで。
梅雨から衣替えまでは、必ず刈り上げされるのが定番。

「最近、学校はどう?」

「あかねから聞いたよ、はるかちゃん補習あるんだってね」

「はい、まぁぼちぼち・・・」

「今日も補習あったの?」

「はい」

「そっか、大変だね」

って、
たわいもない会話をしながら、

肩につくくらいの髪をジョキジョキ豪快に切られてく ✂️

私のいつもの長さは、
耳がちょっと隠れるくらいの、襟足短めな前下がりボブ。

茜のお母さんはいつも、
真横の長さを揃えてから、刈り上げて、それでいっぱい梳く。

「じゃあ下向いてね」

って。
私の方じゃなくて、
反対の棚に向かって言う、茜のお母さん。
いつもこのフレーズ。

棚からバリカンが出てくる。
頭をくいっと下げる。

“ カチンッ ”

床のコンセントが開いて、
そこから機械のコードが伸びて、

“ヴィィィーーーン”

「もうちょっと下向こうね」

もっと下に、茜のお母さんの手で頭を押しやられる。
目線はケープの大きな一輪のひまわりの絵。

“ジョリ,ジョリ,ジョリ,ジョリ ”
“ザリ,ザリ,ザリ ”

左手で押さえつけられながら、
右手でぐーっとバリカンで襟足を刈られてく。

その間、約2分。

友達のお母さんに入れてもらうバリカンは、ちょっとだけ勢いがあって気持ちいい。

夏限定だから。

“ シャキ シャキ シャキ シャキッ ”

あとはひたすら頭を軽くしてもらう。
軽快な前下がりボブに。

「はーい、じゃあできたよー」

おっきなひまわりの描かれたケープをつけられたまま、
小さい手鏡を
「どう?」
みたいな感じでふりふり。

「大丈夫です」

「よかった〜」

ケープとタオルを外されて、
ちょちょっと産毛を揃えてもらったら、

すっきりした前下がりボブの完成

もうこれで俯いたときも目に入ることはない。

「じゃあ3300円ね〜」

そのまま席で払う

「あかねに会ってく?」

「今日はこのまま帰ります」

「そっか、また遊びにきてね」

「はい」

外観がおしゃれな昔っぽい、ひまわり美容室を後にした。

(すっきりした〜)

友達のお母さんがやっとるとこ、切ってもらうのちょっと恥ずかしくて、
なんか行きづらいけど・・・

でも行っちゃえば、
すっきりして、いい気分。

行ってよかった〜ってなる。

でも明日からは、
また切ってもらうの恥ずかしくなるだろうなぁ・・・

街に一件の、
切ってもらえる美容室。

ーおわりー

モデルになった動画
https://youtu.be/1bFf-I3Aac8?si=73cg5MRKiFaQJ3V7
https://m.youtube.com/watch?v=2UjK1VJ6nDs&list=LL&index=1&pp=gAQBiAQB


モデルの動画を小説にリメイクして書きたくなっちゃう症です
動画がいいとか、ツボとかじゃなくて
素材にとってもいい



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