私の部屋が床屋さんになった日 (pixiv 24.4公開Ver)

「えー」
「うそー」
「××ちゃん、いつ切るー?」
「どうしようー」

ある日の夕方。
ぼんやり浮かぶ、2日前の記憶。

(あぁ、どうしようかな)
重い髪に、重い心に揺られながら、今日もベットに顔を埋めて1日が終わった。

・・・2日前・・・

私立高校の入学説明会。
注文していた憧れのセーラー服を受け取って、
袖を通して、
入学時のクラス発表があって、
それから…、
わー、きゃー、騒いでいたのは校則説明の時間だった。

1枚のプリントにはこうある。

男女共通
・パーマ、カラーは禁止とする
・整髪料は使用しない
・眉毛は手を加えず、自然のままとする

男子
・前髪は眉にかからないようにし、横は耳にかからない長さ
・襟足は刈り上げる
・ツーブロックは禁止
・坊主は野球部以外禁止

女子
・前髪は眉にかからないようにし、横は耳の高さで揃える
・襟足は刈り上げて、剃ることは禁じる
・ヘアピンは使用しない

つまり、おかっぱにしろって。
男子は校則発表されても、もう既にそんな髪型の子が多かった。
ただ女子は違う。
中学校は結んでたら許されたし。
私もその一人。

体育館で入学説明会が解散になるなり、
「ねぇ、渡辺さんはどうするの?」
って声をかけられた。
周りの女の子はみんな、
「いつ切ろうー」
とか、
「どこで切るー?」
ってきゃっきゃ騒いでる。

私はどことなく「うーん」って返した。
「そっか」って言い残して、話しかけてくれた子はその場を去る。
何人か話しかけてくれたけど、
都合の悪い事に耳を蓋したかった私は答えを曖昧にしてた。

次第に周りの子達は、みんな何人かで切りに行くって雰囲気になってた。
“””
「◯◯美容院がいいよー」
「うちお母さんが美容師なんだー、おいでよー」
「こういうのはやっぱり床屋さんじゃないかな・・・?」
「えー!」
「せっかく切るなら、お洒落な美容室行こうよー!」
”””
十人十色。
あちこちから色んな声が聞こえてくる。

(そっか、私も一緒なら一気にやってくれる、気持ちも楽だった・・・)
って気づくのはそう遅くなかった。
だけどもう行く人は決まってて、話に入って行けず、その頃にはもう後悔するタイミングだった。

その日の夕方、
心当たりがあった高校近くのショッピングモールの大衆美容室は、同じセーラー服を着た子達で溢れかえってた。
けど、
私には、
店の中を眺めては、
入っていく勇気が起きない。
余計1人だと怖気ついた。
結局、3時間もその場にいて、閉店時間になって家に帰ってきてしまった。

そして何日か過ぎ去った…。
(あぁ、どうしようかな)
重い髪に、重い心に揺られながら、今日もベットに顔を埋めて1日が終わった。

入学式まであと1日。
お母さんには校則のことは全く喋っていない。
でも今日は切らないと。
学校で切るってなったら、もっと大変なのは目に見えてる。
それくらいの理性はある。

私には3つの選択肢があった。

1つはいつも行く1000円カットのお店。
2つは美容室。
3つは床屋さん。

1000円カットはただただ毛先を揃えてもらうだけのお店。
慣れているけど、
そこで切られちゃうのはな・・・
沢山の人もいるし…。

2つ目の美容室。
校則のプリントをまじまじと見る。
(こんな髪型、オーダーできないよ・・・。プリント見せるのも・・・)
おしゃれな美容室で、これを頼める自信がなかった。

じゃあ3つ目の床屋さん。
学校推奨で必ず校則が守れるおかっぱにはしてくれると思うけど・・・、
私には無理だ・・・。
今まで男の人に髪を触られた事がないし、床屋さんで切ってもらうって・・・。

あぁ、どうしよ〜!!!
この3日間と同じことで、頭がずっとループしてる。
今日こそは切らなきゃいけないのに!

ただ、
頭の片隅には、
否定したくて仕方ない、4つ目の選択肢があった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ずっと考えているうちに、部屋に西日が差すようになってしまった。
結局一歩が踏み出せないのである。
伸びきった髪を触りながら、鏡を眺めながら、ボサボサの部屋着で。
1日中返信していないスマホが机の上に載ってる。

LIMEが届くたび、時刻表示がされる。
何時間もどんどん時間が進んでいるのを眺めてる。
もう16時40分。
20時には父親が帰ってきてしまう。
あぁ…もう…。

どんどん窓の日が暮れていく。
髪を切りに行くなら早く行かなきゃいけないんだけど・・・
心のどこかでこうしちゃえばいい。
ずっと頭から離れない、甘えてる私もそばにいる。

そんなうちに決断できず、
1000円カットも閉まる19時になってしまった。
ママから「夕飯できたわよ〜」って呼ばれる。

(ああ、もう仕方ない)
私はこう言うしかなかった。

「ママ」

「ん?」

「・・・・・・・・・」
「髪なんだけど・・・」

「え、明日でしょ?」
「髪ならヘアセットしてあげるわよ?」

無言で校則のプリントをポッケから出して、渡した。
ママの顔が目に見えて、
曇ってから怪訝な表情になった。

「もう!まなみ、これどうするのよ!」

無言を貫くわたし。
そこはママに言わせたい。

「どうして今日まで黙ってたのよ!」
「まなみ、これじゃダメでしょ!」

………

「いや、」
「だって、、、…」

「まなみ、切りに行けなかったの?」

「うん・・・」

「意気地なしすぎるわ」

「そんな」
「ママ切ってよ」

「はぁ?」

「ママだってパパと結婚する前、髪切ってたんでしょ?」

「はぁ?」

ママの顔が突然、さらに怪訝と化す。
私はこの時、触れてはいけないものに触れてしまった気がして、瞬間的にはっとした。

「まなみ、もしかしてそれを狙っていたの?」
「だからこの時間まで」

「信じられないわ」
「だったら早くそう言いなさいよ」

「こんな夜になって」
「ギリギリにも程があるわよ」

ママは怒りながらも、冷静に話す。
感情に任せてパパを怒るときよりも、こういう時が一番怖い。

「大体にして、ママに本当に切ってもらうと思ってたの?」

「まなみ?」

「う、うん・・・」

「どうして美容院に行かなかったのよ」

「いや、だって…」
「………」
「………」
「………」

「はぁ、、、」
「まぁいいわ、、」
「まなみ、素直に美容院行っとけばよかった、って思うわよ」
「あとで後悔しない?」

「え…?」

「あのね、まなみ」
「パパと結婚する前ね、ママは床屋さんだったの」

「えっ?」

「それにもう20年ははさみ握ってないの」
「まなみの髪だって、前髪は小さい頃何回かあったけど、全体は一度も切ったことないのよ」
「だから切ってって言われても、そんなね」

「ママって美容師じゃなかったの?」

「理容師ね」

「え…」
「床屋さんってこと………」

「そうだよ」

「えぇ………」

「ほら、まなみ。そうなるでしょ?」
「今から他で切ってきたら?」

「・・・」

「まだ切れる場所あるの?」

「・・・」

「って言ったってもう19時よね」
「無いわよね」

「・・・」
ママはいじわる。
答えを見透かしたかのように私を追い詰めてく。

「まなみはどうしたいの?」
「その髪で入学式に出る?」「それとも切りたいの?」

「・・・」
「この髪で入学式に出るのは・・・」

「じゃあ後悔しないわね、ママが切っても」

「・・・・・・うん」

「文句言わないでよね」

「うん」

「じゃあどうしようかしら」
「とりあえずご飯食べてなさい。まだ昔の道具あるかしら…」

本当に嘘でしょ?
ママが美容師じゃないだなんて。
床屋さんが20年切ってないって、私にでも分かる。やばいって。
間違いなくガタガタにされる。
こんなことなら早くどこか行っておけば良かったのに。
頭がむしゃくしゃする。
その日のご飯は入学式前日というご馳走なのに、悲しい味しかしない。

一方でママはひたすら何回も階段を登ってる。
私のカットに使う道具を探してるのか、、、
胃袋も満たない。
気が気でなかった。

「ご飯食べ終わったら、上にいらっしゃい」

そう言い残して、
ママは階段を上ったっきり、降りてこなくなった。

私の部屋で切るんだ・・・。

ビーフシチューの最後の一口を口に入れる。
もうご飯はそこにはない。

ママはずっと黙ってか、上で待ってる。
私が食器を片付けて、
階段を上ったら、もうそこは式場。

怖くて、とてもいつも通りにはいかないけど、
1つずつ食器を片付けていく。

そして、いよいよ、
階段の前に立った。

階段からはママの姿は見えない。
ただ、
階段の先に見える、
左側の、
私の部屋のドアが空いているだけ。

ふと、玄関通路の鏡が目に入った。
玄関に立って、
鏡を見て、
髪を触る。
今からなくなるんだ・・・。

名残惜しく髪をすぅーっと指で梳かした。
さらさらって、
指と指の合間を流れてく。

「まなみ、いつまでかかってるの!」
「早くいらっしゃい!」

毛先に指から離れた時・・・、ママの高い声が鳴り響いた。
もう行かなきゃ…。
鏡から目を離して、階段のほうに再び歩く。

それから、
恐る恐るだけど、
小刻みに揺れてる手で、手すりを掴みながら、
一段ずつ階段を上ってく。

階段の奥向こうに、
私の部屋のドアがどんどん大きくなって見えてくる。
それから、
ママの姿が見えた。
床に敷かれた新聞紙も見える。
そして、
階段を上りきってしまった。

私の部屋に入ると、
新聞紙は机のまわり一面に広げてある。
机にはいつも使ってる鏡とは違う、ちょっと大きいママの鏡。
机からは教科書や参考書は消えてて、
はさみやコーム、ブラシ、バリカンが並んでる。

好きな机に、
道具が並んでて、
(うわ…)
って衝撃を受けた。

「じゃあまなみ、着替えて」
「今の服だと洗濯が大変だから」

えっ?
って見た先には、
白いキャミと、グレーのジャージのハーフパンツがベットに置かれてる。

「お風呂溜めて髪を切ったらすぐシャワーできるようにしたから」
「これだったら、汚れてもいいし」
「早く着替えなさい」

「ママ…」

「ほら、早く」

ママに出て行ってほしいって合図をしたけど、
そんなのは関係なし、しばらく待たされたママは大分痺れてた。

大人しく目の前で着替えてる矢先、
部屋をバタンと閉められ、ママが部屋の鍵もかけた。

「これでパパや久登が帰ってきても、大丈夫よね?」

ママは逃げ間もないくらい、
抜かりなく、用意周到に事を運ぶ。

着替えたら、
ここに座りなさい、と指を差された。

鏡にはキャミ姿の私が映った。

鏡の横には、
私の髪を切ってくれる沢山の道具が並んでる。
その一つ、
はさみにママが手をかけた。

「じゃあ後悔しないわね」

「・・・・・・うん」

「ママが切ったからって、文句言わないでよね」

「うん・・・」

冷たいはさみが、肩の地肌にひんやりと触れる。
刃がとても長い。

“ ジョキ ジョキ ジョキ ジョキ ”

大分鈍い音とともに、
肩に沿うようにはさみが進む。

“ ジョキ ジョキ ジョキ ジョキ ”

あっという間に私の毛は短く揃ってしまった。
でも、まだこんなの序の口…

「じゃあ、切るわよ」

って言って、
ママははさみをこめかみの高さに合わせた。

校則プリントのあの高さだ…
って、
息を呑む。

“ パチン、チョキ チョキ チョキ チョキ チョキ……… ”

その音は2分くらい続いた。
右耳から入ったはさみは、いつの間にか左耳に戻ってくる。

“ チョキ チョキ チョキ チョキっ ”

切れた…。
人生で初めて、髪を下ろした状態で耳たぶを見てる。
耳穴まできっと見えそうな。
おそるおそる触ったら…、やっぱり髪の高さは耳の穴よりも上だった。

「じゃあ、まなみ、これ使うわよ」

って見せられたのは、黒い大きなバリカン。
机のお気に入りのピンクの延長コードに、ゴツい電源コードが挿さる。
数日前から覚悟はしていたけど…。
いざ目にすると辛い。

“ ヴィィィィィ ”

「まあ、なんとか使えるわね」

ママはそう言ったけど、
明らかに古くて、少し刃詰まりしていそうな音。
20年前のだ、きっと…。

「じゃあ動かないでよ〜、まなみ〜?」

ママの左手でグイッと頭を押しやられる。
耳元に近づく、恐怖の音。

“ ヴィィィィィ ”
“ ザリ ザリ ザリ ”
“ ジョリ ジョリ ジョリ ジョリッ ”

バリカンの強烈な音と一緒に、
首を覆ってくれていた髪が次から次に、床に落ちてく。
滝から落ちるみたいに。
どんどん暗かった首が、明るく、露わになる。

バリカンで刈られた毛は、
肩をつたって、
キャミの後ろの縁に少し引っかかって、
私の身体にゆっくり触れながら、
床にぽつっと落ちてく。

ママがバリカンをくいっと上げる度に、
まるで名残惜しいかのような、感触を残すように、
沢山の毛が背中を滑ってった。

後ろが終わって、
「まなみはもみあげ長いわね」
って言って、
サイドの髪も捲り始めた。
半端絶望だった。
そこもやるの………って。
“ ヴィィィィィ ”
って音が再び左耳のすぐ近くで鳴り始めて、
人生で一度も揃えたことがないもみ上げに、バリカンが近づく。

“ ザリ ザリ ザリ ”
“ ジョリ ジョリ ジョリ ジョリッ ”

結んだときに見える、
優しい産毛も一瞬にして消えた。
ママはバリカンを持ちながら、まるで美容師のように鏡を見る。
私も鏡越しの自分の姿を見てる。
そこにママの姿が映ってる。
たまに目が合ったりしていたけど、
まるでママが本当の美容師に見えて、
こんなキャミソール1枚で、むげなおかっぱに刈られてる自分がすごく嫌になった。

ママは再びはさみを持ち替えて、

“ チャキ チャキ ”
“ チャキ チャキ ”

ってひたすらクレラップになった部分をママは揃えてる。
唯一前髪だけはまだ健在だけど、
周りの髪はもうおかっぱそのものだし、
なにより私の鏡に映る姿がその光景を物語ってる。
その間もひたすら細かい切りくずが私の頭から生産されてく。
程なくして・・・
「これでいいわ〜」
ママが嬉しそうに手を上げた。
「まなみ、前髪も切ろうね」
「いい?」
(うん・・・)
ちっちゃく頷くしかないわたし。
ママはコームで前髪をすく。
一瞬だった。
持ち上げて、“パチン!”
ママの手から髪が離れる。
「ひぇっ!」
「まなみ?」
「こ、これ……、短くない・・・・・・?」
つい声が出た。
鏡に映ってる私の一番中央の前髪は、眉上どころかおでこ半分。
「こんなもんよ」
ママはコームでどんどん髪をたくし上げる。
“ チョキ、チョキ、チョキ・・・・・・ ”
一直線かと思ったら、ちょっとずつ曲がってる。
耳に近くなるにつれて、丸めに。
「ちょっと、ママ……」
「まなみ、動かないで」
(うっ……)
“ チョキチョキ ”が繰り返される。
(あっけない・・・)
好きだった前髪も、一瞬でママに切り刻まれた。
「さぁ、あとは梳くだけね!」
ママはザクザク髪を切り始めた。
ふっくらした私の頭を。
だんだんこけしみたいになって。
細かい毛の上に、ひたすらふわふわした毛が乗っかる。
もちろんキャミもひどいし、
ジャージの上にも沢山髪が落ちてく。
あっけなく、無惨に。

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

「はい、お疲れ様」
10分後、鏡にはすっかりプリントみたいに完成した私がいた。
ママは得意げな顔。
「20年ぶりに切ったわ〜、上手くできたわ〜!」
って喜んでる。
私の気持ちなんか、きっと忘れてる。

ママには何を言っても無駄。
私は立ち上がった。
肩まわりがチクチクして仕方ない。
キャミソールにも、首にも、肩にも細かい毛くずがいっぱい。
真っ白な肌なのに、真っ黒くなってる。
全然取れない。

とっととシャワーで洗い流した方が早い。
とりあえず手ではらって、洗面所に直行した。
誰も帰ってこないうちに、って。

でも・・・
一瞬で短髪になったのはどうしても慣れなかった・・・・・・・・・

翌日、学校に行くと、
襟足が青白い子は私だけだった。
みんな黒く、ただメリハリのついたくらいの刈り上げ。
そんなの当然、剃られてるといってもおかしくない。
校則違反。

だけど不思議と入学式当日は誰にも触れられなかった。
友達もできたり、
喋ったりした子も多かったけど、
どうしてかこのことは触れられなかった。
視線も感じない。
逆に全く気づかれていないかの様子。

先生にはママが電話してくれたおかげか、お咎めはなくて、
付箋で、
『お電話で事情は聞きました。渡辺さんの頭は校則違反でも、先生方はどうすることもできないので、ただ伸ばすだけで次回は気をつけて下さい。恥ずかしいのは渡辺さんの方かもしれないけど、負けずに頑張ってね」
って書かれてた。
優しい先生と、
ママのおかげで助かった。

そんなママだけど、
私は入学式を終えて、あることに気づいた。

それは、
どの子もおかっぱだけど、
横の高さや、前髪の長さがみんな違ってて、
耳は一直線に揃っていないガタガタな子も多くいた。
なのに私は、
前髪と横の長さのバランスもいいし、きっちり一直線で揃ってる。
どんな方向に傾けても、きれいに揃う。

ママってもしかして上手なの?
20年も切ってないって言ってたのに…?

その答えは夜判明した。
パパに聞いた話、
ママは昔、床屋さんで4年は修行を積んだ理容師だったらしい。
道具は20年経ってボロボロだったけど、腕は当時のままだったのかもしれないって。
私の全く知らなかったママの一面、過去。

最後にママにこう声をかけることにした。

「ママのカット、上手だったよ」

ーおわりー

(おまけ)

「えっ、なに突然」
「でもそれはよかったわ」

「ママのカット、誰よりも上手なおかっぱだった」

「まなみばっかり見てて気づかなかったけど、そうだったんだ」
「すごく嬉しい〜!」

「ママって上手かったんだね」

「当時の腕はまだ健在かしら。昔はまなみみたいなおかっぱ、ちょっと長かったけど、それでも当たり前だったからね」

「えっ、そうなんだ」

「中学生になったら必ずそうしなきゃいけないの」
「だからママも沢山切ったわ」
「もちろんママだって学生の頃は、まゆみみたいなおかっぱだったのよ」

「ええーそうなの?」
「その頃の写真残ってないの?」

「ううん、今ここにはないかな。実家に帰ったら卒業アルバムにはあるかもね」

「えー見たいなー!」

「また今度ね」

「そしたらまたママに切ってもらおうかな」

「本当にいいのかしら?」

「うん、ママが上手だし」

「じゃあ道具とか手入れしておかなきゃね…」

それ以降、私が高校生の3年間はずっとママに切ってもらってた。
成人式が終わって、
髪結できる長さから切っても全然物足りなくて、
ママの切るシチュエーションが、
フェチに目覚めた事に気づいてからも、また………。

ーおわりー
(続編作りたいかもね)

ここから先は

0字

小説 フリープラン

¥550 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?