自分の命を最優先すべし

こんにちは、タカハシジュリです。
CL特論シリーズ、今回の登壇者は、国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 嘱託研究員/教官で、鉄道系サービス会社BC研究センター 主任研究員/人命安全研究会・座長も務められている デイビッド・佐伯 潤 さんです。

佐伯先生は、主に企業防災を手掛けられ、災害対応訓練の統括など防災の世界で多岐にわたり活躍されています。
今回の講義でも、「防災とは」というお話から、基本的な対策法など、防災にまつわるとても大切なお話をたくさんしていただきました。このレポートではその中でも私が印象的だった基礎的な内容について触れ、最後に私の感想も述べさせて頂こうと思います。


防災対応の基本は「とにかくスピーディーに判断すること」

講義冒頭、こんな問いを投げかけられました。
「あなたの大切な二人の人間を思い浮かべて、その二人が同時に目の前に倒れていてどちらかしか救えない時、あなたはどちらを救いますか?すぐに選択して下さい。」

私は心が痛みながらすぐに一人を選びました。
しかしそれこそが正解だったのです。

佐伯先生「Aさんを選んだ人もBさんを選んだ人も正解です。不正解はどちらも選べなかった人です。」

災害の場でとにかく大切なのは素早く判断すること。例えば、目の前で誰かが倒れていたりした時、助け方がすぐにわからなければ、「直接は助けない」という判断を素早くすることも正解で、その上でその次にすべきことをすぐに考えることが重要。直接は助けられないなら、近くにいる人に助けを求める、といった風に、冷静に一分一秒を無駄にしないよう対応していくことが防災の基本なのだそうです。



災害対応における絶対的なルール:自分自身の安全が最優先

 佐伯先生は災害対応の絶対的なルールは自分自身の安全を最優先させることで、その理由は以下の3つだと仰っていました。
 1 自分を守れない人は他人を助けられない
 2 災害時における役割だけが重要なわけではない
 3 個人の無謀が被害を広げる

印象的だったのは2でした。
「災害が終わり(落ち着き)、平時の生活を取り戻した時にもあなたにはいろいろな役割がある。家族の一員として、社会の一員としてやるべきことはたくさんある。だから、目の前の災害だけに意識をとらわれるのではなく、自分の安全を最優先して無理をしないでほしい。」そう佐伯先生は仰っていました。



講義を経て感じたこと

 今回感じたことは何よりも自分自身の無力さでした。ほんの数ヶ月前に自動車教習所の講習の一環で受けた人命救助の訓練すら忘れかけていると気づき、災害現場において自分は何もできないということをあまりにも強く実感してしまってショックでした。そして仮に半年に一回程度でも人命救助の訓練を受けていたとしても、それを何年もやっていないと実践では役に立てることができないでしょう。そう思うと講義の後はしばらく絶望したような気持ちになっていました。

 しかししばらくして、そうは言ってもおそらく近い将来やってくる大きな災害のために私に何ができるだろうと考えると、それはやはり自分の安全を確保できるように日常的に工夫していくことだと思いました。
ふとした時に「今大きな地震が起きたら」といった想像をしてみたりするのも良いかもしれません。自分の携帯しているものが災害時どのような場面で役に立つ可能性があるか考えたり、逆に災害時に必要になる災害グッズの携帯も心がけていこうと思います。そして佐伯先生が仰っていたように、災害グッズもただ携帯するのではなくきちんと使う訓練をすることが大切ですね。

 今回の講義で、「他人を助ける」よりも「自分自身を守る」という意識を優先して生活していこうと思えました。大きな災害に直面する前にこのような講義を受けられてとてもよかったです。




開講日:2020年7月13日
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース
クリエイティブリーダシップ特論 第9回 デイビッド・佐伯潤 さん


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