戦争後、川崎市での野良犬への対応変化
時代の流れと共に人々の生活習慣や環境が変化してきた。例えば、野良犬を街で見かけなくなった事である。現在、日本だけでなく世界的に野良犬が見かけられなくなった。戦前まで見られていた野良犬だがなぜ今では減少、見かけられなくなったのかを調べてみた。
狂犬病の恐れ
日本で野良犬が見かけられなくなった最大の理由として狂犬病である。狂犬病は犬に噛まれるあるいは引っ掻かれた場合、傷口から狂犬病ウィルスが入り込み感染する恐れがあり、人間にも感染するためである。さらに、狂犬病に感染した場合、死に至るなどの問題があるためである。そのため、日本では犬を買う際には法律で年に一回の狂犬病の予防注射が義務付けられている。日本では野良犬への対応が早急であったため近年狂犬病による死者はでていないが未だ海外では発生している。その他にも、野良犬が町にいないか保護センターや保健所が管理しているため町ではみられなくなったのである。
川崎での過去の事例
1952年川崎では全国で一番の狂犬病発症の町であった。51頭の狂犬に91人が噛まれ、そのうち2人が死亡したのである。日本では明治時代から大正時代にかけて狂犬病が急増していた。そのため1918年頃から狂犬病の予防接種が始まり関東周辺では減少しつつあった。しかし、1924年頃に狂犬病感染者が急激に増加したのである。その理由として戦中ペットを管理できなくなった人が犬を捨てるなどの問題があったためである。そして、その後の1925年から飼い犬への狂犬病の予防接種と野良犬の保護が強化されたのである。
当時、川崎市では犬の放し飼いをしないように呼びかけ「犬保護人 川崎市」というバッジをつけた人たちが野良犬の保護活動を行っていた。戦中、戦後人が生きていくことも困難な環境であったため人が飼い犬を捨てた事が野良犬が増加した理由である。保護管理局や衛生管理局の働きにより野良犬たちが減少していったのである。
現在の状況
近年ではペットを室内で飼う人たちが増えていることが野良犬を町で見かけなくなった理由の一つである。室内で飼うため外に逃げ出すなどの問題が起こりにくいのである。犬を放飼をする人も減っているためである。
さらに現在、保健所では狂犬病予防法第6条に則り野良犬の保護を行っている。しかし、保護された野良犬に飼い主が現れなければ殺処分の対象となる。その他にも、動物愛護法によりペットを捨てた場合50万円以下の罰金が科せられるため安易に動物を捨てる人が減ったためである。しかし、未だに飼えなくなったなどの人間の不都合な理由で動物が捨てられるなどの問題が生じている。そのため、責任をもち最後まで飼い続ける人のみがペットを飼う資格があると言えるのではないだろうか。
参考文献
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