殺気と普段聴こえない音

みなさんは体調によって音の聴こえ方が変わることはあるでしょうか。私は仕事で疲れた時、特に身体の疲れというよりも神経をすり減らして帰り道すれ違う人全員に殺気を放出しながら歩いている時に、あります。

以前も少し書きましたが疲れているときはバンドサウンドを好み、特にドラムの響きがいつもと変わるような気がします。具体的にいうと、そういう時に聴くアルバムとしてナンバーガールのベストがありますが、手数の多いドラムとシャンシャン鳴るシンバルが疲弊した脳に気持ちいいのです。もちろんナンバーガールなのでギターもいいのですが、特にドラムなのです。

今日は途中まではPodcastだったのですが、何かが抑えきれず七尾旅人の『billion voices』を検索し2曲目の「I Wanna Be A Rock Star」をスタートさせました。なぜかこの曲に毎回涙腺を刺激されるので、おそらく涙を求めていたのだと思います。聴くのは久しぶりでしたが、思っていた聴こえ方とは違い、その一時期より涙は出ませんでした。その後です。曲を飛ばして「どんどん季節は流れて」「Rollin’ Rollin’」を連続で聴きます。ここで、後者の曲の聴き慣れた特徴的なスネアがいつもより響いて聞こえることに気づきます。

ここ何日か仕事を休んで久しぶりの出勤は忙しく、感覚も鋭敏になります。周りの人の表情も普段より深く読んでしまいます。それは休んだ罪悪感もあるでしょうが、どちらかというと自分の余裕のなさでしょう。そんな時、鋭敏な感覚を持った耳で聴く音楽は救いです。CSSの「Let's Make Love and Listen to Death From Above」も、いつもあまり聴こえない左右のエアプレッシャー音や下の方を流れるブブッという音に気づきます。

こういう時に聴きたくなる、聴くと落ち着く音が入った曲を集めたプレイリストをいつからか作っていました。普段は音楽をなんとなく全体的な面として聴いていて、楽器にもあまり詳しくないので音を分けて聴くことは苦手ですが、今日みたいな経験を経て自分の好きな音楽についてもっと知れるようになればいいな、と思います。ちなみにこの文章を書く間もこのプレイリストを聴いていましたが、もういつもと聴こえ方は同じです。これはいっときの感覚のようです。

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