待ち望んだ[Safety Zone]~「【在宅勤務】ワインレッドの心」考察~
<注意事項>
1.昭和歌謡アカペラグループ「リストラーズ」について、個人的見解を述べている記事です。
2.主に動画などを見て感じた個人感想文という位置付けですが、想像や憶測で書いている内容が含まれます。
ご了承いただける方、ご興味のある方はこの先へお進みください。
今回は、昨日の夕方、2024年8月9日にYouTubeリストラーズ公式チャンネルに投稿された、ワインレッドの心についての考察をしていこうと思う。
前奏
見慣れた在宅勤務動画の入り。歌で真向勝負するパターンか?と期待に胸が膨らむ。
前奏の歌い出し。今回も全員の声が良く聞きとれるよう調整されているようだ。大変ありがたい。
そして、入りの音頭を取るボイパに続き、重低音ベースが一瞬聞こえたと思ったら、印象的で目立つ加藤さんのコーラスに耳を奪われる。この歌声がまた独特だ。曲によって声色を歌い分ける加藤さんならでは。待つわのコーラスに似ているように感じる。声のような楽器のような、不思議な感覚。この「トゥールルー~」という加藤さんのコーラスに、歌い出した瞬間から何かを掴まれてしまった気がする。呆気に取られていると、あっという間に前奏が終わる。
前奏の野村さんのコーラスも非常に印象的だ。加藤さんの「トゥールルールルルー」も、野村さんの「トゥトゥトゥトゥー」というコーラスも、同じフレーズの繰り返しなので、聞き取りやすく、耳に残りやすい。
楽器で聞いているとつい聞き流してしまう前奏だが、リストラーズの声で表現された伴奏を聞くと、この曲の非常に印象的なメロディーラインがとても美しい事がわかる。今までこの曲に持っていた印象が、ガラリと、更に良い方へ変わった。
1番歌い出し~1番サビ前まで
1番は草野さんリード。サムネが草野さん・澤田さんだった為、お二人によるツインボーカルであることは想像できていた。
美味しいものを食べた時、「美味しい」以外の感想が出ない、と良く聞くが、聞いた瞬間「上手い!」しか出ない。草野さんの透明感のある美しい声、ブレない音程、声に乗る感情、何とも言えない色気。草野さんから発せられる全てが、誰が聞いても「上手い」と感じさせる歌声を作り上げている。何度聞いても心地よく、この曲の世界観を見事に表現されている。
コーラスに関して、当初は、あずさ2号のように、ツインリードのお二人を除いた野村さん・加藤さんがお二人で担当される部分が多いのかと思っていた。ところが今回はあずさ2号とは異なり、ツインリードのお二人は、リードを歌っていない時は、ほぼコーラスに入っている。つまり、全体的に字ハモは少なめ。実は、1番には字ハモが一切存在しない。その代わり、コーラスや一部ベースが、音に近い声ではなく、声とはっきり認識できるような言葉で歌われている箇所があり、伴奏とハモリの中間のような感覚になる。特にAメロはハモリ感覚が強く、Bメロは伴奏感覚に近い感じがする。また、自分的に好きなポイントはBメロで入るポンポンコーラス。(今回はフォンフォンコーラス?リストラーズのポンポンコーラスが、自分は大好物なのだ)
この曲のメロディーラインは、イントロから歌い出しは非常にしっとりと静かに進行し、サビに向かって徐々に盛り上がっていく。リストラーズ版も「忘れてしまえば」までは、しっとりした曲調なのだが、「ば」の後から、急激に激しさを増し、そのままの勢いでサビに突入していく。サビに向かって一気に盛り上がるコーラス。サビ直前に、また加藤さんの印象的な「トゥールルー」コーラスが入る。草野さんのリードを野村さん・澤田さんが支える感じになり、リードの厚みが一気に増す。
1番サビ
サビは、リードの美しいメロディーにコーラスによる厚みが加わり、リズムがリードを支える感じ。ビリビリとボイパ・ベースが響く。では、コーラスが控えめかというとそうでもなく、ちゃんと前に出て主張している。しかし不協和音は一切なく、全員が前に出て主張しているにも関わらず、全体が一つにまとまっているのだ。恐らくどれかのパートが一つ弱くなった瞬間に、このバランスは崩れてしまうのではないだろうか。この絶妙なバランスは、即席で歌の上手い方が6人集まって歌ったからといって、短期間で出来るものではないように思う。これはリストラーズ20年間の歴史の中で培われたものであり、この6人だからこそ成立するバランスなのだと感じる。
間奏
前奏と同じメロディーライン。ちなみに、後奏も同じだ。コーラスが好きな自分は、つい加藤さんと野村さんの印象的なコーラスに耳を奪われがち。2番のリードは草野さんから澤田さんへ交代するので、間奏の一番下は草野さんだろうか?全然聞き取れない(泣)。そして画面はリードお二人の在宅勤務?状況が映し出されている。この動画のクスっとしてしまうポイントその①だ。
このメロディーラインの上村さんのボイパ、コツコツという感じの不思議な音が鳴っている。特徴的なコーラスの繰り返しを、上村さん・大西さんのリズムが支え、この前奏・間奏・後奏は、非常に印象に残るメロディーラインを作り出している。
2番歌い出し~2番サビ終わりまで
リードが澤田さんへ交代する。このリードは声に感情をたっぷり含めた歌い方だ。自分は、澤田さんは声の感情表現が非常に豊かな方だと感じている。最初にこの2番を聞いた時、澤田さんの真骨頂がこの部分で炸裂しているな、と感じた。(澤田さんの声の感情表現については、実は別の動画の考察で深堀りして書こうと思っていた事だった。)
感情全開の澤田さんのリードは本当に魅力的で、歌声に乗った感情は、聞いた者をグイグイと澤田ワールドへ引きずり込む。息を混ぜて歌われる部分や、語尾に感情が乗りがちではあるのだが、自分が聞いて、特に感情が出ていると感じる部分を歌詞の順番に書き出してみる。
「抱き合ったり」の「だ」、「ワインを開けたら」の「開けたら」、「あなたはただ」、「消えそうに」のしゃくり、「心をまだ」などなど。
2Aメロの歌い出し「~抱き合ったり」「~揺れ合ったり」の部分は、同じメロディーで同じ歌詞「ったり」が2回続く。澤田さんはこういう繰り返しを歌い分ける(異なる感情を乗せる)のが非常に上手い。(過去だと「勝手にしやがれ」の「アーアー」が続く部分など。)今回の「ったり」も決して特徴的ではない静かなメロディー、同じ歌詞なのだが、澤田さんはいとも簡単に歌いこなしてしまう。澤田ワールド、圧巻である。
全く字ハモがない1番と違って、2番は少しだけ字ハモが出現する。これは嬉しい。
字ハモ少なめな編曲は、敢えての演出だろう。アカペラでは、字ハモを多用しないからこそ、紡ぎ出される世界観もあると思うが、自分は、やはり字ハモも聞きたいのだ。この曲では数少ない字ハモだからこそ、聞こえてきた時の興奮度は半端ない。
草野さんとの「ずっと今夜を~合ったり」。草野さん、なぜそんなに透明でリードに合わせてそっと支える優しい声で歌えるのですか・・・
野村さんとの「ワインを開けたら」。野村さん、声、美しすぎます。そして見ている者を笑顔に変える野村さんの笑顔、本当に素敵です。澤田さんの「開けたらあ~」の「あ~」に野村さんの「あ~あ~↓」と下がるハモリ、ゾクゾクします。大好物です。
2番サビは、繰り返しのワンフレーズ目が、両方字ハモの構成。これは嬉しい。1番の字ハモ無しバージョンも、2番の字ハモバージョンも、どちらも素晴らしい。交互に聞いてみたが、字ハモ以外の部分は同じように聞こえる。字ハモがワンフレーズ入るだけで、メロディーの聞こえ方も変わるし、厚みも桁違いに感じるのが不思議だ。
大サビ前間奏
2番終わりの「この夜も」を澤田さんが歌い終わるが、コーラス・リズムは途切れずに繋がったまま、最後の間奏へ突入する。
この部分、自分はこの動画で一番好きな部分だ。
野村さんが「フゥ~」で歌う音階が上がり下がりする美しいコーラスが続き、その間、大好きなフォンフォンコーラスが鳴り響く。フォンフォンコーラスが終わり、野村さんのコーラスが高音へ登っていく時、加藤さんの「トゥルルトゥルル」というリズミカルなコーラスが入ってきて、野村さんのコーラスと重なり最後の大サビに突入する。この大サビ前の序章というのか、大サビへの持っていき方、というのか・・・リストラーズのこういう編曲が本当に自分好みで大好きなのだ。もう堪らない。
ここで、画面はというと、クスっとしてしまうポイントその②が繰り広げられている。耳も目も、大いにお楽しみいただきたいポイントだ。
自分的には、この素晴らしい間奏に最大?のクスっとポイントを当ててくる動画演出が、僭越ながらリストラーズらしいな、と感じている。
大サビ~後奏
画面構成が変わり、リードお二人が上側に並ぶ。目ではクスっとしてしまうポイントその③、と捉えて良いのだろうか。
大サビに向かって盛り上げた間奏の勢いのまま、今までより強めに草野さんが大迫力のリードを、澤田さんが字ハモを被せてくる。大サビは、遂にリードお二人のフル字ハモか?と思いきや、何とここで4人字ハモが解禁。(思わず「キター!」とガッツポーズ)
「あの消えそうに燃えそうな」の歌い出し「あの」を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立つような、背筋が凍るような、ゾクゾクした感覚が駆け抜けていく。この曲初めての字ハモの加藤さん。先程、ちょっとだけしかハモれず不完全燃焼気味?な野村さん。お二人の字ハモへの気合いが、目から耳から伝わってくるようだ。
「もっと、もっと聞きたい!」と思わせる所でスッと字ハモが終わってしまう演出。これは、恋の駆け引きで良く使われるという、押したり引いたりの手法なのだろうか。恋愛に疎い自分は操られるまま動かされ、リストラーズの手のひらで転がされるのみだ。
大サビはこの曲で一番盛り上がる部分。全体を通して、メロディーは1番も2番も大サビも同じなのに、歌い方・表現力でここまで差をつけることが出来るとは。万歳、リストラーズ品質!
ラストの後奏では、リードお二人の在宅勤務先が明らかになった?のだろうか。クスっとしてしまうポイントその④を見ながら、この曲を終始引っ張ってきた印象的なメロディーラインで動画が幕を閉じる。
最後に
原曲は言わずと知れた昭和の名曲、安全地帯の「ワインレッドの心」。
自分は、玉置浩二さんが作る曲が好きで、以前から良く聞いていた。シンガーとしての玉置さんは、未だに日本一の歌唱力と評する方もいらっしゃる程の実力の持ち主。自分も玉置さんの歌を聞き、その声・歌唱力に聞き惚れてしまう一人だ。玉置さんの曲は難しい曲が多いが、リストラーズの歌唱力であれば、問題なく歌いこなせると思っていたし、安全地帯の曲を是非歌って欲しい!と以前から思っていた。
全体的に同じメロディーの繰り返しが多く、静かな曲(一応バラードという位置づけでOKなのだろうか)にも関わらず、これだけ見せ場を作れる編曲・歌唱力・この6人だからこそ作り出せる世界観。どこを切り取っても本当に素晴らしく、安全地帯をリストラーズで!と長い間待ち望んでいた自分が想像したものを遥かに超えてきた。ファンのコメントを加味して選曲されたという今回の曲。大人の色気をふんだんに盛り込んだ本作では、またリストラーズの新たな一面を見せていただいた。この動画もまた、自分にとって特別な動画の一つとなった。
おまけ
※本編と関係ありません
表題の[Safety Zone]とは何?と思われた方がいらっしゃるかもしれない。
10年くらい前、日本に移住し、自分の勤めている会社へ入社してきた外国人の同僚がいた。「日本で歌が上手で有名な人気のある歌手は誰?」と聞かれ、「安全地帯」と答えたら「Safety Zone?」という答えが返ってきた。自分にとって「安全地帯」と言ったら歌手であり、安全地帯はその方の母国でも知名度が高い事を知っていたのでそう答えたのだが、その方はご存じなかったようだ。この同僚の一言で、自分の中で「安全地帯=Safety Zone」になってしまったのである・・・
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?