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ゼノンザード懐古録”SAO”

ゼノンザード当時の対戦環境を懐古する。そうした目的で始めたゼノンザード懐古録。ついにこの時がやってきました。

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人気作品SAOとのコラボにより最もユーザーの増加した時期、すなわち最も対戦環境を知らないプレイヤーの増えた時期であるEXCODE:02C SAOを懐古していきたいと思います。


第一章~エアプと無職とオルカアゲイン~


それではSAOの追加によって何が起こったかまずは振り返っていきます。

1.馬、涙のラストレース

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シーズン01から03までの間ランキングを駆け抜けた”ブラック・フレイム”はSAOの実装と同時にナーフされその姿を消しました。

SAOコラボでプレイを始めた新規ユーザーが馬にひき殺されるという悲しい事故は未然に防がれることとなりました。


2.行くぞアスナ!「スイッチ」!!

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劇中のコンビネーションを再現した新システム「スイッチ」が登場しました。

特定の種族を持つミニオンを召喚することで「スイッチ」を持つミニオンの召喚時効果が発動するというもので、種族を固めることを推奨するものでした。

しかしコラボ弾ということもあり収録カード数が少なく、肝心の種族ミニオンが無色の凡庸なミニオンに集中したためカードバリューを高めるためにデッキバリューが低くなるということが起こりました。


3.マラソン

SAO環境のランキングについて解説する前に説明しておかなければならないものがあります。

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それがこのRNKING~SEASON:SAO~

ランキングと名こそ付いていますが今までの勝率を競うものと異なり挑戦回数に制限が無く、期間中に何ポイント稼げるか、すなわち挑戦回数がモノを言うランキングでした。

しかもデッキにはSAOにて登場したカードを31枚以上採用しなければランキングポイントが付与されません。

その上ポイント報酬が最高で50000ポイントまであり、レジェンドランクのプレイヤーがAIアドバイスOFFで得られるポイントは1勝で130、アドバイスONでは100ポイント。

すなわちランキング期間およそ3週間の間に最高ランクであるレジェンドプレイヤーであっても報酬を全て獲得するには385~500勝する必要があり一日20勝近く勝利しなければなりませんでした。

20戦ではありません、20勝です。単純に5分5分の勝負ができたとしても1日40戦しなければならない地獄のランキングが行われました。

これにより実際のランキングへ向けた非SAO対応デッキの研究は遅滞することとなります。


アリシゼーション


SAOではゼノンザードに存在する6色全てではなく、赤、黄、緑の3色にそれぞれ作品シリーズが与えられました。

この3シリーズのSAOデッキの内最も強かったのは何かというと

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そう、緑です。

ビートダウンを行う赤は”「上級修剣士」キリト”の無限ブロックを突破できず、

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コントロールデッキであった黄色はフィニッシャーであったラディウスを”スロース・キーパー”によって封じられるため盤面をリセットできずサイズの前に屈するしかありませんでした。

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また限られたプールの中からデッキを構築しなければならないため必然的にどの色でも採用できる無色ミニオンの採用枚数が多くなるため”スロース・キーパー”だけでなく変形時に無色ミニオンを全て除外できるガウディンも突き刺さります。

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ビートデッキであるためプレイも簡単なこのデッキがSAO内では間違いなく最強でしたがそういうわけにもいきませんでした。


ここで話をRANKING~SEASON:02 ~へと巻き戻します。

この時セルフマッチングが問題になりました。

アカウントを複数用意し、片方に弱いデッキを持たせアクティブ人数の少ない時間帯に同時にマッチングすることでメインアカウントの勝ち数を稼ぐという方法を実行するプレイヤーが現れました。

このセルフマッチング問題、ランキング1位プレイヤーのセルフマッチングを指摘したプレイヤーが自身もセルフマッチングを行っていたなど、とても愉快な話があるのですがそれは置いておきます。

もちろんゲームの実力関係なしに勝ち数を稼ぐことのできるセルフマッチングはゲーム規約に反し、これに対して運営は対策を講じます。

それがBOTの追加です。

AIと対戦するというゼノンザードのシステム上、実はランキングを戦う上で人間の対戦相手は必要ありません。

そこで運営がデッキリストだけを与えたBOTをランクマッチに放つことで同一のプレイヤーと連続でマッチングすることを防止しました。


しかし、このBOTがSAOランキングにおいて最大の問題でした。

プレイヤー側はSAOのカードを31枚採用したデッキという縛りを設けられているというのにBOTはお構いなしに白、青、紫というSAOには存在しない色のデッキを使ってきました。

そして白、青、紫という色はどれも除去が得意な色、緑の盤面を作る戦術をたやすく突破することができます。特に前環境トップの青に緑は逆立ちしても勝てません。

こうして安定してランクマッチで勝ち星を重ねることのできない緑はマラソンを走ることに適さず、表舞台に立つことがありませんでした。


アインクラッド

マラソンランキングに適していないデッキがあるということは適していたデッキも存在します。

赤アスナ
メガハン

(※メガトンハンマーはSAO扱いされるバージョンが存在しますが同サイズの画像が用意できないため通常版を使用しています。)

それがこの”赤アスナ”と呼ばれたデッキ。

キーカードはデッキ名にもなっている”「血盟騎士団」アスナ”こと通称赤アスナ。

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SAOのメインヒロインであるアスナがデザインされたこのカードは召喚時と「スイッチ」によって相手全体へのBPマイナスと自軍へのバフを行い、アタック時に種族に「黒の騎士」を持つミニオン、すなわちSAO主人公のキリトを大幅にコスト軽減することができる能力を持ちます。

召喚時効で彼我のBP差を合計400付けるためアタックを通しやすくなり、アタックをするとさらに展開と「スイッチ」によるBP差が生まれるというデッキの方向性を決定づけるパワーカードです。

しかし、このカードはデッキの方向性を決定し過ぎました。

「スイッチ」、アタック時効果両方に「黒の騎士」ミニオンを要求するため、デッキには特別強力というわけでもない無色のキリトが8~10枚採用されました。

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そう、このデッキ弱いのです。

アスナを使った制圧と展開に依存しきったこのデッキはアスナを引けなかった場合ただの平凡なデッキでしかありません。

肝心のアスナ自体もナーフを受けた”ブラック・フレイム”のように除去耐性があるわけでもないためフラッシュで止めることができます。

非SAOデッキは除去が豊富であるためアスナを止めることは容易であり、SAO内でも緑はそもそものサイズで上回っている上に無色のミニオンを簡単に対処できるため有利、

黄色も除去が特別得意というわけではありませんが、SAOと同時に追加されたゲーム内コインの交換に”三ヵ国連合執政官アソウギ”が追加。

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先攻でも後攻でもアスナより速いターンに着地でき、その効果でアスナよりもサイズが大きい飛来をぶつけることができるためアスナに対してアソウギを引けるかどうかという5分5分の対策を誰しも講じることができました。


このデッキがマラソンランキングにて適している理由。それはこのアスナへの依存にあります。

アスナが引けなければそもそも勝負にならないのであればアスナを初手で引くまでリタイアしてしまえばいいのです。

いくらアスナが対策可能とはいえその性能は極めて高いため最速でぶん投げることができれば高い確率で勝つことができます。

初手で引く確率はおよそ6割、出して勝てる確率が8割程度だとすると勝率は5割にも満ちませんが、引くまでリタイアしてしまえばその勝率は8割です。

ビートデッキということもあり勝つときは速やかに勝つことができるので1日20勝もしなければならないランキングをずば抜けた効率で消化することができました。

SAOランキング中のランクマッチには大量の赤アスナが現れましたが、これは環境トップの強力なデッキだったからではなく、最も効率が良いからでした。



マザーズ・ロザリオ


緑がランキングでSAO内で最強、赤がランキングを走る効率で最強とするなら、黄色はランキングで負けないデッキでした。

アソウギ
リワインド

(※リワインドウインドはSAO扱いされるバージョンが存在しますが同サイズの画像が用意できないため通常版を使用しています。)

カード間のシナジーが濃い有色のカードと異なり、SAOの無色ミニオンには単体で優秀なものが多く、その最たるものが”アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス”です。

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召喚時効果で自身のフォースのライフの合計×100分相手ミニオン全体のBPをマイナスするこのミニオンは1体ずつ手札に戻して対処するしかなかった黄色に全体除去という強力な除去手段を与えました。

BPマイナスは付与効果であったため、ターンを跨いでもリセットされることは無く、一度で破壊できない大型ミニオンも無力化でき、2枚目、3枚目とプレイすることで1体複数交換をすることができます。

おまけのように付いているターン終了時に1回復する能力もおまけというには些か強く、ビート相手には盤面を一掃しながら減ったライフを安全圏にまで回復し、
コントロールデッキに強いコンボデッキ、特にラケシスコンボのようなワンショットデッキは1点を回復されるだけでも点数が足りなくなり、このカード1枚で完封することさえ可能でした。

黄色には「ソード」ミニオンを手札に加えることのできる”「水の癒し手」シウネー”

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「ソード」ミニオンを手札に戻しその効果を使いまわせる”マクアフィテル”

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「飛来」、攻撃制限、回復、バウンスなど非常に汎用性に富んだ「ソード」ミニオン

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と優秀なミニオンが複数存在し、一芸にのみ秀でた赤と異なり全体が高い水準にまとまったコントロールデッキとして活躍しました。

特にシウネーが強力で状況に応じた「ソード」ミニオンにアクセスし、そのリソース差で他のデッキを圧倒しました。

対応力が高く、勝率の良いデッキではあったのですがコントロールデッキ故に長期戦になりやすく20勝のノルマをこなすにはなかなかの時間を掛ける必要がありました。



第2章~眠れる牛~


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SAOランキングが終了したその日から、通常のRANKING~SEASON:04~が実施されました。

SAOコラボ弾発売から3週間が経過しているにも関わらず何故かSAOを31枚以下採用したデッキというものが一向に開発されていませんでした。

またメンテナンスより3種の新カードが追加、

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この中で事前情報で評価が高かったのは”「創世神」ステイシア”。アスナしか勝ち筋の無かった赤に同じスイッチ条件を持ちつつDP+1によりビートをサポートする新たな勝ち筋として注目されました。



惰性


SEASON:04開催当初にトップtierと考えられていたデッキは黄単ラディウスでした。

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もとより勝率重視でSAOランキングにてこのデッキを使い込まざるを得なかったプレイヤーが多かったため通常のランキングでも引き続き重宝されることとなりました。

SAOランキング中とは異なり赤アスナに対面する機会が減少するため、また増える同系対決で不利を背負わない為にアソウギを採用せずデッキパワーを確保する方向で調整されたものが主に使用されました。

しかしガードを下げた赤アスナ対面はエンジンであるシウネーをスフィンクスの上から対処されどうしても不利であったため、アスナを引かれない4割を祈るしかありませんでした。



馬の意思を継ぐもの


黄単がSAOランキングとほぼ変わらない構築でランキングを走る中、その制約から解き放たれることで赤アスナは真の力を発揮しました。

無色アスナ

色基盤をSAOに頼る必要のなくなった赤アスナはその基盤をより安定度とシナジーの高いマッピーラットに変更。アスナしかなかった勝ち筋に親の顔より見たツインハヤテを採用し、0コストで召喚できる実質ダスカースを10枚近く採用した純アグロデッキとして暴れ始めました。

ただし無色を主体としたデッキであるが故に、青のマジックウェポンに1:2交換を確実にされるという明確な弱点が存在していました。


青を超える安定感を誇る黄色、出力で黄色を粉砕する赤、赤の展開力すら無に帰すことのできる青という三竦みの関係でランキングは中盤を迎えることとなります。



火の発明


ランキングも半ばに差し掛かった時にとあるデッキが環境争いに名乗りを上げました。

うしおん

コントロールデッキはビートデッキ相手にミノタウロスを採用したいが、そうすると加護効果で盤面を破壊されるというジレンマを抱えていました。

それならばフォースへのダメージ軽減カードをガン積みして盤面争いを完全に放棄してしまおうというコンセプトで生まれたのが”白単ラディウス”です。

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白には1ターンの間フォースが受けるダメージを1点軽減することのできるカードが2種類存在し、そのうち1枚はベースであったためパンドリアでサーチすることで実質9枚の採用が可能でした。

そうして複数のダメージ軽減で盤面にミニオンを並べることなく序中盤をやり過ごし最後に着地するのがラディウス。

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今までは1対1交換を繰り返すためにホリィでの恒久的なドローが必須となっていた白にとっては念願の1対多交換が可能なカードで、カードアドバンテージを得られないダメージ軽減カードが日の目を浴びることとなりました。

これにより赤のビートにはダメージ軽減を、青のミッドレンジには単体除去を、黄色のコントロールには序盤を放棄したことによる大型ミニオンの採用枚数で環境の三竦み全てに有利を取ることのできるデッキとして君臨することになりました。

また、プレイによる評価値の上下に注目するAIにとってこのデッキは、ラディウスによってパワーの下がったクリスタルベイルを一度ベースに逃がし、次のターンに前に出し、また次のターンに加護をしてパワーを上げるというような、一度盤面を弱くし2,3ターンかけて有利な盤面にする悠長なプレイに対応できずAIが苦手なデッキの一種でした。

SEASON:01で生まれた1マナ過多のマナカーブ、SEASON:03にて編み出されたパンドリアを用いたベースコントロール戦術、過去のコントロールデッキの集大成である白単ラディウスは環境上位全てのデッキに強くおまけにAIとの同系戦にも強いデッキとしてRANKING~SEASON:04~の覇者となりました。

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