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ZENONZARD懐古録”CONTRACT”

6マナの問題児に事欠かないZENONZARD懐古録。

今回はPACKCODE:02”CONTRACT”を振り返っていきたいと思います。

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”有馬記念”の翌日に発売されたこのパック。一体どんな物語が待ち受けているのでしょうか。



第一章 CONTRACT~OTKダービー~


まずはCONTRACTによって環境にもたらされた影響を振り返っていきます。

1.加護ベースミニオンの追加
移動権を消費することでミニオンを永続的に強化できる「加護」効果を持ったベースミニオンが登場しました。

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たとえ「加護」されたミニオンが破壊されたとしてもベースに返るその性質上、長期戦を戦う新たなリソース獲得手段が追加されることとなりました。

2.ブロックされないフィニッシャー
特定の種族にしかブロックされないDP3のドラゴンミニオンが各色に追加されました。

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ひとたび動きだせは2、3回の攻撃でゲームを終わらせることができるドラゴンをいかにして対処するのかというのがCONTRACT環境攻略の一つのポイントでした。

3.エラー・ド・ネジェル
ドラゴンと同じくパックの看板であった”「英雄」エラー・ド・ネジェル”。

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コスト5という中型のサイズながら、相手のコスト8以上のミニオンを全て破壊するという破格の効果を持っています。

このカードの登場により、ヤクーツォークやクリスタルベイルで盤面を固める戦術にどの色のデッキも対策をとることができるようになり

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今弾収録のドラゴンやダスカースを並べられても1枚で返せるようになりました。

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強力なフィニッシャーと同時に汎用性の高い対策カードまで同時に登場した本弾。

新たな選択肢「加護」と共に対戦環境はいったいどう変化していったのか振り返っていきます。



皐月賞


CONTRACT発売の3日後、12月26日にワンダードリーム杯が行われることが発表されました。

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この3日の間にCONTRACTのカードを使った様々なデッキが考えられました。


まず最初に注目されたのはなんといっても目玉カードのドラゴン。

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特に”「雷鳴公」デンサイ”はドラゴン共通のブロック阻害効果に加え、召喚時にデッキ上への除去ができ、ドローロックにより対処カードを上から引かれるということも無くなるため特に注目されていました。


ブロックされないDP3はやはり強力で、黄色には2回攻撃させるカードもありました。

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そして気付かれます。なぜか選ばれないまで付いてる奴がいると。

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デンサイ、そしてブラックフレイムを備えたブロックされない連続攻撃デッキは優勝こそしなかったもののワンダードリーム杯に爪痕を残しました。

フォースはBEYONDの流れを汲み取ったミノタウロスを採用。CONTRACTでエラーを始め強化を受けていたアグロデッキを警戒していました。

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この時はまだ誰もランキングが競馬場になるとは思ってもいませんでした。



日本ダービー


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RANKING~SEASON:01~はワンダードリーム杯の開催と同時に開始されました。

そしてワンダードリーム杯で頭角を現した馬はすぐさま広まりました。

広まったデッキがどうなるか覚えているでしょうか。そう、高速化です。

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選ばれない。ブロックされない。このミニオンを強化して攻撃すれば安全に、しかも簡単に勝てるというのはもはや自明でした。

そしてそれに全リソースを注ぐ形の構築が生まれました。特化した構築というのはプレイも単純になります。

それだけではありません。このブラックフレイムというカード、AIが上手く使うことができなかったのです。

AI、人工知能とは言いますが思考しているわけではありません。選択可能な行動から統計的に勝ちやすい方法を選択しているにすぎません。

AIはテキストを読んでいるわけでは無いのです。

通常カードゲームのセオリーでは横にミニオンを並べれば並べるほど有利です。
しかし、このブラックフレイムというミニオンは横に並べなければ並べないほど強力というセオリーに反するプレイを要求します。

こうして生まれた、人間は楽なプレイで勝てAIは弱いという人間vsAIというゼノンザードのシステムにおいてこれ以上ないデッキは瞬く間に環境を支配していきました。

この時、フォースのミノタウロスは速攻を対策するためではなく、DP3の馬に2回殴られて殺されない為に採用されました。



菊花賞


環境が進むとデッキは低速化していくのが常ですが、どうせ低速化するのだからと始めから黄単馬を低速化したデッキも存在しました。

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馬に特化すると馬を引けなかった場合に大きな不利を背負ってしまうだけでなく、同系戦では先に馬を出せる後攻が有利となってしまいます。

そこで馬をブロックされない2点としてだけ使い、セリカを中心にドラゴンサーチを活かしたコントロール寄りの構築が生まれました。

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注目すべきは1コストを9枚採用し、2コスト0枚という構築。

後攻1ターン目に移動権を消費できないと大きな不利を背負ってしまうゲームシステムに合わせて、5,6マナにビッグアクションを行わないデッキでは1マナを多く採用するというのがトレンドの1つでした。

しかしこのデッキ、馬をAIが上手く使えないという特性のため馬特化同系戦が不毛になるということが無く、プレイの簡単な特化構築しか流行りませんでした。



宝塚記念


馬は環境を支配しましたが、どんなに支配しているといっても馬と当たるのは3試合に1回程度、ランキング過半数は有象無象です。

それだけでなく、馬を唯一ブロックできる6コストのミニオンを山ほど積んだ徹底的にメタしたようなデッキを使いたがるようなプレイヤーもいます。

どうせ、AIの使用する馬には勝てるため、残りの有象無象を刈り取るデッキというのも環境に現れました。

無麒麟

それがこの”無色ラケ麒麟”です。

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ラケシスで減らしたライフを麒麟のバーンで削り取るコンボで、デッキ自体はBEYOND時点で成立していました。

しかしBEYONDではバーンを低減するヤクーツォークや、環境トップの紫にビーストミニオンをまとめて処理されるということもあり環境で暴れることはありませんでした。

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しかし、CONTRACTでヤクー対策のエラーを獲得。

馬に勝てない紫の死滅などの要因も重なり、スフィンクスとミノタウロスで守った鉄壁の引きこもり盤面を構築すれば有象無象に簡単に勝つことができました。

フォースを破壊されれば無力なデッキなので本来は馬に不利でしたが、AIが馬の横にミニオンを並べるためライトニングフォールで除去できてしまい弱点として機能していませんでした。


ジャパンカップ


お気づきですか。馬は無色ミニオンです。

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なので無色アグロに入りました。

BEYONDでの無色アグロはアグロというよりも除去ミッドレンジといえる構築となっており、ウロボロス×オルトロスという攻撃的なフォースのパワーを完全には活かしきれていませんでした。

しかしCONTRACTにて馬を獲得。ツインハヤテでのフェニックス破壊が成功せずともオルトロスでDP3となった馬がフォースを破壊することが可能となりました。

しかもオルトロスとウロボロスを採用した際の顔面はなんと7点。ミノタウロスを採用せずともDP3の馬に2回殴られても死ぬことはありません。

またハヤテは黄色のミニオンなので

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ウォークライで2回殴るというワンショットギミックまで無理なく採用できました。

無色特有の色事故の無さ、コンボ性の少なさが長期間戦う必要のあるランキングにマッチし、無色アグロはRANKING~SEASON:01~の覇者となりました。



第二章~恐怖!セルフマッチング!!~


2月3日、カード能力の修正が行われました。

馬のナーフが行われるものとばかり思っていましたが、

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なんと馬ノータッチ。一挙5枚ものカードのアッパー修正が行われました。

それだけでなく多くのプレイヤーが馬を使用したため馬の勝ち方をAIが学習してしまいました。

これにより馬vs馬は先に馬を投げつけられる後攻有利の不毛なゲームとなり使用プレイヤーは減少し、馬に対処ができないラケシスデッキは姿を消しました。

馬によって開発が進まなかった数多のデッキが野放しにされた混沌のRANKING~SEASON:02~が始まります。

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※セルフマッチングは環境デッキに一切関係ありませんし、この間にAIベース大阪等もありましたが触れません。



ポリンレッド


SEASON:02 においてまず注目され、最も器用なデッキと評価されたのは強化されたブラッドヒュージーを採用したペガフェニ赤でした。

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CONTRACTに収録されたマーガスと移動を組み合わせることで色マナを増やしつつ盤面を維持するデッキは面白いデッキとしてSEASON:01中から注目されていました。

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マーガスと共にデッキの中核を担っていたブラッドヒュージーが調整により7→6へとコストが変更されたとこにより評価は一転します。

デッキの中核となるミニオンで馬をブロックできるようになったほか、最速での着地ターンが1ターン縮まったことにより毎ターンマナを綺麗に消費して動けるようになりました。

小型のトークンを並べるという性質上、そのトークンで攻めることも守ることもできる器用なデッキではありましたが、このデッキが環境最強かといわれると疑問を抱かざるをえません。



時のオカリナ


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スカーレットは召喚時1ドローがベースに「加護」があるだけでも発動するように変更されたため今後の環境でも長く使われていく優秀な2コストミニオンとなりました。

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このスカーレットの強化により環境へと数を増やしたのが緑です。

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CONTRACTにはまだ加護をサーチできるカードが少なかったため、シルヴィーの効果を使用するために加護を多く採用する必要のあった緑がスカーレットの効果を唯一利用することができました。

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また、ペルチャルシーも強化されたことで無色デッキ全般にたいして非常に強くなり高い突破力を持ちつつ、ロックも可能なミッドレンジデッキとしてのクオリティを一段階上昇させました。

しかし大きな欠点があり加護を引かなければデッキが機能せず、加護をサーチできるカードがまだ存在しないため”色発生源は8”というゼノンザードのセオリーに反した構築をせざるを得ないため安定感が低くランキング向けではありませんでした。



独特すぎるマナカーブ


馬の減少によって鳴りを潜めていたコントロールデッキも息を吹き返しました。

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白単はCONTRACTで大量に相性の良いカードをもらいました。

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特に目玉のドラゴンである”「氷原公」フリーレン”と新たなフラッシュマジックである”エクス=キャノン”には新たなキーワード”除外”を持っており、今まで苦手としていた紫の破壊時効果に抗う術を手に入れました。

ブロックされず、除去も行えるフリーレンはコントロールデッキの詰手段としても理想的で、フラッシュタイミングで使用できる防御カードを10枚以上採用した完全なコントロールデッキでした。

しかしここでもネックになるのは未だにデッキの中核であるホリィ。

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大量に採用したフラッシュを活かすためにもどうしても引く必要があり、ホリィに依存したこのデッキはやはり最強のデッキとは言い切れませんでした。



抜くと生える


追って紫も環境に現れました。

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いくら白が紫に対抗できる手段を手に入れたといってもパンデミックで盤面をぐちゃぐちゃにされるため紫は白に有利なデッキです。

BEYONDからの変更は”ドラゴン・プリースト”の追加のみ。

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環境の優秀なフィニッシャーであるドラゴンをブロックすることができ、破壊時に生まれるドラゴンもDP2となかなかのサイズをしており、パンデミック後でも5打点以上場に残るということもザラでした。

しかしコスト6のミニオンがほとんど採用できないため、減ったとはいえ環境に存在する馬に無力という弱点がありました。



無限釘パンチ


環境も少し進んだところでついに青のデッキまで登場します。

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赤の戦術を参考に、アッパーによって緑にも負けない屈強なマナレシオを手に入れた”「神餐の担い手」ジューリオ”を用いて移動権でアドバンテージを取り続けるデッキが生まれました。

得られるアドバンテージが小型のトークンではなく直接のドローである点、詰手段が「潜入」による直接攻撃である点など赤を一回り強化したようなデッキでした。

しかし、移動権を増やしてデッキを全て掘り切る勢いで回してリーサルを目指すデッキのためプレイング難度は赤の比でなくやはり流行りませんでした。


各色の有力デッキに加えて、馬、無色が群雄割拠するSEASON:02の環境は、トップメタと言い切れるデッキが存在しないためメタが回らず混沌としました。

この環境を最も代表するデッキはとなれば登場が最も早かった赤が一番調整が進んだのですが環境を制したというには疑問が残る結果で幕を下ろしました。




おまけコラム~先攻有利と後攻有利~


カードゲームにはつきものの先攻有利問題。しかしゼノンザードは不思議なことに移動権というシステムが存在するため環境によって先攻有利と後攻有利が変化してきました。

先攻プレイヤーには先攻1ターン目の移動権がないため毎ターン移動権を使用した場合の到達マナは1→2→5→7→9→10。
後攻プレイヤーは1→3→6→8→10です。

この差により6コストのカードが強力であれば後攻有利環境といわれました。

実際にどうであったか一部データを参考にしながら振り返ってみます。


AWAKEN

AWAKEN期は先にアオバを召喚できる後攻プレイヤーが有利のように見えますが、先攻有利環境です。

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その理由はゼノンザード最強ミニオンと名高い”ジャックナイフスワロウ”の存在です。

先攻1ターン目に召喚したこのミニオンを止める方法は皆無で確実に相手のフェニックスを1点にできるため、中盤に破壊してそのままアオバで押し切ってしまうことができます。

環境末期の赤黄アオバでは

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同時に”スパイクリザード”も採用されたため最速先攻2ターン目に相手のフェニックスを破壊することさえできました。


BEYOND

BEYOND期前半、キスカが暴れていた環境では先に出した方が勝ちであるため後攻有利でした。

キスカがナーフされたのちの環境ではコントロール環境になったため先後の差はあまりありませんでしたが、後1で移動権を使えない展開が致命的であるため先攻有利な印象です。


CONTRACT

後2ツインハヤテ及び後3馬もしくはその両方が襲い掛かってくる環境であるためそれをする、対策する両方で後攻の有利な環境でした。


DIVINE

ここからは数字を出していきたいと思います。

DIVINE期は先攻勝率67%、後攻勝率57%です。

9コストミニオンであるラケシスに先にアクセスできる先攻が有利な環境でした。

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SAO

SAO期は先攻74%、後攻67%です。

ラディウスを用いた重コントロール環境となったため、後1パスがとにかく響きました。

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EVOLVE

EVOLVE期前半は白を中心としたコントロール環境。

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先攻68%、後攻51%でした。

後半はサモンゴレイム環境が始まるわけですが

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先攻75%、後攻50%不思議なことに極端なまでの先攻環境でした。

この時はまだサモンゴレイムにはそれだけで勝てるほどのパワーがありませんでした。



FORBIDDEN

赤BSが環境を支配したFORBIDDEN期

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先攻67%、後攻57%。有利不利で言えば先攻有利環境です。

しかし、DIVINEと比較すると後攻が勝てるポテンシャルが高くなっています。

6コストのパワーカードの存在により、後攻が簡単に勝てる試合の印象が強く残りますが、後1パスの存在から潜在的に先攻有利なようです。

バトスピコラボ弾が追加され黄色が強化されたランキングでは先攻67%、後攻55%でした。


KAMEN RIDER

小型弾であり、ランキングも短期間のものしかありませんでしたが

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先攻65%、後攻63%。劇的に先攻後攻の差が縮まります。

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移動権を強力な加護へと変換できるアクアの存在が非常に大きく、後1パスを考慮しなければなりませんが後攻有利な環境でした。


GLORY

数字を先に出します。

先攻64%、後攻77%。

ついに完全な後攻環境が訪れました。

それもこれも色事故もないうえに1マナを実質9枚採用したという化け物デッキが誕生したためです。

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HELIX

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先攻65%、後攻79%。

1ターン目に移動権を行使できる後攻の有利は絶対的なものとなりゼノンザードはそのサービスを終えます。


6マナにパワーカードのある環境では簡単に勝てるシーンが印象に残るため意外にも後攻有利ではなかったと数字には表れました。

が、相手に最速サモンゴレイムをされても何なら返せるという人達の勝敗を集計しているためもしかしたら実態に則していないかもしれません。


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