ZENONZARD懐古録”FORBIDDEN”
弾を追うごとにより複雑により競技的にAIと共に進化していくZENONZARD。今回はPACKCODE:04 FORBIDDENを懐古していきます。
バンダイの人気カードゲームBattle Spiritsとコラボした本弾によりZENONZARDはより奥深いものとなります。
そんな本弾を懐古していきましょう。
第一章~「ゲートオープン、界放!!」~
それでは今弾によって環境にもたらされた変化を三つに絞って見ていきます。
1.コスト軽減
まずは新キーワード効果”コスト軽減”。
バトルスピリッツの基本ルールである場のカードの数によってカードのコストが軽減されるというシステムが一部のバトルスピリッツコラボカードに与えられました。
このキーワード能力はゼノンザードの環境に新たな風を巻き起こしました。
まず盤面に数を並べられるカード評価が上がり、同時に盤面を処理できるカードの評価も上がることになりました。
逆に盤面を放棄してダメージを軽減し序盤を凌ぐタイプのデッキは相手の大型ミニオンの早期着地を許すため向かい風を浴びることとなります。
そして極めつけはフェニックスのフォースの相対的弱体化です。
これまでのゼノンザードはフェニックスのフォースの効果によってマナがアクティブになることを前提とされており、アクティブになったマナで相手のターンに防御カードを使用していました。
そのためフェニックスのフォースを失うと自分のターンにできることが大きく制限され、大型ミニオンを召喚するとマナを使い果たしてしまい防御カードが使えなくなり劣勢になってしまいました。
しかし、コスト軽減はこの状況にメスを入れます。
軽減されたミニオンであれば防御カード1枚程度のマナを残すことができるためフェニックスを破壊された後でも大型ミニオンの展開と防御が両立できるようになりました。
それだけでなくミニオンの展開により出力が増加していくため、あえてフォースを割らせて増えたマナで展開枚数を稼ぐといったプレイが現実的に行えるようになりました。
これによりゼノンザードの対戦環境はこれまでとは比較にならないほど”読み”が重要となり奥が深いものとなりました。ランキング上位の勝率もぶっ壊れ始めます。
2.エヴォーカーマジック
バトルスピリッツがゼノンザードに巻き起こした嵐が”コスト軽減”であれば、ゼノンザード側の嵐は新たな”エヴォーカー”です。
FORBIDDENにて登場したエヴォーカーは、ミニオンを手札に加えていたEVOLVEのものとは異なりマジックを手札に加えるようになりました。
そしてこの手札に加わるマジックは手札から使用するたびに新たなマジックを最大2度手札に加えることができます。
ベースに配置した時に1枚、そしてその後唱える度に手札に加わるため0マナで1枚のカードが3枚に増え驚異的なアドバンテージ効率を誇ります。
アンリコのおじさんもびっくりです。
1枚のカードが3枚に増えるバカカードの登場で対戦環境は大いに荒れました。
どんなデッキでも過剰にアドバンテージを得る手段を採用できるため、従来であればアドバンテージ勝負で後れを取るようなデッキでも無理矢理追いつくことができるようになりました。
そのためアドバンテージ獲得能力の不足をエヴォーカーマジックで補い、不安定性ですが十分以上のアドバンテージ獲得手段を有する、所謂Tier2といわれるようなデッキが爆発的に増えることとなります。
3.導き手
”コスト軽減”と”エヴォーカー”この二つがあまりに大きすぎて3つ目に挙げるにはいささか以上にパンチにかけますが、ゼノンザード側の新規カードとしてAWAKENから存在する”導き手”のバージョンアップカードが登場しました。
連携ではなく、マナに「エヴォーカー」が2枚以上あることを参照しサイズも効果強化されたこれらのカード群は…
…はっきり言って安定性に欠けました。
事前に2枚の特定のカードを引いていなければポテンシャルをフルに発揮できず、発揮できなければコストが重くなった分既存のモノより扱い辛いこれらのカード群はすさまじいアドバンテージを稼ぎ始めた他のカード達の足元にも及びませんでした。
ただ1枚を除いて
紅蓮の星より龍を呼ぶ!
FORBIDDEN環境開始早々に注目されたのはもちろんこのデッキ
”赤BS”です。
アニメ「バトルスピリッツ 少年激覇ダン」「バトルスピリッツ ブレイヴ」と2シリーズに渡り主人公を務め、後の作品でも重要人物であり、果ては紙のゲームにおいても背景ストーリーに登場し始めた「馬神 弾」とその切札達を中心に構成されたデッキです。
注目カードはバトルスピリッツでも屈指の人気カードである”超新星龍ジークヴルム・ノヴァ”です。
バトルスピリッツのキーワード能力である「コスト軽減」に加え、召喚時に任意で自分の「ドラゴン」を破壊すれば全体にBP-500の除去に加えてライフ回復効果。
更にアタック時にBP500以下の単体除去を持っており召喚時と合わせてBP1000までを除去可能。
それに加えて「コア」を加護していれば1ドローとこれ1枚で
早期召喚も全体除去も単体除去もライフ回復もリソース回復もとむしろ何ができないのかと言いたくなる凄まじい性能を誇ります。
そしてコスト軽減とものすごく相性が良かったのがEVOLVE環境にて活躍した”サモンゴレイム”
ケイローンの効果込みで4マナで5体のミニオンを生み出すこのマジックは、コスト軽減持ちミニオンのコストを-5することができ、実質コストが-1となりもう何が何だか分からない状態になりました。
バカカード×バカカードは宇宙最強でした。
それを支える追加小型ミニオンも1マナでありながらデメリットを持たずDPを持つ”アンキラーザウルス”
2マナでありながら手札補充効果を持つ”星角獣ユニゴーント”、”放浪者ロロ”
バトルスピリッツの赤のキーワード能力「激突」を再現した強制ブロック効果による今までの赤の弱点であった”選ばれない”ミニオンの克服。
等々強化点を挙げればキリが無く、序盤中盤に隙が無いどころかリソース回復で長期戦も戦えるこのデッキは、キャラ人気もカード人気もデッキパワーも相まって瞬く間に環境の最大母数となりました。
金色の覇者転召!
環境最強の”攻め”を有していたのが赤BSだとするなら最強の”受け”を有していたのが
この”紫BS”です。
BSと呼ばれていましたが実態はゼノンザード出身のカードとほぼ半々で構成されています。
中心となるのはEVOLVEにて登場したエヴォーカーとFORBIDDENのカードバトラーの2種のベースミニオン
どちらも配置時にミニオンを手札に加えることができ”ヴィオレ魔ゐLv1”から手札に加えることができる”デモ・ポーン”は種族スケルトンを持ち、0コストでアンドロスを進化させることができます。
この0コストで進化できる、つまりは召喚したターンにすぐさま進化できるというのは極めて強力です。
最も人気のあるデッキであった赤はBP600以下であれば”メガトンハンマー”を用いて1枚で処理可能ですが、1段階進化したBPは700で2枚以上カードを使用しなければ処理できません。
また”サモンゴレイム”を用いた最強の展開に対して”ジャイナガン”でBP100のトークンを全て破壊すれば高いBPとDPを得ることができます。
残ったマナで追加の「スケルトン」を召喚し最終形態へと進化させればアタック時効果で「軽減」を用いて追加されたミニオンを処理しつつ一撃で勝利、そうでなくても盤面を完全に覆すことができ赤に対して強烈なカウンターが可能でした。
自発的に展開しない受動的なデッキに対しては”ヴィオレ魔ゐLv3”から手札に加わる”魔界七将アスモディオス”がクリティカルに突き刺さります。
色拘束5を誇るこのカードは【召喚時】効果により紫ミニオンを破壊することで相手の手札を2枚奪うことができます。
これにより硬直状態となった場合でも強引にアドバンテージ差をつけられるだけでなく【自分のターン】であれば「デーモン」ミニオンが破壊される度に全体BP-300と1点のバーンダメージを与えることができるため、【召喚時】効果と合わせてにらみ合いを許しません。
それだけでなく、このカードの本体はベースミニオンである”ヴィオレ魔ゐ”であるというのも大きな点です。
ゲームのルールにより10マナあればベースミニオンは新たに無色マナをベースに置こうとすることでベースからトラッシュへ送ることができます。
トラッシュへ送ってしまえば回収カードにより手札に再び加えることが可能となり、最終進化系であるアスモディオスを何度でも手札に加えることができます。
”魔羯邪神シュタイン・ボルグ”は【召喚時】に加え【破壊時】も紫のミニオンを回収することができ、アスモディオスの【召喚時】効果で破壊することで2度”ヴィオレ魔ゐ”を回収できます。
これによりシュタイン・ボルグを召喚することでアスモディオスの効果により計6枚の手札破壊と全体BP-1800、6点のバーンダメージと長期戦となることを一切許しませんでした。
アグロミッドレンジ系デッキに対してのカウンター手段もコントロール系デッキへのカウンター手段も有しているこのデッキですがコンボ系、ワンショット系のデッキに対するカウンターカードも与えられていました。
それがこの”力の吸収”です。
対象を取らないことで選ばれないミニオンにも対応でき、DPを0にしその数値分回復ができます。
一度凌ぐだけでなく、回復もすることで2度の攻撃に対して対応でき、ワンショットデッキであれば一度の攻撃に大量のリソースを注ぎ込むため再度ワンショットが成立するまでかなりの時間を稼ぐことができます。
優秀な足回りも追加されており、
特にこの”シキツル”は【召喚時】及び「スイッチ」でドローができる優秀なエンジンであり、各対面に対するカウンターカードを集めることができました。
既存のありとあらゆるデッキにカウンターを用意できる”紫BS”でしたがこのデッキを十傑を目指すランキング上位勢の中で使うプレイヤーはほとんどいませんでした。
というのもこのデッキが受けデッキであるというのが重くのしかかりました。
このデッキはとくにアグレッシブなデッキ相手にはあえてフォースを攻撃させ増えたマナでカウンターを狙うなど一度相手に攻めさせ対面によって勝ち方を切り替えていく必要がありました。
そのため自分のデッキだけでなく相手のデッキが何ターン目にどれだけ出力するかを把握し、どういった盤面を作るか熟知する必要がありました。
それをするぐらいなら赤BSを使いこなせた方が早いということで敬遠されました。
名前も知らない木ですから
FORBIDDENの目玉であったバトルスピリッツのカード達が活躍するなか環境の頂点となったのは
「BS」に属するカードを採用しない”ツインホーン”でした。
EVOLVE以上に赤の多い環境にて活躍したのはやはり緑でした。
FORBIDDENにて追加された2種のエヴォーカーにより今まで緑に不足していたリソース確保能力は飛躍的に向上しました。
”「蔦の魔術師」ウィップ”は
第1魔法の回復でコンボ成立までの時間を稼ぎ
第2魔法のレスト効果で攻撃をいなすこともツインホーンの攻撃を通すことにも利用でき
第3魔法は緑に貴重な盤面処理効果を持っています。
”「翠色の魔術師」ジャック”は
第1魔法で前述のウィップを手札に加えることができ
第2魔法で一時的なダメージ軽減ができ
第3魔法で直接ツインホーンをデッキから手札に加えることができます。
とくにジャックはとんでもなく強力で、ただでさえ1枚が3枚になるベースミニオンをもう1枚手札に加えられるだけでなく、
第2魔法も次のターンにコンボ成立という局面で複数枚同時に使うこともでき、
何よりとどめにしか必要なかったツインホーンをサーチできるため採用枚数を減らすことができます。
既にツインホーンを引いていた場合も防御カードをサーチでき無駄がありません。
大量に手札に加わるマジックが不要になったとしても”「天知」プラトーナ”でまとめて交換することもできます。
フォースもEVOLVE期の「ミノタウロス」+「ケイローン」から変更されています。
コスト軽減によりDP2以上のミニオンが複数並ぶ機会が増え、ワンショット系のデッキも環境に現れたため素のライフが高いことが求められ、ライフを7点にできる組み合わせが選ばれました。
ウィップの第2魔法の範囲も強く使うことができます。
1枚のカードが3枚に増えるという超パワーカード群の恩恵を最も受けた緑がFORBIDDEN環境ランキングの頂点に立ちました。
おまけ
FORBIDDEN環境、後発の追加カードなどもありましたが全国大会THE ZENONもあり十傑のあるランキングは1度しか行われていません。
環境は特に変化しませんでした。しいて言うなら紫の”力の吸収”に弱いツインホーンが減ったぐらいです。
SEASON:07も含め、アドバンテージの確保が非常に簡単になったため環境に少数存在するTier2デッキが数多く存在しました。
そういったデッキも紹介しておこうと思います。
白BS
FORBIDDENにて「BS」が与えられた3色の内の最後の1色、白は残念ながら環境デッキとはなりませんでした。
制圧効果で盤面を固め、安全に勝つことのできるカードを多く与えられましたが
赤は盤面を固める前にその速度に負け、赤を対策しようと防御を厚くすると今度は紫に破壊され、制圧が成立しても防御不能のアスモディオスが降ってくるなど器用貧乏感が拭えませんでした。
追加カードの”選ばれし探索者アレックス”が追加されたことで受け兼終盤への繋ぎが成立しデッキとしての完成度が高まりました。
青単マーフォーク
3枚のマジックを手札に加えることのできるエヴォーカーと最も相性が良かったのが”「ブルーナの召喚獣」ジャイ”です。
また、“「蒼の魔術師」クー”はマジックを手札に加えるエヴォーカーの中では屈指の性能をしていました。
第1魔法は移動権を増やすことで盤面の頭数を増やし
第2魔法もベースからミニオンをアクティブで出すため頭数を増やし
そして第3魔法でブロックされなくなるため連続攻撃を行えるミニオンと非常に相性が良く、どのマジックも相手を殴り倒す方向を向いた効果をしています。
特に移動権を増やす第1魔法、ベースからミニオンを出しつつ青マナを置ける第2魔法はマナ加速にも利用できとんでもない柔軟性を持っていました。
この2枚の組み合わせは非常に高い攻撃性能を持っていたのですが、3枚採用のカード2枚を組み合わせたコンボに依存したデッキである点、
紫のアンドロスと違い進化にどうしても1ターン必要とする点、
防御マジックカードを使用された際の立て直しに時間がかかる点など環境デッキと比較すると弱点が多いため主要なデッキとはなりませんでした。
しかしこの連続攻撃可能なミニオンをクーでサポートするというコンセプトは後の環境にて活躍することになります。
ルナテックワンショット
白自体はあまり環境で活躍しませんでしたがカードバトラー”月光のバローネ”の最終形態から手札に加わる”月光神龍ルナテック・ストライクヴルム”は「ブレイヴ」を加護することで選ばれなくなる耐性を持っています。
これをブロックされ無くし
2回攻撃させればワンショットキルが可能です。
在りし日の馬を思い出すワンショットですが3枚のバローネと”インビンシブルクローク”と”ウォークライ”の5枚コンボで確実性の差こそあれ2枚でワンショットが成立するツインホーンと異なり、コンボカード以外のほぼ全てをドローソースとする必要がありました。
どうしてもコンボ一辺倒なデッキとなるため流行ることはありませんでしたが、
今後少しでも耐性を持っていたり、ブロックされなかったり、複数回攻撃できたらとりあえずオールインしてワンショットデッキを組むという流れの走りとなりました。
黄単アンジェラ
3つのポイントで挙げましたが環境デッキ入りしなかったカード”「秘法の天女」アンジェラ”はとんでもないポテンシャルを秘めていました。
1コストの上昇でミニオンが出るたびにそのターンBP+100していたのが永続付与となりそのカードパワーは爆発的に増加しました。
スフィンクスのフォースによりミニオンの効果に選ばれなくなったミニオンをドンドンと強化していくとマジックによってしか突破できない強固なフィールドを形成します。
「エヴォーカー」マナ2枚を設置できていた場合のボーナスなくとも非常に強力なこのミニオンは一部のデッキをそのコンセプトで詰ませることができました。
しかしミニオンを強化していく必要があるため最序盤に召喚できなければならずミニオンを次々と召喚する必要からドローカードを多く採用できないこのデッキはその依存度の高さからまだまだ安定せず、ランキング向けのデッキではありませんでした。
1試合1試合の出力が勝負を左右する対人戦の場ではそこそこの活躍を見せました。
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