例の漫画について

例の漫画について暇なのでちょっとした感想と考察でも、徒然なるままに


例の漫画を読み終わった後、感想を見て悲しいなぁと思ったのは自分としては本筋と思えないところで炎上した事とそれが現実に影響したらという発想の人が結構いた事

普段そういう発想で表現の自由を狭めてくる人達に対して憤ってる側であろう人達が似たような構造で怒ってるのを見ると切なさがありました


それはそれとして自分は楽しめたんで肯定的な意見にはなってしまいますがまずはこれが例の漫画です


さて、ここで問題となってきてるのは社長のディレクションの悪さ、要は指示、説明が適切じゃない、言い方が悪い、昭和的といったところでしょうか

言わんとしている事はわかりますけどそこ本筋じゃなくない?と

あらかた言いたい事を綺麗にまとめてくれてる方がいたのでその記事を貼っておきます

とはいえこれだけじゃ感想も考察もほぼないじゃんってなるので蛇足を少々


・カナメ(社長)は本当に説明不足だったのか

まず5ページ目、「資料はもう渡してある」とあるので最低限ここでどういったゲームなのかの説明は出来ていると読めます

次に、問題の「全然ダメ」「ふつうすぎます」の後、「他人にお願いした意味がありません」「世界観の説明しますけど?」という発言、それを「いりません」と拒否したチヒロ(美大生)に「聞きたくなったら遠慮しないでくださいね?」と返すあたり考えなしのリテイクではなく世界観にあったものになっていないし平凡なもの(すでに実績のあるカナメが作れるもの)を求めているわけではないという事が読めます

そして8ページではチヒロが指示書を指さし確認して「指示通り」というシーンが描かれています、これは現時点でのこのゲームに対するチヒロの認識の低さ、つまり初手のリテイクを出すまでは指示書すら読み込んでいなかった事が明示されます、よって指示書に沿っただけのものを提出した12ページでは当然ボツを食らいます

しかしチヒロとしては何も考えていないような顔(コマ的にもふつうすぎますの時などはチヒロ目線)で一も二もなく否定された事を不満に思っているでしょう、14ページでカナメの「やれそうでしたか」に対して「具体的な指示をくださいよ」と発言しています、それを受けたカナメが抽象的ではありますが、「わたしたちではできないこと」を要求している旨を伝えています、この時点ではまだチヒロはスタートラインにも立っていない状態なんですよね


・ではチヒロのデザインは何がダメだったのか

ここでキモとなってくるのは初登場時の「わたし何でも描けるので」と18ページ以降の同級生とおぼしき人物との会話です、そもそも何でも描ける発言をしている時のカナメは目も横線だけでまともに聞いているような描写ではありませんし、5ページでは「神崎さん本人はどうなるかな」と呟いているので現状では目的のものは手に入らない事を見抜いているんですよね、そして原因はお気づきでしょうがチヒロの驕り、それを裏付けるように同級生とのシーンでは「検索で出ない資料が必要」と自身の知識不足を、「チョロいよなっ」という無意識に持っていたであろう偏見を振りまく同級生に「下手クソが」と毒づきます、何でも描けるからこそ小手先で検索で出てくるようなものを描いてしまったのだと推察できます

そしてその後描いた自信作は「こんなデザインはわたしたちでは絶対に出ませんよ」と評価をされるのです、行間が描かれていないですが少ないヒントからチヒロが自分で答えを見つけて成長しているところに少年漫画的な楽しさを見出した人もいるのではないでしょうか


・この漫画の本筋はどこか

さて、ここまでカナメのディレクションとチヒロのデザインについて書いてきましたが、実際にその部分は今回の漫画のキモだったのでしょうか?

個人的にはノーです、まず今回の作品、別にゲーム制作の話じゃなくても問題ないと思いませんか?トータルとして読んだ時にこれは百合漫画※だと思うのでこの描写を他のものに置き換えても問題ないんです

例えばバスケ、2人の能力が上がってきたからここは3on3のチームを作って名前を売ろうと画策しているところで期待の新人を見つけて顔合わせをします、「わたし何でも出来るので」という彼女でしたが、合わせてみるとカナメと同ポジションの動きをしようとします、仮にポイントガードとしましょうか、それでは意味がないので合わせられないなら辞めてもらって構わないと提案し、数日後にセンターの役割をこなしチームとして機能出来るようになったので正式にチームへ誘った、なんて感じですかね

つまり何が言いたいかというと、話の本体ではなく飾りに注目してしまって、本筋である性格はねじれてるけど有能なお姉さんに振り回される同世代&年下(全員有能)の百合漫画を楽しめてないんじゃないかという事ですね

※もちろん百合漫画なんかじゃない!という意見もあると思いますが自分は百合漫画として読みました


終わりに

長々と書いてきましたが、今回の作品はあくまでフィクションであり、かつただの胸糞Dの最悪案件ではなく、意図としてこういった表現を用いてるという事を踏まえたうえで現実に投影する事なく楽しんで欲しいなぁと思いました

地雷は人によって違うので胸糞すぎて読めないってのもわかりますがね、自分も勇者パーティーがバカと狂信者と自分を気遣ってくれるけど勇者よりな子みたいな作品を見ると一気に読む気がなくなる性質なので・・・


ただ最後にもう一度だけ、あの作品はフィクションですしアナタは美大生ではありません

長々とお付き合いありがとうございました、それでは

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