集い、出会う場ができたなら -全人的医療を支える共感的コミュニケーション・NVC 読書会
読書会
本をきっかけに、できること
医療の現場で働く人たちの切実な願いに触れる場をつくることができたなら…。そんな想いから、『全人的医療を支える共感的コミュニケーション・NVC』の読書会をスタートしました。1週間に1章ずつ。そして「共感的に聴きあう」というNVCの実践をいれた合計7週間のプログラム。ナビゲーターは、この本を翻訳した横山彰三さんと、監訳の今井麻希子です。
案内文には、こんな願いを添えました。
医療従事者の中には、NVCに関心を持ち、仕事の中でもいかしていきたいと願う人たちが複数います。そういった方々の想いを「現実を変える力」にしていくために、読書会が、志をともにする人たちの出会う場になったなら・・・という想いもありました。
読書会は1回につき1時間。このような構成で運営しています。
ガイド瞑想(平日の夜に開催する読書会ということもあり、参加者の方が忙しい生活モードから、この場の学びに意識を切りかえていく。自分の内面にある体験に関心を持ち寄り添うことで、こころにスペースがうまれる)
3-4人の小グループでチェック・イン(気軽に声を出せる設定の中で、いま感じていることや、期待などを共有する)
全体で、ナビゲーターによる本のエッセンスについてミニ解説
小グループでの対話(本の感想や、体験のシェアなど)
全体での共有&深める時間
小グループで話したことや他の人と共有したいことをチャット欄にメモ。それをうけて、NVC大学ナビゲーターが対応を行う小グループでのチェック・アウト(感想を言いあい、満たされたニーズにつながる)
現場の声、そのリアルな言葉
読書会を通じて、たくさんの現場の声も寄せていただきました。
時間のゆとりがなく、マルチタスクで、次に対応すべきタスクを考えながら行動していると、いつの間にかこころあらずとなり、ニーズに意識を向けることが難しくなる。
自分自身も感情表現が乏しい。
ゆとりのない現場にどのような働きかけができるだろうかわからずもどかしい。
離職率が高く、残されたスタッフも疲弊している現場の状況を変えるために、何ができるだろうか・・・。 etc.
全体にシェアされた声には「まさに、それが言いたかった」といった反応も多くありました。実際に現場で起きている事例をイメージできるような共有があったことで、「仲間と出会えてよかった」といった声も複数ありました。
現実を変えるために、何ができるか
著者のメラニー・シアーズさんは、看護師として働きながらNVCを実践し組織に広めるにあたり、「実際にNVCを実践して患者さんと触れあうことを通じてもたらされた変化」を実感することから、少しずつ学びの場を広げていったと語っています。はじめは半信半疑だった職場の同僚たちも、メラニーの関わりを通じて患者さんにおきた変化を通じて、次第に関心を示すようになったのです。そして、そのことが患者さんのみならず、看護師さん本人もを癒すことにつながったそうです。
読書会に参加してくださった方の中には、NVCを学び続け、それを職場に広げていくために「まずは自分から」と、患者さんとの関わりの中にそのつながりの質をもたらした経験を話してくれた方がいらっしゃいました。患者さんにとって「聴かれる」という体験がどんなものだったのか。そしてそれを続けたいけれど、時間的制約(シフトの交代時間)がきたことで、それが難しかったということ。もしかしたら、小さなユニットの単位でも、そういった体験を共有しあいながら、具体的にできることについて、対話し、見出していくことができるかもしれないということ・・・。こういった具体的な取り組み、勇気が、場を共にした人たちのこころに響き、力を与えているのを感じた時間でした。
読書会は全7回。およそ2ヶ月続きます。この場を通じて、何か新しい流れが生まれるような予感を感じています。
(NVC大学 / CNVC認定トレーナー 今井麻希子)
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