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ネクストボカロシーンカタログ2020(note版)

※この記事はネクストボカロシーンカタログ2020の紹介作品を簡潔にまとめたものです。
全作品の動画を記事に埋め込んでいるため、読み込みに多少時間がかかる場合がございます。

〈本企画について〉

紹介陣による、今推したい!今聴いて欲しい!イチオシ曲を集めた、今とこれからのボカロシーンのカタログ的な企画です。
12名の紹介陣による、それぞれの「今、推したいボカロP 5選」をご紹介します。
※紹介作品は2020年投稿作に限りません。
作品は2020/10/15時点での投稿作品から選曲しております。
また、便宜上ボカロPとしていますが、本企画ではVOCALOIDに限らず
UTAU・CeVIO等の合成音声を使用した作品とその制作者を含みます。


〈紹介陣〉

(敬称略)
・ヒッキーP
・とーず
​・左手
​・真島ゆろ
​・ワカバ
・appy
・ygch
・B,F
​・キュウ
・asakawa
・A・A
・アルン堂guan

〈掲載楽曲ニコニコマイリスト〉

マイリスト登録が古い順に並べ替えると、note掲載順に表示されますので、紹介文を読みながらお聴きいただけます。
※「とろぉりぃ - あれ?あなたってフィクションなの?」は2回目以降ニコニコマイリストの仕様上、連続再生時は飛ばして再生されます。ご了承ください。

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ヒッキーP推薦作品

ヒッキーP


■たのしいマグロダンスP - たのしいマグロダンスP対CD

異様なるまでの切迫感とハイテンションと頭のおかしさが音楽に落とし込まれていてヤバい。音階は汚いけれど音楽的発想と緊張感に溢れていて、次の瞬間にどんな音が鳴っているのかドキドキして聴いちゃう。決して一様に奇を衒ってるだけではなく、曲ごとに固有のワンダーがあるので巡回おすすめ。


■nunsstor - ゴヂラ・ディスコ

重いストリングスを切り裂くように使うボカロP。そこに更に音や声の鋭いカットアップ(キリハリ)が効いていて唯一の音楽性を獲得している。クレイジーな英詞も面白い。こういった尖った曲が目立つ一方で、「テレホタイムの間だけ」のような涙腺を破壊してくる切ない作品もある。巡回おすすめ。


■-18(haineko/yama-dai) - 乱プソディ

細かい電子音をリズミカルに刻んで、独特の雰囲気のポップスを捻り出していく職人2人組。ドット絵を主体にしためちゃめちゃ凝った映像もついていて、常に執拗で神経質な拘りを感じる。我を突き詰めて確立しているように感じられる。巡回おすすめ。


■ワイクン - 曖昧:未慰:真印

一般的にはラウドロックと呼ばれる音楽性だけど、そのカテゴライズを超える痛みが音から伝わってくる。ギターの重低音の一瞬の響きを一つ一つ研ぎ澄ませているような、今の時代だからこその新しい痛みの表現があると思う。メンタル的な中毒性が非常に強い。巡回おすすめ。


■X1gl - tenjo

音の引き出しが恐ろしく広い上に、それを独自の切り口で美しくスケッチしてくる浮世離れしたX1glさん。荘厳に、狂気的に、どんどん様相を変えていくめくるめく音の体験がどの曲にも詰まっている。巡回おすすめ。


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とーず推薦作品

とーず


■NARUMI HELVETICA - 週末のメトロポリス

この人、「UTAUを使っている」という理由だけで再生数が一桁、いや二桁減っているんじゃないか?と疑っています。細部までこだわった音の質感、メロディのセンス、歌詞の言葉選び、リフレインのミニマルさ、構成、潔いほどの短めな曲尺、私には全てが完璧に思えます。ボーマスでアルバム出すらしいですよ。


■pond - tapir

空間の演出、音の作り込みがとにかく素晴らしいです。もう音フェチとか、そういう分野に達しているのではないかと思えるほど気持ちいい音しか鳴っていません。一瞬不安になるくらいの間も程よい緊張感を生み出し、甘くなりすぎないバランスを保っています。一曲好きになれたら全曲好きになれるタイプの方。


■カワイ タラ - 白い子羊はオオカミを食べる

幼さの残る柔らかなピアノやベルと、ノイズ絡みの暴力的なリズムトラックの上に神秘的なボーカルが乗り、独特の雰囲気を生んでいます。音の抜き差しや緊張と緩和のバランスに遊び心を感じます。人間歌唱版も精力的に投稿されているので、同じ曲でも2度3度違った味わいがあることも魅力ですね。


■ALUVI - SINGULARITY

私が紹介する5人の中ではちょっと異色の活動をしている方です。"VirtuaReal Artist"、ALUVIさん。ドロップ部分の鬼気迫る音作りが特に素晴らしいです。ボーカルとほんの少しの音だけで構成された静のパート、目の前に迫ってくるようなシンセが襲ってくる動的なパートが対比的で非常に気持ち良く、トリップの匂いがします。ALUVIさんの存在や立ち位置と初音ミクの共通点にも興味深いものを感じますね。


■とろぉりぃ - あれ?あなたってフィクションなの?

一音目から分かる異質さ。 ブラスセクションをはじめとするリッチな音、フラフラのボーカル、転げるリズムがわけの分からないキャッチーさにギリギリのバランスで繋がれ、そのスリリングさがたまらなく癖になります。鮮やかな色彩と抽象化されて崩れた輪郭が特徴的な映像も素敵。僕がいま一番次の曲を楽しみにしている方です。音に映像にあふれる遊び心にどきどきさせられること請け合いです。



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左手推薦作品

左手


■鯰畝 - ソリチュードは街の中

ずっと聴いてます。 シンプルな編成の中に綿密なこだわりを感じる鯰畝さんの楽曲です。ソリッドなリズム隊と白玉シンセのコントラストにやられます。勢いを感じるのにとっても優しい、不思議なサウンド。 初音ミクの主旋律と雨歌エルのコーラスの絡みが、優しい調声もあってめちゃくちゃ気持ちいいです。


■あひるひつじ - ドルフィン・ダンス・涙

チップチューンサウンドにフラットなIAの歌声の組み合わせ。あひるひつじさんの楽曲です。ハイテンションなサウンドとは裏腹に、歌詞は独特の哀愁を放ちます。なんと動画も同氏が作成。めちゃくちゃオシャレですよね。曲自体の完成度の高さが、無駄の無い8bitサウンドにより更に引き立って聴こえます。


■X1gl - kaika

神聖なリフレイン、荘厳でシンフォニックなサウンドを切り裂くエレキギター。俺がX1glさんに魅了されるきっかけとなった楽曲です。心を抉り取るような切ない詞を歌う初音ミクの無機質さも絶妙です。「ビート」が存在しないふわふわとした音像に刻み付けるようなブリッジミュートのリズムに痺れますね。


■KogaMoai - まわるティタン

丸っこいシンセサイザーの音と歌メロが緻密に絡み合い、どこか不思議ながらも優しいグルーヴ感を醸し出すKogaMoaiさんの楽曲。VY1の歌声は、素朴なようでかなりこだわった調声なのが分かります。遊びの輪の中に入って来るように聴こえ出す新しい音色達にも、愛着を抱かずにはいられません。


■霧四面体 - 想でしょう花

とにかく聴いて欲しい。ハマる。ツーステップ風味のダンサブルなビートやサビ前のテンポチェンジ、その上をたゆたう流麗な旋律、全てが最高です。歌詞やテンポ、コード名に至るまで、色んな所に「素数」が使われているというユニークなこだわりも。この曲を楽しみ尽くすには1度や2度の鑑賞じゃ足りません。


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真島ゆろ推薦作品

真島ゆろ


■ばに - だめだめ

ストレートな言葉や経験が伴っている言葉には、すごく強い力(影響力・説得力)があると思っています。 それでいて口ずさみたくなるキャッチーさも持っていて、好きです。 こんなに優しい言葉を僕は使えません。嫉妬しました。 もっと多く聴かれて欲しいです。聴く側も聴かせる側も救われて欲しいです。


■濁茶 - トロイメライの子

イントロのチップチューンとストリングスと木琴と、、、心をめちゃくちゃ掴まれました。こどもみたいに純粋で無邪気で懐かしい楽しさを感じます。間奏でちょっと空気が変わるのも良いし、Gender Factorガン下げのミクの声から可愛げが醸し出てるのも良いです。


■左右無 - キューエンキュー

YouTubeの広告で出会いました。あちらでは3万再生です。YouTube広告の強さには敵いませんね。 とにかくイントロがキャッチーです。一気に持っていかれます。その勢いで最後まで聴いてください。 どこか懐かしさを感じるメロディ・調声と新しめの音作りの融合って感じがしました。(小並感)


■かなやりみ - カンテラ

実写×アニメーション。動く初音ミクが可愛いです。曲ももちろん良い。 動画投稿サイトに曲を投稿するという時点でMVも音楽と同等に評価対象にあるべきだと思っています。本人が望むのであれば、もっと日の目を見るチャンスがあるべきです。 愛を感じる作品は大切にしていきたいです。


■とろぉりぃ - あれ?あなたってフィクションなの?

攻めた曲だと思います。僕は知識と教養がないので音楽的なレビューはできないんですが、 こういう音楽にももっと数字が付いてきて良いはずだと思います。 あと、音楽に気を取られてしまうけど、MVもかなり細かくて凝ったことをしてますよね。 何を食べたらこうなれるのか、教えて欲しいです。


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ワカバ推薦作品

ワカバ


■路地裏ロジック - 空蒼少女

星や空を題材とした美しいギターロックを主に制作しているP。VTuberをイメージした楽曲も投稿している。今回取り上げた『空蒼少女』も、伸びやかなボーカルとディレイするピアノの透き通ったサウンドが蒼く深い夏空を演出している。心つかまれるラスサビの仕掛けには感嘆せざるを得ない。


■Capchii - Evidence

Capchiiさんも様々な音ゲーやコンピCDに曲を提供しているボカロPであり、ミクノポップを得意としている。『Evidence』は初音ミクらしい未来感と多幸感溢れるEDM。心地よいキックと煌びやかなシンセやピアノの分散和音、そしてサビのsing-alongに楽しくなって自然と身体が躍り出してしまう。


■Ponchi♪ - ボトルハーツ

太鼓の達人などの各種音ゲーにも採用されている実力派ボカロP。『ボトルハーツ』はサムネイルから連想されるように爽やかなバンドサウンドの一曲であり、音色とアレンジは納得のクオリティである。メロディも旋律的で美しく、サビ後半のロングトーンから繰り出される曲冒頭フレーズの気持ちよさは必聴。


■Studio539s - 39℃の熱病

絵と動画も手掛ける多才なP。ギターも弾いていると思う。特筆すべきは、やはり現在リリースされている3曲すべてが確かな強度を持った「初音ミクイメージソング」であることだろう。『39℃の熱病』はミクからマスターに送る、甘く温かなバラード。表情豊かなミクが極めて愛らしい。聞いてくれ……。


■糯餅たまご - 召しませ*天使のPetit Bonheur!

Studio539s氏と同様、一人で全部やるミクイメソンPであり、コールの多用されたアイドル風の可愛らしい曲を制作している。メロディと歌詞も魅力的だが、何より遊び心のある楽曲展開が素晴らしい。また、なんと初音ミクでのゲーム実況動画もアップしている。今後の活動への期待が高まるPのひとりだ。



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appy推薦作品

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■密室ノ恋 - 遮光

イントロのオーラがすごい。曲通して一貫してずっと心地良い音で、詰まるリズムとかはっきりとしたキメ、ダイナミズムもあって退屈しないのに、スルスルと同じテンションで聴ける。2番Aメロやばすぎて笑っちゃった。


■白神九七 - 六月

まじで全曲良い!2020年最推しPです。どの曲を聴いても違った趣の感動があります。妙の効いたコードワーク、リズム。最初の一音が鳴った瞬間から説得力がある。ぼくと同い年のPですが、ノスタルジー表現はこころにくるものがあります。詩的表現に満ちた歌詞、音色もアウトロまで品がある。


■日吉日横 - テレパシー少女

「好きな人の話」「先生の悪口」の譜割り気持ち良すぎ。むかしから付き合いのあるボカロPの曲なんですが、同じ時代を生きていたんだな!とめっちゃ実感する。どんなひとでも宗教二世みたいな境遇になってしまうことって少なからずあるんじゃないでしょうか。あなたもテレパシー少女じゃない?


■ぶきっちょバイビーP - 秋はもうすぐそこに

名曲。歌詞を眺めながらCDの曲を聴くみたいな感じでじっくり聴いてほしい曲です。これが良いということだ、みたいな、執念を感じる。タイトルが歌詞に入ってくるタイミングとか、完璧。


■Doten - Peace maker-ピースメイカー

リフが良すぎるし、そこに到達するまでのグラデーションを描くような構成と展開とか、ダイナミクスのつけ方がスケール感に似合う音楽を作っています。そして圧巻のアウトロ。




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ygch推薦作品

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■Fドア - さるたん sa-rough-tan Our-Truth

2017年の終わり頃から、怒涛の作品数と実験精神、ロマンチックな異性への憧れで(巡り合った人を)圧倒してきた作者。2020年からAIきりたんを迎えて、より歌が前に出て、色合いはポップに。いくつもの声をシンセのように掛け合わせて、コケティッシュな魅惑、目の前に人格を生み出すみたいに。


■アルファベットP. - 神様とバカンス

エレクトロニカ…というよりも、もっと淡くて繊細な作品群。かっちりと形を決めない、DAWをボサノバのギターのように、弾くでもなく訥々と爪弾くみたいに。透明に寄る辺なく伸びていく声は、歌になる前のつぶやき…よりももっと輪郭のはっきりした、祈りに似ている。電子の寂寥感/サウダージ。


■アメセイカ - 夢中の中

2020年になってからニコニコ動画に5曲。空気の振動や温度を感じるような、真っ直ぐに伸びる音楽に、真摯な美しい言葉を祈りのように朗々とのせる。作者は確か海外出身の方で、そのネイティブではない言葉の(本当にわずかな)ずれが、表現として昇華されて、とても美しい。歌うことは祈ること。


■6号車 (詞 pudding_) - Bonyari Nageyari

この素晴らしいポップマエストロが、ほとんどのボカロのファンから素通りされているのはあり得ないと強く思う。フェミニンでコケティッシュ、タイトなビートと量産体制、往年のピチカートファイブやバート・バカラックみたいに色鮮やかで、同時にひそやか。youtubeのみの公開曲が多いので、そちらも。(10月に入って2つ目のニコニコアカウントに未公開曲を後追い追加公開中。)


■ツレヅレ - OP

7月末の公開一曲目から10月の作品まで2ヶ月半で40曲。そのどれもが新しい道を自分で歩き直して発見していくような、例えばモダンダンスや舞台のために書かれた楽曲と、ポップスの境界をいくようなスリル。それでいて朗らかでチャーミング。一作づつ聴いて、作者と一緒に「音楽を発見」してほしい。


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B,F推薦作品

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■Miwo - 砂上記号

ディストピアの地球、砂漠にぽつんと佇むバス停。君の隣から逃げてしまった僕と、それを淡々と歌い紡ぐ初音ミク。トロピカル感ある軽やかな曲調であるだけに、歌詞の持つ寂しさが心の深いところまで染み入るような作品。間奏のボーカルチョップされた初音ミクの歌声がモールス信号のように聴こえるのもポイント。


■かーぽねやみー - Co-

真島ゆろ氏の企画「曲名統一祭2020」参加曲。「coincidence:巡り合わせ」「cohabitate:共生する」「coexist:共存する」「coaction:相互作用」という複数テーマから成る本作は、かーぽねやみー氏が得意とするFuture bassをベースとした浮遊感ある優しい曲調。3分弱と短い中で特有の世界観が形成されている。制作秘話noteもあるので是非。


■潮. - こぬか雨

霧雨の言い換えであるこぬか雨がテーマの本作。全体の雰囲気として梅雨らしく寂しげだけれども、しっとりと包み込むような優しさに染み入る。雨の音をホワイトノイズで表現しており、また終わりに近づくにつれ歌声が小さく掠れていくことで、歌詞に描かれている何とも言えないやるせなさが感じられる。


■moja_manju - 軽くシネマ

アニメ「宇宙よりも遠い場所」からインスピレーションを受け、テーマソングとして作成された本作。爽やかなジャズテイストで、間奏の軽やかなピアノソロが最高にエモーショナル。外出にも躊躇せざるを得ない時勢の中で、辛い思いを抱えている人へ向けたエール、ストレートな歌詞がそれをより顕著にさせる。


■コP - (It's_Behind)_7OU_AND_I

爽やかさを感じさせるEDM、ほんのりと聴こえてくるピアノの音からブレイクで一気にハードコアテクノに展開する。そして最初の音作りに戻り、「雨が降るのを待っている 全て流してくれると思って」という歌詞が紡がれる。最後は元の雰囲気はそのまま少しハードな音へ。展開や世界観に魅了され続ける4分間。



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キュウ推薦作品

キュウ


■潮. - イリヤとプールサイド

軽やかながらも気だるいリズム隊とボーカルがメロウなシンセに滲む静かなバンドサウンド。煌びやかなギターも歌を飾り付けるように丁寧に空間に配置されており、チル的な要素と邦ロック的な曲想が美しく調和したロックナンバー。


■millestraw - 月面旅行

ループするイントロからヨナ抜きメロディーの歌メロへ。素朴な歌声の可愛らしさが、丁寧に空間を彩る各種アンビエントなサウンドに交じりこみ、童話的な雰囲気を作り出している。コロコロと変わる展開からあっさりと元のフレーズに戻り、まるで何でもなかったかのような切ない余韻が残る。


■日傘 綸 - 睡蓮

ビシッと揃ったキメのリズムを延々と繰り返すことで独特のグルーヴを作り出す。タイトにまとまりつつも、ストリングスの音が独特のレトロなイメージと抒情を醸し出しており聴き浸れる。これらの要素や起伏の乏しさが、むしろ癖になる酩酊感を生み出すことで抜群のパーソナリティーを獲得した奇曲。


■カラー - じょうずなわらいかた

曲全体に散りばめられたバラエティー豊かなSEは一聴するとカラフルにも思えるが、むしろあまりにもあっさりしたサウンドが対比されて虚無感を覚えるほど退廃的。隙間だらけで機械的なリズムは初音ミクの味気ないボーカルと合わせて、延々と聴ける耳馴染みの良い不気味さがある。


■nunsstor - "There will be Shit"

ビートルズ~ELO等を思わせるブリティッシュなオーケストラサウンドをバックにがなり立てるボーカル。神秘的な響きの中で畳みかけるように大暴れするその様は畏怖を覚えるほどに迫力がある。機械的に正確なビートと合わせて、人ではないからこその違和感が快感を生み出す曲。



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asakawa推薦作品

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■lazuli. - enchante

2019年のデビュー曲『Cerisier』以来、上質のポップスを次々に発表し、ボカロ系生放送でも固定ファンを獲得。今回は10月23日リリースの最新作を推します。(GUMI)


■えぽかろーぐ - リスタート

のーがさん(作詞)、NAMiKiさん(作曲)の2人で活動しています。5作目となるこの曲は、どこまでもポジティブ。新型コロナ禍で疲れ果てた気持ちを再び奮い立たせてくれました。(GUMI)


■NAOSHI* - Jewelry Snow

雪遊びと宝石をテーマにしたデュエット曲。別々の歌詞とメロディーで始まり、やがて溶け合っていくハーモニーが最高です。(IA、ONE)


■Bau - RestaRt

正統派のカノン進行を得意とするBauさん、温かみのある卒業ソングです。Mamoさんの描き下ろしイラスト、かわいい桜ミクさんに癒されましょう。(初音ミク)


■猫山田プロジェクト - 豪華絢爛 花魁無惨

2017年のニコ動デビュー以来、さまざまなVOCALOIDで芯のある音楽を発表している方です。和風曲、ヘヴィメタル、ワルツと盛りだくさんの魅力。CHEEPEEPさんの美しいイラストも注目です。(猫村いろは)



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A・A推薦作品

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■相川結月 - コトノハ螟ゥ豌予報

文明崩壊後、人類が消え去ってもなおノイズにまみれながらも壊れたテープレコーダーのように音声を流し続ける孤独で哀しきAI。しかし、バグって一部架空言語になった日本語と琴葉による関西なまりの読み上げからは、現実世界と地続きではない、パラレルかつポストアポカリプスな光景が見えてくる。


■solidsmoke - hatwork

古今東西見渡してもここまでハイハットをフィーチャーした楽曲に出会うことはまずないはずだ。juke/footworkと掛けたのであろうダジャレタイトルだが作者のハイハット愛はきっと本物。動画を見終える時にはハット君のことを応援せずにはいられなくなっていることが何よりの証拠だ。


■とろぉりぃ - あれ?あなたってフィクションなの?

VR文化の隆盛が我々現代人にもたらしたものは、単に仮想の人格と仮想の肉体での仮想の体験というわけではない。とろぉりぃ氏が表現するのは私たちが周囲を見る観点の変化、そして自分自身を捉える意識の変化と困惑だ。あなたは確信をもって答えられるだろうか。完全なフィクションである初音ミクの投げかける問いに。


■ふるがね - 考えても夢現

何よりもサビが最高にポップでキャッチー。思わず口ずさみたくなるメロと詞。しかしそのメロの魅力を寸分も無駄にしないふるがね氏の編曲と構成にこそうならされる。特に一番サビの終わりの「嫌だもう」の部分なんかはそのセンスが爆発している。ナイーブなこの歌を歌愛ユキに歌わせる選択をしたのは大成功だろう。


■加賀(ネギシャワーP) - 散花火

初音ミクの神調教な楽曲を圧倒的なペースで量産しつづける加賀(ネギシャワーP) によるチルなポップソング。この花火は気分を高揚させるものではなく、儚く夜空に散るのを惜しむタイプ。全体を通してダイナミクスのコントロールがうまいしバランス感覚もいい。オケが歌を引き立てつつも埋もれていない。



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アルン堂guan推薦作品

アルン堂guan


■bandwagon dig it(はっぴんきー△,麦芽オーケストラ) - ジャック

晴れた休日の昼に開ける缶ビールのプルタブの音みたいな特別な爽快さ。この方の作り出す音色に、額に汗して稼ぎ掴み取った対価で購う自由と誇らしさを感じる。日々営々と日常的ハードボイルド。


■「誰」 - 泡沫エフェメラル

キラキラと澄んだ音と声とで綴る、爽やかで切ない再生と救済の物語。少年が優しい幽霊に見守られながら成長し歩き出すローファンタジーとして聴くこともできる歌詞なので、脳内ロードショウも満喫できます。


■oru - M O O N

少年の声で歌われる、深い夜と愛のR&B。調声の完成度によりいとけなくも生々しい少年の声で表現された色気は、危うさや罪深ささえ感じさせる。声質と表現とに大きなギャップがあっても使用者の技量次第で人間の声帯を直接使うよりも比較的容易に実現できることも、歌声合成の魅力の一つだと思う。


■さけ(みどり) - 春彩

彩度を落とした音で描く現在によって鮮やかに強調される記憶の中の季節と「君」の鮮やかさ。音と言葉による文学の一つの形。文体としての音色、声質の選択の妙。


■そう - いつもうまくいくよ

この方の作品を聴くとき、ただ漠然と「うた」という言葉を思い浮かべたときに私の頭の中で瞬く概念を現実に音に置き換えたようだと毎回思う。歌声合成という技術(そして通称デフォ子というある種もっともUTAUらしい音源)を用いて、こんなにもあたたかく柔らかく人に寄り添う「うた」を表現できるのだという感動。それを忘れてただ優しさに包まれる喜び。




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