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鶏口牛後のススメ


私は愛知県に生まれ、地元の中高に通い、東京大学に進学したのち、地元の企業に就職し、現在は愛知県で暮らしている。
東大にまで行ってどうしてこっちに帰ってきたの?と何度も聞かれた。
正直、初めのうちは東京に帰りたくて仕方がなかった。人も物もイベントも、華やかなものが日本一集まる東京。
しかし、現在は「愛知県で暮らす」という選択に心から満足している。

東京で心が疲れてしまったすべての満たされない人に、地方での暮らしを勧めたい。


〜〜〜

私は女子高出身だ。
女子200人の学年、その中の序列を決めるのは顔と顔と社交性。
私の存在などあってないようなもので、9時から16時まで私は常に侮蔑の対象だった。


私の人生こんなはずじゃなくない?


確かに顔はちょっと不細工だしコミュ障だけど、勉強できるし、面白いし、スタイルもいいし、絶対にもっと評価されないといけない。
ということで勉強が得意だった私は東大に進学し、アイドルになってどうにか評価してもらおうと奮闘したわけですが、私なんかが思い通りに幸せになれるわけがなく。

東大に限らず、東京には特別な人間たちが吐いて捨てるほどいた。
顔が飛び切り可愛い人、目が眩むほどのお金持ち、世界レベルの芸術家・・・
さらにはそれらを兼ねてしまっている人までいる。私が何をどうしたってかなわない、特別な人間たち。
そんな人間たちを前にするたび、なんてことのない人間の私はみじめで仕方がなかった。一生幸せになれない気がした。
私だって評価されたい、美しくなりたい、愛してもらいたい、あなたたちみたいになりたかった・・・。
肥大化する承認欲求と醜くしょぼくれた自分とのギャップに、毎日気が狂いそうだった。

そして、就活もさっぱり身が入らず、地元の興味のある業界の企業に拾ってもらい、東京への未練を抱いたまま愛知で働くことになったのだ。



そして感じたこと。




なにこれサイコー!!!


もちろん、愛知県にだって優秀な人も美人もたくさんいる。
しかし、港区女子の飲み会も、ハイスぺ旦那の自慢も、超大手企業のバリキャリも、比較して落ち込む対象が東京とは比べ物にならないくらい少ない。
確かに思い返せば、高校時代に顔が特別可愛かった女の子たちは、残らずすべて東京に出た。
就職の時期を迎えても、ほとんどがそのまま東京に残っている。
東京は、優れた人間・そしてそれを人に示したがる人間がこぞって行きたがる街なのだ。

一方名古屋には、そのような人間が大人になるにつれ東京に持っていかれるので、必然的に少なくなる。
私のような人への妬みが肥大化した人間の嫉妬心をあおるシステムがまだないのだ。

その上、ここが何より重要なポイントだが、

少なくとも学歴で私を上回る人はほとんどいない。


死ぬほど嫌いな人間がいたって、私より学歴が低いんだから全然余裕。
私より低学歴の人間に何を言われたってノンダメージ。無敵の人間なのだ。

ここでだったら、私はナンバーワンだと思っていても誰にも笑われないし、生活にもメンタルにも何の支障もない。
何て心を消耗しない、過ごしやすい土地なんだ・・・

我ながらあまりにも醜い自分の慰め方だということは自覚しているが、それでも今はそこそこ幸せだ。人に迷惑もかけていないし、自分の幸せをがめつくとりにいって何が悪い。
無理して身の丈の合わない人たちと肩を並べようとしたって惨めになるだけ。鶏口牛後万歳である。

承認欲求をこじらせた大したことのない人間たちは、ぜひ地方で暮らしてみてはどうだろうか。

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