マヨネーズが大嫌いな話

読む必要が全くなく、すごく気持ち悪い話もするから絶対に食事の前に読まないこと。

マヨネーズが嫌いだ。

今でこそ大食いで知られている私だが、幼少期は異常な偏食でこの世のほとんどのものが食べられなかった。食べられるものは一部のフルーツと野菜、白身魚、米とうどん、甘いパンとお菓子くらい。牛乳とか青魚とかねぎとか少しでも独特の臭いがしたら食べられなかったし、肉もブニッとした食感と脂身がダメでほとんど食べられなかった。お好み焼きやたこ焼きも白くてドロドロした生地を見た瞬間気持ち悪くて泣き出してしまったし、クッキーやビスケットも水分を持ってかれる食感と単調な味が嫌いで、おやつに出された時は母親に当たり散らし大喧嘩になった。関係ないけどなぜか人々に嫌われがちなトマトは大好きで、幼稚園の頃はおゆうぎかいでトマトちゃん役をやった記憶がある。関係ないけど。

同時に極端に食も細く、信じられないことだが中学に上がるくらいまで「お腹が空いた」という感覚がどういうものかわからなかった。食事は毎回食べさせる母親と食べない私の闘いだった。体もガリガリで毎週のように熱を出し、何度も母親を泣かせたことを覚えている。

しかし、中学高校と上がるにつれ徐々に好き嫌いも減っていった。そして大学生になり運動部に入ったことをきっかけに、爆発的な食欲を手に入れてしまった。太ったこともなかったし、幼少期ひたすらに食べなさいと教育されてきたこともあり、欲望のままに食べ続けていた。その挙げ句、並の男性の倍は食べられるようになってしまったし、今度は「満腹」という感覚がわからなくなってしまったほどだ。この世のほとんどのものが美味しいし、納豆もきのこもパクチーも大好き。好き嫌いもほとんどない。体も超強い。あと超太った。

ただ、そんな私が唯一嫌いな食べ物がある。

そう、

マヨネーズだ。

幼少期から憎悪すら感じるほど大嫌いだった。気持ちの悪い見た目とニュルニュルした食感、脂の味の中になぜか不似合いな酸味もある。その上変な臭いもするし正直ゲ◯か体液としか思えない。想像するだけでえずいてしまうくらい、マヨネーズが嫌いだ。マヨネーズと同じ白くて粘度のある液状の食品という理由だけで、昔はシチューとかカルボナーラも嫌いだった。完全なとばっちりだ（今はだ〜〜いすき）。

サラダにマヨ系のドレッシングがかかっていたら全部食べられないし、1番困るのはサンドイッチがほとんど食べられないこと。「コンビニで軽くご飯食べたいな」という時に食べられるものがないのはすごく困る。機内食とかお弁当で出されてしまったら泣く泣くパンについたマヨネーズをこそぎ落として食べる。それでもマヨネーズを感じてしまいちょっとえずきながらどうにか食べている。

さらに嫌いなものがマヨ系のタルタルだ。マヨネーズ自体は、積極的には食べないものの大学2.3年生の食欲爆発期だけはなぜか食べられた。この時は味覚もバカになっていたし味さえすればなんでも美味しいと言っていた。しかし、その時でさえもタルタルは無理だった。今でも鮮明に覚えているが、大学3年生の頃、家庭教師のバイト帰りになんとなくお腹が空き、当時住んでいた西日暮里のコンビニでいつもは買わないようなエビとブロッコリーのタルタルサンドイッチを買って食べた。

吐き出した。

自分でもびっくりした。なんでも食べられると思っていたしなんでも美味しいと思っていたのに、もはや生理的な拒否反応だった。今でも味を思い出して吐き気を催すほど、味も匂いも食感も最悪だった。

最悪なこと言うけどもうさ、白いドロドロの中に具材が細切れで入ってるのとかゲ◯じゃん。どうしてもダメ。好き嫌いないことだけが自慢だったのに完敗した。そこから色々あってマヨネーズ自体も再びダメになってしまい、今に至る。

好き嫌いってすごく不思議だと思う。人間って食べないと生きていけないし、生き残り、子孫を残していくためには他の動物みたいに食べられるものはなんでも不快感なく食べられるようになっているべきであろう。好き嫌いって生物として生き残るのに完全に不要、それどころかあってはならないものではないのか。

それなのに、アレルギーとかは置いておいて、大方の人間には「人体には害もなく生命に必要な成分も含まれているのに、食べたくないもの」が存在する。しかもそれも人によって千差万別。なんで？考えれば考えるほどわからん。どう考えても人間という種の欠陥では？

マジで気になるので有識者の方いらっしゃれば教えてください。

ただ、マヨネーズが食べられなくなったことへの一つ嬉しい点として「食べ物の好き嫌いトーク」に加わることができるようになったことが挙げられる。なぜか嫌いな食べ物の話って一定の盛り上がりを見せる。えーナマモノ食べられないの？！じゃあ回転寿司行った時どうするの？玉子と納豆？寂しすぎる！でも寿司屋の卵焼きって案外美味しいよね。みたいな。

それになんとなく自分のアイデンティティが一つ増えたみたいな気持ちになる。嫌いな食べ物があるなんてなんの自慢にもならないけれど、私はマヨネーズが食べられないという、他の人間たちと比べて私にしかない特徴を持っているんだという謎の自負。本当によくわからないけどなんとなく嬉しいし、なんとなく人に話したくなってしまう。

みんなの嫌いな食べ物はなんですか。