【MtG考察】アトラクサの正体を追え
新ファイレクシア勝利の象徴
ファイレクシア大好き人間にはたまらない、新ファイレクシア勝利の象徴こと「法務官の声、アトラクサ」。
4マナ4/4 飛行、警戒、接死、絆魂、毎ターン増殖という欲ばり能力。新ファイレクシアの法務官たち(赤以外)の祝福を受けた(公式記事)というフレイバーとのマッチ具合。何よりもイラストがものすごくかっこいい。
統率者2016の情報が発表され、アトラクサを初めて見たときの衝撃は今でもよく覚えています。
かっこいい!!予約だ!!ということで、アルバム用、デッキ用、未開封保存用に、すぐに3セット確保しました。あのとき、プレイマットも一緒に予約しなかったのを未だに後悔しています。復刻とかされないものか。
ところで、このアトラクサの紹介記事の中に、ちょっと気になる記述があるのです。引用してみると…
アトラクサは、ファイレクシア人がミラディン侵攻に勝利したことの象徴です。かつてファイレクシアの浸食と戦ったミラディンの天使が、独力でミラディン人の撤退を支援していたところを捕縛されました。法務官エリシュ・ノーンは、彼女の不屈の精神をファイレクシアの『完成』に役立つ拾い物と見なし、他の法務官たちの貢献を求めました。ウラブラスクは拒絶しましたが、ジン=ギタクシアス、シェオルドレッド、ヴォリンクレックスの3人はエリシュ・ノーンに賛同しました。ファイレクシアの唯一の目的の証として、畏怖の念を抱かずにはいられないアトラクサが生まれたのです。
なるほど。「天使が捕縛」され、アトラクサとして完成させられた。それでは、捕まったのはいったいどんな天使だったのだろう?
ということを考察したのが、今回の記事です。
アトラクサ前世(?)の候補者たち
というわけでさっそく、ミラディン&ミラディンの傷跡ブロックから、候補者をピックアップしてみました。両ブロック合わせて、「天使」のクリーチャー・タイプを持つカードは計8枚。だいたい1セットに1~2枚収録ですね。意外と少ない気がしますが、金属次元なのでこんなものでしょうか。
それでは、1枚づつ見ていきましょう。
①光明の天使(ミラディン)
今見ると、かなり突っ込みどころのある能力をお持ちの天使さま。そもそも、ミラディンにスピリットっているのか?いたとしたら、どんな姿かたちなのか?メカっぽいのか、生身部分だけなのか?と、疑問が尽きないですね。この時代にはありませんでしたが、トークンのデザインが見たいところです。
※ミラディンのスピリットについてはあらためて別の記事で触れます。
②白金の天使(ミラディン)
いわずと知れたミラディンブロックを代表するルール破壊カード。このカードのイラストをみると、なぜだか童話の「幸福な王子」のことを思い出してしまいます。なんででしょう。心臓は鉛でしょうか??
③清純な天使(ダークスティール)
スタイリッシュ&カラフルな光明の天使。能力だけで見れば、刻まれた勇者あたりが後継者でしょうか?
④太陽破の天使(ミラディンの傷跡)
ファイレクシアより大きな力も存在できうる(勝てるとは言っていない)。書いてあることは強そう。
⑤不退転の大天使(ミラディンの傷跡)
ミラディンの傷跡が誇る残念神話レアの大天使様。金属術達成でアーティファクトがアンタッチャブルに。一方で、自身は丸腰という思い切りのよさ。戦士たちの武器に祝福を与える大天使というフレーバー自体はかなりクールなのですが。いかんせん、時代が悪かった。
自分自身、ミラディンの傷跡は大好きで何ボックスも開けましたが、こいつと「光明の大砲」が出たときのがっかり具合はすごい…。そりゃモダマス2でしれっとレアに格下げされます。同じ神話レアでも、ファイレクシア陣営には、かの「ワームとぐろエンジン」様がいるあたり、ミラディンの傷跡ブロックの結末は推して知るべしということですね。
⑥勝利の伝令(ミラディン包囲戦)
ガ○ダムコラボデザインの1枚です(大嘘)。しっかし、どうみてもウイ○グゼロというか、カ○キハジメ味のあるイラスト。能力としては、ミラディン包囲戦の「喊声」とのシナジーを意識しています。
⑦砕けた天使(新たなるファイレクシア)
⑧別館の大長(新たなるファイレクシア)
ザ・ファイレクシアといった趣の天使たち。本当に飛行可能なのか怪しいデザインの翼ですね。ただし、この2枚はすでにファイレクシア陣営なので、とりあえず候補からは取り除きます。
ということで、候補となるのは、①光明の天使、②白金の天使、③清純な天使、④太陽破の天使、⑤不退転の大天使、⑥勝利の伝令の計6枚です。さて、どれでしょうか。
結論と4つの理由
先に結論を言ってしまうと、⑤「不退転の大天使」こそが「法務官の声、アトラクサ」の完成前の姿です。
なぜ、そう断言できるのか。4つの理由を、考え進めた順に説明します。
理由① スタッツ
4マナ 4/4
別の記事でも紹介しましたが、ミラディン〜ミラディンの傷跡ブロック間で、カード同士のつながり読み解く上で、マナコストやサイズがひとつのヒントになります。「法務官の声、アトラクサ」と「不退転の大天使」とは、マナコストとサイズの両方が共通しています。両方が一致する候補は他にいなかったことから、まずは「不退転の大天使」を第一候補として検証してみました。
理由② イラスト
そこで、とりあえず2枚のカードを並べてみました。
このように2枚を並べてみるとよくわかるのですが、イラストがかなり似ています。具体的には、翼の雰囲気・サイズ感と太腿のあたりの意匠です。画面のどちらかといえば左側に体、右に向かって翼が広がる構図も同じですね。少なくともアトラクサのイラストは、不退転の大天使を意識して描かれたのではないか、と疑いを持つには十分ではないでしょうか。いよいよ、不退転の大天使とアトラクサとのつながりが強く感じられてきました。
理由③ 「隷属」させられた大天使
「不退転の大天使」について、他にも何か情報はないかとアルバムをめくっていたところ、新たなるファイレクシア収録のあるカードのイラストにも登場しているのを見つけました。
そのカードがこれ。「隷属」です。
頭部の形状、特徴的な肩アーマー(?)から、「隷属」させられているのは、「不退転の大天使」とみて間違いなさそうです。新ファイレクシアにコントロールを奪われたんですね。少なくとも「不退転の大天使」が、新ファイレクシアに「捕まった」天使であることは確実といえそうです。冒頭で見た公式記事の記述とも一致しています。ここまでで、ほぼ確定ではないか、と思えるのですが、もう一つ理由があります。
理由④ 支配される「刃」
「法務官の声、アトラクサ」が収録された統率者2016には、「ファイレクシア病の支配」というカードが収録されています。この「ファイレクシア病の支配」のフレーバーテキストには、アトラクサの意味深なセリフが登場します。
「お前らの刃ですら、誰が勝利するのかわかっている。」 ー法務官の声、アトラクサ
このアトラクサのセリフ、最初に見たときから、イラストはどう見ても剣なのに、なぜ「刃」という言い方になっているのだろうと不思議に思っていましたが、「不退転の大天使」のフレーバーテキストを見て、その理由がわかりました。
「守りのために抜かれた剣は天使の刃であり、天使の手により正義へと導かれる」ー オーリオックの諺
アトラクサの言う「お前らの刃」とは、かつて「不退転の大天使」だった頃に自らが祝福を与えた「天使の刃」のこと。だからこんな言い回しになっているのでしょう。こういう言葉遊び大好きです。
かつては自分たちの戦いを応援してくれていた天使がファイレクシアンとして現れた上にこんなこと言われたら、残りわずかなミラディン人の抵抗勢力も絶望に打ちひしがれること間違いなしです。あらためてすごいフレーバー。いいですね。
一応、本家英語版のフレーバーテキストも確認しておきました。
"Even your blade knows who will triumph here." -Atraxa, Praetors' Voice
Every sword drawn to defend is an angelic blade, guided to justice by an angelic hand. -Auriok proverb
angelic blade = your blade ということですね。
それにしても、この「ファイレクシア病の支配」の無慈悲さといったら。他の2色剣ではなくてわざわざ「肉体と精神の剣」を支配しているあたり、ほんとうに一縷の望みもないというフレーバーがすばらしいですね。
祝福されし完成
以上の理由から、「法務官の声、アトラクサ」は「不退転の大天使」が新ファイレクシアに「隷属」し、「完成された」姿だと結論付けたいと思います。
ーーー 祝福されし完成をとくと見よ。
統率者2016アトラクサのノンフォイル版ほしい…。
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