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ティラノ・ドレイクが環境で戦うには何が必要か【デュエプレ】

時は2022年12月、事件は起きた。

デュエプレ三周年記念のリバイバル枠争奪トーナメントにティラノ・ドレイクが選出されたのだ。訳も分からぬまま、ティラノ・ドレイクはゴッドと激突。

そして…

そらそうなる。

と、見事に粉砕された。

全世界6000人(?)のドレイクファンは、望んでないのに勝手に上げて落とされるという、中々に酷い仕打ちを被ったのだった。

ちなみにジャイアント、サバイバーも大体同じ目に合っている。ドレイクと彼らはトーナメント被害者の会と呼ばれている(嘘)。

まあ人気で敗北したのは置いておいて、この事件によって、一つの、非常に興味深い疑問が発生することとなった。それが、

「ティラノドレイクが環境入りするには何が必要なのか?」

である。

この課題は想像するだに相当困難なものである。

なにせ、あのティラノドレイクである。何をどうテコ入れすればいいのか。ぶっ壊れ性能の新規ドレイクを出す…つまり名前だけのドレイク強化ならともかく、「既存のドレイクのアイデンティティを維持しながら環境入りさせる新規ドレイク」、なんてそんな都合が良過ぎる存在、果たしてあり得るのだろうか。

この時点で馬鹿げた話だと一蹴する人もいるだろうが、なんとこの課題は、あの投票で勝ってしまえば本当の本当に起こり得た世界線の話なのだ。その時が来たら、運営は一体どんなテコ入れをするつもりだったのだろう。実に興味深い想像である。

そんなことを考え、本記事を書こうと思ったのが三ヶ月前だ。

(当時のツイート)

これでも筆者は12弾環境(NEXキリコBロマの頃)にティラノドレイクで8連勝するなど、そこそこの理解度はある。俺が書かなきゃ誰が書く。

が、いざ書きだすとあまり面白くならず、記事は没になった。

…はずだった。




時は三ヶ月後、2023年1月25日。第17.5弾最終日。


俺はティラノドレイクでマスターに到達していた。


※追記
更にその5ヶ月後、2023年6月23日

第20弾環境でも俺はティラノドレイクでマスターに到達していた。

ドレイクは不滅、なんだよね…


結論:トモエがラストピース

本記事は、「なぜティラノドレイクは環境入りできなかったのか」を考察し、そこから「環境入りには何が必要なのか」を想像する予定であった。

しかし、記事に先立って結論が出てしまった。

その答えは、桜花剣乱トモエである。(3コストの方。以降、桜トモエと表記する。)

以下が筆者のマスター到達時の構築だ。

効果を知らない人向け。ご確認ください。
特に桜トモエ。

流石にこれで環境入りとは到底言えないが、天門やらMRCやらリュウセイホールやらバケモンがうようよ湧いて出る環境の中、プラチナの床ペロ状態からこれ一本で25個分星を積んだ。

デッキの戦術は、盾を刻みながらドローして除去する、言ってしまえばただそれだけである。

しかし、これだけの説明では桜トモエが如何に革新的・革命的なカードなのかは伝わらないだろう。

そこでここからは、従来のティラノドレイクが抱えていた問題点を洗い出し、最終的に、如何に桜トモエがドレイクの課題を一挙に解決するスーパーカードなのか皆様にご理解いただくことを本記事の目標にしようと思う。

ティラノドレイクの強み

実はティラノドレイクは、強みというか、アイデンティティが怪しい。

第7弾から第8弾EXまで、ティラノドレイクで検索を掛けた結果が以下だ。

グレンベルクはフレーバーテキストでヒット
ガルベリアスはフレーバーテキストでヒット

ここまでが初期ドレイクのプールである。

目を引く切札はドルザバードとボルガウルジャック、キラ・ゼクスだろう。

トリガー封殺と盤面処理の二択から相手に刺さるフィニッシャーを選べるのは強力に見える(実際強い)。登場当初はこれがドレイク固有の強みと思われた。

足回りに関しても、軽減獣が最大3種12体積めるし、ボーンブレードやダンジェンでリソースもなんとかなりそうだし、他にも見どころのある尖ったカードが充実してるし、何とかなりそうな雰囲気はかなりある。

運営の寵愛を受けたカードプール。順風満帆に見える船出。しかし、これこそがティラノドレイクの苦難の始まりであった。

ティラノドレイクの弱み

ティラノドレイクの弱点一つ目は、竜音のキラなどの軽減獣を除去されると一気に失速する点である。青銅と違ってマナが伸びないため、除去されると進化元と軽減効果を一気に失う。6コストの進化獣を前提に構築すると軽減獣は必須なので、ほぼ構造上不可避の問題と言える。小学生環境のコッコルピア依存のドラゴンデッキに近い。

弱点二つ目は、──こちらがより本質的なのだが、ドロソが無いため、相手の動きに合わせた複数の回答を手札に溜め込めないという点である。つまり、弱点1を突かれてからのリカバリーが効かないということだ。ドレイクには優秀なメタカードがたくさんあり、一見対応力があるように思えるが、そもそもドレイクは序盤から展開していき、6マナの切札をプレイする頃には手札を吐き切るビートデッキである。メインルートを抱えるので精一杯なのだから、2ターン先のメタカードなど鬼が笑う。いや、アガピトスが笑う(ナーフ前)。

つまるところ、ドレイクには使いやすいドロソが、継戦力が無いのだ。

ティラノドレイクの先行研究

ここからは、偉大な先行研究を紹介しながら、ティラノドレイクが抱える課題に、プレイヤーがどのような回答を提出してきたかの歴史を追っていこう。

先行研究を探すにあたって、検索性の高いyoutubeに頼ってしまったため、筆者の知らない傑作がまだ別媒体にあるかもしれない。その点は申し訳ない。一応noteは確認した。

※もし紹介した投稿者の方で、本記事で利用されたくないという方はご連絡ください。削除致します。→https://twitter.com/nnzamurai

はんじょうさんの構築

2021年4月=8弾EX環境初期
https://www.youtube.com/watch?v=DZxKfyX1j40

8弾EXリリース直後に公開された本構築は、ドルザバード、ボルガウル、キラ・ゼクスの切札3種を強く使う、最も素直な構築である。

軽減11枚、トリガー8枚を確保しており、基本に忠実である。実際、切札が通って一方的な展開になるのも珍しくなく、押し付け力がある良い構築だと思う(試合は動画参照)。

弱点は、先述の通り、軽減獣の除去にとことん弱いことと、ドロソが無いからそのリカバリーも効かないこと。

だが、そもそもハンドキープ出来ないのだからメタカード云々は積んでも無駄と判断し、押し付けデッキとして貫いたのは潔いとも言えるだろう。

ジロウゲームさんの構築

2021年4月30日=8弾EX実装直後の時期
https://youtu.be/HcbQBxO4zcM

本構築はドルザバードを不採用にし、ボーンブレード4投・ダンジェン3投にしているところに特徴がある。

先ほどから継戦力が課題だと言っているが、その継戦力を補助するボーンブレードやダンジェンは墓地利用である。ゆえに、継戦力を高めようとすると、盾を刻んで自ら除去されて墓地を肥やす戦術を取らざるを得ず、必然的に前寄せの構築になるのである。

だからこその殴り返し防止のフレアフュージョン2投、押し込み打点のロウバンレイ4投であろう。

この方針を突き詰めるなら、本構築からボルガウルなども切って更に前寄せにするのも十分あり得る選択である。

また、盾を刻んでいく方針は、ドルザバードともやや噛み合いが悪い。なにせ着地する頃には封じるトリガーがもう残っていない。

そもそも、ドルザバードは確かにトリガーを使わせない点で強力だが、6コストで手札を合計二枚消費しておきながら、盤面・手札共に直接アドバンテージは稼げない。手札をどんどんテンポアドに変換していくべきビートデッキに、有利状況をより有利にするだけのコスト(代償)の高いカードを入れるのは、セオリーに真っ向から反している。ドルザバードこそがドレイクを使う理由と考える人は多いが、その実ドルザバードは多くの問題点をはらんでいるのだ。

本構築は、前寄せにすることで以上のような低い継戦力とドルザバードの自己矛盾という2つの課題を一挙に解消しようとした構築だと言える。個人的には実に共感できるアプローチであり、前寄せこそがドレイクの正解だと考える

とはいえ、盤面を一掃された後ダンジェンで3回収してターンエンドする動きが強いかと言われたら…正直やや微妙である。これに関してはコンセプトの良さを引き出し尽くした結果なので、最早シンプルなデッキパワー不足としか言いようがない。

筆者の構築(ボルガウル)

第8弾

ボルガウルジャックを強く使いたいだけなら、ドレイクにこだわらず、進化元+ボルガウルのセットだけを出張させれば事足りる。

何度もマスターに。
瞬間9位

ボルガウルは赤黒ガルザークや赤白アポロヌスにも刺されて活躍した。

ちなみに、本構築ではのろテラを青銅に当てることで継戦力を確保している。


初期プールでの試行錯誤では、
・ドルザバードは自己矛盾を抱えている。
・ボルガウルは強いがドレイクデッキにする必然性が薄い。
・暫定結論の小型ビートwith墓地利用は、デッキパワーが足りない。
という結論が下され、環境デッキとして定着することは無かった。

この先は、新規戦力を投入したドレイクが模索されることとなる。

以下が追加分のカードである。

第9弾の追加分
9弾EX以降の追加分
上から新しい順に並んでいる。

また、横並べデッキからすると天敵であったアガピトスやゲオルグが6月にナーフされたのも見逃せない。ぶっちゃけドレイクやドデビルといった種族デッキはあいつらのせいで活躍出来てなかったと言っても過言ではない。

しょうえもんさんの構築

2021年7月31日=9弾EX実装直後の時期
https://www.youtube.com/watch?v=ZYctTC32x5c&t=10s

本構築の特色は、緑を加えることで、従来の課題であった継戦力の確保を成功させている点にある。

ブーストでマナを伸ばせるため、軽減獣が取られても致命的ではない。最悪アルバトロスの弾にもなる。苦心していたドロソ問題も口寄せで解決している。

また、新戦力のジャックライドウによって、ドルザバードとジャックの欲しい方をサーチできるため、ハンドキープの難しさが緩和されている。一度は諦めた欲張り2択がここに来て復活したのだ。

更に、ドルザバードが刻む戦術に噛み合ってない問題に関しても、このデッキは明らかにやや溜めて殴る「ミッドレンジ」であり、問題にならない。

シンプルに早期ボルガウル着地が強く、そこにアルバトロスの押し込み力があわさることで、非前寄せのドレイクが遂にまともなデッキとして成立した感がある。現在の環境に通用するかはともかく、当時としてはこれが最適解に思える。


時代は下って、2021年10月、竜極神も殿堂にぶち込まれることとなった。これによって横並べデッキは相当息をしやすくなった。


サンシタさんの構築

(2022年2月=NEX環境)
https://www.youtube.com/watch?v=JWlqv1xQVjQ 

ややカジュアル寄りだが、試みが非常に共感度が高いため紹介する。

注目すべきは、青で従来のドロソ問題を解決しようと試みている所。

従来のボンブレ+ダンジェンに加え、電トモエの1ドロー、ヘキサリオの疑似1ドローと、とにかく手札を切らさないように気を使っている。エマタイも単にマッドネス用だけでなくボンブレやダンジェンと噛み合う。更にマッドネス8枚体制でハンデスも許さない。コントロールは見た目以上に手を焼くだろう。

きっと製作者は、ドレイクの手札不足にとことん苦しんできたのだろう。気持ちが痛いほどわかる。

やや勿体ないのは、継戦力を高めるパーツに枠を割きすぎてドレイク本来の持ち味が出せてない所。マッドネスとの両立で手一杯で、仕方ない所はあるが。

ちなみに、アントワネットがティラノドレイクであることを活かし、除去されればマッドネス、放置すればドルザバードという嫌な2択を押し付ける形は、デッキビルド杯の入選作品で公開されたアイデアである。

筆者の構築

2022年2月=12弾環境

折角なので、筆者が12弾環境で8連勝できた普通のドレイクも載せておく。その後勝率は落ち着いたが。

先にも述べたが、ボーンブレイドやダンジェンを強く使うために前寄せにした。その方針とは噛み合わないため、ドルザバードは不採用。スウザを絡めた4キルのビートダウンが単純に速攻並みの速さで強かった。キラ→キラゼクスが決まるとなんやかんやで押し切れる。実質ヤヌスオーフレイムの先行体験みたいなものだった。

構築自体はほぼ8弾EXのままで何故12弾のほうが調子が良かったのかに関しては、恐らく、ゲキメツもアガピもいなかったからでは、と睨んでいる。まあBロマNEX剣誠キリコも大概バケモンなのだが…。

ティラノドレイクにはトモエが必要

「ティラノドレイクには何が必要か」という問いに改めて答えると、それは桜トモエである。

これまでの流れで従来のティラノドレイクの課題を深く理解した皆様なら、桜トモエがここにピッタリとハマることがお分かり頂けるのではないだろうか。

まず、メタカードに過ぎないドルザバードを切った前寄せ構築がドレイクの正解だと筆者は考えている。(その経緯は示した。異論は認める。)

その前寄せ構築において桜トモエは、瞬発力と継戦力を両立する。

桜トモエのドローで、ティラノドレイクの本来の強みである多様なメタカードを、1枚手札に抱えるのが現実的になったのだ。

改めてマスター到達構築。

小型ビートの弱点を補うフレアフュージョンは手札消費が激しすぎたが、桜トモエと併用すれば使える範囲だ。また、弱点のハンデスを補うはずがマナに埋められがちなガウスブレイザーもキープできる。他、吸い込む、パイロン、ロウバンレイ、デスゲートなど、従来ではアタッカーを優先して埋めざるを得なかったメタカード1枚をハンドにキープできるようになったのだ。

やや余談になるが、天門や永遠にはデスゲート手打ちが有効である。デスゲート手打ちで勝つのを繰り返すうち、6マナはトモエのおかげでギリギリ貯まる範囲だと自覚した。その時、なんとここにきて、メタカードとしてのドルザバード採用が現実的になったのだった。17弾ADでは天門のみならずホワグリでスパークを仕込む5Cとも頻繁にあたるため、真剣に採用を検討したものだ。

後続のアタッカーもキープしやすくなった。手札のドレイクを一気に並べ、スウザを絡めて訳も分からずリーサルをかけるといった展開がしばしば起きるようになった。

当然、自身がSAなので、アタッカーになる。3ターン目にSAを飛ばすのだから、速攻と大差ないスピード感だ。実際4キルする展開はしばしば起きた。というかむしろ4キルしないと負ける対面がいくつかある。

そしてこれが重要なのだが、アタックしながら1ドローできるというのがテンポ上物凄く大きい。従来の汎用ドロソやダンジェンのように、後続を確保して1ターン終了では、ビートダウンとして脆い。展開するターンにも、除去を打つターンにも1ドローできるからこそ、現環境のデュエプレに食らいつけた。

このように、相手からすれば桜トモエは凶悪な置きドロソであり、最優先で除去すべき対象だ。だから墓地に行きやすい。つまり、ボーンブレイドが輝く。ボンブレ桜トモエは、青黒リバイバーの強ムーブ、ジェスタールーペ連鎖デスマーチ1ドロー1ブレイクを確定でやるようなものだ。

このように、桜トモエは

・前寄せ方針に噛み合うSAのアタッカー
・ドレイク本来の強みである、多様で優秀なメタカードをキープできる。
・ドレイクの墓地利用とも噛み合う。
・展開や除去のターンにもドローできる。

と、神がかかり的な噛み合いを見せ、従来のアイデンティティを保つどころか、本来の良さを引き出す形でドレイクを環境実戦級に仕立ててくれたのだ。

トモエ、お前がナンバーワンだ!

おわりに

本記事は構築解説記事ではないため、記事はここで終わる。

1月の構築済デッキに収録された桜トモエだが、正直、その枠がティラノドレイクである必然性はない。しかし、確かに桜トモエのおかげでドレイクは息を吹き返したし、肝心のハンターデッキでは桜トモエは鳴かず飛ばずだ。この結果を素直に受け取るなら、桜トモエはハンター用カードとして収録されたとは思えない。ドレイク用カードということになる。

だとすると、これは、開発チームの中に1人、ドレイク用カードをハンターデッキにこっそりねじ込む、とんでもないティラノドレイクヲタクが混ざっている証拠なのではないだろうか。

仮にその人を「限界ドレイクヲタクX」と呼ぼう。

なあ、これを見ているんだったら返事をしてくれよ限界ドレイクヲタクX。

同じドレイク好きじゃないか。

俺と飲もう。

いや俺は下戸だからお前が飲め。

朝までドレイクの良さを語り明かそうじゃないか。

ソウルバイスドラグーン、実装してくれよ。

お前はどのドレイクが好きなんだ?

俺はビトレイヤルドラグーンかな。ベタだけど。

なあ、お前の話をもっと聞かせてくれ。

なあヲタクX。

なあX。

X。

X…


心では、いつも繋がっているよ…


B・F・F







おまけ
環境トップ4Cメンチとの死闘

おまけその2
ティラノドレイクを更に強化するならこれ

ソウルバイスドラグーン。

一見盾を割るビートデッキとアンチシナジーに見えるこのカードだが、実はドレイクのアイデンティティとドルザバードを無理無く両立させてくれる、最高の1枚。

本編で述べた通り、ドレイクの良さはトモエを活かしたテンポビートだが、当然、ブロッカーや殴り返し警戒で進軍を止めざるを得ず、横に並べて一気にリーサルを狙うプランに切り替えることはザラにある。こういった展開ですかさずソウルバイスが2〜3枚ハンデスすれば、面の並べ合いで一気に優位に立てるだろう。

こうして1ターン貰えれば、綺麗に6コストのドルザバードに繋がる。予め削った盾の残りを安全に割ってフィニッシュが可能になる。

本来噛み合わない、序盤から盾を割る戦術とドルザバードを、さりげなく鮮やかに接合させる最高のデザインである。

わがままを言うと、デュエプレに来るにあたって、「他の」を削除するアッパーがあると現環境でも戦いやすいだろうと思う。X頼むよ俺たちの仲じゃん。


これでおまけも終わりです。それでは。

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