勝率51%デッキの作り方【デュエプレ】

上級編はこちら。

こんにちは。ぬるぬる侍です。

私的な事ですが、2月3月4月と三期連続で最終100位に残ることができました。ヤッタア!!!

自信になったので、これを機会にデッキの組み方の記事を書いてみました。また、筆者自慢の勝率51%デッキ達を皆様に見てもらうのも兼ねてます。

プレイを語るの、憧れてたんですよね…。

よければお付き合いください。

本記事を書く理由…「攻略の手助け」をしたい

筆者は初心者向け記事を作成・更新していて、そこには初心者が握っても勝ちやすい環境デッキを載せています。

その結果、手助けの範囲を逸脱して、「答え」がそのまま載っており、かえってプレイヤー自身が試行錯誤してゲームを攻略する楽しみを奪っているのかも、と思ったのです。

個人的には、「答え」を見た所でこのゲームの難易度は全く損なわれないと思いますが(それほど過酷とも言う)、「答え」を見たくないという気持ちはとても理解できます。

「自分の力で勝ちたい。他人のデッキをコピーしたくはないけど、自分の力だけだと辛すぎるから、丁度良いヒントが欲しい。」

こういった声なき声に答え、適切な攻略の手助けをするのが本記事の目的となります。

とはいえ、本記事にも「うわあ、その知識は自分で知りたかったわ…萎えた…」みたいな事が載っているかもしれません。流石にその事故は防ぎきれませんが、一応の配慮として、本記事は上から順に、

初心者向け(ビギナー帯~シルバー帯)
中級者向け(プラチナマスター往復帯)
ヘビーユーザー向け(レジェンドタッチ勢)
と情報を配置しました。
(最終100位勢は後方腕組みムーブでお付き合い下さい…)

これにより、「ここから先は詳しすぎるかも…」と、踏み込まない読み方も一応可能となっております。

基本方針…勝率51%を目指せ

「自分で」組んだデッキで勝ちたいですよね。分かります。

しかし、初心者がオリジナルデッキで勝ち上がるのは、まず不可能です。

オリジナルデッキやマイナーデッキで勝つのは玄人の遊びです。なんなら玄人でもしんどいです。勝ちたかったら、環境トップをコピーして使って下さい。

コピーデッキを回すのはズルだ、という感覚の人もいるかもしれませんが、それもそれで困難な道ですし、自分を成長させる最良の手段です。毛嫌いせずに握ってみましょう。

…というのは一般論として、「それは分かっちゃいるけど、初心者なりに自分の力で試行錯誤し、上達してく過程を楽しみたいんだよ!」と言いたげなそこのあなた、本記事はそんなあなたのために書かれています。

まずは、それが修羅の道である事を理解して下さい。その上で、この方針を受け入れてもらいます。

目指すのは勝率51%

工夫を凝らして、環境デッキ相手に一矢報いる山が完成したら、それはもう十分誇れる成果であり、「成功」だと思いませんか。

何が言いたいかというと、「自分で考えたデッキが環境デッキに勝てないからこのゲームクソゲーだわ辞めよ」、とはならないでね!それこの春からテニス始めた中学1年生が大学生にボロカスにされて悔しくなって「俺テニス向いてな〜い辞める〜」て言うのと変わらない愚かさだよー!!1~2ゲーム取るのを目標にすればええやん!!実際取れたら相当凄いと思うよーーー!!!低い目標から!!!一緒に頑張ろうぜ!!!!!って事です。分かってくだせえ。

【初級編】骨組みを用意し、強いカードを入れまくる。

対象…ビギナー〜シルバー帯の方
目標…プラチナ帯に到達可能なオリジナルデッキの作成
goal…デッキの骨組みを知る。切り札は強いか、強いカードが足りてるかという目線で見直せるようになる。

ブースト・ドロー/サーチ・トリガーを入れてみよう

慣れた人は「強えカードを40枚入れりゃあ強くなんだよオルァーーーー!!!」て具合に適当にぶち込んでオリジナルデッキ作ってます。雑ですが、それなりに回ります。

でも、自分(初心者)が適当に組んだデッキは全然回らない、なんて事は良くありますよね。

デッキがデッキとして機能するには、強力な切り札だけじゃなく、
○ブースト…切り札を早く出すための工夫
○ドロー・サーチ…切り札を安定して毎回出すための工夫
○シールドトリガー…最低限の防御

は欠かせません。

初心者の方は、まずはこの「切り札+3要素」を揃えられるようになりましょう。
これらは初歩的な事ですが、筆者が初心者の方からデッキの相談を受けると、多くの方がこれらの要素でつまずいています。
逆に、中級者以上の方は、これらを満たした上で「強えカードぶっこめオラーー」をしてるから、そこそこ戦えるデッキが自然と作れるという訳です。

デッキの作り方の手順

①切り札
(ここまではコンセプト)

②ブースト
③ドロー・サーチ
④防御トリガー

(ここまでが骨組み)

⑤残りの枠は強えカードを入れる
⑥色マナを調整

(ここまでが仮組み)

⑦実戦&調整
→デッキ完成

以下で詳しく見ていきましょう。
(以下では具体的なカードを紹介してしまうので、知りたくない、自分で見つけたい方はここで止まるのをおすすめします。)

①強い切り札を入れる。(4枚〜8枚)

ランクマッチは、強いカードを強く使うゲームです。

勝てない原因は案外シンプルで、ただ切り札が弱いからだったりします。
酷ですが、「どんなカードでも頑張れば勝てる」とは言えません。切り札が弱ければ、どんなに頑張ってもデッキ全体が弱いです。

自分でカードの効果を読み漁り、本心から「コイツの効果は強い!」と言えるカードを見つけないといけません。目利きが試されますね。本当に強ければ、後の事は全て愛の力で乗り越えられます。

魅力溢れる
カード達

強さを感じるヒントとして、「パワーが高いか」「同時に複数のゾーンに干渉できるか」を参考にすると良いかもしれません。

②初動ブーストを4~8枚入れる。

早く強力なカードをプレイするのが勝利への近道。

比較的様々なデッキに入るブースト
構築の制限が厳しいブースト

構築の制限が厳しいと、その代償に、効果が強力である事が多いです。制約と誓約。

組みたいデッキ・切り札に適した、強力なブーストカードを積極的に検討しましょう。

③ドローソース・サーチカードを4枚以上入れる。

毎ターンマナチャージすると、先攻は4枚、後攻は5枚手札を使うだけで手札が尽きます。ドローソースを撃つのは、序盤に1ターン使って手札を増やし、後々強力なカードをプレイしよう、という判断です。

それに、デッキに同名は最大4枚しか入らないのだから、切り札を毎試合引き込めるとも限りません。思い通りの試合展開になる確率を上げるという意味でも、ドローソースやサーチカードは重要です。

汎用性が高いドローソース
構築の縛りがきついドローソース
サーチカード

④(防御用)シールドトリガーを8枚前後入れる。

1枚以上トリガーする確率は、デッキに8枚で約70%、12枚で約85%です。
12枚にすると2枚トリガーも十分狙えます(47%)。

ここの枠は一旦8枚入れて枠を埋め、後で色マナの調整も込みで考え直すと良いと思います。

頻繁に見るトリガー

ここまでの①~④が、強いデッキに概ね共通している特徴であり、骨組みです。

とはいえ、環境デッキの中でもドロソが無いとかトリガーが薄いとか、例外はいくらでも存在します。なので、これはあくまで初心者向けの型ですね。詳しくは中級編で。

ここまででデッキの24枠程度は確定するとイメージして下さい。

⑤残りの枠に、デッキの方針・切札に合う強いカードを入れる。

ここがデッキの中身です。

「強いカードが多ければ多い程強い」というのは、頭が悪いようで案外真理です。

誰に対してもいつ使っても効果的な、汎用性の高いカードを優先しましょう。強い=汎用的と言っても過言ではありません。使える相手やタイミングが限定的なカードは極力避けましょう。

デッキの方針・切札との相性まで考えられると◎。

どんな相手に勝ちたいかまで意識できたらあなたは中級者です。

⑥色マナのバランスを確認し、諸々を微調整する。

シールドトリガーの枠で調整しがち。
序盤に使う色マナは多めに確保しましょう。
例えばフェアリーライフ(自然文明)を2ターン目にプレイするには、自然が最低15枚、20枚近いと安心、といった具合です。
後半に使う色マナは少なくても何とかなりがちです。

これで仮組みは完成です。

⑦実際に戦ってみて、微調整を繰り返す。

(ここ重要)
実戦の使用感は、セオリーを凌駕する。

突然ですが、ミケガモ先生のこのクイズに挑んでみて下さい。正解は本tweetの引リツに。(効果が分からない人はスルーで)

このクイズの前には、自前の「強いデッキ」のセオリーなど、まるで役に立たないことを思い知る事でしょう。筆者はしっかり外しました☆

いえいえ、セオリーは仮組み時も調整時もちゃんと役立ちます。しかし、「使ってみないと分からないこと」は間違いなく存在します。真に信じられるのは、実戦に基づく使用感である、ということを強調したいのです。

構築が固まってきたらデッキの完成です。

構築例①シータミッドレンジ

では、この手順に沿った構築の流れを、第一弾に登場した古のパワーデッキ「シータミッドレンジ」を例に見ていきましょう。

①切札を入れる。
→ツインキャノンワイバーン

7コスト7000、SA持ちWブレイカー。
淡白にして超強力!

②初動ブーストを4~8枚入れる。
→フェアリーライフ、青銅の鎧

2回ブーストすれば切り札が5ターン目に着地できる。よって8枚採用

③ドローソースを4枚以上入れる。
→エナジーライト

④防御用シールドトリガーを8枚前後入れる。
→アクアサーファー・ナチュラルトラップ

トリガーの枠は後で色マナ調整の犠牲となる。

⑤残りの枠に、デッキの方針・切札に合うカードを入れる。
→ハルカス、ペコタン、ふたつ牙、二角、エグゼ、バーショ

ドロー&展開から、一気に攻め込む方針

⑥色マナのバランスを確認し、微調整する。
→アシダケ、スライダー、バーショ等

2コストが多い自然は17枚。
火を使うのは後半なので9で無問題。

⑦実戦の中で微調整を繰り返す。

(今回は割愛。環境の変化に応じてペコミラパッケージが主流になったりとか1枚クリムゾンワイバーン刺したりとか色々あった。)

と、このように、第1弾環境トップのシータミッドレンジは、ブースト・ドロー・トリガーという骨組みから用意していくことで、素朴に組めるのです。

構築例②ドラグムーン

それでは、今度は切り札にドラグムーンを据えたデッキを組んでみます。

ランクマで見たこと無いって人も多い

ここで、一度記事を離れ、今説明した①〜⑦に沿った構築を練習することをおすすめします。腕試しだと思って試してみましょう。


(ちなみに、筆者の配信中にドラグムーンを切り札にしたデッキ構築で迷っている方の相談を受けた事があり、以下の内容はそれが元になっています。)

筆者の回答

①切り札(4枚)
→ドラグムーン

②ブースト(12枚)
→B-BOY、ホッピルッピ、青銅
後々デッキ進化を入れる都合上、呪文は避けた。

③ドロー・サーチ(6枚)
→進化設計図、進化の化身
進化と相性が良い。

④防御トリガー(8枚)
→タイガー、戦祭

①〜④骨組みまで
残り10枠

⑤残りの枠に、デッキの方針・切札と合うカードを入れる。
→方針は、ドラグムーンで攻め込む事。
→デッキ進化やマナ進化のクリーチャーを詰め込んだ。
進化獣は、ドラグムーンの進化元であり、進化設計図から回収可能なので、相性は◎。進化獣自体がそれなりに強く、デッキパワーを損なわずに済んだ。

⑥色マナなどの微調整
→進化クリーチャーを増やす。その分ドラグムーンを3枚に減らし、トリガーを7枚に減らす。

(⑦は、調整をする前から中々強かったので省略。多分ロウバンレイが必要。)

完成!

この構築でなんとびっくり、プラチナ帯で8連勝できました。その後勝率は落ち着きましたが、勝率51%デッキ作りとしては大成功でしょう。

筆者が工夫した点は、ドラグムーンを安定して、早く出すために、ドローソース兼サーチカードとして進化設計図を採用し、それに伴って大量の進化クリーチャーを採用した事、及びブースト8枚と軽減4枚の計12枚を積んだ事です。
進化設計図は、進化クリーチャーが沢山入っているデッキなら、たった2コストで現実的に2ドロー〜3ドローを狙える強力なドローソースです。今回のコンセプトにピッタリでしょう。

ご自分の練習構築を見返して、ブースト・ドロー/サーチを採用できていたら〇、それがデッキに合う強力なものなら◎だと思ってください。

構築例③失敗例 炎地ボルガウル

今度は、あえて失敗例としてこちらのデッキを検討してみましょう。8弾のデッキですが、参考にはなると思います。

弱かったです。

それでは、このデッキが勝てなかった理由を考えてみてください。カードの効果を知らねえぜという方はスルーで。

8弾当時の環境は、パンダと天門で50%、あとはアポロ・ドラゴン系・ツヴァイ・テクノロジー・除去コン・ドルバロムといった具合です。参考までに。

(ゲキメツは資産的な理由から1枚のみの採用になっています。本来は有り得ない理由ですが、ご理解下さい。)


答え…シンプルに弱いから( ᐢ˙꒳​˙ᐢ )

いや、これは馬鹿にしてる訳じゃなく大マジで、本当に強いカードが足りないんですね。

以下、デッキ作りの手順に沿って再検討してみましょう。

①切り札(9枚)
→ボルガウル、炎地武神、ゲキメツ
順にパンダメタ、アガピメタ、横並び系メタになっている。案外環境に刺さってる。

②ブースト(15枚)
→ライフ、青銅、ロミュナス、ルピア
ボルガウルやゲキメツとの相性、のろテラとの相性を重視した。
(ん?15枚…?多くね…?)

③ドロー(4枚)
→のろテラ
青銅と噛み合う。

④トリガー(9枚)
→ナチトラ、ハンド、ダキテー、バイツ
ダキテーはボルガウルと噛み合う。バイツは相手のルピアやツヴァイ等のメタ。

ここまで骨組み。
(あれ、あと3枠しかない…?やばくね…?)

⑤デッキの方針・切札に合うカードを入れる
→ブラッディドラグーン
不安な序盤の守りの補強だけでなく、ライフ→ロミュ→ボルガウル√に加えてブラドラ→ルピア→ボルガウル√も作れるため採用。

⑥⑦微調整→流石に覚えてないので割愛

これで完成。

まあ一応デッキと呼べる位には成立してる感があり、ちょいちょい勝てはしました。そこは②③④の骨組みがそれなりにしっかりしてて、①の切り札もそこそこ強かったからでしょう。

逆に、②③④の骨組みがあるのに弱くなってしまったのは何故なのか、皆さんはもうお分かりでしょう。

そう、②でブーストが枠を圧迫してしまい、⑤で強いカードが増えなかったのが原因です。
4tボルガウルに固執しすぎましたね…パンダが怖かったんや…

「強いカードがデッキに多ければ多い程良い」というのは単純な事実ですが、セオリーを大事にし過ぎると、こういう事に気づきにくかったりします。

骨組みがあるのに勝てない時は、「強いカード足りてる?」と問い直すのが大切です。

そこで、実際に改善に成功したのがこちらの構築になります。

構築例③ー1 水入り炎地武神ロングレンジ

この構築で何度もマスター到達できました。本記事を書くにあたって現環境でも10戦回してみたら4-6でした。結構悪くないのでは。

課題の強いカード不足は、思い切って水を入れる事で改善されました。ポワワンやキキカイカイ、ネオングライドが入る事で、戦術が段違いに広がりました。今でも大好きなデッキです。

構築例③ー2 ガチ炎地武神ロングレンジ

当時のスクショ。ゲキメツは現在殿堂入り。

このリストで瞬間9位まで行けました。

「どう考えてもゲキメツ1枚なのが悪いだろ」ということで、素直にゲキメツやボルバルを足したら解決しました。強い。

ちなみに先のドラグムーンのデッキでは、進化クリーチャーの比率が高いのが功を奏し、強いカード不足に陥らずに済んでいます。

デッキが弱い時は、「この切り札は本当に強いのか」「強いカードは足りているか」を疑うと良いということがお分かり頂けたでしょうか。

勝率51%デッキづくりの真実=勝つまでやるぞ!

「俺は勝つまでやるぞ!」
と言いたげな表情だったが、進化した。

さて、初級編も大詰めです。ここまでで、勝率51%デッキを作る方法がかなりイメージできたのではないでしょうか。

でもいざ作ってみたらやはり上手くいかない、という事になるかもしれませんね。

しかし、失敗しても落ち込む必要はありません。それでいいのです。むしろありがとうまであるぞ。

カードゲームと関係ないのですが、最近見たこの動画に、デッキづくりの真実がありました。

何度も成功を繰り返している凄い人っていますよね。成功する人(お金持ち)が考える「成功するのに大切なこと」とは、努力アイデアなんだそうです。一方、成功しない人(貧乏人)は、成功の秘訣を才能と学歴と運と考えるんだそうです。

「必ず何度も成功する」なんてことがなぜ可能なのか、それは成功するまで挑戦し続けるから、ということらしいですよ。なるほど。力押しやん。

本記事は「このセオリー通りにやれば必ず上手くいくぜ!失敗はない!」とでも言いたげに聞こえるかもしれませんが、実際は全くそんなことなくて、筆者も失敗の連続です。むしろ自分はゴミデッキ量産工場と言っても過言ではありません(自分の配信に来てくれる方ならここで深く頷いてくれる事でしょう)。数多の失敗の中で、たまたま勝てるものが産まれたらそれを報告してるに過ぎません。

良いデッキの作り方とは、どんどんアイデアを試して失敗し、なにが悪かったのか考え、またどんどんアイデアを試すこと、これ以外にはあり得ません。前向きにゴミデッキ量産工場になりましょう。

初級編小まとめ

〇まず強い切り札を見つける。

ブースト、ドロー・サーチ、防御トリガーを入れる。デッキとの相性を加味する。

〇強いカードは多い方がいい。

〇成功するまで失敗しよう。

初級編はここまでとなります。ご覧頂きありがとうございました。

「これ以上は知りたくないよ」という方とはここでお別れです。読み続けるかは下の予告に目を通して判断すると良いかと思います。

〈予告 中級編〉

初級編の内容だけで即タコ勝ち、とはいきません。対戦相手も「ブースト・ドロー・トリガーは大事」と知っててデッキを組んでいるからです。

中級編からは、相手の構築を上回ることを意識します。

まずは「デッキパワー」という観念を解釈し直し、環境で戦えるデッキパワーをざっくり掴みます。

その上で、環境デッキにどう勝つか、代表的な2つのアプローチを示します。大雑把に言うと、自分の動きを加速させるか、相手の足を引っ張るかです。

【中級編】

対象…プラチナ~マスター往復帯
目的…マスター帯に到達可能なオリジナルデッキの作成
goal…現環境で要求されているデッキパワーを知る。キルターンに注目したアプローチと、メタ(対策)に注目したアプローチができるようになる。

中級編からは、相手に勝つという事を意識してデッキを組んでいきましょう。

まずは、デッキパワーという観念を「キルターン・再現性・殺傷力」の3要素に注目して解釈し直します。そして、速攻〜ミッドレンジ~コントロールといったデッキタイプ毎に、デッキパワーの3要素の傾斜が異なることを理解します。これを基に、仮想敵のデッキパワーを捉え、自作デッキが要求されている「環境でも戦えるデッキパワー」を把握できるようになります。

要は、敵を分析できるようになって、自分のデッキがどのぐらい強ければ良いのか知ろう、ということです。当たり前ちゃ当たり前だけど。

その上で、勝率を51%まで引き上げる工夫を示します。
具体的には、キルターンに注目したアプローチと、メタ(=対策)に注目したアプローチを紹介します。

デッキパワーの三要素

一般的に、勝率が高いデッキは、何が強くて勝てているのでしょうか。それが分かれば、そのままデッキ作りに活かせそうですね。

デッキの強さにはどのような要素があるか、少し手を止めてお考え下さい。「Bロマの3ハンデス」とかではなく、色んなデッキに適用可能な普遍性があると良いです。


デッキの強さ、すなわちデッキパワーとは、

・キルターン
・再現性
・殺傷力(←狭義のデッキパワー)
+αで受け等

の3要素+αの総合だと筆者は考えています。

キルターンは、その名の通りです。
現実的な最速は4キルで、5・6キルはそこそこ早いね位の速度感です。

再現性とは、狙った試合展開にする力です。
カードゲームの試合展開は必然的にドローに大きく左右されますが、そこで「運ゲー」を避ける工夫こそが、再現性を高めることです。10試合中8~9回が同じ展開になれば、再現性が高いと言えるでしょう。本記事では、相手の妨害に対する耐性も含意しています。

殺傷力とは、ベストムーブが決まった時に相手を倒しきる力です。
攻め込んだ時に10回中8~9回倒せるなら殺傷力が高いと言えるでしょう。ただし、盾に攻めないデッキでは、相手盤面や手札の殲滅力が事実上の殺傷力にあたります。狭い意味の「デッキパワー」は、この殺傷力を指します。

(これは、筆者が思いついた観念ではなく、早期に致死コンボを決めるゲームへと変化が進んだ現代デュエマの記事から得た観念です。)

また、相手への干渉もデッキパワー3要素の下に整理できます。

受けトリガーブロッカー→相手のキルターンを遅らせる工夫
除去・手札破壊→相手の再現性を下げる工夫

これらを総合すると、デッキづくりの方向性は、自分のデッキパワー3要素(キルターン・再現性・殺傷力)を高め、相手のそれを落とす、ということになります。

なお、初級編の内容はこの3要素+αに対応しています。

・キルターン →ブースト
・再現性   →ドロー・サーチ
・殺傷力   →強い切札
+α受け等  →受けトリガー

 

それでは、黒緑速攻(レオパルドナーフ前)を例に、デッキパワーを掴んでみましょう。

サンプルレシピ

キルターン…安定4キル。評価S。
再現性…レオパルド無しでも普通の速攻の動きで4キルできるため、評価S。しかしレオパルドを引けるかは5割強なので、見方によっては評価A。
殺傷力…レオパルドが絡むと、ハンド2枚どころでは止まらない。黒緑速攻を意識したトリガーでないと止まらず、止まった所でマナが足りず押し切られる展開も多いため、評価A。
総評…S・S・A つっっっよ

とまあこんな具合です。黒緑速攻はこの3要素に特化した典型的な例です。そのかわりに相手への干渉力は乏しいですね。

全パラメータがMAXのデッキはありません。どこを厚くするかがデッキ作りには肝要です。

デッキタイプ別のデッキパワーの傾斜

※中級者の皆さんには十分ご存知の方も多いでしょうから、適宜飛ばしてください。

一般的にデッキは「速攻(4キル)」「ミッドレンジ(5~7キル)」「コントロール(遅)」といったデッキタイプに大別されます。

この分類はキルターンに基づくものですが、先のデッキパワーの3要素の傾斜でも説明し直せます。

この分類は、
似たパラメータを持つデッキ達は、似た方法で同時に対策可能な事が多く、環境を整理しメタを張るのに役立つ
自分のデッキがそのデッキタイプとして成立しているかの指標として役立つ(初級編の「骨組み」の、デッキタイプ別セオリー)
という良さがあります。

速攻
キルターン…4~
再現性…高
殺傷力…低~高
トリガー…0(~4)
相手への干渉力…低

例.黒緑速攻、赤白速攻、赤緑速攻等

1ターン目から動く。4キルできないと意味がない。攻撃優先のため、ブーストやドロソは不採用。デッキはほぼ低コストのアタッカーから構成され、再現性が高い。盤面破壊や手札破壊に耐性がないため、4〜5キルに失敗した場合、概ね負ける。

ミッドレンジ
キルターン…5~6
再現性…中
殺傷力…中~高
トリガー…8~12枚
相手への干渉力…低~高

例.NEX、ガントラ、サムライビート等

速度を犠牲に、速攻には無い継戦力と殺傷力を獲得している。(なければミッドレンジにする意味がない。)2ターン目から動くが、殴り始めは少し溜めて、4ターン目頃からというのも普通。速攻には速さで劣るが、そこを受けトリガーや高いパワーラインで補う。コントロールに対抗するためにドローソースが入ることもあるし、場持ちの良いアタッカーで殴り切ればよいと考えれば不採用も普通。

ワンショット(ミッドレンジに含むことも)
キルターン…5~7
再現性…中
殺傷力…高
トリガー…キルターンが早いとトリガーは少ない。遅いとトリガーは増える。
相手への干渉力…低

例…ライゾウ・キリコ・フュージョン・アポロヌス等。

ミッドレンジの中でも、盾を刻まずに一気にゲームを畳む戦術を取る。手札とマナがあれば一気に打点が揃うため、ブースト・ドロソは多く採用される。その性質上、盤面制圧に比較的強い。カウンター性能も高い。ゆえにビート・コントロール両面に強いと言える。だが4キル速攻には弱い。現環境では最速5ターン目、安定6ターン目の速度感でワンショットが飛んでくる。盾を刻むミッドレンジとあまり変わらない速度感なのはインフレを感じざるを得ない。

コントロール
キルターン…遅い
再現性…高
殺傷力…高
トリガー…12枚前後
相手への干渉力…高

次元コン・ナイトコン・5cコン・青抜き4cロック等

基本は3ターン目にブースト、4ターン目にドロー。このゆっくりした動きが許容される環境でないと勝てないとも言える(ここは筆者の主観が強いかも)。シールドトリガー込みで相手の手札・盤面を処理し、高コストのフィニッシャーに繋いで安全に勝つ。
切札に素早く繋いで蓋をするのに特化することもあるし、相手の攻め手を枯らすのに特化することもある。

仮想敵を選定する

環境デッキを概観するには、BEANSさんのグラフが一番です。
(筆者の記事にたどり着ける方なら大抵ご存知かと思いますが。)

仮想敵の選定の際は、『週刊メタゲームウォッチング』が非常にお勧めです。ビート・ミッドレンジ(ワンショット)・コントロールといった分類別のグラフもあるので、メタ対象を大づかみにしやすいです。
いつもお世話になっております。

ここで一度記事を離れ、BEANSさんのデータを参考に、現環境でどこをメタれば良いか考えてみましょう。


さて、現在のNDは、キリコ・ライゾウ・フュージョンといったワンショット系の合計が3~4割であり、Bロマ等もあわせて見ると5割がミッドレンジ、という事になります。
残りは、2~3割がコントロール、1~2割が速攻・準速攻という感じです。

よって、素直に考えるなら、Bロマとワンショット系(ライゾウ・キリコ・フュージョン)を優先的にメタり、余力があれば速攻も対策したい、といった所でしょうか。

尚この記事の趣旨とは逸れますが、メタを張る以前に、Bロマやナイトといったtier1を握って同型を練習することが王道であり、しばしば最良の選択だったりします。身も蓋もないけど。また、コントロール系統と速攻を合わせるとそこそこの割合になるのに注目してそこにメタを張り、コントロール系統と速攻に勝ちやすく調整したワンショット(ライゾウ等)を握り、同型を五分〜微不利で戦い抜く、といった解答もあるでしょう。皆がある最強デッキをメタってデッキパワーを落としたところで、自分はフルパワーのtier2で太く戦う、という作戦もありますね。他にも環境に対する解答例は無数にあります。もちろん、こういった解答例は現環境の話で、その時々の環境によってメタるべき対象は異なります。

閑話休題

いずれにせよ、オリジナルデッキを組む時は、まず何のデッキに勝ちたいかを明確にするのが良いでしょう。

①速さに注目したアプローチ

単純ですが、メタの対象の速度感を知り、相手のビッグアクションより早いか同等の速さでこちらも攻め込めるなら、十分勝負になります。

以下、速さに注目したアプローチが成功した例を挙げます。

構築例④ロマノフⅠ世

Bロマの速度感は、最速4ターン目のロマノフ発射、安定5ターン目のBロマかデスドラ発射、位なものです。
ライゾウ・キリコは、(神話級の速さで4)、順調で5、安定6ターン目に切札が着地し、運次第ですが体感6割位でそのまま勝ちます。フュージョンは7ターン目前後と少し遅いです。ただし5ターン目にゴッドが着地可能ですが。

これらの事から、現環境では4キル速攻は勿論、5キルのビートも無理ではないということや、5~6ターン目に同等のビッグアクションが可能なら十分勝負になる、という事が分かります。

さて、筆者はこれをもとに、邪眼皇ロマノフⅠ世に目を付けました。
以前はともかく、第13弾環境では100回中1回も当たらないレベルに減ったデッキタイプですね。

しかし速さに特化させた型なら、最速5ターン目〜安定6ターン目にロマノフ発射全ハンデスが可能で、環境デッキとも十分勝負になると判断しました。
そこで組んだ構築がこちら。

このデッキで、一応プラチナ途中からマスターに到達できました。マスター帯でも8連勝できました。勝率51%デッキづくりとしては上々でしょう。

構築例⑤赤緑速攻

これは第12弾の例ですが、キルターンに注目したアプローチの成功例として紹介します。記事もあるので良ければどうぞ。

当時の環境は、剣誠・キリコ・NEXが全体の半分を占める5キル環境でした。凄い時代だ…
これらは半端なコントロールは貫通する強力なデッキだったので、コントロールで勝つのは諦め、盤面を相手にせず4キルすればよいのでは、という発想に至りました。

赤緑速攻

この構築で筆者は最終28位に残りました。ヤッタア!!!
赤緑速攻というデッキコンセプト自体はオリジナルではありませんが、環境外のデッキではあったので、かなりニチャつきました。はい。

②メタカードに注目したアプローチ

特定の対面の勝率を上げるために、勝ちたい相手(だけ)によく効くカードを、すなわちメタカードをデッキに入れるという作戦です。

デッキ構築の手順の①の段階で、コンセプト(切り札)×メタカードを優先的に検討し、残りの枠を埋めて形にします。
自分の動きが強くて、相手の動きが止まれば、理論上タコ勝ち待ったナシ。

代表的なメタカードを紹介します。

ルギラレシール→Bロマ、黒緑速攻、ライゾウ
シャドウ→Bロマ、黒緑速攻、ナイト
ジェニー→ライゾウ、フュージョン等
ローズキャッスル→コッコルピア、速攻
獅子幻獣砲→ザンゲキ
シールドトリガー一般(例えばタイガーグレンオー)→効く対面(例えば速攻)
ノーブルエンフォーサー→速攻
お清めトラップ→Bロマ、死神
ギガボルバ→光のトリガー
等等。他にも無数にあります。要は、特定の対面によく効くならメタカードです。

気をつけないといけないのは、特定の対面の勝率を上げるカードに枠を割くということは、その分デッキパワー(特に殺傷力)は落ちる、という事です。

(この辺の内容は、紙のプレイヤーのzweilanceさんがよく言ってる事です)

メタカードに枠を取られるとデッキパワーが落ちますから、当然他の対面の勝率は落ちますし、なんならメタったはずの相手にさえ負ける、なんて事はざらにあります。自分のデッキの太い勝ち筋があるのは当たり前、ということです。シビアに考えるなら、デッキパワーを落としてでもメタカードを入れざるを得ないデッキを握ったのがそもそもの間違いとも言えます。

そのため、メタ対象に勝ちたい時は、メタカード云々の前に、まずはデッキパワーを高める方向性で勝てるようにならないかを検討するべきです。

それでもメタカードを入れるのが合理的な場合もあります。それは、メタカードが単なるメタに留まらない汎用性を持つ程刺さる環境だったり、そのメタカードがデッキとよく噛み合っており、デッキパワーを損なわずに自然と採用できる場合です。

例えば、タイガーグレンオーは速攻のメタカードと捉えられます。採用するかは、速攻とよく当たる環境であるかとか、十分手打ち可能な仕組み(あまり無いけどブースト+ザンゲキで5ターン目に使うみたいな)があるかとか、そもそも踏ませて勝てる程素のデッキパワーが足りてるかを検討した上で判断しないといけません。

安易な判断でデッキを弱くしないように気をつけましょう。…正直これは自戒でもあります。

1つ、デッキパワーを損なわなずにメタカードを採用できた例を紹介します。

構築例⑥シャドウ入り超次元

デッキビルド杯提出用のデッキ名。
現在は薔薇城をバレバイにして回してる。

初日マスター達成構築。一応瞬間1位。
当時流行していた黒緑Bロマと黒緑速攻を意識し、これらを同時にメタるためにバインド・シャドウに注目しました。

シャドウは、のろテラの種になったり、リバイブで回収可能だったり、タップインがメビウスと噛み合ったり、1コスの打点として添えてトリガーをケアしたり等、黒緑系対面以外でも役立ちました。

超次元のカードパワーの高さもあり、上手いことデッキとして成立したと思います。

勝率51%デッキづくりの真実②=模倣はしよう。理解度を上げよう。

中級編もこれでラストです。

マスター到達って大変ですよね。ここまで読んだ方は、取り入れられる工夫は出し惜しみなく取り入れ、一生懸命デッキパワーを上げて、勝率を1%でも上乗せしてやっとマスターに上がれるオリジナルデッキになるという事を感じて頂けてると思います。

そんな中、Twitterで流れて来たリストのギミックに感動したり、対面のデッキの動きが鬼の強さで、「是非ともパクりたい!」と思った時、どうするべきなのでしょうか。

オリジナルにこだわりが無ければスっとパクれますが、こだわりがある方は、「模倣はずるい気がする」とか、「オリジナル性を失う気がするからやめとこ」と考えるかも知れません。というか、そもそもどうしてオリジナルにこだわっていたのでしょうか…。

こういう状況では、筆者はパクることを大いに推奨します。というのも、そもそもこのゲームは全ユーザーが完全オリジナルのデッキでマスターに到達できる設計になっていないと思うからです。カードプールは限られてますし、毎回対面のデッキから情報を得るので、「完全オリジナル」は物理的に厳しいのでは無いでしょうか。

(ここからは筆者個人の考えが強いので、参考になる範囲で聞いてください。)

筆者はオリジナルデッキで勝つ事が特別他人よりも偉いとは思ってません。自分のアイデアの40枚で勝てた時の方が「自分が勝った」気になれるから、オリジナルデッキが好きなだけで、要は「自分が勝ったぜ」と思えれば良いのです。

なので、いくら他人のアイデアを模倣しても全然良くて、最終的に理解度が高まった末に、出回ってるリストに添えた1枚のカードが自分起源なら十分過ぎる程「オリジナル」だと思います。

なんなら、出回ってるリストを40枚隅々まで完全に自分のモノにできたなら、(仮にデッキリストがありふれていても、)そのデッキの勝ち負けは真の意味で自分の勝ち負けだと思えます。自分が望むのはそういうデュエルです。

逆に、訳も分からず環境デッキを使ってみて勝ってしまった場合、「デッキに勝たされた」と感じ、若干のダサさを覚えます。…その若干のダサさと向き合いつつ環境デッキを使いこなせるように練習するのもまたおつなものですが。

あなたがオリジナルデッキにこだわる理由が筆者と同じなら、他人の模倣は大いにアリだと思います。個人的には、理解度の高まりに「自分の力」を感じるのがオススメです。

中級編小まとめ

〇デッキパワーの3要素=キルターン・再現性・殺傷力

〇デッキが成立する必要条件
・速攻…4キル
・ミッドレンジ…トリガー積んで継戦力あって5〜6キル(ワンショット含む)
・コントロール…ビートを捌き切れる

〇仮想敵を選定し、メタる(対策する)。
キルターンでメタるか、メタカードに頼るかが代表的だが、いずれにせよデッキパワーが無いと話にならない。

〇前のめりにパクろう

中編は以上となります。ここまでご覧頂きありがとうございました。
「これ以上は知りたくないよ」という方とはここでお別れです。読み続けるかは下の予告に目を通して判断すると良いかと思います。

〈予告 上級編〉
※予告内容変えました

中級編で説明したように、基礎的なデッキパワーがあり、その上でキルターンかメタカードで環境トップをメタれば、マスターまでは到達できると思います。

しかしレジェンドタッチを目指す皆様からしたら、そんなものは御茶の子さいさいでしょう。

上級編では、「勝率を上げることは辛勝を増やす事であり、辛勝を増やすためには汎用的なカードを増やすのが有効である」という仮説のもとに、ここまでの内容を「汎用的なカードを増やす」という文脈で読み直します。

いわば、初級編・中級編の内容の応用編です。

もし興味がございましたら、この先もお付き合いください。

Coming soon…

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