【デュエプレ】殿堂・ナーフされるべきカードとは

以前のデュエプレは、良環境を保ち続け、ナーフ・制限が少ないゲームという印象があったものだが、次第にデュエプレにもカード調整が増えてきた。

タイムライン上でも、「あのカードを返せ」「あのカードはナーフしろ」等々…日々激論が飛び交っている。(飛び交っていた)。

勿論有益な知見もあるが、中には少し不毛な言説も見受けられる。それは、各人の主張が食い違うのみならず、同一人物の主張ですら矛盾が散見される程である。

本記事は、そういった終わりなき戦いに終止符を打つべく作成された。

いわばデュエプレtwitter界のリーサル・ウェポンである。

恥ずかしい奴です俺は

具体的には、殿堂/ナーフされるべきカードに関しての基準を予め設定する事及び、それを活かして不毛な議論を避ける事を目指す。

この記事はデュエプレをそこそこプレイしている人向けである。エアプの方には楽しめないかもしれない。また、扱うテーマの関係上、読んで得をする方は恐らく誰もいない

我々にできることは、殿堂/ナーフを受け入れてこのゲームを楽しむか、辞めるかしかないからだ。読んでも何も変わらない。もし得をするとしたら環境を調整する運営の方だけである。

つまり、結局この記事も「不毛な議論」の枠内に収まる訳で、ぶっちゃけ筆者のお気持ち表明みたいなところはあるが、

…そういうの好きじゃん。みんな。

という訳で、この先はこのノリを受け入れられる物好きな方が読んで頂ければ結構である。筆者としては、案外真剣にプレイヤー全体のことを考えて本記事を書いたので、是非ともこの記事を読んで時間を潰してほしいと思っている。

「メタゲームのバランス」と「ゲーム体験」は分けて考えろ

殿堂とナーフの目的=

・メタゲームバランスの改善

・ゲーム体験の改善

筆者が本記事で伝えたいことの核にあたるのが、この「メタゲームバランス」と「ゲーム体験」を分けて考えるべき、という事である。

例えば殿堂カード「エターナルガード」は、使用率こそ高かったのだろうが、当カード採用デッキの勝率は50%を下回っていた。強力なカードに違いはないが、それがメタゲームのバランスを崩していたわけではない。むしろ、烈流神やゼンアク、ガントラといった対処が難しいカードを盾に埋めることで、メタゲームのバランスを保っていた重要なカードであった。異論は認めない。

しかし、ゲーム体験が悪いと感じるユーザーはいたことだろう。この点は異論を認める。「楽しいだろ」も「つまらん」も。

かの有名な「3ターン目のマナ加速からジャックライドウでボルガウルジャックを持ってきたのに4マナの呪文で動き止まるのヤバいですよね」は、この事態を端的に、非常にわかりやすく示していると筆者は考える。

(追記…これ時事ネタ過ぎて今読んでも伝わる訳無いですね。当時、ある人がこういった旨のツイートをしたら炎上しちゃったんです。主にコントロール使いが燃やしてた気がします。)

「それエタガ打つ側の方がキツくね」というごもっともなツッコミが成り立つ比較的マシな状況だが、エタガを打たれる側はそれでもストレスを感じている、という事が良くわかる。ましてや、自分が頑張って早出しした、多くのリソースをつぎ込んだカード(カチュアやゲキメツ等)が、そのターンまでノーアクションだったか、せいぜい3コストチャージャー打つかしかしてない悠長な相手に簡単に除去されてしまうという例がある訳だから、流石にこれにストレスを感じる人がいてもおかしくないのはどなたにも分かって頂けるだろう。

このように、1カードがもたらす
「メタゲームのバランス」と「ゲーム体験」
は必ずしも
「良ー良」「悪ー悪」
にはならない。
「良ー悪」「悪ー良」
だって全然あり得る
と言うことだ。エタガの例は「良ー悪」の典型である。よく必要悪って言われてたし。

その上で、「メタゲームのバランス」は客観的な評価が比較的容易であり、各プレイヤーの評価の合意も得られやすいが、「ゲーム体験」に関しては、個人で意見が大きく分かれることにも注意すべきだ。

ちなみに筆者はエタガにちょっぴりうんざりしていた側の人間であった。

話はややそれるが、これらの事から、twitter上で望ましいムーブが自ずと決まってくるだろう。「ゲーム体験として」エタガがつまんねーと愚痴をこぼしている人に、「メタゲーム上」必要なカードだとリプを飛ばすのは、(その人が殿堂/ナーフの議論をしたがっているのでなければ)的外れな行為だ。かと言って「ゲーム体験として」べつに気にならなくない?とリプを飛ばすのも、なかなかのクソリプだ。そもそも体験の印象は個人で意見が分かれるんだから、素直に共感するか、出来ないならスルーしよう。空リプもあまり印象良くないぞ。…まあその当たりは当人同士の仲でやって良いかどうか決まると思うのでとやかく言いませんがね。

閑話休題

カードが殿堂/ナーフされるべきかどうかは、「メタゲームのバランス」上の問題か、「ゲーム体験」上の問題のどちらか(あるいは両方)が原因である。ならば、分析する際も両者を分けて考える必要がある。

(ただ、使用率が高すぎるという事象は、メタゲームのバランスが崩れた結果であると同時に、「またお前かよ」という「ゲーム体験」の悪化に直結する原因でもある。よって、バランスと体験を完全に切り離して議論するのも容易ではない。総合的に捉えるしかない事の方が多いだろう。)

という訳で、以下から各殿堂/ナーフカードを1枚ずつ、バランスと体験の2つの視点から、妥当な制限であったのかを検討し直していく。その中で、運営が規制するカードの傾向を掴もうではないか。

それらの傾向を踏まえた上で、読者の皆様には、どんなカードが規制されるべき、されないべきなのか、考えて頂きたい。

そもそも基本的にはカードは規制されるべきではない(と筆者は思う)。カードは商品であり、誰かにとっては思いの籠もった相棒だからだ。だからこそ、規制には相応の理由が求められる。その納得のいく理由を探りたいものだ。

(というかなんでもかんでもナーフしろって言う奴はダサすぎて見てられない。読者の皆様にはそうはなってほしくないのである。)

長くなるので、ご自分の気になるカードを目次から検索するのも良いだろう。

一つだけ注意事項がある。筆者はデュエプレが好きすぎるのか、あまりカードや環境に不満を抱く方ではない。てかこのゲームずっとたのしい。よって、皆さんよりも各カードの評価が甘いものになった恐れがある。筆者もその傾向は自覚しているので、できる限り主観的評価と客観的評価を分けることを心がけた。納得いかない評価があってもご容赦いただきたい。どうしても納得いかないなら…

twitterに来い!おれが相手をしてやる。

画像1
お手柔らかにお願いします。(ま、どうせこんやろ)


ダイヤモンドブリザード

画像18

2020/5/7(木) 第3弾環境 前期
使用率:高い
メタゲーム:S
体験:S
総合評価:S

デュエプレの伝説。墓地とマナから全回収してその分山札からブースト?え?もう一回言ってもらっていいですか?

一人だけ別のゲームをしているという比喩が比喩してないやべー奴。

具体的には、除去が間に合わない速度と展開力とリソース確保がダイブリ一枚で為されており、1枚1枚のアドバンテージを削り合うデュエプレ環境では対抗できるデッキは少なかった。(無かったと言っても良い)墓地回収まで付いていたことが、除去はおろかハンデスも否定しており、プレイヤーのやる気を削いでいた覚えがある。ブリを透視して直引きするしか抗う術は無かった。

ちなみに当時筆者は大学そっちのけで朝昼晩ずっとブリをどう倒すかを考えて生活していた。ガチで。

構築次第ではペトローバでパワーラインが9000になる、構築次第ではリーフとの両刀でブリが引けずとも青緑速攻として十分過ぎる、構築次第ではプライマル・スクリームで一気にアドを稼がれる、本体がハンデスされても痛くない、あるいは当時対抗札が皆無のハルカス+パラディンパッケージを盛り込む者、チャミリアでより一層リソースを安定させる者、エマタイ+デラセルナで平時は墓地肥やし、アグロにはカウンターを狙う者、訳も分からずボルバルブリザード等、とにかく様々なブリが3弾環境初日から一気に開発され、そのどれもがガチで強いという世紀末的様相、まさにブリブリマスターズを繰り広げ(?)、数多くのYouTuberのネタにされた。使用率も勝率も高く、文句なしのナーフとなった。

ただ、数点補足しなければならないのは、規制する程ヤバいか?という留保は当時からついていた事である。

使用率23%、勝率も55%だっただろうか。紙のデュエマの環境と比較すると優しいと感じるまである。(もっとも、後にBeansさんのデータを見続けると23%は相当やばいし、勝率55%は実際かなり強いのだが。)

根拠は数字だけではない。当時だって、ブリ以外に有力なデッキがない訳ではなかったのだ。

後述するボルバルが馬鹿強いのは当たり前として、3弾ぶっ壊れ3銃士の一角ガルザークも、即席打点+自身破壊時の除去でかなり理不尽な動きを押し付けていたし、グライスメジキューラを擁するイニシエートコントロール(リースまたはドロマー)もブリを含むビートには強かった。当時のランクマ上位の方はブリザードではなく、二角・エリクシア入りのチャーハンボルバルを握っていたそうだ(←筆者個人の記憶に基づくので間違っていたら申し訳無い)。ブリザードナーフ直前のある大会では、予想に反して、なんとBEST4にブリザードは1人しか残らなかった珍事が記録されている。

これらの事から、ブリは当然最優先でメタるべき対象ではあったが、他のデッキも活躍しており、ランクマで勝ち上がるにはブリにだけ勝てれば良いわけでもなく、ランクマ全体としてはデッキ単位でそこそこの駆け引きが成り立っていた事には留意しなくてはならないだろう。

つまり、テストプレイ段階でブリを含むデッキ群でちゃんとメタが回るように調整されており、実際その狙い通りにはなってはいたのだが…やっぱり想定よりもブリが強過ぎた、というのが事の真相だろうか。

そういう背景もあって、筆者はナーフ決定からしばらくはナーフ不要派だった。

だがナーフ後のブリが環境で頭角を表すにつれて、やっぱりナーフは必要な措置だったんやなあと意見を翻した。ご存知の通り、今でも使われる程ナーフ後ブリは強力だ。ナーフ前が許される道理は無い。しかしそれは時が経ってハッキリ分かった事であって、当時は筆者のような意見を持つ人もいたのだ。イタノダヨ…

確かにヘイトを集めたカードではあったが、その圧倒的な展開力に惹かれたファンは多く、ブリで一気にデュエプレが面白くなったという意見も聞く。ある意味、ブリというカリスマをデュエプレは失ったとも言える。やはり、ナーフは出来る限りやらない方が良いし、そのために環境はしっかり事前に調整されないといけない。

ボルバルザーク

画像19

2020/9/17(木) 第5弾環境 中期
使用率:すごく高い
メタゲーム:S
体験:S
総合評価:S

デュエプレの伝説その2。先行ゲーの加速と他のフィニッシャーを台無しにした罪は重い。

第3弾〜第5弾で最高のフィニッシャーとして使われた。
主な採用デッキは、白抜きハンデスボルバル、デアリドラゴン、青抜きチャーハンボルバル、5C天門等。その圧倒的汎用性と決定力により、数多くの環境デッキ〜オリジナルデッキに採用され、軽率にホイホイとEXターンを獲得しては相手を絶望させてきた。

主な罪状は、10ターン目というターン制限が先行ゲーを加速させた事、強力過ぎるフィニッシャーで、他の良き大型フィニッシャーの存在意義を奪った事、あとは、もうとにかく普通に強過ぎた事であろう。紙の頃と違って強制敗北効果がなかったため、フィニッシャーに留まらず、純粋なアドの塊としての運用すら可能であった。いやー強かった。

ただ、補足しなければならないのは、このカードは効果の発表段階ではかなり良いデザインだと思われた事である。それを棚に上げて運営を批判は出来ない。

第一に紙の頃のデメリットの強制敗北効果を消したのは英断であった。「出たら必ずゲームが終わる」というのはゲーム性を著しく損なう。では強力な効果のデメリットはどう付けたのか。それが10ターンの耐久である。

この10ターンという制限が絶妙であった。デュエプレにおいてボルバルは、9ターン目まではパワー6000で、マナにタップインする劣化ツインキャノンでしかない、しかも不用意に出せばトリガーが発動しない。9ターン目までは無双竜機お荷物ドラゴンと言って差し支えない。

また、10ターンという制限が、殴り合いを促進させる効用を生むとも考えられた。運営としては、盾を割り合うデュエル・マスターズらしい環境になるのを期待したのだろう。同時収録されたブリとガルザークからも「これで対抗できるっしょ」という意図は感じられるし、実際、それは一部運営の思惑通りとなった。

赤緑という色も絶妙であった。これは単に紙の色を引き継いだだけであるが、ターン制限と合わせると大きな意味を持つ。赤緑は早さとパワーを追求する色であり、耐久できる色ではない。それこそシータミッドレンジが赤緑を強く使えるデッキであった。ならツインキャノンやジャガルザーで良いだろう。強く貯めるには赤緑の他にもう1色、いや出来れば2色欲しい所だが、無論色が増える程、各色の採用出来るスロットは減る。事故も増える。ボルバルは、その強力な効果の代償に、構築全体を制限するデメリットを抱えていたと言えるだろう。

これは余談だが、カードデザインの際、強力な効果を与える代わりに、構築を制限する、という方法でバランスを取ることが多いのだと開発者のデッドマンが言っていた。その時はモルネクのマナ武装が例にあがっていたが、その理論を敷衍すれば、進化クリーチャーは勿論、コスト、色マナも構築を大きく制限する要素となっているのに気づく。良く出来てるよこのゲーム。その意味でボルバルは、マナ武装のような直接的なテキストではなく、カードデザイン全体でやんわり構築を制限するという、非常に美しいデザインを貰ったカードであった…はずだった。

…しかしそうはならなかった。

なぜか。賢明な読者の皆様はとっくにお分かりだろうが、全ての過ちは、デュエプレ特有の色マナの仕様、すなわち、マナに色さえ落ちていれば、「赤1枚、緑1枚」と、色マナカードを色の数だけマナに用意する必要が無かった事にある。つまり、ボルバル1枚をマナに埋めるだけで、ボルバルが出せてしまったのだ。

これが、色が合わなくてもボルバルを4投する構築を許してしまった。青黒のハンデス基盤のフィニッシャーがバロムではなくボルバル、イニシエート軸のドロマーのフィニッシャーがボルバル…この辺りの事情が、他のカードの存在意義を大きく損なったとして、重罪認定されている。

最終的には、第一回バトルアリーナの後に殿堂入りとなった。おそらくは次の弾のサファイアとフィニッシャーの世代交代を狙ったのだろう。

今でも十分「最強カード」と呼べる1枚だが、タッチボルバル4枚という暴挙を咎めた事で、本来企図していたカードデザインの美しさがしっかり出ており、現在は良いカードと見なされている気がする。

個人的には、やはり使っていて楽しいパワーカードであったし、青黒ハンデスボルバルは安くて強い良いデッキであったため、ボルバルはかなり好きだ。殿堂に行ったタイミングを含め、筆者はボルバルを巡る処遇に終始満足していた。ただ、以上の理由からかデュエプレを離れてしまったユーザーも多く、ゲーム全体として運営はベストな選択をしていたのかは疑問符がつく。

ランダムハンデス(タッチ、汽車)

画像17
画像16

2020/9/17(木) 第5弾環境 中期
使用率:普通
メタゲーム:C(良い奴)
体験:
総合評価:B

「閉塞感」の元凶。だが俺はナーフに納得していない。

ハンデス(手札破壊)は、エターナルガード同様、メタゲームバランス、ひいてはカードゲームにとって非常に重要な役割を担うカードであった。まずはその辺の事情を説明していく。

ゴーストタッチ・汽車男は、1ターンかけて、自分の手札1枚と相手のパワーカードを相殺させるカードと言える。どんな強力なカードも、プレイする前に手札から落とせば、等しく1枚のカードでしかない。テクニカルなカードだ。

デュエル・マスターズはルール上後手が不利になりがちだが、ハンデスはその先手後手の有利を覆す可能性を持つカードである。というのも、先手よりも後手は手札が1枚多いため、ハンデスは後手のそのわずかな利を活かし、広げる事が出来る。具体的には、手札枚数が
自分5枚:相手4枚
から
自分4枚:相手3枚
となり、相対的に有利が広がるという具合だ。

ちなみに先程ボルバルは「先行ゲーを加速させた」と書いたがあれは実は一面的な見方である。ボルバルはその性質上、試合を長引かせた方が勝ちやすい、つまりハンデスと相性が良いカードだ。つまり、ボルバル対ボルバルは概ねハンデス対ハンデスとなるため、後手有利になる事も全然あった。

このハンデスという戦術は、環境の高速化が進めば進む程、インフレが進む程、威力を増していく効果である。なぜなら、手札を早いターンから消費するデッキ程にハンデスは刺さるからだ。具体的には、デアリギフトカチュアにゴーストタッチを一発ぶっ刺すだけで機能不全にしたり、ガトリンガーを1/2で打ち抜いて後続を断ったり、等。カードゲームにはその宿命として、良くも悪くも、キルターンの高速化、ブン回りの押し付け合い化というものがある。そこからは逃れられないが、加速していくインフレの緩衝剤として、ハンデスは重要な役割を担っていた。

また、彼我のカード資産に差がある場合、その差を相対的に縮めてくれる風にも作用する。これもカードゲームを遊ぶ上で馬鹿にならない要素だと筆者は考える。

かと言って何も考えずハンデスばかりしていてもゲームには勝てない。運次第でキーカードを落とせるというシンプルな効果でありながら、自分の構築や対面、タイミング等、同じ効果が使い手によって強さが変わる。そのあたりが非常にカードゲームらしい、良いカード群だったと筆者は思う。

先手有利を覆せる、インフレの緩衝材になる、資産差を縮める…ここまで筆者はベタ褒めだが、ハンデスは一体どんな罪を犯したのだろうか。

それは運営の言葉を借りれば、「閉塞感」の元凶となったことである。

要は、使いたいカードや埋めたいマナ色を、使う前に落とされて、イライラする、というものである。

これを聞いて、なんと幼稚な感想だろうか…とは、ならない。

場に出したカードが除去に晒されるのはある意味当然である。しかし、使いもせずに除去されるのは納得いかない、という意見は根強い。共感して頂けるなら話は早いが、分からないという方のために少し例を挙げて話す。

勝敗に関わらず「良いゲームだった」と思える戦いとは何であろうか。答えは人によるだろうが、勝敗はともかく過程の部分でお互いベストを尽くせたと感じた時、すなわち「これを返されたら仕方ない」と思える動きをぶつけ合えたなら、満足感を得られるのではないだろうか。

それが満たされるには、少なくともカードをプレイする事は必須となる。しかしハンデスはそれを刈り取る行為である。極端な事を言えば「デュエルをさせる前に勝つ」行為という訳だ。

喩えるなら、全力で打ち込もうとしたパンチが出どころで止められ振り切れない、本気で受験に臨もうとしたが、勉強する環境が揃っていなくて夢を諦める、告白する前に振られる等々…その辛さには特有のものがある。煮えきらないこの思い。分かってほしい。

しかも運ゲーというのがまずかった。運ゲーは不公平感を助長する。このカードが落とされなければ勝っていた…1/4のハンデスなのになぜ…運を恨むというのは虚しく辛いことだ。それは自分が医者の親のもとに生まれず、低所得者の親もとに産まれたのを嘆き悲しむようなものである。…サンデルみたいな話になっちまったよ。やめやめ。

とにかく、カードゲームでも、その運を受け入れてどう生きるかに集中する(ハンデスで落ちるカードは受け入れてトップの可能性を含んだ次の展開に集中する)、てのを全員に強いるのは少し酷だったらしい。

本当の事を言うと、ハンデスを使う側は1枚手札を使うし自分のターンを使うしそれこそ運ゲーだしで、使う側も相応のリスクを払ってハンデスに臨んでいるのであり、その手の文句は筋違いというものだ。が、感情的には、納得いかないのだろう。それもまた仕方が無い。

個人的には、これを楽しめないならどうぶつの森でもやってろという意見に大賛成だ。いや皮肉じゃなくて、向いてないのだと思う。実際無理にデュエマやる必要もないし、どうぶつの森は楽しい。エアプだけど。

画像3
ハンデスの無い楽しい世界。良いと思います。

兎にも角にもハンデスはナーフされた。当時は第5弾環境、ハンデスボルバルが主戦場だっただろうか。低資産でも組める良いデッキだったのだが。

4コスト以下にはランダムハンデスを仕掛けるカードはなくなり、基本は相手が選んで捨てる事になった。(追記:第16弾現在、低コストのランダムハンデスはちらほら復活してきた。)

ランダムハンデスがなくなることで、確かに、色は揃いやすく、カードもプレイしやすくなった。ぶっちゃけデュエルは快適になった

だがこれにより、後の第7弾のぶん回り環境を止める要素がいなくなり、、環境は良くも悪くも相性固定超速ブン回りゲーと化した。それはそれで楽しかったが、運悪く第7弾は3ヶ月目があった。ハンデスがなくてコントロールが死んでおり、メタが回りにくく、3カ月目には流石にだれた。その後クローシス気味のコントロールが復権するにはのろテラの登場を待たなければならない…がそれは別の話。

総評としては、カードゲームとして非常に重要な要素を担う良いカード群であったが、その性質上ヘイトを溜めやすく、一部ハンデス嫌いの方々のために犠牲になった可愛そうな奴ら、ということになろう。エターナルガード同様、環境の必要悪であった。

このナーフが、今後のデュエプレが紙のデュエマを再現しきれない、別ゲー化の原因になるのではないかと危惧された…が、まさに第10弾現在(もう現在ではない)、バレットバイスの未実装によって、みんなが求めていた古き良きナイトデッキが再現不可能となる事態が起きてしまった。これに関しては完全に運営の過失と言う他ない。だが、これも含めて運営が選んだ道ということなのだろう。賛否が分かれる話だ。(追記:その後バレットバイスは実装され、14弾にデイガナイトは覇権デッキとなる。)

※ブリ・ボルバル・ハンデスが書くこと多かっただけで、あとはあっさり終わります

ストリーミング・ビジョン

画像7

2021/3/25(木) 第8弾環境 中間地点
使用率:普通
メタゲーム:C
体験:B
総合評価:C

罪状:ツヴァイの生贄。でも3ドローは確かに不快だったかも。

紙デュエマにおいて今も尚ぶっ壊れの3コスト4ドロー呪文ストリーミング・シェイパーの調整版。4コスト3ドローに。紙の反省を活かして作られたデュエプレというゲームの良い所が出た1枚。

第一弾環境から優秀なカードだった。

当時は青単がメタゲームで活躍しており、そこが主戦場だった。青単は小型の展開とバウンス呪文を絶えず打ち続け、ハンドアドバンテージをボードアド・テンポアドに変換し続けて勝つデッキである。バウンスはその特性上打ち続ける必要があるので、青単にとって手札補充は非常に重要な戦術の一端であった。だからこそ、4コスト3ドローは青単にのみ許されたインフラのような位置づけだったと筆者は記憶している。もっとも、紙と違って不採用だったりピン投だったりもしたが。

時は流れ、リーフの時代になると、わざわざこのカードに頼る理由は無くなる。4コス3ドローがこんなに早く環境から消えるとは…と戦慄したものだ。

更に時は流れ、第6弾で青単〜準青単ツヴァイランサーが流行るとビジョンの評価は一変。ツヴァイは小型を4体並べた上でツヴァイランサーを1体以上乗せるという手札消費の激しいデッキである。このゲームでは基本、先行は4枚、後攻は5枚しか手札が使えないのだ。本来ならギリギリを攻めた良いカードデザインだったかもしれない。

しかし、ビジョンを打てばどうだろう。4ターン目にドローだけで手番を返すことにはなるが、3ドロー出来てしまう。3ドローだ。おい、俺は3発もファントムバイツを撃たないといけないのか。ツヴァイは除去に弱いのは事実だが、対面次第では無理に展開を優先せず、ビジョンやハルカスで手札を溜め込み、盤面に1体の状態から、ガード+2コス+2コス(計5コスト)で一気にツヴァイまで持っていく戦術を取ることもできた。4ターン目の最速を狙わず6~7ターン目に最強の役を揃えてぶっ放すプラン、貯めプランと言う奴だ。そしてその柔軟性を支えたのがビジョンであった、という訳だ。(筆者は下手だったので平気で4ターン目に3点パンチしてました。へへ。)

更に第7弾でマーキュリーを獲得したツヴァイは、alldivisionではマーキュリー・パラディン・ビジョンの贅沢三姉妹を用い、ブロッカー主体のデッキ、上手い人は除去コンをも、コテンパンにしたのであった。その強さは、ある有力プレイヤーに、allではツヴァイ以外のデッキを使う理由がないとまで言わしめた程である。イヤほんと上手い人のツヴァイには勝てる気せんかったもんね。確か日によってはallの25%がツヴァイになる日もあった。

ツヴァイの立ち位置が大きく変化するのには第8弾でゲキメツの登場を待つことになるが、それは別の話。

そうして、遂に運営はツヴァイを弱体化させるべく、ビジョンをナーフする事に決定した。newdivisionでもパラディン・ビジョンが使えないなりにツヴァイは活躍していたが、all程の割合を占めていた訳ではなかったので、allのツヴァイをnewの程々の強さに近づける狙いがあった、と公式に発表されている。

と、ここまで納得のビジョン殿堂というストーリーが描かれたが、実は本当にビジョンを殿堂させる必要があったのかには留保がつく。

というのも、ぶっちゃけ当時から、ビジョン型の他にもエナジー・ライト型が研究されていたのだ。そりゃ3コストで撃てる利点はあるに決まってる。筆者個人の記憶に頼った記述になって申し訳ないが、かなり上位層の方々でエナジー・ライト型が共有されていた覚えがある。たしかはんじょうさんはビジョンピン投だったような。(ま、筆者は脳死でビジョン撃って3ドローに喜んでたんですけどね。( ;∀;) )

現在は、(当時とは環境が違うが、)エナジー・ライトすらも切ってかなり前のめりに構築されたツヴァイも結果を残しており、やはり一概にビジョンが強いとも言えなくなって来たのが現状である。

未来人的な視点を含む後出しジャンケンで運営には悪いが、本当にビジョンを殿堂させる必要はあったのだろうか。ビジョンが強力なカードである所には恐らく殆どのプレイヤーが異論は無いだろう。殿堂後に環境が悪くなったと言う人もいないだろう。しかし、繰り言になるが、殿堂はしなくてすむならそれが一番良いのだ。筆者としては、不要な制限をしてしまったのではないかという印象を持つ。

ジェネラルクワガタン

画像15

2021/3/25(木) 第8弾環境 中間地点
使用率:高い
メタゲーム:A
体験:A
総合評価:A

端的にずるい。

こいつは第8弾環境トップメタの一角ケンジ/ドリームメイトに採用され、猛威を振るいに振るった。極端な2強環境となった原因である。tier1の一方は、かの最強デッキゲオアガピ天門、そしてそのもう一方のtier1がドリームメイトだった。環境の25%と25%をこいつらが占有する世紀末環境であった。

その能力は、死んだドリメと同じ奴を、マナからバトルゾーンに出すというもの。しかも、クワガタの登場時に1枚山札からドリメを探索し、マナに置いておける。つまり、クワガタ登場時にクワガタをマナに置いておけば、除去されてもまたコンニチハ出来るという事だ。何とアンフェアな一枚か。

画像4
明かされた真実、哀しすぎる結末、アンフェア完結 やかましいわ

ケンジとクワガタが並ぶ。手札のデーモンハンドはケンジに打たなくてはいけない。しかし7000のWブレイカーは放置できない。いやでもケンジが、でもクワガタが、いやでも…で、結局ケンジを優先して処理するも、結局こいつを最後まで処理できず負ける。仮にクワガタにハンドを打ち込んでもマナから仲間が蘇る。しかもケンジ着地まではかなり安定して4ターン目に決まるのだから、正直除去コンに勝ち目は無かった。サファイアは泣いていた。

また、忘れてはならないのが当時まだアガピトスがナーフ前だったという事だ。つまり、ウルコスが踊り狂っていた。クワガタを処理してもマナからクワガタが出る。ウルコスを処理してもマナからウルコスが出てくる。減ったマナが補充される。「あっクワガタ埋まったw」ええい相手の声を届けるなDCGやってんだぞ。似た動きがヤッタルワンでも行われていた。てかバンジョーも、処理したらバンジョー出て次のパンダを回収された。…要は何を処理しても地獄だった。

この、アガピとパンダによる超展開と、動きの中で自然と発動するマナ加速の上に、クワガタの効果は絶妙な噛み合いを見せ、相手を粉砕してきたのであった。マナが伸びるので、手出しも十分狙えたのが強かった。(個人的には、この自然とマナが伸びるのを利用して、ロストソウルを採用した悪魔のような構築が好きだった。人のやる事じゃない。)

当時は天門以外にもツヴァイ・メカオー・ドラゲリオン等の有力なデッキはあり、それなりにデュエルになっていたが、その辺はブーストからのアガピのタップキルや天門からのアガピカウンターで対抗できていた。この地力がtier1の所以だろう。

連日25%という数字は見たことが無かったので、流石の筆者もちょっと引いた。まあ環境自体は怪獣大決戦って感じでそれなりに楽しかったが。

以上、クワガタはアガピ入りケンジというデッキとの噛み合いの中で強さを発揮する良いカードではあったが、シンプルに強すぎたようだった。無限除去体制は、やってらんねーぜ指数が高い。ナーフも納得である。

ナーフの仕方も良かったと思う。核の効果は残しつつも、1ブーストを除いだだけでこれほど弱体化するのか―と目を丸くした覚えがある。まだ使えない訳でもない程度に弱体化させるのが、ユーザー心理としては嬉しいものだ。今もワンチャン使えるのではないだろうか。

一応補足だが、先にアガピトスさえ制限してしまえば、クワガタを犠牲にすることなく、ケンジも丁度いい強デッキのままでいられた可能性はある。…あるが、まあ良かったんじゃないかこれで。文句つけてる人見たことないし。

フルメタルレモン

画像14

2021/3/25(木) 第8弾環境 中間地点
使用率:高い
メタゲーム:C
体験:B
総合評価:B

またの名をアガピトスの巻き添えレモン。ただ、速攻使いからしたら悪魔。

紙の効果と比べて大幅なアッパーを貰った一枚。主に、色マナがシビアだった5cゲオアガピ天門の優秀な色基盤として活躍した。

ゲオアガピ天門は当時のtier1であり、歴代最強デッキの呼び声も高いが、その色マナ事情はかなり厳しいものがあった。初動のウルコスを出すための緑が、ウルコス4、ボルバル1、エリクシア4~3しかないのだ。そこで光るのがこのフルメタルレモンである。1枚埋めれば白も緑も青も一気に埋まる。続けてゲキメツを埋めれば2手で5色解放だ。青があればアクアンも出せる。それは手元のゲオルグをマナに埋めずに済むという事を意味する。あまりにもありがたい。ありがたすぎる。

しかしただの色基盤と思ってもらっては困る。3マナ3000というスタッツは普通に強い。(当時まだガントラビートは開発されていなかった。)速攻が勝つには天門を踏まないのは大前提で、その上で、速攻はレモンの殴り返しをもろに受けながら進軍しないといけない。しかも、墓地に送るカードは8枚で良かったため、16枚墓地送りで2回も耐えるとかは割と現実的にあり得た。レモン1枚で2ターン位キルターンがずれ込むとかも全然あった。そして、6マナになってしまえばあとは手打ち天門ザーディアアガピトスgood byeサヨナラまた逢う日までという訳だ。

序盤が弱いのが天門というデッキの欠点だったはずなのに、速さ全振りで駆け抜けることさえ否定されては速攻デッキの立つ瀬がない。アグロ使いはこのカードにヘイトを溜めまくったことだろう。おい涙吹けよブレイズクロ―。イチバンノリィ グスン

また、ナーフ前アガピトスから出せるのもポイント高かった。ついでに出るくせにパワー3000だからメツで取れない。場合によってはこいつにもデーモンハンドを打つしかないとか果てしなく渋い。馬鹿にならない打点にもなったのだった。

と、いうことで、一見強さがわかりにくいレモンだが、色マナと序盤の脆さという天門の弱みをこいつ1枚で補完してくれるすごい奴だったのだった。正直使う/使われるまで舐めてた。舐めてるつもりはなかったけど、分からされた。

さて、ナーフ後はパワー1000の墓地送り10枚にされた。マナ基盤としての採用は無くもなかったが、その序盤に輝く耐性を奪われたレモン君は徐々に採用枚数を減らしていった覚えがある。速攻の使い手達はピアラハートで処理できる!と喜んでいた。丁度いいナーフだったのではないだろうか。

このナーフは、一見レモンの強さが分かりにくいために、世間では疑問視される事が多いのではないかと筆者は予想しているが、(というか忘れられてるかね、)筆者の見解としては、天門の弱点を補完し過ぎた罪により、ナーフもやむ無しだっただろうと考えている。

ナーフ後は、速攻にワンチャンス作らせつつ、色基盤として採用もできる良い調整だったと思う。



※全然アッサリ終わんないんだが。どうしてくれようか。

アガピトス

画像8

2021/6/10(木) 第9弾環境 前期
使用率:高すぎ!!!
メタゲーム:A(ちょっと良い奴)
体験:S
総合評価:S

デュエプレ最凶のオリカ。圧倒的汎用性。

主な罪状は、最早アガピを使わない理由が無い程強く、他の中型カードが概ね全て「アガピでよくね」ってなる罪。それでいて、ボルバルと違ってオリカであったため、一部の懐かしみたい勢からは強烈なヘイトを買った。

そりゃ、懐かしみたい、思い出のカードをデュエプレにぶつけてみたいという気持ちでランクマに潜ったら、アガピとかいう知らん奴にボコボコにされ、しかもよく考えたら今使ってる思い出のカードをアガピ基盤に変えたほうが強いと気付かされたらやってらんないだろう。幸いにも筆者にはその傾向はあまり無かったが、人によっては耐え難い苦しみを味わい続けた環境だった。

光の3コスト以下のクリーチャーを山札からバトルゾーンに出せる。1体タップ。6マナ6000wブレイカーのブロッカー。このテキストが強い。見た目以上に。

このテキストはつまり、山札からウルコスを踏み倒せるという事だ。1ブースト付きの6マナ3打点とも読める。それだけで強かった。普通におかしい。なんで6マナで3打点あるんだ。普通は2点なんよ。デメリットを付けろ。なんなら、次に2点+ダイレクトまで見えてる分トリプルブレイカーより強かった。
で、次7マナあるからノーチャージでゲキメツが出るし、チャージすればロストソウルに自然とつながる。やり過ぎでしょう。

ゲオアガピ天門で使った場合は、嚙み合い方が神がかっていた。アガピから自然に出るウルコスの上にゲオルグが乗って、相手の中型の殲滅を予告していた。つまりウルコスの除去を相手に強いることが出来たのだ。その上で除去されやすいウルコスとゲキメツの蘇生が噛み合っていた。で自然とマナが伸びていく。もちろんアガピがいる限り6000以下はタップキルされるため、アガピ本人も放置するわけにはいかない。もし揃ってしまえばアガピのタップ+ゲキメツで盾を割らずにランデス、とやりたい放題やっていた。あと、散々褒め散らかしたフルメタルレモンも踏み倒せる。そもそも天門から雑に2体アガピを踏み倒すだけで4タップとジャスキルのカウンターが完成するのが強すぎる。もう、とにかく強いです。俺のゲキメツ完成パンチまでの努力は何だったんでしょうか。

更に、その上、8弾EXで収録されたアラゴナイトによって、なんと5000以下破壊まで獲得してしまった。あーあ(呆れ)。これによってゲオルグ天門のみならず、「4Cアガピ(=クレケン)」なるデッキが成立したのであった。
元々フンヌ―でも似たことはできていたが、流石にパワー5000とアンタップは強い。単純に、カード1枚で2面展開しつつ1面除去できるわけだから、とんでもないアドバンテージを稼いでいる。タップキルの常在能力持ちを残すわけにもいかないので、相手のデーモンハンドまで消費させる。

アドの概念をぶっ壊した1枚だったが、対抗札が無いわけではなかった。

その対抗札とは、そう、アガピトスである。

画像2

ボーーーーーーン

エターナルサンクチュアリで相手のアガピをとりながら自分のアガピを展開、さらにアラゴで相手のアラゴ/ウルコスもタップキルできるため、サンクチュアリは1枚で完璧に返すことが出来る札として重宝された。世はまさに、大アガピメンコ時代!!!!アリッタケノー!

(ちなみに筆者はアガピメタとして炎地武神を愛用していた。バルザックでアガピをとりつつ、リンクできればパワー10000になってゲオルグを超えるパワーになる。オルメガス先出しでアガピけん制も有効だった。ただ、後のアラゴナイト実装で無事養分になったが。)

という事でアガピが強力なカードだったことに今や異論を挟む者は皆無であろう。採用デッキは、ゲオアガピ天門、4cアガピゲキメツ(クレケン)ビート軸/ロック軸、ケンジ、たまにセラフィム、5cカチュアといったところで、全体の3~4割はアガピ入りのデッキであった。

だが、そんな悪の塊のようなこのカードの制限にも、当時からいろいろ物言いが付いていた。

第一に、確かに強力なカードではあるが、メタはかなり回っており、メタゲームのバランスはちゃんとあったという意見である。確かにバランスはあった。5月上旬のBEANSデータを見ると、割合が目まぐるしく変化しており、デッキタイプもなかなか多かった。本当に不思議なもので、デッキ単位の駆け引きが確かに存在していたのは事実である。

第二に、このカード自体が対処が難しいパワカであるのは一面的な見方であって、アガピはそれと同時に、ツヴァイメカオードラゲリオンカチュア等等の、小型を展開してビックアクションに繋げる的なデッキに対しての抑止力として機能していた、という意見である。「アガピはインフラだ(だから規制しないで)」と言う意見すら聞いた。いやインフラにしては強すぎだろと思うが、正直そう思ってしまう人の気持ちも分かる。アガピを制限する事は、これらの旧環境の雄をまた世に解き放つことと同義だからだ。またそれは、これまで上手い具合にインフレを重ねながら、弾ごとに程よく環境を移してきたデュエプレが、遂に後退を認めるという事でもあった。

本当にそれでいいのだろうか。インフレし続けるからカードゲームは楽しいのではないか?この意見にはかなり説得力を感じる。賛成も反対もあるだろう。

少なくとも、アガピの制限の如何は、最早単なるパワカの制限ではなく、今後のデュエプレの方針の選択と同義になっていたのだった。と筆者は思う。大きな、大きな分かれ道だったと今になって思う。どちらにも裏目がある以上、運営を責めるのは、どうなんでしょうかね。

第三に、アガピトスは、ユーザーの開拓によって強さが浸透したカードである。「運営の過失」を撤回するのはともかく、「ユーザーの開拓の成果」を取り上げるのはいかがなものか、という意見だ。個人的には開拓の経緯と制限とは関係ない気がするが、そういう意見を持つ人は実際一定数いた。今や信じ難いことだが、少なくとも「弱そう」なのはマジだった。6コス6000wブレイカーだけ見れば、あのザガーンよりもスタッツが低い。で、6コスト払ってついてくる能力が3コストのカードをプレイするだけ。は?光の3コスト?そう聞けば弱そうな気がしてくるだろう。気のせいです。

だが、アガピ実装当時はこのような見方が大半であったのだ。光の3コスト踏み倒し、弱い事は書いてないよね、でも何を出したら強いのかな、後続が無いよね、良くてジルワーカかな、はは。研究次第では使われるかもね、などとのんきに考えていた。パックから出て嘆く者すらいた。実装後しばらくは、「アガピを救う」という企画すらあった(並々ならぬ可能性を感じていたからこその行動とも言えるが)。それらは成功したり失敗したりで成果はまちまちだったが、遂に強豪プレイヤーがゲオアガピ天門の基盤を完成させ、8弾環境をアガピ色に染めたのであった。今考えれば、アマテラスが強いのだからこいつが弱い訳は無かったのだ。まあとにかく、筆者を含むデュエリストの大半は馬鹿丸出しであった。

画像5

あーこんなかんじよこんなかんじ

このような経緯を経てアガピの強さは知れ渡り、研究され、メタに定着した。この結末が必然だったのか否かまでは分からないが、メタに定着させるまでの先人の努力があったことは確かな事実だ。これが制限をしてはいけない理由になるかどうかは筆者には示せないが、少なくとも、「アガピとかいうカードを刷った運営馬鹿だろ」とか言う奴はクズである(断定)。隣の席のbad guyがこのセリフを言ってきたら、「じゃあお前はアガピを環境初期から強くぶん回してたんかよ。違うよな、どうせアガピを笑ってたんだろ、なら運営を笑う資格はお前にはないんじゃないのか」と言って手元のイカの刺身をそいつの顔にぶちまけてやればいい。責任は筆者が取るから存分にやってほしい。

個人的には、アガピトスをグッドデザインカードだと評価している。繰り返しになるが、到達点かと思われた第7弾の超高速インフレバケモンハッピーモンスターズを、ゲキメツ等とともに押さえつけ、殿堂等の規制をかけずに環境を低速化させた立役者であった。また、光の3コスト踏み倒し要求というのが、それなりにデッキ構築を制限している。強力な効果の代償に構築を縛っとけ理論が美しい形で現れた良い例だと思う。適当に組んでも弱くなるのはそのあたりの運営の構築制限が巧妙だった、という事の裏返しなのだ。うーんグッドデザイン。この辺りは運営の意図的なデザインだろうと筆者は考えている。運営はやっぱすごいと思う。…まあ天門という形で結局無視されたが。(その辺もボルバルと似てる。)

さて総評だが、個人的には、飽きる前の良いタイミングでナーフされたと思う。アガピ自体は使って楽しい良いカードであったのは間違いないし、メタゲームも、パワカが躍動する面白い環境になったと筆者は感じている。運営がメタゲームの設計を間違えたとは思わない。ただ、人によってはゲーム体験の面で、「またアガピかよ」とか、「オリカ強すぎだろ」、とかの不快感が強かったのも事実であった。アガピ時代にデュエプレを離れてしまったユーザーを考えれば、もっと迅速な対応の方がゲーム全体の益になったかもしれない。

ナーフ後の性能はかなり丁度いいパワカなのではなかろうか。

キングダムゲオルグ

画像10

2021/6/10(木) 第9弾環境 前期
使用率:高い
メタゲーム:B
体験:B
総合評価:B

強い!!!レッドギラかお前は!

ただただ強いパワカ。出た時全タップ、アタック時他のクリーチャーアンタップ。この効果なら、今の紙に登場してもおかしくないと本気で思う。

主な罪状はゲオアガピ天門で中型を全消滅させ、そこから過剰打点でぶん殴った事ですね。あとたまにドロマーテクノロジーに出張してた。ゲオアガピ天門の概要はアガピトスの項に譲ります。

アガピと組み合わせて、メカオーなどの小型を3~5面除去していた。血も涙もない奴。アガピ同様、7弾環境のバケモンたちを押さえつけ、環境を低速化させる役割を果たした。

また、8弾の同期ゲキメツをリンク前に取る手段として一番強かった。ミラーでは、アガピからウルコスを立てる/ゲキメツを切る/ゲオルグ切る/温存する/エリクシアを立てる/ハンドを切る/温存する/ボルバルを警戒する/アウトを警戒する/ロストソウルを警戒するなど高度な駆け引きが日々行われていた(エアプ)(止まらない想像)(溢れるイマジネーション)が、やはりこのカードでゲキメツを処理することががミラーを制す上で一番重要だった。(エアプ)(まあ大体あってるやろ多分)(違かったらコメントで教えて)

進化元の指定が多色というだけなのに、案外構築が難しく、ドロマーの切り札として据えるだけではデッキパワー不足になるあたり、滅茶苦茶調整がうまいなあと感心していた。ささぼーさんが使い方に沼っていた思い出。
本来の強さを引き出すには横に中型~大型が立っている状態で着地させる必要があるため、結局ゲオアガピ天門ぐらいでしか目立った活躍はしていない(例外的にザマル等環境外のフィニッシャーに採用されてはいた)。色、進化元の点から、これもやはりやんわりとデッキ構築全体を縛るグッドデザインであったと思うが、それを壊したのがゲオアガピ天門…って話はもうしたか。はい。

筆者はまっとうに強い良カードだと思うが、運営としては、7弾までのみならず、今後実装されるカードも分け隔てなく処理してしまうこのカードは、今後もゲームにいたらまずいと判断されたのだろう。それも妥当な判断だったとは思う。(まあだったら刷るなとは思うが。)

アガピの項で書いた、デュエプレが今後どう展開していくかを決める際に、ずっとインフレを続けていくのは難しいと判断され、その方針の一貫性の中で規制が決断されたのだろう。そう考えれば納得はいく。

ただ、ナーフではなく殿堂入りでは駄目だったのか、ボルバルのように名誉を保ちつつ、切り札として運用させるのは駄目か、という意見をよく聞く。筆者はその意見に賛成だ。
その一方、ピン投だとゲオアガピミラーで引けた側が有利になり過ぎるクソゲー化が懸念されるためまずいだろうという意見もある。これも説得力がある。

制限は妥当だが、その方法までベストだったかは果たしてどうだっただろうか。

余談だが、制限方法が殿堂になったカードには、概ね、ちゃんと殿堂になる理由があったと筆者は思う。

例えばボルバルは1枚制限でも10ターン目まで使えないために、単に引きゲーとは言えない所がある。序盤に引いて10ターン抱えるのは大体無茶である。引いた方が極端に有利になる訳でもないならまあ殿堂でよかろうよということなのだろう。また、ビジョンに関しては、もうナーフのしようが無かったのだろう。引きゲーになる危険はありつつも、1コスト上げたらトリプルブレインに、ドロー減らしたらエナジーライトにダダ被りだ。それは流石に運営のプライドが許さなかったのだろう。(このすぐ後に来る)テクノロジーも、1コスト下げて環境入りしたからやっぱ1コスト上げる、はダサすぎて出来なかった説がちょっとある。そうでなくても、カードデザイン上、8コスト以上の水のカードがピン投でも実質4投になるのはあまり弱体化の意味がない。…だったら最初からそんなカード刷るなと言いたいが。ドラゲリオンはよくわからん。それはドラゲリオンの項で。

インビンシブルテクノロジー

画像9

2021/6/10(木) 第9弾環境 前期
使用率:普通
メタゲーム:A
体験:S
総合評価:S

筆者が一番憎んだカードである。1番クソゲーだった。ガチで不快。筆者はこれまで結構いろんなカードを擁護してきたが、このカードだけは余り擁護したくない。

7コストで手札沢山引いて全バウンスしてコスモビュー沢山出して次のターンマーキュリー進化速攻でトリガー封じた上過剰打点で突っ込まれたら勝てない。一切勝てない。小泉でも勝てないって奴。大抵相手はブレチャを引いてるから、6ターン目には打たれる。こちらが後手だと、5ターン目にはダイレクトアタックしないと間に合わない。しかしスパスラだのでバウンスされるからそれも容易ではない。

出したクリーチャーがバウンスされ続けてるうちに負けるものだからデュエルをしている気にならない。1弾の青単ならバウンスしながらビートしてきたので、盤面の取り合いが発生したが、このデッキはカウントダウン型と言われるように、自身の盤面は一切無視で、その時まで耐えたら勝ち、という別ゲーをやっていた。なんとかコントロールしようにも盤面展開してこない、ハンデスもあまり刺さらない、先ロストも間に合わない…あれは悪い夢だったのだろうか。個人的にはハンデスされるよりよっぽど辛い。せめて盤面除去で対抗できるデッキであれよ。

ならばとビートしても、むしろ手札を与えて利敵行為になる。なんならツヴァイ型の場合、増えた手札でカウンターされてしまう。本当に勝てる気がしなかった。

研究が進むにつれて、ツヴァイ型以外にもドデビル型やドロマー型が生み出され、結局全部強かった。あのゲオ天にも有利と言われていた。環境の結論はドロマー型だっただろうか。

とはいえ環境全体で見たときに結構バランスが取れていたのは事実である。ケンジ・セラフィムなどの、マナを伸ばして進化速攻を仕掛ける対面は基本的には厳しかったし、他のtier1はそれなりに対抗手段を持っていた。ぶっちゃけ筆者が環境外デッキで遊ぶのをあきらめれば良いだけの話でもあった。私怨っちゃ私怨である。それを認める最後のプライドは保ったぞ俺。

めちゃ個人的なことだが8弾EX環境終期にはこのデッキと筆者は和解を果たし、ハングリー精神で握って動きを勉強していた。tier2あたりに落ち着いてきたのを見て、なんとなく握る気になった。握って分かったのは思いの他事故るデッキであって、勝負はデュエル前の構築時点でかなり決まるデッキなのだと知った。

とにかく制限は妥当の一言であり、その手段も良いと思う。1枚だけとなれば青単構築の旨味を別の場所に見出さなくてはならない(つまり構築の制限が厳しくなるデメリットが追加される)し、使えたときのリターンも相応に大きい良いカ―ドになったのではなかろうか。

かなり主観が入ってしまったが、多分こんな感じであってると思う。

驚天の超人

画像11

2021/6/10(木) 第9弾環境 前期
使用率:普通
メタゲーム:A
体験:S
総合評価:S

ゲーム体験はぶっちぎりの最悪。色んなデッキが持つ本来の美しさを歪めた罪で、取り返しのつかないナーフを受けた。3ターン目にパワー13000のTブレイカーを出してはいけないんですね。はい。そらあそうよ。

こいつの馬鹿げたスタッツを正当化させるデメリットが、皆が想像してたのの100倍機能してなかった。出た時効果が使えないのだ。効果が使えないアガピを出してどうするのだろうか。サファイアがあれば話は別だが、そんな、初手からサファイア都合よく持ってる訳がないし、引けても普通マナ埋めるし、よしんば出せてもコロビナーでトンカチされる鬼畜仕様だった。大体デーモンハンドなんて都合よく毎回埋まらないし、仮に3点で破壊できたとしても、そもそも通常のデッキで考えれば1体のクリーチャーが盾を3枚割れたら十分すぎる程仕事を果たしたとみなされるだろう。

しかもそのわさびが運命の選択によって4コストSAで発射されたのは、なんかもう、すっごくすごかった(語彙力)(お手上げ)(思考放棄)(デュエマって何だろう)(環境崩壊ってこういう事かあ!)(絶対デュエマ!!!!)。

我々カードゲーマーは、基本スタッツを疎かにして効果至上主義に陥り、バニラ~準バニラを侮る傾向がある。侮ることがファッションになっていると言っても過言ではない。そんな我々に、このゲームはスタッツが大事なんだと、案外パワーラインの競り合いが全てなんだと、このジャイアントわさびはその強烈なツンツンわさび臭で気づかせてくれたのであった。健気な奴ですね。嬉しくないけど。

このカードの悪いところ(同時に良いところでもある)は、強すぎるだけでなく、カードゲームらしい?カードゲームらしからぬ?駆け引きが成立してしまった所だろうと筆者は考える。

パンダに本来は入るはずがないサファイアが入ったり、サファイアを4ターン目まで抱えたり、ダクマバルガロウやデルフィンやエリクシアが重用されたり等等、こんな事態でもないとされないであろう多くの特殊な創意工夫がなされた。

それはそれで楽しい事でもあったし、その対わさび特化型デッキを握ることで初めて見える地力的強みもあり、環境に良い意味で刺激を与えたのは間違いないと思う。そう思うのだが、その刺激が強すぎた。普通に考えてパンダにサファイアは入れちゃ駄目なのよ、デッキ本来の構築の持つ美しさが損なわれてるのよ。それに永遠にわさびを意識した構築を強いられてる時点でゲーム体験的に良くないのよ。ずっとこのままなんて、とてもじゃないけど耐えられないのよ!ふう。

使って楽しいのは確かだった。なんせ3ターン目に13000のTブレイカー、相手も超展開である。掟破りのゲームスピードの速さや、クソデカデメリットを背負って勝負する姿は凛々しくもあった。ナーフ前提ではあるが、期間限定で楽しむ分には良いパワカだったのではないだろうか。

運営としても、流石にここまでガチカードだとは思っておらず、テストプレイもほどほどに実装してしまったのだろう。筆者はこんな事あまり言わない方だが、これに関しては本当にそうだと思う。

当初の想定としては、重すぎるデメリットを持つ13000のTブレイカーを出すくらいなら4ターン目にツヴァイ投げればいいし5ターン目にアポロ飛ばせばいいし5~6ターン目にマザーミリパで確殺すればいいし他のデッキは受け札マシマシファッティモリモリだからもろにわさびのデメリット食らうでしょう大丈夫♪と楽観的に考えていたのだろう。で、たまに地雷デッキとして活躍して、環境の適度な刺激になれば良いな♪なんて思ってたのだろう。なんて甘い見通しだろうか。甘い、甘すぎる。MAXコーヒーより甘いぜ。

じゃあこのカードを出した運営が悪いのかと言えば、…まあそうなんだが、我々も最初はわさびを侮っていた以上、運営を責められないのではないかと筆者は思う。アガピ同様、隣の席の奴が「わさび実装した運営馬鹿すぎw」とか言い出そうものなら「じゃあお前は(以下略)」と言って手元のおろしにんにくチューブを(以下略)

総評としては、わさびは環境を歪めた極悪人であり、ナーフは極めて当然の事であった。それに関しては擁護のしようがないが、期間限定の環境としては楽しめたし、案外メタゲームは回っていた。個人的には、わさびショックのあれこれは、基礎スタッツを軽んじ過ぎた運営と我々共通の罰として受け入れるのが良いのではないかと思う。どうでしょうか。罪の意識がない人は、そうですね、無邪気に叩き続けたらいいと思います。

ナーフ後の姿は6コストになってしまい、見るも無残なデブわさびになってしまった。せめて5コストであればアルバトロスから出たのにというセリフは既に10000回は言われただろう。熱烈なファンも居たので、個人的には4か5コストにするのもアリだとは思ったが、おそらくは、実用性があるわさびは、今後もデッキ構築を歪め続ける恐れがあり、それだけは避けるべく、万が一にも環境デッキにならないように痛めつけたのだろう。ならばそれはそれで妥当な判断だと思われる。いや実際6コス13000も普通に破格だから、使い道が0だとは思わないのだが。


アポロヌスドラゲリオン

画像6

2021/7/21(水) 第9弾環境の終わり
使用率:普通
メタゲーム:B
体験:A
総合評価:B

先5確殺のクレイジーモンスター。強い。筆者も使い倒した。主な罪状は、ブン回ったらデュエルにならないこと。簡単に勝て過ぎたこと。

何故なのか、アンチがそこそこ多い印象がある。個人的には好きなカードなので悲しい。

回った時にデュエルにならない下らなさはテクノロジーや黒緑ドルバロムと似たものがあるが、アポロの救いは除去が効くことである。ルピアもファントムバイツで取れるし、センチネルも裁きで流せばよかった。コントロールが通用したのだ。とは言え裁きをケアするかどうかなどの高度な駆け引きも成立した。まして天門は、ブチギレアポドンされても平気で耐久して勝つことがよくあった。これはデュエマしてると言って差し支えなかろう。

数回に分けて殴ってくる対面へのカウンター性能はかなりのものだったが、それでもアポロは早くて5ターン目、ルピアセンチされなければもっと遅くなる中速デッキだったため、ガンガンアグロすれば間に合うことも全然あった。やはりデュエマしてる気がする。他のワンショット系コンボデッキはお互い様だ。

これらのことから、確かに非常に強力で理不尽なデッキではあるが、順当にコントロールするかビートするかが全うに通用し得る対面でもあったため、筆者としては、まだ許せる位置にいると捉えている。

その証拠に、一時期BEANSさんのグラフから消えていた時期すらあったほどである。アポロは確かに凄く強いが、環境を支配するデッキではない。普通に負けるデッキだからだ。これはただのメタゲーム上の事実だ。

ならばとゲーム体験的にどうなのかを検討したい。メタゲーム上は対抗可能だとして、それでもアポロがヘイトを買う理由は、恐らく、周辺パーツがコンボデッキの脆さを上手い事解消してしまっているところにあるのではないか。

アポロの罪の半分くらいはセンチネルにあるのではなかろうか。センチ無しだったらデスフェニックス出すよりもキツかったはず。アポロ本来の、ドラゴン3体の進化元という全うな重さを感じられたのではないか。あいつが実質手札4枚分だから除去やハンデスが間に合わないんよな。あと、アポロを引き込むヘリオライズ、コンボの天敵ハンデスのメタのザークピッチ、飛び道具のバルケリオス、詰めのガルベリアス…受け札のベティス…コンボデッキで勝つための基盤が揃っていたから、あのテキストでアポロは勝てるのだろうと筆者は思う。

あとは、初心者が使っても勝ちやすかったのが気にくわない人がちらほらいたのが印象深い。

初心者が使いやすいのは良い事だろ、と言いたいが、まあその気持ちも分かる。上級者は一生懸命コントロールして勝ちたいもんね。プレイが介入する余地がないままに格下レートのアポドン→You Loseビヨヨヨーンコンドハマケナイヨ!は確かにちょっと萎える。(でもその感想は我儘というものじゃなかろうか。)

筆者なりにアポロがヘイトを買いやすい理由を考えてみたが、合っていただろうか。ちょっと自信がない。個人的には、乗り手が弱いアポロならその位コントロールできないで文句垂れるな甘えるな、と言いたいところだ。

矛盾するようだが、そして本当に個人的なことだが、筆者はアポロアンチのツイートを見て、ラッカアポロ抜きアポロで配信をしていた時期がある。このゲーム、ルピアセンチセンチバルケリオスとボルガウル辺りで5〜6ターン目にぶん殴れば概ね勝てるんじゃね?勝てたらアポロアンチ黙らせられるんじゃね?というクソガキムーブだった。で、結果運が良かったにせよ、7連勝位できてしまった。勝てるんかい。俺は普通にうざい奴だった。

それはそうと、メタゲーム上の本質的な問題点は、アポロヌス本体にあるのではなく、基盤の頑強さにあるのだと示せたと思う。「コントロールできないよお」とお悩みの方は、叩く矛先をセンチネルかバルケリオスかザークピッチに移すのはいかがだろうか。(今アポロ抜きやっても武者やキングにコテンパンにされそうだけど。)

メタゲーム上は、アポロヌス本体は悪いカードではなく、悪さをしているとすればセンチネルをはじめとした基盤だろう。

その一方で、ゲーム体験としては、早いと5ターン目に勝負がほぼ確で決まる事(=本体)、格下にもあっさり負ける事(=本体)、高いビート耐性とコントロール体制がデザインされていてなんか気に食わない(=基盤)、というのがマイナスポイントだろうか。

これらを総合して、筆者としては…

まあゲーム体験的に制限かけてもおかしくはないけど、かけなくてもメタは回ったし別に良かったんじゃね?それよりかはツヴァイみたいに周辺パーツの規制が筋だったんじゃね?本体1枚残しは(ゲーム体験的に)本質的な問題点を解決してなくない?丁度良く弱体化してるかもしれないけど、その程度なら「原則なるべく規制しない」を適用しても良かったんじゃない?

というものに落ち着いた。現状に不満がある訳ではない。もっと良い手段があったのではないかと生産性のない提案をしているだけだ。読者の皆様は、この意見に説得力を感じていただけただろうか。

特に、アポロが許せなくてたまらないぜ!という方の意見が気になる。そんなあなたはこの対応に満足いっているのだろうか。満足しているなら、あれだけ憎んだアポロを、何故今のアポロなら許せるようになったのか。どの変化が刺さったのか、少し興味がある。

エターナルガード

画像12

2021/8/26(木) 第9弾Ex環境の終わりまで
使用率:高い
メタゲーム:C(良い奴)
体験:A
総合評価:A

…ジャックライドウの歌は2度も歌わない。

烈流心やゼンアクを埋められる札として、各種コントロールデッキで大活躍してきた。

4コストでほぼ確定除去てのがヘイトを集め、環境の「必要悪」だったにもかかわらず殿堂入りした。

その後、確かにゲーム体験は良くなったけどブン回り環境になっちゃったよねってよく言われる。この殿堂入りは、界隈でかなり意見が割れた。

ちなみに筆者は言うほどブン回り環境だとも思ってない。というか普通に5cコンが25%占める日もあったりして、事実、全然遅いデッキも勝ててた。

また、おそらくは10弾の販促も絡んでいた。あのカチュアですらガードに阻まれて環境で普通に強いね位の扱いを受けてる今、ロマノフだのがガードに封印されてたら目も当てられないでしょう。

紙のデュエマではガードは殿堂カードであり、それを踏まえて、紙のカードはデザインされてきた。デュエプレにガードが残っているのに、紙のデュエマのデザインを持ち込んだら、そりゃもろに盾封印されまくるだろうという話だ。

ダメ押しに、10弾にはデバウラ伯がいる。ガードを使いまわして盾封印マスターズが始まるのは目に見えていた。(実際ボルシャリオとデバウラ伯とゲキメツでガードを使いまわすのは今でさえ実践的なテクニック)

エタガ殿堂で嫌になったという人が多くいるのは承知しているが、かといって、エタガ4枚使えるデュエプレが続いたら、上記の理由でなかなかの息苦しさになるであろうことを想像してほしい。

それよりは、現在の1枚制限で各デッキがのびのびぶつかり合うほうが(ゲーム体験的に)相当マシだし、デュエルマスターズしてて良いのではないかと筆者は思う。なんやかんやで今もメタは回ってるし、エタガ殿堂は妥当だったのではなかろうか。どうでしょうか。

あと、殿堂でも悪くはないけど、5コストドロー無しへのナーフなら許されたのではないか、とか言ってみる。

烈流神

画像13

2021/9/30(木) 第10弾環境 中間地点
使用率:高い
メタゲーム:B
体験:B
総合評価:B

こいつは筆者溺愛の強カード。アンブロッカブルのSAで破壊時手札に戻る…うーむ強い。実質カウントダウン型カードでもある。

罪状は止める手段が限定的過ぎた事。

烈流神の突破力に関しては誰もが認める所だろうが、しかし、キングアルカディアスの台頭によって黒ガントラが主流になったよねと言われて久しいタイミングでのナーフ発表となった。

これに疑問を抱く人は多かった。もうあまり使わてないのに何故…。(ちなみに筆者は青ガントラをバリバリ使ってたし、レート1696まで行って魂チャレンジしたし、しっかり敗北した。ありがとうございました。)
その一方、ナーフありがとう、むしろ遅すぎた程だという声もある。

いずれにせよ、これに関しては運営は完全に後手に回っていたという批判が強い。規制するならもっと早くする、しないならずっとしない。これは状況証拠的に説得力のある意見だ。

ナーフは、妥当な判断だったのだろうか。

実際、メタは回っていた。この点は運営が作ったプールが優秀であり、かつユーザーの創意工夫が、エタガ1枚でも烈流神1強のままにはしなかったのだ。今後もメタを信じて託すという選択肢もそこそこ有力だった。

それでも尚ナーフに踏み切ったのは、運営がゲーム体験的な懸念を重く見た判断、という可能性がある。

考えてみれば今後登場するすべてのデッキが烈流神に対して何らかの対抗手段を持っていないと人権が無いというのはわさび並みに酷い仕打ちだ。今バランスが取れているのはぶっちゃけたまたまですと言われれば、まあそれはそうだ。

という事で、今のメタゲーム上はまだしも、ゲーム体験上はちょっと嫌だと言う人が居ても当然だ。ナーフはしなくても良い寄りだが、今後のことを考えると今のうちに規制するのはアリだろう。対応が遅いと言われているが、むしろ未来志向の早めの規制だったのかもしれない。総合評価はBとしておいた。個人的にはナーフしないでほしかった。

筆者はそういう見方をしているので、「ガード殿堂する際に烈流神も制限かけろよ、こうなるのわかってただろ」という一見もっともな意見に対して懐疑的である。

エタガ殿堂によるメタゲーム環境の変化は実は運営の想定内・計画通りであって、それとは別に今後のゲーム体験を危惧してこのタイミングで烈流神をナーフにしておいた、というのが事の順序なのではなかろうか。

どうだろう。運営としても、エタガ殿堂の際に散々検討した事のはずだ。ユーザーが一番楽しみやすいカードプールを常に考え続けている運営が判断した結果がこれなのだから、こういうストーリーも結構説得力を持つのではないだろうか。(ま、本当のことなんて分かりはしないのだが。)

また、制限の程度に関して、あのナーフでほんとに良かったのかと言う声は大きい。ナーフ後の、4+4コスト、ブロック可能は流石に強みが完全に失われてしまっている。敢えて使う性能ではなくなってしまった。個人的にはバルザックオルメガスからサーチしてぶん投げる戦法が好きで、その位の遅さなら許されるだろうから、殿堂規制の方がありがたかった。それかまだ使える強さにしてほしかった。


体力の限界が来た。ギャグにキレも無くなってきた。この辺りで筆をおこうと思う。

ゲキメツとかゼロフェニとかツヴァイとかキングとかマザーマーキュリーとかザンゲキとかその辺のバケモン達のナーフ可能性、ナーフの是非も検討したかったのだが、もう26345文字打っているらしい。これらは次回にとっておこう。


追記

折角なので今後は、殿堂/ナーフされたカードについて、以下に備忘録的に記していこうと思う。

一応記事は完結したが、これからはflat工房の「殿堂解除選手権」的な読み方も可能にしたいからだ。

ここ最近はほぼ毎弾何らかの制限が発表されていて、最早「本来制限はしない方が良くてウニャウニャ」とか言ってられなくなった感は正直ある。


竜極神(ゲキメツ)

画像20

2021/10/21(木) 第10弾環境の終わりまで
使用率:かなり高い
メタゲーム:S
体験:B
総合評価:A

デュエプレ史上最高の汎用フィニッシャー。多種多様なデッキのフィニッシャー枠を喰い荒らした様は、あのボルバルに匹敵する。

いやあ、何もかもが強く、何から話せば良いやら…

完成すれば、パワー21000の4打点攻撃時2ランデスブロックしたら全ハンデス通せば6000以下焼却とかいう大怪獣に。パワー21000の上にはアポロしかいない(当時)が、奴とはバトルする機会が無いので、ゲキメツは実質最高パワーだった。強い。

バジュラ「え?」

ドリルトラップ「え?」

ロストソウル「え?」

エリクシア「え?」

あ、お引き取り下さい…  ☞  出口

更に偉いのは、リンク前の効果の汎用性の高さである。リンク前の除去で対処しようにも、出た瞬間に最低限以上の仕事を果たすのが偉大な所だった。メツの2000以下全破壊はビート対面にぶっ刺さる。いやコントロールのチャンプブロッカーにも普通に効く。デュエマって、我々が思ってる100倍パワー2000以下が多いんやなあって…

特にコントロール対面では、ゲキでアクアンを蘇生するだけで爆アドだった。
コスト4以下という縛りはけっっっこう広い。ヴォイジャーもウルコスもアラゴナイトもジャックも蘇生できた。汎用性の鬼だ。

ヘリオスティガ「え」

トリプルブレイン「え」

フェアリーライフ「え」

あ、お引き取り下さい…  ☞  出口

その上、何故か、構築制限が一切無かった。色が合えば入らないデッキは無かった。なんならボルバルのように、タッチゲキメツも可能だった。

以上、ゲキメツが圧倒的な使用率を誇る背景=圧倒的な汎用性について語ってきた。

敢えてゲキメツ入りのデッキを十把一絡げにするなら、デュエプレは、冗談抜きに、「ゲキメツデッキ」VS「その他」のゲームと言っても過言では無かった。それ程こいつは汎用性が高過ぎた。

しかしメタゲーム的な評価は、中々難しい。個人的には、ゲキメツを含む各カード・各デッキが躍動し、流動性のある環境が続いていたと感じる。恐らく、殿堂入りしなくても、流動性自体は維持されたのではなかろうか。まあゲキメツの高い使用率はそのままだろうが。

それに、ゲキメツはアガピ・ゲオルグらとともに、他の強デッキの台頭を抑制していたという面もあった。先輩たちは先に逝ったので、こいつ一人で頑張ってるという状況だった。健気だね。

実際、ゲキメツ不採用デッキが採用デッキに勝てないってこともなかった。ゲキメツの存在(が許される事)は、メタりメタられといった駆け引きが可能なデュエプレのカードプールの優秀さを示してる、と個人的には思う。

そうは言っても流石にフィニッシャーの多様性を奪い過ぎているのは間違いない。殿堂入りは妥当の一言である。

現在は殿堂入りになっているが、1枚でも余裕で強い。知ってた。

ゼロフェニックス

画像21

2021/11/25(木) 第10弾Ex環境の終わりまで
使用率:低い
メタゲーム:B
体験:
総合評価:S

主な罪状は、閉塞感の再来。

4ターン目に2ハンデス2ランデスはやり過ぎた。「デュエマじゃない」「くだらない」などと、かなりのヘイトを買った。ゼロフェニが流行った時にはtwitterは荒れに荒れた。芸能人の不倫かよって位炎上した。

メタゲーム的には、公式に使用率・勝率ともに問題ないと発表されている。実際、しっかりtier1を握っている時には不思議と何とかなったりする。

問題はゲーム体験だ。

最速でコンボが起動すると(それも要求値は大して高くない)、本当に何一つ出来ずに負けてしまう事が何度もあった。盾も焼却されるので、逆転も出来なかった。リソース差が付くまでターンをかけてじっくりと付き合わされるので、ジョバンニ的な不快感があった。

という訳でナーフは妥当の一言だ。個人的には、この手の悪用デッキはある意味デュエマらしさを強く感じるので好きだったりする。テクニカルだし派手だし。

ところで、ゼロフェニを巡る運営の方針には、元々批判が付いていた。というのも、ランダムハンデス系をナーフしておいて、ゼロフェニの4ターン目自壊2ハンデス2ランデスを許すのは矛盾なんじゃないか?というものだ。それは、そう。

あえて運営を擁護するなら…勿論運営もショックハリケーンなどを使った自壊系を想定の上、ゼロフェニをデザインしただろう。そして勝率がそこそこなのも想定内だったことだろう。想定外だったのは、自壊系が普通にtier2〜3に定着し、長く使われるデッキになったことだ。それに関しては公式の声明文で発表されている。つまり、メタゲーム的なバランスを保つという最低限の使命はちゃんと果たしていたのだ。開き直って、「は?別に良くね?良い環境じゃん。嫌なのは貴方の問題でしょう」と言えなくもなかった。

ゼロフェニが滅茶苦茶叩かれ出したのは、流行ってからだ。流行ってからなのよ。その点では、当時筆者は、流行ってから叩き出した人達を見て、これは悪質な後出しジャンケンであって、カードプールの本質的批判になってないだろと思ったものだ。

…思ったのだが、現在の筆者の考えは少し違う。

使用率が低ければ許される、という事は現実によくあることだ。例えばメカオーという非常に完成度の高い理不尽デッキも、5 〜10%しか当たらないのであれば、正直そこまで気にならない。

むしろ本質的なのは使用率そのものらしい。

そんな訳で、使用率が低いままで、全く荒れなかった未来もあり得たよなあ、等と思った。

ナーフの方法に関しても批判がある。紙からの効果の2ランデスを取り上げるのではなく、早期の自壊コンボだけ規制する弱体化の方法は他に無かったか、というものだ。

確かにランデスを失ったのは悲しい。悲しいよ。でもナーフってのはそういうものですから。個人的にはターン制限とかダサい真似するよりはマシだったと思う。

統率するレオパルド・ホーン

第12弾環境中間地点まで
使用率:そこそこ
メタゲーム:S
体験:A
総合評価:S

黒緑速攻において、3ターン目に6打点並べるバグムーブを可能にするチートカード。

この黒緑速攻というデッキは、メタゲーム上の存在感がバチボコにイカれきっていた。

黒緑速攻は長らくALL環境で活躍し、雨の日も風の日もずっっとランクマの10%程度の割合を占め続け、圧倒的な速度で他デッキを蹂躙してきた。

そのため、ちゃんとAllでレートを伸ばす時は、まず黒緑に勝てるトリガーに数枠割くか、コンセプト上有利に立ち回れるデッキを握るかを選ぶ所から始まっていた。…まあいくら対策しても轢き殺される時は轢き殺されるのだが。

黒緑速攻及びレオパルドホーンは、allのデッキ全体に実質的な構築制限をかけていたと言える。メタゲームは堂々のSとした。

ゲーム体験もなかなかだ。なにしろ3ターンだ。流石に虚しさがあったと言わざるを得ない。

(いや、レオパルドが絡まなくても全然4キルはあった。それ程まで黒緑速攻というデッキは強く、理不尽な動きを高い再現性で押し付けるデッキであった。)

迎え撃つ側としては、有効なトリガーが埋まっているか(デーモンハンド一枚では到底止まらない)、序盤にメタカードを引き込めるかという2点に勝敗が左右され過ぎていて、戦慄はしても、ゲーム自体は単調に感じられた事だろう。ゲーム体験はAとした。使う側は、速く簡単に勝てて楽しかったのだが。

まあそれ自体は速攻というデッキの性質上仕方の無い事だし、むしろ速攻を対策していない相手が増えてきた所で、速攻で相手の「甘え」を突いて勝てたりする方がメタゲームとしては健全なのだろうと思う。それこそ、今のND環境の速攻は多くなく、デッキパワーもallに比べて落ちるため、環境的に軽視されがちだ。結果、先行5キル合戦が留まるところを知らない。(それはそれで楽しいが。)対して、黒緑速攻が跋扈するAD環境の方が多様なアーキタイプが活躍している。ちゃんとメタは回っていた。また、黒緑対策でトリガー枠が増えたことで、逆に低速化してるのも見逃せない。

速攻がある程度の勢力を持ち、良きメタデッキとして意識されるのは、メタゲーム上プラスに働くのは確かだ。

ただし、黒緑速攻の場合、メタデッキに留まらない突出した殺傷力があったため、メタられる側に速攻が立ってしまった。そこが、他の速攻デッキと一線を画す部分だろう。

「早すぎる」「メタを強要する」という点ではわさびに似たものを感じる。

また、黒緑は早くて強いため、余りにもランクマッチ向きすぎたのも、一部のプレイヤーを萎えさせていた。勿論速攻ゆえの脆さがあり負けが込むのも珍しくなかったが、試行回数でゆうにカバーできたのであった。

死の呪文「それ黒緑で良くね?」に耐えられるデッキ/プレイヤーはそう多くなかった。筆者ももれなく死んだ。実質、アバダケダブラだった。

ナーフは妥当という事で間違いない。

ちなみに発表当時は、allは確かにメタが回っており、環境に長く存在したのもあってか、驚きの声も少なからず聞こえた。でも冷静に考えればアウトだと思う。

ナーフ後に関しては、3ターン着地は不可能になって使い勝手は大幅に悪化したが、理不尽押し込み要員としてはまだ使えなくはない性能であり、良い調整だったのではないだろうか。それに、黒緑速攻はレオパルドが絡まなくても強い。これからは良きメタデッキ的な立ち位置としてtier2で活躍するたろう。

(追記→バリバリtier1でしたとさ。)

モノノフ・ルピア

2022/3/24 第12弾環境終わりまで
使用率:そこそこ
メタゲーム:B
体験:A
総合評価:A

本人の性能は一旦置いておき、先に第12弾環境の問題点を説明する。

というのも、モノノフは第9弾での登場以来それなりに環境に着地し、デザイン通り全うに活躍してきたのであって、それが一転第12弾環境の終わりにナーフされたのだから、このナーフは第12弾環境全体の問題と大きく関わると言えるからだ。
(これは後述する「ブレイブ・ルピア」や「薔薇の使者」と共通する。)

第12弾ND環境は、リースNEX、キリコ、赤青剣誠の3つがtier1で、この3つが環境の4割を占め続けており、流動性は無いと言わざるを得ない状況だった。
(割合的には剣誠とナイトをtier1.5としても良いかもしれない。)



殿堂/ナーフされたカードの傾向・特徴

本記事を通して、やはり、メタゲームバランスに大きな影響を及ぼしたカードか、ゲーム体験上悪いカードが規制を喰らっていた事が改めて確認出来ただろう。

個人的には、思ってたよりもバランスブレイカーが規制対象になる例が多くなく、ゲーム体験に配慮した規制が多いと感じられた。これは意外だった。

殿堂/ナーフされるべきカードとは

繰り返しになるが、カードは殿堂/ナーフされないに越したことはない。
カードは商品であり、金をかけて購入された物だから当然のことである。また、商品であるだけに留まらず、ある人にとってはカードは相棒、戦友、その辺の類であって、それを失う喪失感は数字では測れないものがある。そういった思い入れ自体がカードゲームというコンテンツの主要な楽しみかたの一つなのだから、その配慮は最大限為されなくてはならない。

それを踏まえた上で、ゲーム全体や、ユーザー全体の利益が一部のカードによって損なわれている場合、一部のカードを犠牲にして乗り切る、という選択はあり得る。

何が言いたいかというと、なんでもかんでもナーフしろって言うのは単に自分勝手なだけだし、かといって真剣に全体の利益を考えた意見は表明していかなくてはいけない、という事だ。

ナーフするという決断が一部の人を悲しませるのは必定である。しかしナーフしないという選択は真綿のように既存ユーザーを苦しめる。
ならば、真に優先されるべき「全体の利益」とは何なのかを考えなくてはいけない。

その全体の利益とは何か、(…ここからは筆者の主観でバッサリいくぞ、)それは恐らく、「デュエル・マスターズらしいやり取り、駆け引き」や、「魅力あるカードが活躍できる舞台」ということになろう。それさえ、それさえ保ち続ければ、大多数のデュエマのファンは付いて来てくれる、運営もそう信じてるのではなかろうか。

(執筆当時)現在の第10弾は、良いカードがたくさん収録されていながら、ぶっ壊れまではあと一歩というカードが多い。それはインフレを望むユーザーにとっては少し退屈かもしれないが、思い出の中の紫電!とかロマノフ!とかパギャラ!とかが環境に上手いこと着地して暴れてさえいれば、それだけで概ね神ゲー確定なんじゃなかろうか。競技的視点だけでなく、デュエマ本来の持ち味であるコミュニケーション・ツールとしての良さが保ててるのではないか。

そういう観点で見れば、エタガ殿堂を含む第10弾の環境整備はかなり上手いと感じるし、インフレを落ち着かせたのも英断だったのではなかろうか。運営が思い入れを尊重する姿勢は、ザガーンを巡る数々の茶番にも現れていると感じる。(まあザガーンは少しやり過ぎな気もするが。)

という訳で、「殿堂/ナーフされるべきカード」の結論は、「デュエル・マスターズらしいやり取り、駆け引き」や、「魅力あるカードが活躍できる舞台」を損なう恐れのあるカード、ということになろうか。

勿論、個々の制限が適切だったのかはメタゲーム的観点やゲーム体験的観点から再検証されるべきで、基本方針に則っていれば手放しにOKとされるものでもないが。ハンデスとか。


本記事は以上となる。まためちゃんこ長くなってしまったが、言いたいことは大体伝えられたので筆者は満足だ。

またお会いしましょう。さようなら。

ぬるぬる侍


宣伝

この↑記事は、当記事の10倍ぐらい頑張って作った力作なので、お前中々面白い記事書くやないかいと思って頂けた方は、こちらも見ていただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?